父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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前書き
原作ピナは、ドロシーと2人きりの時にラプチャーに襲撃されるも、量産型でありながらタイラント級?にジャイアントキリングかまして倒す偉業を成します。が、侵食を受けてしまい、ドロシーに介錯される終わり方……
不幸が土台となって幸福があるのなら。
ナグサはね、そんな土台になる子なの(歪
皆の前でヤられて曇らせたい(歪


紅い悪巧み

ゴッデスは難なく任務をこなして無事帰還。

停滞していたアーク封鎖工事は再開。 あとは完全封鎖までの残り時間を死守します。

アークからの支援物資を受けたとはいえ、残り時間を耐えるには心許ない。

なのでゴッデスはドロシーとピナ、私を置いて周辺エリアの捜索に乗り出しました。

 

もうこの頃になると、ピナから学んだ鹿の運び方や解体の仕方も身についていて、捌いて料理もできるようになりました。

物資捜索の際、拾ってきた『今日から料理王』なる料理本も役に立っています。

ただ、ドロシーは余計な真似をする時がありますが……パーフェクトの調理をする際、変に創作欲を出したり、調理時間を短縮しようとしてナニか。省いたりして失敗作が出来上がるという。

それらは食い意地の張ったスノウがどこかに持って行って処理しました。

処理、というのは口に入れるという意味です。

ニケとはいえ悪食が過ぎます。 逞しいですが時々心配です。 ちょっとやそっとの毒物で死ぬ体でも無いでしょうけども。

 

あと、紅蓮は畑を耕し始めました。

分からないなりにクワを作り、土を掘り起こし、種を植え、芽が出ては喜んでいました。

かつて戦闘狂で、今や酒呑みとなった紅蓮が、命が芽吹く、生まれる瞬間を見ていきたいという健全な望みを持ったのは驚くべきことでした。

 

そうして戦闘も無く、暫く穏やかな日々。

いつかのラプチャーの波が嘘のよう。

苦しい環境に違いないけど、アークとも連絡がつき、皆で協力すれば未来が拓ける。

そんな希望が皆の心に芽生えていきました。

 

けれど、激情とはやってくる。

それも最悪な時に。

 

戦闘が最近なくて、油断もありました。

だから大丈夫だろうと、ドロシーとピナ、私を置いてゴッデスの面々は物資捜索に出かけました。

そんな手薄な瞬間を狙ったかのように、ラプチャーの大群はやってきた。

逃げる訳にはいかない。 アークを守らねば。

 

 

「ドロシー様。 狼煙はあげましたが、皆様は直ぐには戻って来れません」

 

「シンデレラ様方も戦闘中で、こちらに来る余裕はありません」

 

「大丈夫です。 見ていてくださいピナ、ナグ。 勝利の女神、皆の希望となる瞬間を」

 

 

絶望的な中、ドロシーはそう言ってラプチャーの前に躍り出ます。

そして、無双……比類なき力で倒し始めます。

まだリリスと共にいた頃より成長した、そういっても過言では無い強さでした。

私たちの出番は無い……そう思いましたが。

 

 

「ッ! ピナちゃん、あれ!」

 

「側面からも!? ドロシー様を守らないと!」

 

 

本隊とは別、側面から近寄ってくるラプチャー個体に気が付いてしまいました。

大型機、タイラント級……しかも侵食個体です。

いけない。 このままではドロシーの無防備な背中に触手がブスブス刺さってしまいます。

それでも私が仕込んだ侵食コードが勝つでしょうけど、気分は悪い。

ピナにもさりげなく私の侵食を仕込んでいるので、赤靴如き旧式コードに乗っ取られる心配は無いですが、やはり時代遅れのアバズレ女の産物が跋扈しているのは度し難い。

 

しかしピンチはチャンスですよぉ。

もうこの殻は捨てたかったですからねぇ。

このタイミングで、わざとヤられたフリをして退場しましょう。

あとはリリスに乗り移って復活すれば良い。

 

 

「ピナちゃん、相手はタイラント級とはいえ1機だけです。 こちらは量産型とはいえ2機はいます。 十分勝機はありますよ」

 

「そうじゃなくても、ここで絶対止めないと!」

 

「やってみせます。 でも散弾ではなぁ! という訳でドロシー様を宜しくね」

 

「ナグちゃん、なにを!?」

 

「さようなら、ピナちゃん(迫真の笑み)」

 

「ナグちゃんッ!!」

 

 

ピナの叫びを背中に浴びつつ、私は吶喊。

うおおお、とそれとなく演技して、撃ちまくりつつスライディングで懐に。

道中、わざと侵食触手に腕や脇腹を刺されながらも、そのままラプチャーの下腹部にフルオート。 蜂の巣にしてやりますよぉ。

 

 

「この距離ならぁ!」

 

 

量産型短機関銃でも、対ラプチャー兵器。

そして目と鼻の先。 空気抵抗や重力による威力低減はほぼなし。

それに加えてコイツにも侵食! 機能を奪い、自壊させます!

 

そして大破……無力化……!

 

ほぼ量産型1機で大型撃破。

快挙ですねぇ。 まぁここで退場ですが。

 

 

「ナグちゃん!」

 

 

ピナが駆け寄ってきます。

ああ、演技は続けないとね。 旧い侵食は案の定、私のコードに勝てずに塗り潰されましたが、退場するなら"フリ"はしないと。

 

 

「すみません、無茶をしました……でもピナちゃんを失いたくなかった……私はここまでです。 侵食を受けてしまいました」

 

 

わざと戦闘用ゴーグルを外し、紅い目をこれでもかと光らせて見せます。

絶望と涙で顔が歪むピナちゃん。 悲痛に似た叫びが木霊します。

 

ごめんねピナちゃん……。

もうこの体じゃ満足できませんの。

だから私の事は、はよ忘れて♡

 

 

「そんな!! そうだ、レットフード様が持っているというアンチェインドなら!」

 

 

空気読んでよ翼ちゃん!!

ここは適当に躱して旅立たねば!

 

 

「い、いいんです……間に合わないって、自分の体の事は分かりますから……それより介錯を。 自分じゃ、片をつけられない……(迫真)」

 

「い、嫌です! 一緒に生き残ろうって約束したじゃないですか!」

 

「くそ面倒臭ェ……じゃなかった、どうか私の事を忘れないで……」

 

 

それとなく辞世の句かナニかを言って誤魔化します。 本当の侵食症状ならば、こうも滑舌良く会話なんてできませんが、そこは思考誘導様々ですよぉ。

 

 

「ナグッ!!?」

 

 

そうこうしていると、ドロシー様が来ました。

異変に気付き、私を抱き起こします。

 

 

「駄目です! 侵食になんて負けないでください!」

 

「ど、ドロシー様。 私を殺、して! 手遅れに、なる前、に……!(迫真)」

 

「あ、ああ……!」

 

 

狼狽えながら拳銃を構えるドロシー。

彼女は馬鹿ではありません。 アンチェインドは間に合わないし、このままにすれば私の苦しみが続き、ましてや仲間を傷つけ始めると思っています。

 

 

「ドロシー様、私が代わります……」

 

「いえ。 私が、私が撃ちます……! ナグ、貴女の事は忘れません……この言葉()に誓い、絶対に……そして」

 

 

ごめんなさい……!

 

 

刹那、軽く乾いた銃声が1発。

暗転。 もう1発は聞こえませんでした。

後追いはなかった、という事です。

 

それに安堵を覚えつつ、"コレ"はリリスのように棺桶に納められました。

 

……落ち着いたら侵食で脳みそを再構築、再起動してあげましょう。

借物のソルジャーO.W.ですからね。 綺麗にしてから元の意識(持主)に返しますよ。

 

今は、そう。

別の棺桶で眠れる姫様に意識(わたし)を移します。

 

 

計画通り……!

 

 

リリスの顔になり、悪い笑みを浮かべる私。

やはりこの身体が良く馴染む……!!

 

 

「ふふっ」

 

 

棺桶から這い上がる。

王子様のキスなんて要らんのですよ。

なんてお利口なんでしょう、私(ニチャア)




後書き
やっつけ感もありつつ
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