父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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前書き
ピナ生存√なるも、代わりにナグサが退場
だけどリリスの体を借りパク。結果、スノウが原作通りバグるという
ある意味で原作より悪化展開


」たえ消が体のんゃち姉お「

アークは守られました。

"私"を含めた、多くの犠牲の果てに。

 

地下の隔壁工事が完了し、アークは完全封鎖。

地上からのラプチャー侵入を防止。 人類は漸く、残酷を道理とした世界に己の空間を切り取りました。

至難の業でしたが、火事場の馬鹿力で成し遂げた偉業であります。

足元から響いてきた隔壁が閉じる轟音は、地上から遁走した人類敗北確定演出であると同時に、生存確定演出でしたねぇ。

戦争には勝てず何も得ず。 惨めにも地底人として生き延びる選択をした人類の行く末は如何に。

 

まぁ私にはもう関係ないですね。

息子の行方は気になりますが、この体では受け入れ難いでしょう。

この体、他人のだし。 リリーバイスだし。

息子と共にアークにいるらしい指揮官のアンダーソン君という恋人がいるのも精神衛生上宜しくない。

息子に欲情されるのも嫌ですし、男と寝る趣味も無いし。 そうした姿を指揮官に見せて脳破壊して楽しむ方法はありますが、労力を払ってまでアークに入りたくありませんよ。

 

ゴッデス自体、アークから締め出されましたし。

 

第2世代型共々ですがね。

政治的な都合、名誉を守る為の都合。

単純に物理的に入れないというのもあるか。

完全封鎖、という話でしたからねぇ。

侵食ネットワーク越し、封鎖担当オスワルドと隊長代理のドロシー達の会話を聞いて「やっぱりな」となりましたよ。

 

 

「私たちはアークに入れない……?」

 

「……ゴッデスの名はメディアなどを通じ、人類文明存続の為に活躍した英雄として語り継ぎましょう」

 

「…………名前。 貴方の名前は? 貴方を、貴方の家族を、この世で最も残酷な方法で殺して差し上げます!!」

 

「言えません。 それに、貴女にはできません。 貴女はそういう方ではない」

 

 

冷酷さに葛藤と憐憫の声を混ぜて言う彼を言い当てるは、第2世代型の親、エイブ博士でした。

 

 

「お前の名はオスワルド。 そうだろう?」

 

「量産型プロダクト23の声? いえ、その言い回しはエイブ博士ですね」

 

「地獄の猟犬も随分と出世したな。 今度は地下の番犬か。 ケロベロスにでもなるのか?」

 

「第2世代型のデータはゴッデス以上に抹消させて頂きます」

 

「気が触れたか? それか安全な場所に入れて気が大きくなったのか? この期に及んで、私たちを愚弄する趣味があるとはな。 驚いたよ」

 

「レッドシューズの件を鑑みて、そうするのが部隊全体の名誉を守る事に繋がると考えたまでです」

 

「全てを消すほどか」

 

「……いずれ真実に辿り着く者が出るのを防ぐ為です。 さようなら。 そして、皆様の事は忘れません」

 

「待って! 待ってください!! せめて、せめてピナだけでも……!」

 

「すみません」

 

「オスワルドッ!!」

 

 

ドロシーが悲痛の叫びで呼び止めるも、一方的に通信を切られてしまいました。

エイブ共々再接続を試みますが、アークに続き回線も封鎖したようです。 もう使えませんね。

 

 

「……通信は断絶した。 一方的だったな。 全く想像していなかった訳ではないが、実際にこうなるとくるものがある……」

 

「何を悠長な! 私たちは騙されていたんですよ! アークに、楽園に裏切られたんです!」

 

「ならどうする。 復讐でもするか?」

 

「当然……! 誰のお陰で生きられたのか、どれだけ私たちが犠牲を払い、守り抜いたか! 分からせてやります!」

 

「君の指揮官だった男や、ナグサの子供もいるのだろう。 そうした苦労して守った者達を傷付けるというのか。 それこそ私たちやアークを信じて、生者に後を託して死んでいった者たちを愚弄し裏切る行為だ。 この場にいる者や、自身の否定に繋がるとも思うがね」

 

「そんなもの! そんな、もの……!!」

 

「ドロシー様。 私は大丈夫ですから。 楽園に入れないのなら、私たちの楽園を探しに行きましょう。 きっと見つかります」

 

 

ピナが慈愛と寄り添いの言葉を述べます。

そして───

 

 

『私を忘れないで』

 

 

ドロシーの脳裏に、その文字が浮かびました。

人によって受け取り方がある、私の言葉。

今は生き延びた者への慰めとなりました。

 

 

「ピナ……うっ、うう……あああ……!!!」

 

 

膝をつき、嗚咽を漏らすドロシー。

慰めるピナと周囲のニケたち。

 

 

「ああ、可哀想、うわぁ可哀想(愉悦)」

 

 

視界ジャックを止めてリリスボディに帰還。

あぁ^〜私がぴょんぴょんしますぅ^〜!

私の言葉と救った命が、彼女の心の足枷となり、涙し思い留まる様は素晴らしい!

芸術です……今の貴女は光輝くゴッデスよ!

 

ま、薄々こうなるとは思っていましたが?

ドロシー達も思っていた筈です。 現実逃避して考えないようにしていたでしょうけど。

活躍した英雄を捨てる筈がない……そんなのは妄想でしたね。 人類文明存続が叶えば、後は用無しの捨て駒としてアッサリポイです。

フェアリーテールモデルという選ばれし機体であれ、アークで新品高性能なニケを作れば良いんで旧式はサヨナラというスタイル。

 

……改めて考えると哀しいなぁ。

まぁ私の侵食コードはアークに入れたんですがね女神さん。 研究データ云々共々、中に持ち込まれたのですよ。

確かに感じますよぉ……地下の呻きがねぇ!

まだ侵食個体が発生していない為か、意識しても薄ら感じる程度ですが。 時間の問題でしょう。 どうせアークでニケは生産される。 その時、私の侵食コードは強化要素として組み込まれるはず。

その時こそ、遠回しにアークの支配も夢ではないという事です。 それも物理的な支配ではなく、思考誘導といった頭脳の支配。

……といっても、ニケという戦闘用アンドロイドが政治中枢や研究機関に所属できるかは不明ですがね。

それでも戦闘職は存続するはず。 そうしたニケたちでも出来る事はある筈ですよ。

 

まだ見ぬ新型機にも心を弾ませながら、軽い足取りで私は周囲を見やる。

砂塵が漂う荒廃した地上。 廃墟と瓦礫の山の都市部を避け、自然豊かな新天地にでも住みましょうかねぇ。

侵食ネットワークで皆の動向は追えますし、会って話す事もない。

こうしてリリスと共に休養しましょうか。

 

 

「良いですよね、リリーバイス?」

 

「(良い訳ないでしょう!)」

 

 

脳内リリスお姉様に同意を求めたら突っ込まれました。 まぁ仕方ないです。 無茶苦茶をしている自覚はあります。

 

 

「(ナグサが無事だったのは良かったわ。 でも勝手に居残りを決めた時は皆心配したのよ。 今となっては私の体を勝手に使って放浪しようとしているし! 私の代わりに皆を見守って、アークも守ってくれたのは感謝するけど、先ずは皆に会って御免なさいでしょう!)」

 

「いやぁキツいでしょ。 啖呵切って別れておいて、今更笑顔で再会だなんて。 レッフに『恥を知れよナグサ!』とか言われて殴られますって。 リリスの体も勝手に使ってるし」

 

「(自覚があるのに、本当に貴女はしょうがない子ね。 でも許してあげる……お疲れ様、ナグサ)」

 

「貴女もね。 リリーバイス」

 

 

取り敢えず合意とみて宜しいですね?

いぇいアンダーソン君見ってるぅ? 君の大切なリリスちゃんを乗っ取ってまぁす!

……ああ、虚しい。 これからどうしよ。

 

 

「時間が経てば、アークも落ち着いているでしょう。 その時、こっそり侵入して指揮官と私の息子に会いに行きますかねぇ」

 

「(それよりゴッデスの皆に会って欲しいなぁ)」

 

「気が向いたら。 そうですね、百年くらい思い出に浸ったら会いに行くかも知れませんねぇ」

 

「(浸り過ぎ! いつボディが朽ちるかも分からないのよ? 私の意識だってまだあるけれど、自然に消えないとも限らない)」

 

「そうですね。 宇宙にいるオリジナルの私もクイーンに乗っ取られそうですし、お互いままなりませんねぇ」

 

 

アークが片付いたら、私的な問題が浮上。

あぁ……戦いはこれからだ。 次回のナグサ先生にご期待ください。

 

 

「ボディといえば、棺桶から丸ごと這い出ちゃった訳ですが。 これゴッデスやニューテールのニケが墓参りに来たら、ボディ無いじゃんヤベェってなりません?」

 

「(でしょうね。 まさか考えなしに私の体を使ってるとか、ないわよね?)」

 

「まっさかぁ(冷汗)」

 

「(……今すぐ皆に会って謝ろう?)」

 

「だが断る。 合わす"顔"が無い! 思考誘導で何とでもなるでしょう!」

 

「(はぁ……私のコアが弱ってなければ、体を乗っ取り返すのになぁ)」

 

 

そのうち侵食が馴染めば、自由になりますよ。

それまでは私の体です。 見た目の美しさだけでなく、脚力も腕力も他のニケの追従を許さないハイスペック我儘ボディ。

 

やはり最初にして最強のニケ。

勝利の女神の体は……最高やな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

」たえ消が体のんゃち姉お「

 

 

 

無い。

無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い

無い無い無い無い無い無い無い無い無い無い

お姉ちゃんの体が無い。

何処を探しても無い。 この地を旅立つ前に最後の挨拶をしようと訪れたら、棺桶の蓋は空いていて中身は空っぽだった。

自分から出て行った? それなら私たちに会いに行く筈だ。 なのに来なかった。 何故だ。 分からない。 記憶の中のお姉ちゃんの顔がボヤける。 上手く思い出せない。 もう1人のお姉ちゃんの顔も思い出せない。 駄目だ。 大切な思い出だった筈だ。 誰が奪った。 私から2人のお姉ちゃんと記憶を奪ったのは誰だ。 ラプチャーだ。 ラプチャーに違いない。 ラプチャーを殲滅しなければ。 1機残らず地上から駆逐しなければ。 そしてお姉ちゃんを取り戻さなければ。 だから、だから。 この言葉(拳銃)は自分への戒めだ。

 

 

「『私を忘れないで』」

 

 

お姉ちゃんの言葉、約束。

なのに、私はその約束を守れなかった。

だから取り戻す。 その約束を。 記憶。 体をも。

 

そう。 絶対に。




後書き
スノーホワイトの脳破壊?、完了です……
」たえ消が体のんゃち姉お「
元ネタ:お姉ちゃんの頭が消えた(逆読み)
物語の着地点に難儀中。息子と会いたい気持ちも
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