父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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短め連打感


クイーン戦

蒼穹の地球から星海の宇宙へ飛んだ人類。

それは魚が水面から跳ねて、一瞬だけ外の世界を見たようなもの。

それも限られた個体のみ。 全体で見れば余りにちっぽけで、多くの者は外の世界を認識すらしていない。

けれど、やがては進化して進出するかも知れない。 魚から両生類、爬虫類へと生物の進化論で語られる情景の過程のように。

人類は軌道衛星の周回や月への到達、宇宙ステーション建設、果ては軌道エレベーターと人類は段階を踏んでいたのかも知れない。

ただ不幸にも、その先にラプチャーという虎の尾があって踏んでしまった結果が、今の人類が置かれた状況なのかも知れない。

驕り昂り、軌道EVというバベルの塔を建設し、神の怒りに触れて倒壊した。

まぁその、そうなった一因には勝利の女神も関わっていますが、ラプチャーとの戦闘の余波ですからね仕方ないね。

 

閑話休題。

 

今再び宇宙へ飛び上がり、宇宙戦闘機で撃ち合っております。 リリスはクイーンのビームを回避しながら両翼に懸架したミサイルをしこたま撃ちまくり、機首からレーザーを撃ちまくる。

宇宙に空気はなく音は響きませんが、視界やレーダー上の情報類を元に、音が合成されて聞こえるよう錯覚させています。

違和感から方向感覚等が狂わないよう、敢えてそうしています。 声は普通に通信で聞こえるようにしています。 脳にアレコレと錯覚させたり、骨振動云々で色々と。

 

やがて武装が剥がれたのか、攻撃が来なくなったところで一気に接近。 キャノピーを開けて、クイーンのいるデブリ……宇宙ステーションの残骸に飛び移りました。

ニケですからね。 空気もなく気圧もなく紫外線だの太陽光線だのと過酷な環境でも、ある程度は耐えられる。

そして目の前には私達以上の存在が。

追い詰められてなお、ニコニコと笑みを浮かべる私の体……ナグサのボディをしたクイーンがいたのでした……。

 

 

「来ちゃった⭐︎ それじゃ、殴るね⭐︎」

 

 

リリスも微笑み返し、容赦なく拳を握る。

私も今更に引く事なく推奨します。

 

 

「アレは私ではないので遠慮なく。 トドメはレッフのアンチェインドに任せるにも、先ずは動きを止めねばなりませんから」

 

 

思いっきりデブリを蹴り、侵食の力と脚部の推進剤を合わせて瞬間移動同然に接近、顔面陥没パンチを繰り出すリリス。

無重力下、普段と違う環境にいながら、弱体化を感じさせない俊敏な動きと力。

しかしそこは私の体。 避けもせず堂々頭部を殴られては消し飛びます。 そして即座に生やす新しい頭。 どこぞのブレッドヒーローも驚きの再生力。

 

 

「これも予想はしていたけど、ナグサと同じ体なら同じ力を持っているということ? これじゃ埒が明かないかも!」

 

「それ以上かもですよ。 私の乗っ取り返しを受け付けませんから。 良くて動きを鈍らせ、向こうの乗っ取りや思考誘導を阻止する程度ですね」

 

 

クイーンには狙いがあったようですねぇ。

私の再生力よりも、侵食によりニケや人間を思考の段階から好き勝手できるというチートを欲しているようで。

そうなれば、このように戦う必要が皆無。 アークも好き放題にできる。 良くて家畜として飼い殺されるかも。 ここで屈したらアークは人間牧場にされそう。

でも残念。 私は前より進化した。 それをリリスや他の皆様に使用し強化した。

クイーンよ、あなたが目の前にしているのは、既に知らないニケなのですよ。

 

 

「来ますよ」

 

 

お返しとばかりに、攻撃してきます。

それもリリスのボディが軽く振動、眼球ユニットがブレて視界が刹那的に歪んだ隙をつくように指先から閃光が瞬いたと思えば、赤く細く、鋭いレーザーが肩を掠める。

 

 

「ッ! 銃を使うのはやめたの?」

 

「代わりに超音波振動にレーザーメス? 私の体だけでなく半端にも知識まで奪いましたか。しかも敢えて殺さないような手段で再現しているイラヤシさですねぇ」

 

 

様子見もありますが、可能ならリリスの体も奪おうとしている欲張りさんですねぇ!

ステゴロ最強格のリリスと、私という侵食ホストを手に入れたら、もう敵なしといったところでしょうからねぇ!

さてもどうしたものか。 このまま戦ってはリリスが動けなくなってしまう。 ボディを強化したとはいえ、稼働時間に限度があるのは変わらない。 ましてやここ、宇宙ですからね。 排熱とか上手くいきませんでしょう。

対峙したまま、攻めあぐねていると……突如、クイーンの上半身が吹き飛びました。

驚く間もなく通信。 レッフです。

 

 

「あー……やっぱり仲間を撃ってるみたいで嫌な気分だ。 恨むぞナグサ」

 

「撃っておいてナニを今更。 でもその調子ならトドメも任せられそうですね。 そのままこっちに来て、私の拳銃でアンチェインドを撃つのです。 それでしかコイツの再生力を阻害できないかと」

 

「あいよ。 おチビちゃん、急いでくれ」

 

「既に全速だ……ラプンツェル、シャトルの前方に念の為、シールドを張ってくれ」

 

「分かりました」

 

「ドロシーも射程に入り次第援護できそうか?」

 

「そのつもりです」

 

「紅蓮は……剣の出番は最後かもな」

 

「……宇宙で剣を振るとは思わなくてね。 鈍くなりそうだが、まぁその時があるなら任せてくれ」

 

「お姉ちゃんがいて、皆がいる。 後続も来る。 この戦い、必ず勝つぞ」

 

 

無駄口が多くも、そんな明るさには救われます。 今回も、きっとこれからも。

 

 

「だからねナグサ」

 

 

私の思考を読んでか、リリスが話し掛ける。

いつもの明るい、穏やかな口調で。

 

 

「皆で勝って帰りましょ?」

 

 

───私としては空に咲く花、夜空の詩になりたかったのですがねぇ。

最初の時のように、ギリギリで皆を騙して地上に返す。 これでいきましょう。

 

 

「前みたいに行くと思わないでね?」

 

「……クイーンに言ってるのですよね?」

 

「んー、どうかしら? 両方かも⭐︎」

 

 

はいはい、そうですか。

貴女は完璧で究極な勝利の女神ですよ。

少なくとも、私にとっては眩いくらいに。




終わるのかな…
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