父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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前書き
クラウンやチャイム、ナユタといった他のピルグリムや、ヘレティックの存在を無視して良いものか。そうなった経緯が不明ですからね……
ちょいと雑いですが、少しずつ話を進めねばと思い、悪足掻き中


息子との再会

皆との和解も済み、緩やかに、しかしあっという間に時間は流れるもの。

何かに打ち込みもせず、安全な場所にいる程に、1日毎の記憶は薄い。 故に早く過ぎ去るように感じるのも無理はない。

そして経験がなければ、そこに成長もない。

体ばかり錆びついて、こどおじと化すばかり。

私は正に、その堕落的条件にありました。

レッフの故郷に居座りながら、侵食ネットワークを通じて情報を集める様がそうです。

それはネットサーフィンのような感じでしてね。 ゴッデス隊員の視界を盗み見したり、私の息がかかったアークのニケを通じて内部を探っております。

水浴びや温泉のタイミングだとラッキースケベな事になりますし、酒呑みの光景なら、己も精神的に相席して酒を飲み交わし、成人向け雑誌ではぁはぁしてる性女なら視界をそっ閉じします。

それで仕事をしているつもりになり、己や他に言い訳として使用。 この時間があればもっと他にできた事があるのではとツッコミを受けても他に知らぬ存ぜぬ。 地上に機能している病院やハ◯ワなんて有る筈もなし。

そう偉ぶる癖、何の成果も得られませんでしたな日々です。 ですがレッフも似たようなもの。 バイクを弄って、帰って来れる程度にアテなく遠出したり、遠くにラプチャーの影が見えるやハントしています。

それは地上奪還の戦略的な行動ではない。 もうレッフも地上奪還に興味が無いのかも知れない。 アークを守って満足してしまったのでしょうか。

 

 

「とはいえ、また放浪するのもねぇ……」

 

 

言い訳し、アークの様子を見るばかり。

地下の混乱は徐々に収まりを見せており、そう遠く無い内にニケを量産、地上に送り出す準備をするでしょう。

偉い人達は後先考える余裕がなく、大急ぎで約1千万人を地下都市に突っ込みましたが、住民登録が整理されて建物や交通としたインフラが整備され、経済活動の基盤が整えて文明が整いつつあります。

そう遠くない内に地上を模倣した日常生活が始まり、地上偵察や資源採掘部隊が編成されるかと。

その時こそ、私達の戦いはこれからだ! です。

でも、あまり時間をかけずに息子と会いたいですね。 足踏みしていると向こうは成人となりジジイとなり寿命を迎えかねない。

そうなるとニケであり、或いは情報生命体的な存在となった親の私だけが取り残される結果に。

あいや、いずれはそうなるにせよ、生きている内に挨拶くらいはしておきたい。 例え血の繋がりがなくても。

この気持ち、他の隊員には理解できないでしょう。 純潔なまま女神になられたなら尚更です。

……いうて、私もオセッセした経験は無いのですが。 い、いや、記憶に無いだけできっとあった筈です。 そういう事にしておきます。 じゃないとマイジョイスティックが未使用のまま去勢手術を受けたような身に……レッフ辺りに揶揄われそうなので、この話はここまでにしておきましょう。

 

 

「リリスの意識だけで体が動けば、また違ったのでしょうけど」

 

 

ボヤいても始まりませんが。

リリスが動ければ、私はアークの量産型にでも意識を飛ばし、地底探検でもするのですがね。

まだ上手くいきません。 上手くいかずとも、リリスのボディをレッフに任せてアークに行く事は出来ますが。

……いや、もうそうしましょうか。 そして息子探しを無理矢理にでも進める。 後は見つけた後にでも考えれば良い。

最悪、アークで捕縛される事態になろうともトカゲの尻尾切りの如くボディを捨てて地上に逃げれますし。

その後、その量産型が脳破壊されようと私には知らぬ存ぜぬ。 悪いのはアーク人の倫理観という事にすれば良い。

 

 

「レッフに置き手紙を残して、と」

 

 

意識を集中する。

地下へ。 地下深くのその先へ。

暗闇の感覚の先へ向かえば、唐突に明るくなり、機械音の響く空間に出た感覚が。

侵食の無い場所には行けません。 であれば、ここは研究所かなと思えば……どうやら量産型ニケボディの工場のようですね。

まだ設備も貧弱。 少数生産、アークの治安維持分だけ製造しているようですが、既に私の侵食が有効と判断されてか、この時点で培養、組み込まれている。 ニンフ共々ね。

地底人って倫理観もガバなら警戒心もガバガバなんですねぇ。 不用心ですな。 こんなんで完全封鎖とか。 地上奪還とかする気あるのでしょうか。 まぁ私には都合が良いから利用させて貰うだけですが。

手頃な機体……可愛い姿をしたI-DOLLシリーズ、そのうちのオーシャンと呼ばれるサブマシンガン持ちの機体に乗り移る。

まだ脳みそが封入されていないので、万が一は犠牲になる者もいないから丁度良いですね。 ゴッデスという偶像ではなく"私は人形"ですよん。

さてもこっそりと列から抜け出し、私は私として活動。 侵食を駆使して工場から脱出。 晴れて息子探しです。

ああ、験担ぎにI-DOLLサン(太陽)にでもすれば良かったですかね。 まぁサブマシ持ちという事で許してください。

 

 

「さて、私の息子は〜と」

 

 

可愛い声を試し出ししながらも、混沌とした人混み、それらが見渡せる見張り台モドキに登って精査していく。

そして意識を集中。 他のニケが持つ記憶領域、眼球ユニットからの視覚情報を走査、スキャン。 それら情報を侵食とニンフ、他ニケの脳みそを用いて並列演算開始。 防犯カメラ記録を早送りし高速調査をしているような状態にしていけば……。

 

ヒットした。

幼い、1人の少年だ。

 

民衆の喧騒に揉まれ、これからどうなるか分からぬ不安感から泣きそうになり、それをフリージアとかいう女の子に慰められている。

我が子ながら情けなくも可愛いですね。 血の繋がりはなく記憶も希薄ですが、これはタイミングを見計らい、会って親の意志を伝えねば。

 

 

「認めてくれるかはさておいて」

 

 

何もしないで終わるよりマシでしょう。

私は皆が多少は寝静まる夜を待ち、少年を、我が子をひと気の無い路地裏に誘い込む。

大人や他のニケがいる前じゃ、ゆっくりお話できませんからね仕方ありませんね。

 

 

「ニケのお姉さん、その、用事ってなぁに?」

 

 

いやぁ可愛いお声の幼児……ごほん。

事案じゃありませんよ。 ナニもないですよ?

 

 

「やぁ少年。 いや、我がサンよ。 会いたかったですよぉ……私はアナタの父親だった者です」

 

 

ああ。 何故か緊張します。

やはり勝負服ならぬ勝負機体にするべきでした!




後書き
(以下独り言)(活動報告のとほぼ同文)
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