*しかしクイーンには狙いがあった(半目ニチャァ
書くの難しいです(n回目)
ラプチャークイーン。
能面を貼り付けた、逆さ吊りとなった巨人の上半身をそう呼ぶべきかは分かりませんがね、突然口が裂けてビームを放たれたらね、戦うしかないでしょ。
なんで、そんなデザインなのか知りませんがね。
やられたら、やり返す。 倍返しです。
「コイツも侵食できれば……!」
地面に手を置き、施設ごと乗っ取りを試みる。
……ッ、キツ……大きすぎ………!
意識が混濁し、油断すれば気絶しそう……!
しかも、別の意識が頭に入り込もうとしてくる感覚すらあります。 堕ちる訳には参りません。 ナグちゃん、キモいデザインなんかに絶対負けない!
施設全体の掌握は流石に無理……でも!
クイーンは侵食の影響を少なからず受けている様子あり。 動きが鈍くなり、ぎこちなく、のたうつように腕を振り回す事すらあります。
良かった……私の侵食、無駄ではなくて。
利用する事はあっても、されてはならない。
私がその王位を剥奪致します。 なのでバケモノはさっさと退場願いましょう!
「ナグサがクイーンの動きを鈍らせている、チャンスだ! 撃ちまくれ!」
指揮官が叫べば、凸砂のレッフが対艦ライフルの超大口径を至近距離でボディに喰らわせた。
どこからともなく飛んで来るビームの弾幕をラプンツェルが防ぎ、その間にシンデレラのガラスの靴から放たれた細く鋭いビームが、クイーンを針山にするように刺していく。
援護するようにスノウがセントリーガンを展開、機関砲やミサイルで相手を爆炎に沈めた。
ドロシーは触手のように伸びてくる大腕を適時撃ち落とし、紅蓮は壁側面の作業用通路を駆け抜けて腕をいよいよ斬り落とす。
リリスが衝撃波を飛ばし、胴体を切断。 顔の部分を床に落とし、そこを皆が追撃。
その度に───
「がああああっ!!?」
「ナグサ!」
「お構いなく、攻撃を……!」
流れる……! その激痛が!
侵食コードのネットワークで強制的に流し込まれているようで……!
他の隊員に影響が無いように、必死に私で信号を食い止めていますが!
痛い痛い苦しい痛い苦しい痛い痛い痛いィ!!
口から赤い泡をぶくぶく。
白い歯は赤に変わりガチガチと音を立て。
白目を剥いた側から真っ赤に染まる眼球。
耳から赤色を吹き、軍服が赤に侵食される。
赤い水溜りの中心。 どっちが上か下か分からない。 設備が壊れて無重力になったのか。 音が遠く聞こえる。
仲間の、ゴッデスからの総攻撃を
その世界は赤一色でした。
嗚呼、これは女神の天罰なのでしょう。
欲に塗れた私への罰。
でも、ここで諦められないんです……!
意識が点滅して走馬灯が流れるようです。
一瞬、子供をハグしているのを幻視。
……そうでした、私、息子探しもまだで……。
「クイーンのダメージをナグサも受けているのか!? すぐ接続を切るんだ!」
指揮官がナニか言っているらしいです。
……駄目です、オリジナルのナグサちゃんボディは機能不全に陥りました。
自己診断プログラムも走らない重篤状態。
聴覚センサー、眼球ユニット、脚部アクチュエータ、神経回路……再生力が追いつかず、ほぼ焼き切れてます?
スリップダメージにも弱いですね、私。
でも頑張って意識を保たないと。 クイーンに意識を奪われる。 身体を乗っ取られて、新たな女王の器とされてしまうでしょう。
それはいけない。
周囲のニケを経由して情報を取得……ああ、クイーンは倒れてますね。 瀕死です。
それは私もです。 そして警告の声を上げられない。 クイーンが最期に、クソデカビームでステーションの気密壁を吹き飛ばそうとしていると。
それで皆を宇宙空間へ放り出し、引き分けに持ち込もうとしていると!
喋れないなら、言葉ではなく行動で示す!
「ごふっ……! ぐ……ッ!!」
リリス。 稼働時間的に辛いところ、ごめん。
身体、また借りますね。
侵食で意識を移動させ。
彼女のボディを乗っ取ります。 そして。
「はぁっ!!」
渾身の衝撃波をクイーンの頭部へ解き放つ。
刹那。 ビームと衝撃波が衝突、拡散。
威力が分散するも、宇宙ステーション全体に散らばったエネルギーは気密壁や設備に致命的なダメージを与えるのに十分だったらしい。
「駄目、ですか……!」
轟音と共に警報が鳴り響き、地響きのように施設全体が激しく揺れる。
砂埃や切れたケーブルが天井から落ちてきたり、隔壁が作動してエレベーターへ戻る道が閉じ始めた。
「気圧壁に損傷! システムエラー! 警告、生命維持装置停止! 酸素濃度、急激に低下中! ステーションが分解しそうです!」
スノウが状況報告。
……ああ、予定通りとはいきませんねぇ。
リリスにも無理をさせてオーバーヒート。
彼女の意識も皆無になってしまいました。
体が重く熱く、動けない……この身体も……。
なんか、クイーンの因子、残滓が意識にこびりついている気味の悪い感覚すらあります。
これはアカンですよ。 思考誘導されそう。
私が誰で、何者なのか、混乱させてきます。
でもナグサちゃん劇場は終幕ではない。
後は皆さんから離脱するタイミングをね……。
「状況終了! 直ちに撤収!!」
「くそっ! まだ息の根ありそうなのに!」
「今は帰るぞ! 生きていればまた来れる!」
意識が遠のく中、皆の声をボンヤリと聞く。
指揮官は即座に撤退命令。
早い。 無理に粘らず生還を優先しますか。
人類全体より隊員、家族とはおめでたい。
家族……。
私は、違う。 だからどうか、捨て置いて。
「ナグサさん!? しっかりしてください!」
「お姉ちゃん!? し、死なないで!」
死んでませんよ。
スノウの泣き声は可愛いですね。
でもね、泣き虫でも弱虫ではないの、お姉ちゃん知ってますからね。 だから強く生きてください。
それに死んだとしても復活できますから。
……ああ、今回ばかりは怪しいかな。
クイーンと侵食合戦しましたし。 ここ宇宙ですし。 無限の彼方に放り出されたら、その内に考えるのを止めそう。
「リリスまでか!? くそっ、レッドフード、シンデレラ! 2人を担いでエレベーターまで走れ!」
「そうするしかねぇか!」「わかったわ」
身体が揺れている。
……リリスに迷惑は掛けられません。
意識を踏ん張り、辛うじて元のボディに戻ります。 回復は、まぁなんとか始まりました。
皆を突き飛ばせる程度にはね。 我ながら回復速度に恐怖して泣きそうです。
そして同時にコレはチャンスだと思う。
「よし、全員乗ったな!? 地球に」
「私は帰りませんよ」
「ッ!?」
皆がエレベーターに乗っているのを確認し。
私を持ち上げるレッフを突き飛ばします。
彼女の驚く顔を莞爾として見送り、即座に侵食コードでエレベーターを掌握、扉を強制閉鎖。
「ナグサァ!!」
「ナグサお姉ちゃん!?」「ナグサさん!」
「何の真似だ! 命令だ、乗れ!!」
「だが断ります。 いやぁね、ずっとこの機会を伺っていました。 そう、裏切るタイミングをねぇ!」
「何を言ってるんだよ!?」
レッフが窓越しに叫びます。
本当、ナニ言ってるんでしょうね。
侵食と死に過ぎで頭がイカれたのでしょう。
「楽しかったですよ、皆さんとのお友達ごっこ」
「そんな、お姉ちゃん、嘘ですよね……?」
「もう皆さんとは居られない。 先程ね、クイーンの侵食合戦で、意識が混濁している内に奴の因子が入り込んだみたいで。 いやぁ、感染者を地上には連れて行けないでしょ。 宇宙に隔離ですよ」
「なんだって!? いや、治せるだろお前なら! 医者なんだろ!」
「医者は神でも仏でもないのですよ。 私が思考転換して暴れたら、いよいよ人類の滅亡ですよ」
「その時は止めてやる! アンチェインドだってあるんだ!」
「私の中に入り込んだクイーンにまで効くか不明です……それにね、私の体は侵食が進み過ぎて、ナノマシンによる構成割合が大きいのです。 そんな状態で解毒剤を浴びたら、泡となって消えてしまうでしょう」
「そんなの、だからって!」
「ああ、レッフ。 あなたが持つ私の拳銃には
「これに?」
透明の壁越しに、拳銃を出すレッフ。
銃身には『私を忘れないで』の文字。
「これからはレッフ、あなたが医者ですよ」
「そんなバカな話があるか! いいから開けろよ!」
崩れる天井。
空気が外に吸い出され、私の重いボディでもふらつきます。
「喋りすぎました。 次会うような時は、それはクイーン、敵だと思ってください……みんな、元気で」
「ナグサーッ!!」
エレベーターを地球に降ろします。
重力の自由落下に寄らない、自ら加速していく籠は、瞬く間に小さな点となり見えなくなった。
我ながら酷い別れ方をしたと思います。
「さて」
崩壊が進むステーションの内側へ戻っていく。
「"
蝉の抜け殻状態のクイーンの残骸に短機関銃を向けて、そして。
「王位は引き継ぎますよ」
トリガーを引いた。
既に空気無き場。
音は静かに、虚無に響き渡った。
それは旧時代の幕引。
新世界の福音なのか───
独り勝ち(悦
でも息子探しはしないとタイトル詐欺に(ry
以降、ナグサは亡霊みたいになるかも