父さん、ニケになるってよ。   作:ハヤモ

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毒にも薬にも。

リリーバイス。

略称はリリス。 元最年少空軍パイロットらしい。

ニケになった経緯は不明だが、人類初のニケにしてステゴロ最強のゴッデスリーダー。

指揮官とは懇意の仲、というか恋仲っぽい。

 

ニコニコと柔らかな笑みを浮かべ、ショートの銀髪に瞳に星が浮かんでる。

黒い軍服に身を包み、耳にイヤリング、ストッキングにハイヒール、白い手袋を身につけていて、童顔寄りながら格好が大人の雰囲気を醸し出す。

 

その強さは凄まじく、腕を横に一閃するだけでラプチャーが綺麗に真っ二つになる程だ。

反面、性格は穏やかで、他のメンバーを妹のように可愛がっている。 故に欠番となった1号機の事を引き摺り、指揮官に指摘され揉めた事もあった。

 

そんな優しき勝利の女神、リリス。

武器を持つと何故か壊れる。

スノウと仲良くなる過程でアレコレ作って貰ったらしいが、辛うじて剣のような近接武器が少し耐えられただけだった。

スノウ曰く、お姉ちゃんは完璧だから武器なんていらないんだと自己解釈していたけど……。

 

強く握り過ぎでは?

私ナグサは訝しんだ。

 

指揮官とのラブロマンスの時、ナニしてん?

今の指揮官が無事なのを見ると加減は出来る?

 

でも質問しない。 怖くて出来ない。

悪さをしたレッドフードが床や天井に埋まったり、リリスをゴリラ呼びした指揮官が小突かれて蹲っているのを見るとね……。

 

そんなリリスの謎に迫ろうと、他のゴッデスメンバー共々ニンフを採取、調査と編集を試みた。

その過程で幾つか分かった事がある。

ニンフは皆同じかと思えば微妙に違う。 脳の記憶などを保持管理している関係で、個性が出ているものと思考する。

だが、その法則の解明は出来なかった。 ニケの体といい、これもブラックボックスで開けられない。

無理に開けようとすると破損してしまう。 ナノマシンだけでなく、私の精密器具まで。

より専門的で丈夫な器具ならば或いは。 それかナノマシンの起源が分かれば良かったが、そんな資料は無く、V.T.C.からも回答が来ていない。

 

……ニケ同様、ニンフも謎が多い。

 

私は惜しいと思った。

ラプンツェルの特殊技能といい、それぞれの良い所を掛け合わせれば、ニンフの効率化、進化を促し、侵食にも負けない自己進化型の抗体を作れると愚考しただけに。

 

……いや、そのコンセプトが私という存在?

私は既に半端な能力を持たされています。

それに、名前はリリスと同じく花模様。 しかも試作機扱い。 他の方は童話の人物だったりするのに。

 

諦めきれず、弱い私を認められきれず。

私は腹いせに自身の変質したニンフを他のメンバーのと混ぜてみた。

 

すると、なんということでしょう。

 

互いに馴染み合い、融合し、私の意志で動くようになりました!

つまり、私のニンフを他のメンバーに入れさせれば、侵食への抗体や自己再生力の向上が見込めるだけでなく、操り人形にしてしまえる危険な劇物であると判明したのです!

不完全だと思われていた私ですが、どうやら侵食と合わさり、能力は昇華して他の機体には無い、それこそリリスという究極形を凌駕する方法が見えて来たかも知れません!

 

 

「ふふ、うふふ……」

 

 

湧き出るは子を残すという本能的欲求。

子を産めない(ニケ)遺伝子(コード)を後世に残す───

 

 

「ナグサ?」

 

 

声を掛けられハッとした。

振り向けばリリスだった。

 

 

「リリスでしたか、どうされました?」

 

「夜なべして仕事をしてるって聞いてね。 心配して来ちゃった」

 

「そうですか。 ですがご覧のとおり、私は元気です。 大丈夫、問題ありませんよ」

 

「目が充血してるわよ」

 

「それは侵食の影響でしょう。 ああ、でもご安心を。 最近は体に馴染みまして、克服も近いかと」

 

「治療方法が見つかったの?」

 

 

そんな我が子の功績のように喜んで。

おめめがいつもよりキラキラして見えますよ。

 

 

「ええ。 ただ臨床試験が必要ですねぇ。 私では特異体質なもので、モニターが多く必要ですよ」

 

「私のボディで良ければ打って良いわよ」

 

 

おや。 おやおやおや。

そんな微笑んで堂々言われるとはね。 カモがネギ背負って鍋にダイブしてますよ。

 

 

「随分と軽率では?」

 

「ナグサの事、信頼してるもの」

 

 

そう言われると良心の呵責が……。

万が一もありますが、チャンスでもあります。

リリスが暴走しても、ワンチャン私の能力で止められる事に賭けるべきですかね。

いや、でも……まだ確証が持てない。

 

 

「では私のニンフから作った試作ワクチンを渡しておきます。 V.T.C.に出向した際、バージョンアップした予防薬が出来たら、それも渡しますよ」

 

「ありがとう。 でも無理はしちゃ駄目よ」

 

 

言うのは簡単な言葉を羅列してきます。

まぁいつ死に別れするか分かりませんからね。

最後になりそうな言葉はポジティブな方が良い。

でも社交辞令的なもの。 聞き慣れましたよ。

 

 

「必ず帰って来て」

 

 

そして保険は効きます。

何の保証も出来ない、口約束ですがね。

 

 

「ええ。 ()()()もね」

 

 

だからコレは、せめてのやり返しなのです。




妄想、自己解釈も含みつつ
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