父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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百合の花は誰のもの

侵食は第2世代型フェアリーテール、レッドシューズが原因だと判明するも、その情報は士気への影響を考慮して出回る事なく、今日もゴッデスは平和です。

まぁ……エイブ博士の方は穏やかじゃないでしょうがね。 まさか同期が部隊の面汚しとは受け入れ難いに違いない。

ところがどっこい夢じゃありませんと。 今頃、他のニケ共々に狂犬オスワルドの尋問を受けている事でしょう。

可哀想……ですが私には関係なし。 何れ名誉挽回の日が来るでしょう。 貴重なフェアリーテールの次世代機を実戦投入もなく破棄する余裕はありませんからね。

今はただ、人災を抑えられたと思うだけ。

 

 

「ナグサ、V.T.C.はどうだった?」

 

 

ナニも知らないリリスが声を掛けます。

貴女はいつまでも、その完璧で究極の笑顔のままでいてくださいね。 難しいようでしたら剥製にでもして展示しちゃいますよ。

……冗談ですよ。 その笑顔の仮面の下、どんな激情が蠢いている事か。 或いは憂い、哀しみ。 部隊長としての責任の重さがありそうですね。

 

 

「進展はありましたが、残念ながら新薬の開発までには至らず」

 

「そうなの? あまり落ち込まないでね?」

 

「ええ……ところでリリス、私が渡したワクチンは打ってくれたようですね」

 

「分かるの?」

 

「はい。 私のニンフから作られているからか、貴女のボディに私がいる感覚が……失礼、気持ち悪いですよね」

 

 

ここでニチャァ……と、ねちっこい笑みを浮かべなかった私を褒めたい。

幾ら何でもキモ過ぎますからね。 そうだとしても、優しいリリスは受け入れるでしょうが。 今のように。

 

 

「そんな事ないわ。 寧ろ嬉しい。 これで貴女とはいつまでも一緒って事でしょ?」

 

「そう言ってくれると私も嬉しいです……目は綺麗なままですね。 侵食特有の赤い目になる、という事はなさそうで」

 

「そうね。 でもニンフでコードが駆逐されちゃった訳じゃないみたい。 不思議な感覚ね」

 

 

拳を開け閉めしてグッパーするリリス。

動きは問題なさそうですかね?

或いはリリスが特別機だから?

そのキラキラおメメも特殊パーツ?

 

 

「その後、ボディの調子は?」

 

「問題なし。 寧ろキレが良くなったかも」

 

「それは良かった。 侵食への免疫を持たせるのが主目的ですが、今後普及するのならば、副次的な効果がメインになるかもですねぇ」

 

「それでも人類の、ニケの助けになるわ。 ありがとう、ナグサ」

 

「まだ司令部の認可は降りてませんがね」

 

 

それに薬を打ち、私のニンフが入ったニケはね、私の思うがままに動くのです。

それはリリスとて例外ではない……今、それを試してしまいましょう。

 

 

「特に、私のニンフがボディに入る事に嫌悪感を示す方もいるでしょう」

 

「そんな事無いと思うけど……」

 

「確かにゴッデスの能力を僅かにも受け継ぐという意味では、我々を神格化、信奉する者ほど嬉々として受け入れるでしょう。 問題は副作用にあります」

 

「どんなのがあるの?」

 

「それはね───」

 

 

目を閉じて、リリスに意識を向けた刹那。

 

───ドクン

 

またあの時と同様の感覚。

そのまま目を開けたなら。

 

 

成功ですねぇ!」

 

 

目の前には私のボディが目を閉じ棒立ち。

そして己の手を見る。 白い手袋に黒い軍服。

そう……私の意識は今、リリスの中に。

 

いや、リリスそのものになっているのです!

 

 

「(凄いじゃない!)」

 

 

そして脳内に響くリリスの喜びの声。

体を乗っ取っても、意識は残るようです。

 

 

「おや、私が怖くないのですか?」

 

「(どうして? 何か問題?)」

 

 

つよい。

さすがリリーバイス、最強の勝利の女神。

 

 

「まぁ、強い拒否反応を示したら追い出せる可能性はありますが。 おや。 ちゃんと声色はリリスの美しい声ですねぇ」

 

「(あら、ナグサの声も素敵よ……でもナグサのボディは大丈夫なの?)」

 

「確かに無防備で良くないですね。 この間に意識の帰る場所が破壊されたり悪戯されたら大変です。 破壊はまぁ、手を出した瞬間から再生するでしょうけど、無防備な事に変わりなく。 能力の使い所さんには気を配らねばですね……倫理観的にも」

 

 

それにこの能力、戦闘で役立つのでしょうか。

詐欺紛いの悪事には使えるでしょうけど。

 

 

「お姉ちゃん! リリスお姉ちゃん!」

 

 

おや。 丁度良いところにスノウが。

 

 

「はいはい、リリスお姉ちゃんですよ」

 

「? なんだかナグサお姉ちゃんみたいな喋り方ですね。 それに、ナグサお姉ちゃんは目を閉じて何をしてるんです?」

 

「ちょっとしたゲームだそうで……そうよ」

 

「はぁ、今日のお姉ちゃん達は変ですよ」

 

「そうかしら? うーん、ボディの調子が悪いのかも。 スノウ、お風呂場に来てくれる? どうなってるか見てくれると嬉しいな?」

 

「え? あ、はい。 分かりました!」

 

「(ストーーップ!? そこまでーー!?)」

 

 

もう1人の脳内お姉様が煩いですねぇ。

でもこれも実験。 体の主導権を取り返せるのか否か、ロリィホワイトを何処まで騙せるのかをね!

 

 

「ついでにスノウのボディチェックもしましょうねぇ。 悪い所は無いかなぁ?」

 

「ちょ、ちょっと擽ったいですよぉ〜」

 

「(やめてええ!? "()"でシないでぇ!?)」

 

 

───この後、滅茶苦茶説教されました。

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