父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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前書き
短編風の連続でありますが……
予想外の反響に驚いております
ギャグを期待された方、申し訳ありません
今後どうなるか不明ですが宜しくお願いします


縋る思い出

フェアリーテール型2号機ドロシー。

政治家令嬢だったけど、壊れた日常を取り戻したいという理由でニケに志願。

適合者に選ばれ、2番目のゴッデスメンバーとなり事実上の副隊長となる。

高飛車な性格というか、戦場でも気品や美しさを求めるお嬢様然とした態度と格好を心掛けていて、戦場でも純白ドレスに整えたピンク髪を靡かせては、優雅にラプチャーを倒して魅せていた。

格闘戦は美しくないとか野蛮だとかいう理由でやらないが、決して出来ない訳ではないし、なんなら現メンバーでリリスの次に強いまである。

いざとなれば、躊躇いなく殴る蹴るをしてくれるドSお嬢様になると私は疑っていない。

 

因みに1号機は欠番。

ドロシーが加入する前にボディが暴走、爆発四散してしまったらしい。

リリス曰く、白百合が好きで、皆の役に立ちたいと言っていた良い子だったそう。

会いたかった。 でも会えない。 死者との対話はオカルトの領域だ。 私ではない。

……そんな私も、今や何度吹き飛んでも復活してしまうバケモノですがね。

可能なら、この再生能力を彼女や他のメンバーに分けてあげたいくらいです。

 

 

「……ううん、できるかも」

 

 

顎に手を当て、思考の海へ漕ぎ出しました。

人間時代とニケの知識を結び合わせます。

 

私の免疫細胞、いえ、ニンフは侵食コードに汚染されてしまいましたが。

何度も破壊と再生を繰り返す内に変質。 ホスト、宿主である私の自壊を防ぐ為かコードの毒性は弱まり、体内のニンフは私の意志に従うようになりました。

腕力や脚力が強化され、ボディのガッデシアム比率が通常時より低下。 空白をニンフが置換した事による能力最適化と愚考中。

進化を促すウィルスの研究が平時にありましたが、まさかソレのニケバージョン?

毒は宿主に始末されないように、そして長く生き延びる為に殻である私を強化、従順化しようとしている?

 

利用すればワンチャンワクチンを作れる?

予防接種は毒性を弱めたウィルス、菌を敢えて体内に打ち込み、抗体を作らせるものです。

そのニケバージョンを作れたなら……V.T.C.宛に報告を纏めないと。 赤靴さんやエイブさんの協力が必要となるかもです。

 

 

「何の話ですか?」

 

 

向かいの席、ドロシーが尋ねてくる。

手には紅茶のカップ。 優雅に口をつける様は、絵に描いたようなお嬢様。

……私、お茶会にいるのでしたね。 医療絡みともなると休憩中でも考え事をしてしまうのは、私の悪い癖でして。

 

 

「いえ、私の侵食を自己流に克服する方法を模索しておりました。 お目汚しを」

 

「努力は認めますが、あまり思い詰めないでください。 ナグサの悪い癖ですよ」

 

「"生前"から良く言われました。 確かに、今くらいはゆっくりするべきですね」

 

 

花茶の香り、湯気を浴びていく。

心が落ち着くようです。 例え戦時下でも。

 

 

「しかし、ドロシーもお優しい。 私などに気を遣って頂きありがとうございます」

 

「また卑下されて。 謙遜も過ぎれば嫌味となります。 ゴッデスの1人として胸を張ってください」

 

「……元男でも?」

 

「その話、記憶が消えるまで続ける気ですか?」

 

「ではこの辺までに」

 

 

いけない、指摘されてしまった。

まだボケるには早いと思いましたがね。

頭を何度も撃ち抜くからか、少しね……。

保続……失語症、認知症……脳の神経細胞の変性によって思考の切り替えができなくなるような事が、私の身にも起きているのかも。

何でもニンフや侵食のせいにする訳にはいきません。 治せるところは治さないとですね。

 

 

「でも、消えて欲しくない事もあります」

 

「それは色々とあるでしょう。 貴女の場合、息子さんの事がそうなのでは?」

 

「息子? ああ、はい。 いましたね確かに」

 

 

言われると、薄らと思い出す記憶。

でも顔がボヤけて上手く浮かばない。

名前も……私の親としての名も出てこない。

 

ナグサ。

この名は死後の、今の名であるし。

 

 

「しっかりしてください。 いくら何でも忘れるには早いでしょう。 もう百年も生きているなら分かりますが」

 

「そうですね。 故に早く治さねば」

 

「……どうか、逝き急がないでください」

 

「逝きませんよ勝つまでは。 貴女もでしょ?」

 

「勿論です。 ありし日を取り戻す為に」

 

 

静かにカップを置くドロシー。

私は隊で1番過去を忘れ己を失っていくけれど、彼女は1番過去を想い己を忘れない。

昔は良かった、なんて言葉は陳腐だけど、彼女に相応しいと思う。 同時に私を覚えてくれる器としてもね。

 

 

「でもねドロシー。 私は忘れるのが必ずしも悪い事ではないと思うのです。 記憶容量に限界があるが故の最適化、という意味だけでなく、新しい事を覚え、未来へ向かう為の経過だと考えています。 私なんて極端でして、物忘れの度に能力や感覚が研ぎ澄まされていきますからね」

 

「そう言う割に、自分の過去を他人に覚えさせようとしますよね」

 

「ははは……これは痛い所を突かれました」

 

 

やはり格好付けようとしても駄目ですね。

ドロシーのようにはなれそうにありません。

 

 

「うん。 私の事は鶏肋程度に。 後は忘れてくれて構いません」

 

「嫌です。 覚えていてあげます。 貴女がゴッデスに入隊した日から今日、そしてこの先の未来に至るまで。 ですから」

 

 

 

 

───ナグサの記憶、死で溢れさせないで。

 

 

 

そう言うドロシーの瞳は真っ直ぐで。

だけど、憂いを帯びて切なかった。

 

その目は、私が覚えているしかなかった。




後書き
ワスレナグサ……
原作3周年。遂にラスボス?クイーン降臨
沢山のナユタ→ワロタ
その後→人の心無いんか?(絶望
フ◯ミ通Q&A→ここでも自転車の例えを……
当作はどこまで行けるか。歴史改変したい(歪
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