「父さん、
彼は思い切って幼い息子に告白した。
息子の為、危険な実験手術に合意したのだ。
まだ小学校に入学したばかりかその前といったくらいの年頃だったが、幼いなりに理解をして、不安を押し殺し、黙って頷いた。
「ごめんな、ごめん。 本当にごめん」
彼は幼い優しさに涙し、抱きしめる。
もう父としてやれる事はない。 もう2度と、息子を抱きしめてやる事もできなくなるかも知れない。
なんなら自分の名前も記憶も失って、愛するこの子をも忘れてしまうだろう。
預け先は用意してあるが、成長を見届けてやれないのが、唯一の心残りだ。
実のところ、息子は連れ子で血の繋がりはない。
だが本気で愛していた。 妻の事もその筈だった。
彼を産んだ妙齢の妻は、もういない。
大企業の会長に告られて、親権と離婚届を彼に押し付けてアッサリ蒸発してしまった。
後に残されたのは、偽装された彼のサイン入りの書類の山。 知らない内にブランドバッグの購入で借金をこさえられ、それすらも押し付けられてしまった。
何故こうなるまでになったのか。
それは彼が医者をしていたところ、病院に彼女が転がり込んだのが始まりだった。
路頭に迷い、我が子に食わす飯も無い、診察をタダにしてくれと痩せ細った息子をこれ見よがしに見せて、情に訴えてきた。
彼は優しく、お人好しだ。 そして医者でありながら、見る目が無かったのが災いした。
金が無いと言いながら、彼女がブランドものをぶら下げている違和感に気付くべきだった。
そのまま彼女の流れに流され、今に至る。
妻は別れ際、DVされたと彼を悪党にした。 己は悲劇のヒロインを演じる為の根も葉もない噂も流され、病院での評判を落とされた。
評判が良かったのが一転、誰も彼の医療を受けようとはせず、病院としても彼を置いておくと経営に支障が出るからと、クビ寸前まできてしまう。
だが事情を知らない訳でも無い。 気の毒に思った院長の勧めで、新医療のモニターにならないかと誘われた。
それはニケというアンドロイドになる為の手術だった。 脳を機械の体に移植するという、高度で未知数の、安全性が確立されていない危険な手術だ。
機械の体は決まっている。 男型のボディは無く、女型しかない。 それはニケに適合する脳が決まって若い女に限定されるからだ。
だが今回、実験的に男の脳を試そうじゃないかとなり、この話がやってきた。
受ければ借金を肩代わりしてくれて、しかも一生遊んでいける金が口座に振り込まれるときた。
ただし、死ぬ可能性が高い。 完全な自己責任で受ける必要がある。
生き延びても男としての死は確定済み……。
それでも彼は、息子の為に受け入れた。
そして手術は実行され。
奇跡的に成功を収めた。 唯一の男性ニケだ。
だが外見は美少女のソレ。 胸があり太ももと尻があり、くびれがあって、「
彼は「
「許して息子よ。 父さんも女だから」
涙し、彼女は現実を受け入れる。
そしてニケは戦闘用アンドロイド、兵器だ。
銃火器を持たされ、人類初のニケ部隊「
「私はフェアリーテールモデル試作6号機、ナグサ。 只今着任しました」
複雑で暗い過去を持つ男性ニケ。
波乱の新人生が始まった───。
日常のストレスで書き殴り。後悔はある(殴
羞恥心で削除するかも(逃腰