父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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前書き
多少時系列が前後したり、改変要素はあります
原作ではピナは侵食を受けて、已む無くドロシーが介錯。 自らも後追いしようとしたり物凄い病んじゃう展開になります
更にアークの為に頑張ったのに締め出されて、結果的に捨て駒に。以降、アークを憎み、百年に渡り復讐心を支えに生きていくように……
当作ではどうなるのか……


雑用

繰り返し言うようですが、量産機の諸元は童話型に遠く及びません。

なので戦列を組み難く、時に邪魔になります。

悲しいけどこれ、現実なのよね。

 

ではどうするか。

こうするんですねぇ。

 

 

「土嚢運びに塹壕掘り、物資捜索と運搬、拠点の補修。 出来る雑用はなんでもです」

 

「うん。 一緒に支えていきましょう」

 

 

ゴッデスが作戦行動中、ピナと共に荷運びです。

アークから泣けなしの物資が上がってきたので、それを荷解きし、いい感じに分配していきます。

中にはパーフェクトとかいう建材のレンガと見間違う、原材料不明の食糧がありました。

オスワルド曰く、理論上はコレで必要な栄養が摂れて、今後のアークでの食糧となるようですが、食べる時は他に手段がない時だけにした方が良いでしょうと、意味ありげな忠告をされました。

ナニソレ、怖っ。 いよいよディストピア!?

アークって、ユートピアとは言えないのかも。

それでも戦争の恐怖から解放されるなら、ね。

そこを私たちが守ろうってんですよ。

 

やんなっちゃいますねぇ……。

 

後は酒なんかもありましたが、紅蓮が真っ先に喜びそうなモノですねぇ。

ドロシーは嫌がるでしょうが、少しでも心の安らぎに寄与するのなら、飲酒は有用な手段です。

特に戦場という過酷な環境下。 飲食という癒しはあった方が良い。 ニケであっても。

 

後は弾薬や部品、建材と、何かに加工すれば他にも応用が利く物品など。

それらに加えて、周辺エリアで拾い集めた物品を組み合わせれば、何とか生き抜けるかも知れません。

それこそ、量産型のパーツも。 とはいえ、ニケは違う型式の腕などは無理につけられませんが。 拒絶反応が起きる事もあって難儀します。 ニケは工業製品のようで、その辺は生理的、医療的な要素が絡んで面倒です。

けれどスノウのように、ラプチャーのパーツを義手にするような荒技もあり。 まぁそれも、技師のスノウだからできるってところです。 素人には真似出来ません。

才能の差はある。 悔しいですが。 だから侵食する必要があったんですね(開き直り)

とりま、その辺は第2世代型機を製作した天才、エイブ博士もいるから任せて良いと思います。

 

……いよいよ元医者は用無しじゃないですか。

思えば、ニケになってからそうだったかも。

どんなに切り刻んでも再生しちまうボディとか、ある意味では医者に対する挑発でしょうよ。

今となっては、侵食の力も合わさって。 オリジナルボディは宇宙にあるという始末ですが。

無重力で空気も無くて、温度差とか宇宙線とかも色々ヤバいでしょうに、それでも稼働できるとか、ニケとしての限度がどこまでなのか不安もありますよ。

というか、私ってニケと呼べるのですか?

もうバケモノですよ。 他者を好き勝手できるし。

そういえば地上に連合軍がまだいた頃、レッシューの侵食(残滓)で敵対行動をするニケをイレギュラー、更に変異した個体を区分の為にヘレティックと呼称するようにしていましたね。

そんなおっかない存在が、広い地上の何処かに野放しにされている可能性があるという。

ああ、私でしたか……。

 

閑話休題。

 

ピナに代わって、エイブの元に荷物を届ける。

同型機同士だからと気にしないかも知れませんが、一応の配慮ですよ。

人の心があるバケモノに感謝して♡

 

 

「エイブ博士、ニューテールの皆さんの分、ここに置いておきますね」

 

「ご苦労……アークは未だ最低限、やはり物資も潤沢とはいえないか。 それでも送ってきてくれた事は感謝しなければな」

 

「はい。 では私はこれで……」

 

「待て」

 

 

はい、プリティーな去勢済の化物にナニか?

 

 

「ナグといったな。 何処かで会ったか?」

 

「身に覚えがございません」

 

「そうか……すまない。 何だか知り合いに似ている気がしてな。 もう行って良いぞ」

 

「失礼します」

 

 

危ねぇ。 思考誘導も完璧じゃないですねぇ!

ボンヤリと違和感があるのでしょう。 致命的ではありませんし、放置で良いと思いますがね。

記憶とは高度な抽象化が図られているモノ。 それらをニンフや侵食がどう介入して、改竄をしているかは気になりますが、下手に頭を開ける訳には参りません。

ましてやエイブ。 高名な頭脳を駄目にするリスクはできない。 人類の損失です。

というか飽きてポイしようものなら、シンデレラ達が親の仇だと襲ってくるでしょうし。

脳スキャンという、非破壊検査で記憶を読み取る技術はありますが、今のところ好きな食べ物が分かる程度でしかない。

それなら、侵食で脳みそグチュグチュして読み取った方が早いし楽です。

まぁそれも、対象の記憶を読むだけ。 ニンフや侵食を操作できるからといって、構造を理解できる訳ではありません。

ままならないですねぇ。 医療の発展には犠牲が必要……とは言いたくありませんが、仕組みが分からないまま使用している技術が幾つある事か。

……私も余裕があったら、ニケ用の治療、修理用品の開発をしたいですねぇ。

勝利の翼号にいた頃に、一応それっぽい事はしていましたが。 それらのデータはアークに引き継がれるはず。

そうした意味でも私が継承される……そんな事に幸せを感じてしまう私は末期かも知れませんねぇ。

 

 

「ピナちゃん、エイブ博士に荷物を渡しました」

 

「ありがとうございます。 こちらの仕事も終わりました……ゴッデスの皆様も帰ってくるようです。 丁度良かったかも知れません」

 

「ラプチャーが来なかったのも幸いでした。 シンデレラ様方もいるとはいえ、ゴッデスとは別方面に陣取ってますし……最悪、私たち量産型で対応する可能性もありましたから」

 

 

童話型は強いとはいえ、万能ではない。

全方位を警戒し、全てに対応なんて無理。

その時、私たちも戦わねばなりません。 足手纏いにはなりたくありませんが、猫の手も借りたい状況下では贅沢はナシです。

こんな弱い機体でも求められる場面はある。 ピナちゃんなんて、ドロシーの寵愛を受けている特別機と化しています。 事実上のゴッデスと認めましょう。 それに誇りを持つべきですよ。

私は……違いますが。 陰で見守る卑怯者です。

 

 

「ああ、ピナちゃん」

 

 

だから言っておこうと思います。

 

 

「絶対生き残ってください」

 

「ナグちゃんも、ですよ」

 

 

…………。

約束はね、するものじゃないですよ。

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