マジかVTCも人類も最低だな(唐突
アンダーソンとリリス、他もおいたわしや
一方株価が上がり続ける鰻上りのオスワルド
下がり下がるは暴落のレッドシューズ……
アークに入り、改めて侵食の根を張り巡らし、取り敢えずは屑人間さん2体を事故に見せかけ処分しました。
関わった量産型ニケは、思考誘導で私の味方なので、上層部や他へチクる心配はありません。
それこそ地上のニケ、ゴッデスにもね。
既得権益にしか興味を持たない化物。
それがアークという掃き溜めです。
そう思ったのはアークガーディアン作戦から、いや、更に前から察していた。
生身もニケも等しく斃れ、前線の兵士や民間人が死に絶えていき、仲間が思考転換で人格が変わり、ドロシーが置いてかれる苦痛を味わう中、諜略している上層部はぬくぬくしてやがりましたからねぇ。
現中央政府の前身、宗教系組織V.T.C.も屑でしたよ。 侵食コードを野に放ち人類を裏切っていた上級司祭兼首席研究員のレッドシューズを思考誘導し、罪の告白をさせた筈が、いつの間にか、その罪をラプンツェルに擦りつけていましたからね。
それだけに留まらず、今後政治主導を握る上では英雄、象徴であるゴッデスが邪魔だから、迎え入れて騙し討ちし始末しようと画策していたようで。
まぁ、そこはファンボーイのオスワルドの機転で最悪の事態は回避、名誉は守られました。
ドロシーとエイブ博士の最後の会話の時です。
ゴッデスをアークに入れない、というのはオスワルドの独断だったらしいです。 入れたら偉い人に始末され名誉を貶められるので、そうなるくらいならと地上に置き去りにしたのです。
他に方法が無かったのか。 いや、時間が無く切羽詰まった中でしたからね。 上等な判断だったと信じましょう。
ただ、今度は怪我してアーク入りしたゴッデス指揮官のアンダーソンの生存に目をつけられたのは必然の流れ。
真実を漏洩される事を危惧したのでしょう。 彼と共にいた者や、己への信仰を超えた、邪魔となりそうな者は始末されました。
アンダーソンは特異な血液型もあり、何とか生かされましたが、そこにもファンボーイの活躍が見え隠れ。
ゴッデスや名もなき英雄の記録を残す為、図書館の初代責任者にもなったりと、彼の活躍と苦労は影の英雄と呼べるものです。
ドロシーの前で列挙したら復讐なんて消し飛ぶ事実でしょう。 あいや、ラプンツェルとかVTC絡みを思えば、矛先を変えつつもやっぱ潰そうぜとなるかもですが。
「うーん、私が集めた情報の一部くらいは開示しておきましょう。 良いですよね愛しのリリス?」
脳内お姉様ことリリスに伺う。
暫くして彼女から返答がきました。 少し憂いを混ぜた口調です。
『ええ。 でも』
「でも?」
『私の意識を切っている間、無茶してない? あまりアークで派手に動いちゃ駄目よ』
「大丈夫ですって安心してくださいよ。 貴女のボディに私の能力が合わさり無敵です。 今更人間にナニができるのですか」
『指揮官、アンダーソンもいるのよ』
──────。
私も愛してます、アンダーソン。
アークの隔壁が閉じる際。
リリスの、彼に向けた最後の言葉が木霊する。
「なら私の言う事を聞く事です。 これ以上、愛する者を悲しませない為にも」
『お互い様ね』
脅してみるも、そのまま返される。
まぁ良いでしょう。 来たる日、私のオリジナルボディごとクイーンを始末する時が来た際、攻撃を躊躇されては困りますから。
……ままならないですねぇ、お互いに。
「嘘、嘘です……そんなの……」
そして今。
侵食ネットワークを再構築後、アークから適当に脱出。 ドロシーに報告したら、みるみる曇り顔に塗れて狼狽えます。
傍らでピナが「ドロシー様……」と慈悲混じりの呟きをしていておいたわしい。
ところがどっこい嘘じゃありませんってね!
同時に美しく素晴らしい!
流石はゴッデス、勝利の女神!
なんというか……芸術的!(マジキチスマイル)
「信じるかどうかは貴女次第ですけどね」
「……私は何も知らずオスワルドに、随分と酷い事を言ってしまいました」
「仕方ないんじゃないですか、向こうも覚悟の上でしょう。 でも、これで私達の名誉を守ってくれたなら安いものです」
「……しかしVTCが、中央政府が、指揮官やラプンツェル、私達ゴッデスを悪く扱おうとしたなんて……少なくともラプンツェルは次期皇女だった筈なのに、このような仕打ちをよくも考えたものです!」
「上は支配構造を明確に構築し、障害を排除して独占的な地位を確保する事しか考えていなかったという事かと。 功労者を始末してでも平和の支配、自由の征服を成したかった。 実に欺瞞に満ちた世界の完成です。 その方が管理し易いからでしょうけど」
地下暮らしは何かと不便でしょうからね。
余計なテロや事故で資源と人材を消耗したくない。 出来るだけ抑えるには1人1体に至るまで出来る限り管理したい。
その為には例え英雄でも消したいのが本音か。
「……これではいよいよアークとの取引は困難でしょう。 なんなら今直ぐ攻め入って滅ぼしたいくらいですよ」
「その必要はありません。 私の侵食がアークを蝕んだ以上、武力による制圧は要りませんよ。 弾丸の1発も使わず傀儡にできます。 悪者になる必要はありません。 貴女は魔女ではなく勝利の女神である事をゆめゆめお忘れなきように」
「……それをナグサが言いますか」
「悪者は私だけで間に合ってるのですよ」
「そうやって。 貴女ばかり背負っているつもりですか。 それで誰か褒めてくれるとでも?」
「少なくとも地底の屑はお呼びでは無いですね。 まぁ時間が経てば上層部の面子も多少入れ替わるでしょう。 話し相手くらい出来たら良いなとは思います」
「悠長に待つ気はありません」
「分かっていますとも。 だからこそ思考誘導、私の能力が活きるのです。 鶏肋程度でも、アークからの支援は取り付けます。 我々がゴッデスである事をあまり表にしなければ、何とでも誤魔化せますよ」
既に侵食により、じわじわと首脳陣を紅く好みの脳みそに変えております。
本人達に自覚は無いでしょう。 人でもニケでもない管理AIの起用は厄介でしたが、時間の問題です。
「望めば指揮官とも会えますよ、きっと」
それはドロシーだけでなく、リリスにも向けた殺し文句というべきか。
或いは脅し。 私次第でどうコケるか。 方向は決まってしまうでしょう。
最早、私は1番の悪者です。 でもそれで良い。
来たる日。 審判の日。 その布石。
皆が少しでも苦しまずに私を殺れますように。
けれど、それを見透かすはドロシー。
流石、交渉慣れはしてきたという事か。
「貴女の望み通りにいって、そして残される私達を考えた事がありますか? オスワルドの家族や貴女の息子さんに会わす顔がありません」
それは……紅蓮やスノウが思考転換し、置いてかれた貴女らしい寂寥感。
「その顔で会えば良い。 まだ会えるだけ救いがある。 私のようにならなければ、私も皆も救いが残る。 堂々としてください。 貴女は私達の隊長なのですよ?」
「その顔で……!! ッ、貴女もゴッデス。 それをどうか、お忘れなきように」
唇をギュッと締め、握った拳を震わせた後に開くドロシー。
お嬢様、せめての抵抗ですか。 お可愛い事。
そう私が莞爾として微笑む。
ドロシーは悔しそうに睨み返すだけでした。
ままならないですねぇ。
どいつもこいつも、何もかも。
後書き
ゴッデスの装備更新、思考転換、リリスと指揮官の別れ、シンデレラがクイーンに与えた影響や、アークに入れなかった理由、それぞれのタイミング等が上手く噛み合っていたという説明がなされたようで……