書くの難しい(n回目)
「何とか乗り込めましたねぇ」
「はぁはぁ……こんなに走ったのはいつぶりか」
「エレベーター、起動します!」
私は指揮官の肉壁になりながら、皆が死守する軌道EVの貨物籠に乗り込みます。
刹那、スノウが起動。 私たちは一気に宇宙へ駆け昇りました。
みるみる内に堕ちていく地上。
迫る濃い青空。 やがて足元に広がる翡翠の星。
舟は星海へと沈み、その闇の大海に浮かぶ島、宇宙ステーションへ航海します。
見渡す船員は勝利の女神たち。
リリス、ドロシー、ラプンツェル。
スノーホワイト。 レッドフード。
紅蓮に私ことナグサ。
そして───
「シンデレラ、いたのですね」
予定外のメンバー、シンデレラも乗船中。
「ええ。 数は多い方が良いでしょう?」
「エイブが心配しますよ」
「大丈夫よ。 勝つもの」
そういう問題なんですかね?
そんな心配に補足するように、リリスが説明。
「本当は撃てるだけ撃って貰って、後は私達に任せて下がる予定だったけれど。 指揮官が来るまで、麓ギリギリで援護してくれたの。 でも敵陣の真ん中だったから、私たちがいなくなったら集中砲火を受けて帰れなくなる可能性が高かった。 それなら一緒に来てもらった方が安全、という話よ」
「他に手段が無いなら仕方ないですねぇ」
一応の納得を見せますが。
随分とエネルギーを消耗した筈です。 初陣というのもあり張り切っていたのもあります。
侵食で無意識にスペックは強化されている筈ですが、ボディ表面に水玉が浮いていますよ。
リリスも似た雰囲気です。 消耗は抑えられていますが、全快では無い筈。
それても同じ舟の者同士、全力で挑んでもらいますが。 無論、私もね。
幸い地上のラプチャーが追撃してくる様子はありません。 自軍の施設故に攻撃できないようプログラムされているのでしょう。
有難いですが、この先は分かりません。
宇宙ステーションから迎撃機や砲撃が来ないとも限りませんから。
その事を皆に伝えてみますが、バイクのライダーのような宇宙服を着込んだ指揮官はその時はその時だと諦観。
ラプンツェルは防ぎ切って見せますと言う。
スノウは稼働中の昇降機内で、どこをどうやってか改造し、人間が耐えられる程度に加速度を上げるという謎技を披露。
レッフは狙撃銃装備故に撃ち返してやると豪語し、ドロシーもまた同様の脳筋反応。
紅蓮は無重力空間で剣は振り難いが、残りの推進剤で突きを繰り出す事はできようと刺し違える覚悟で閉目しております。
私は……最悪、ボディが消えても、皆さんの身体に眠る『私』がいますからね。
宇宙から地上に意識を飛ばせるか不安はありますし、クイーンに抵抗できるかの心配もありますが、最早今更ですねぇ。
「指揮官、この後のプランはありますか?」
「正面から堂々乗り込み、中にいる敵対勢力を殲滅。 そして俺たちが勝つ」
「……まぁクイーンの有無も不明ですからね」
情報が皆無の中「なんか宇宙ステーションが拠点臭くね?」という曖昧な情報のみで、虎の子を出した感じです。
そこに何があるのか。 敵がいるとして規模や武装は。 何も分からない。 何も。
特攻と揶揄されても仕方ない酷い作戦。 あいや、作戦と呼ぶのは作戦に失礼ですねぇ。
そんなものにアレコレ策を練るだけ無駄というもの。 生きて帰れるか分からない。 だけど死ぬと決まった訳でもない。
希望的観測を元に邁進するしかないのです。
「いるさ」
レッフは自信満々に述べます。
一応尋ねてみましょうねぇ。
「そのココロは?」
「私の勘だ!」
そんな事だろうと思いましたよ。
「レッドフード……」
呆れるスノウ。
ドロシーもですが、貴女らしいですねと感想を漏らします。 重苦しく暗いよりマシですね。
合わせるようにラプンツェル達も同意します。
「ラプチャーが厳重に守るだけの何か。 それがこの先にあるのは間違いないでしょう」
「うむ、そうだな。 その首を刎ねてやろう」
「首はあるのでしょうか?」
「みんな、逞しくて美しいわね」
一部は脳筋な気がしますがね。
それすら真っ直ぐで美しいと言うのでしょう、シンデレラは。
私はその枠にはいない。 侵食という邪道を進み、心身は穢れ、更に皆さんの身体を侵しました。 褒められない話です。
それも……それでもこの先で役立つのならば、是非に役立って貰いましょう。
「もう少しの辛抱ですよ、"私達"」
───天上天下唯我独尊。
願わくば。
宇宙にある玉座は私が貰おう。
そして。
宇宙から地上を、あの青い星を見下ろそう。
気分次第で同胞の目を、身体を借りて。
その時々の情報を得て娯楽としよう。
ええ、神様になったつもりでね。
きっと"私達"には資格がある。
だって私たちは神様なんでしょ?
勝利の女神ニケ。
報酬くらいあって然るべきじゃない。
「ふふっ」
勝利の女神は微笑む。
───その紅玉を明るく輝かせながら。
「ラッキーだ。 1発も撃たれずステーションに着いたぞ」
「消耗せず目的地に着けたわね。 でもここからが本番よ。 みんな、気を引き締めてね」
指揮官とリリスの言う通り、私たちは迎撃される事なくステーションに辿り着けました。
どういう事なんですかね? 受け入れられた?
スノウは近くの端末を操作、エレベーターとステーションを繋ぐエアロックを解除する間、面々は好き勝手に感想を述べていく。
「宇宙ステーションの人工重力と生命維持装置は稼働しています」
「ほう、重力があるのは幸いだ。 剣も振り易いというもの」
「それか敵に塩を送っているつもりでしょうか」
「それだけ傲慢な存在という事でしょうか」
「へっ! 後悔させてやろうぜ!」
「ですが所々既存の設備ではありません。 やはりラプチャーが何かしら手を加えているようです。 一応宇宙服は脱がないでください。 罠かも知れませんし、戦闘の余波で気圧壁が破損すれば宇宙に投げ出される可能性もあります」
「わかった。 こういう時、ニケの君達が羨ましいよ。 今後宇宙開発が再開したら、主役は君達だな」
そんな明るい未来が待っているとでも?
激減した総人口、瓦礫の山となった地上。
これらを解決するのが先になりそうですが。
その前に、ラプチャーを何とかしないと。
そんな陰鬱な事は決して口にするべきではない。
代わりに明るく振る舞う。 その役割はレッフが担います。 羨ましいですよ、その溌剌具合が。
「よっしゃ! 悪の親玉退治だ! さっさと行って、さっさと倒してお土産持って帰ろうぜ!」
「うーん……宇宙ステーションの部品とか、スペースデブリでも持ち帰りますか?」
「でぶり? 太った宇宙の魚がいんのか?」
「違いますよ!? 宇宙ゴミです! 役割を終えた人工衛星とか、シャトルの部品とかの事です!」
「そんなモン持ち帰っても詰まんねぇだろ」
そう言うスノウは相変わらず可愛いですね。
決戦目前ですが、緊張感が解れますねぇ。
緩和は大切です。 やり過ぎは悪いですが。
ここは悪ノリしておきますかね。
「では何万年も前の遺体とか、謎のモノリス、月の石とかですかね」
「それは昔の創作話に出てきたものでは? あと、ここは月じゃないですよ」
スン、と真顔でマジにならないでください。
可愛くないですよ。 お顔が台無しです。
「お前達……敵の本陣だぞ」
指揮官が漸く諌めた事で緊張が舞い戻る。
短いような長い廊下を防御力の高いラプンツェルと盾持ちでもあるシンデレラを先頭に、再生力の高い私が肉壁となる。
「往こう。 陣形を組んで進め」
その背後をいつでも飛び出せるよう構える紅蓮とレッフ、柔軟に対応できるアサルトライフル持ちのドロシー、セントリーガンを展開して後方支援の形を取れるスノウの陣。
指揮官は後尾。 然もありなん。 非戦闘員で指示役ですし、少しでも安全な場所から俯瞰するべき立場です。
戦いに負けたら諸共死亡なんて事態になるでしょうけど。 指揮官だけ逃げ帰る事は簡単な話ではないでしょうからね。
その時は私の意識だけ生き残るのでしょうか。
置いてけぼりは……なんか違うんですよねぇ。
哀しいケツ末は回避してさ。
ハッピーエンドに改変した童話を垂れ流そ?
皆で幸せになろうよ〜(マジキチスマイル)
そんな震声を内心で呪文のように唱えつつ。
最後の隔壁が解放されていく。
そこは、ちょっとした広場でした。
薄暗く、左右の壁に這わせるように無機質で冷たい作業用通路が張り付き。
天井からは大小の太さをしたケーブルが、無秩序にたわんでいて、ジャングルの森機械版といった様相。
そして目玉となりますは───。
「アレがクイーンちゃんですかぁ……!」
ケーブル同様、天井からズルズルと降りてくる巨人の上半身。
黒く大きな腕。 能面のように貼り付けた白い顔。 その目は閉じて一切の感情が読み取れない。
胸元には『01』の文字。 意味不明です。
……クイーンは人工物、人類の産物なの?
「全員交戦開始! 勝利の女神となれッ!!」
「殺るぞ!! エンカウンターッ!!!」
指揮官が叫び、1番槍だとレッフが咆哮。
始まった。 最後の戦いが。
あいえ。 最後にしたい、戦いがね。
主人公ナグちゃんの心情が不安定ですねぇ!
あまりグダグダ続けるのは悪いかなとも。
ラピの時代までは書かないようにするかも。
……場合によっては続いたり(曖昧)
女王…王女…紅…果てしなき…うっ頭が(蛇足