父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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合流

 

「よぉ〜! アンタが後輩のシンデレラ? 宜しくな!」

 

「ええ……! ああ、ゴッデスと共闘。 夢のようだわ」

 

「そんなに喜んでくれるなんて、ちょっと照れ臭いかも。 これから宜しくね」

 

「初めましてドロシーです。 貴女とお会いできた事、光栄に思います。 如何でしょう、少しお茶会にお付き合いしてくれませんか?」

 

「まぁ! 嬉しいわ……是非相席させて貰うわね」

 

 

ムードメーカーのレッドフードが溌剌と挨拶をし、リリスも加わり、社交辞令に慣れているドロシーが率先して取り仕切る。

その勢いで全体が後継機(妹)の歓迎ムードとなり、ひと時の交流会と相なった。

今回参戦はしない他のメンバーとも顔を見合わせて、送迎会も兼ねていく。

 

第2世代型はシンデレラの他に、4機製造され、それぞれ特殊技能持ちです。

その内、裏切り者のレッドシューズは論外、欠番としたいですが、彼女もまた、脚技を駆使する近接戦闘型という特徴をお持ちでした。

 

あとは双子ニケのヘンゼルとグレーテル。

そしてリトルマーメイドも例に漏れず。

 

双子ニケというのは、人間時代から双子なのか、それとも機能的な役割分担でそう呼ぶのか定かではありませんが、一心同体、2人で1人の特殊性をお持ちです。

見た目もそっくりで見分けがつきません。 それに青いビキニアーマーにミニスカというか、これまた特殊性癖を拗らせた格好で目のやり場に困りますが……魔女の窯とかいう武装、装備を使用。 これは様々なモノを錬金、生成しては攻撃に転用できるものらしいです。

どういうことなの……。 私にも分からん。

ナニそれ知らん……怖っ、ですよ。

反物質爆弾とか作れるんです? 知らんけど。

それからエイブ博士、この2人については未申請らしくてですね、上の認識する製造数と数が合わないんですよ。

なんで極秘裏に作っちゃったんですか。 後々バレたら面倒なのに。 予算とか今後の政治工作とかの備えかな?

 

リトルマーメイドも特殊ですがね。

セイレーンという別の呼び名持ちのニケですが、全身ぴっちりスーツに覆われて露出は無いものの、体のラインがハッキリしているので悩ましいところ。

液体金属を操り、見た目には綺麗な泡を作れる能力の他、言霊を操るのも特徴的。

彼女が「停止」といえば、周囲の者達は動けなくなり、その間何が起きているのかの認識もできないというチート。

泡と言霊。 それぞれの能力故にマーメイドでありセイレーンという訳ですねぇ。

ただし制御ができないらしく、普通に喋るだけで効果がでてしまう危険性故に、許可なく喋る事は禁じられている可哀想な子でもあります。

なので貴重な交流会なのに、先程から「あうあう」としか声に出していない。

……何かマスクとか、声帯に工夫すれば喋れそうな気がしますがね。 エイブ博士はそこまでは考えなかったのかも。

 

 

「皆さんの武器装備、とっても興味深いものばかりです! エイブ博士には後で詳しく聞きたいですね!」

 

「ヘンゼルとグレーテルは、とっても照れ臭いと思うわ」

 

「あう……!」

 

 

技術屋のスノウは目を輝かせ、次世代機の武装を興味津々に観察しています。

 

 

「私も刺激的な装備に思えます……とても綺麗で、淫らかで……はぁはぁ……!」

 

 

ラプンツェルは別の場所を見て興奮中。

レッフがエッなビデオや話題を振って揶揄い続けて無事に文明開花、新世界の扉を開けてしまった訳ですねぇ。

……聖女様の姿か、これが……泣けますねぇ。

 

 

「すまない、此奴は少しその、独自の美意識があってな。 これもレッドフードのせいだ」

 

「あー……少しやり過ぎたかな」

 

 

戦闘狂の紅蓮も下手人のレッフもこの反応。

私は巻き込まれないよう指揮官と遠巻きに。

 

 

「侵食したのか?」

 

 

指揮官がストレートに質問。

私にだけきこえるようにして。

 

 

「はい」

 

 

私、素直に答えます。

 

 

「それが1番です。 本人達に自覚はないし、出そうになっても、それ以上考えられないようになります。 その上で此方には従順、基礎的な身体能力も強化される。 何も問題はない。 今を見てどうです? 当人達は無自覚、幸せそうに振る舞っているでしょ?」

 

「確かに狂った様子は無い。 しかし侵食は元々ラプチャーの技術だ。 そのコードをナグサが都合良く書き換えたに過ぎない。 それがクイーンを前にした時、制御権を簒奪されて抵抗できなくなる恐れは考えなかったのか?」

 

 

小言を言われますが、確かにその通り。

でもね、そんなことを言ったら全てが未知数なのですよ。 全て、全部ね!

私たちニケの構造、コア、それらとラプチャーの互換性の有無、類似性、お互いの成り立ちの謎などなど。

クイーンがいるかも分からない。 いるとしてどんな存在こも分からない。 倒して終わるのかも分からない。 ニケが対抗出来るかどうかも不明です。

私自身、このボディも世界も不気味なのですよ、ええ、いっぱいいっぱいです!

死んでは生き返って、だけど少しずつ変わっていく人格、改竄される記憶、なんで再生するのか、男なのにニケになれたのか、泥沼化した戦場以上に暗雲立ちこめる人間社会の闇の果て、こんな事になっているとさえ妄想していますよ!

……でもやるしかないでしょ。 それで終わるなら万々歳です。 目標が見えているのは有難い。 モチベになりますよ。

私自身、汚い世界から隔離した『私』で自己完結型の世界、侵食によるネットワークを構築できた。

もう少し。 あともう少しで完成に手が届く。

クイーンだとか何とか邪魔なゲームマスターがいるなら、それを倒し、脅威を消して、主導権を乗っ取り、後は己の殻に閉じ籠るだけ。

息子探しは落ち着いてからでも良い。

ネットワークを使えば何かしら手掛かりは見つかるでしょう。

というか会ったとして、こんな荒廃した世界に未来があるか怪しいし、何かしてあげられる気もしない。

記憶だって怪しいのです。 変わり果てた私の姿を見て傷付けてしまうかも知れない。

それならば会わない方が良いとさえ、ね。

 

 

「今更惜しんで何になります。 やるかやられるか、2つに1つ。 最悪、指揮官から精製した血液弾で"治療"できます。 その役割は任せている筈ですがねぇ」

 

「味方を撃つ、その負担を押し付けられた人の気持ちが分かるか?」

 

「本人ではないので分かりかねます。 ですがネガティブな感情かと」

 

「そこまで分かるなら上等だ。 まだ人間性は失われていなかった事に安堵しているよ」

 

「……あと、レッフが持っている私の拳銃。 弾倉の中身を全弾、アンチェインドに差し替えました。 精神力の高い彼女ならば乗っ取られそうでも打ち勝ち、部隊を支えるでしょう。 その意味ではドロシーも適任ですね。 リーダーシップは未熟でしょうが、磨けば光ると思います」

 

「リリスがいなくなった場合も想定しているのだな、ナグサは」

 

「そんな高尚な考えはありませんよ……リリスが消えるくらいなら、私が消えますよ」

 

 

遠くでシンデレラ、ドロシーと紅茶を嗜み、笑顔を向け合う隊長……原初の、勝利の女神を一瞥する。

 

 

「そんな哀しい事をいうな。 士気に関わる」

 

「大丈夫……生き残りましょう。 皆で」

 

 

嗚呼、姉妹達よ。 これが嘘にならん事を。

星の輝く天空の上には父なる神が きっといらっしゃる───

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