プラモクラフトな世界で心に火を点け生きていく   作:ダルマ

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ベストを尽くして投稿します。


第十二話 テストの解答は、まるっとスリッとお見通しだ!

 翌日、中間テストを明日に控えたこの日、午前の授業を終えた八尋達五人はいつもの様にいつもの場所で昼休みを堪能していた。

 いつもの様に談笑していた五人だったが、八尋がふと、昨日の落書きの一件と怪しい二人組の情報を、他の四人とも共有するべく話を始めた。

 

「そんな事があったなんて……。全く、酷い事するわね!」

「被害に遭ったお店の人たちの気持ちを考えると、胸が締め付けられる思いです」

 

 八尋の話を聞き、憤慨する葉月と同情を禁じ得ない幸来。

 勿論、倉矢に関しても、言葉に出してはいないが憤りを感じていた。

 

「分かったわ、私達も犯人が早く捕まる様に協力する!」

「怪しい人を見かけたら、直ぐに連絡するね」

「勿論、俺も協力する」

「ありがとう。葉月さん、幸来さん、倉矢」

 

 落書きの犯人が一日でも早く捕まる様にと快く協力を申し出る三人に、感謝の言葉を述べる八尋。

 そんな中、一人だけ反応を示さなかった拓叶は一体何をしているのかと言えば……。

 

「世界四大文明はメソポタミアとエジプトと中国と……だぁーっ! あと一つ何だっけ!? い、イ、イスカンダル?」

「それだと地球じゃなくて、地球から十四万八千光年も離れた星の文明になるから」

 

 明日に迫った中間テストに向けて、最後の追い込みとばかりに勉強会で作成したノートを片手に復習に励んでいた。

 

「正解は、インダス文明よ」

「おぉ、それそれ! インダス(四大文明に)入ってる!」

「はぁ……。そんな調子で明日の中間テスト、本当に大丈夫なのかしら」

「ふふふ、心配ご無用(モーマンタイ)。何故なら、俺には奥義"オーバーナイト・メモライズ"があるからだ!!」

 

 自信満々に奥義の名を口にする拓叶、対してそれを聞いた葉月は、呆れた様子で短いため息を漏らす。

 

「それって、ただの"一夜漬け"でしょ……」

「そうとも言う!」

「はぁ……」

「拓叶、一夜漬けはあまりやり過ぎると逆効果になる事もあるから、ほどほどにね」

 

 呆れる葉月を他所に、八尋はやり過ぎ注意と助言を行うのであった。

 

「所で拓叶くん。さっきの八尋くんの話、ちゃんと聞いてたの?」

「あぁ、勿論聞いてたぜ。安心しろ八尋、俺もちゃーんと協力する……中間テストを無事に乗り切ったらな」

「ありがとう、拓叶」

 

 こうして拓叶からも協力を得た所で、八尋は改めて四人に感謝の言葉を述べる。

 そして、落書きの一件に関する話に一区切りがついた所で、拓叶は再びテスト勉強に取り組み始め、残りの四人は別の話題で盛り上がり始めるのであった。

 

「そう言えば……先月号のFマガにも載ってたけれど、明日発売だったよね、ロマンティック(R)ジパング(Z)アーツ(A)社の新型TBF」

「あ、そうだった! テスト勉強の事で頭が一杯ですっかり忘れてた……」

 

 その最中、葉月が何気なく口にした言葉を聞き、倉矢は思い出したかのような調子で驚きの声をあげた。

 

 RZA社は名前にジパングと付いてはいるが日本の企業ではなく、アメリカに本社を置く企業である。

 同社の販売するTBFの特徴は、その社名にもある通り日本の文化をモチーフとしいる事。既に販売されている機種も、侍や忍者、更には力士や巫女等々、様々な日本の文化がモデルとなっている。

 そして、今回販売が予定されている新型TBFもまた芸者をモデルとした女性型TBFとなっており、その名を"バトル・ゲイシャ"と言う。

 

「なら、明日のテストが終わったら、放課後ニッパーに行って実物を見せてもらいましょうよ! 息抜きも兼ねて」

「それいいかも」

「いいですね」

「うん、いいね」

 

 葉月の提案に、八尋達も賛同の意を示す。

 中間テストは一日だけではなく二日間にわたって行われる。しかも、期間中は通常の授業は行われないので、お昼頃には下校する流れとなっている。

 いつもよりも下校時刻が早いという事は、それだけ自由な時間が増える事を意味する。勿論、増えた分を翌日のテスト対策に当てる事も選択肢の一つだが、やはり期間中ずっと気を張り詰めているのは精神衛生上好ましいものではない。

 故に、適度な息抜きとして新発売のバトル・ゲイシャを見に行くこの提案に、八尋達は賛同したのであった。

 単に見るだけならお金もかからない。そんなお財布に優しいのも、賛同を後押しした要因でもあった。

 

「それじゃ、明日は放課後、そのままニッパーに行くって事で」

「「おーっ!」」

「え、何? 何するって?」

「ちゃんと聞いてなかったの? いい、明日──」

 

 拓叶にも改めて説明し明日の放課後の約束を交わした所で、昼休みの終了を告げる予鈴が鳴り響いたので、五人は校舎の屋上を後にするのであった。

 

 

 

 

 そして迎えた、今後の高校生活を占うと言っても過言ではない中間テスト初日。

 登校する生徒達の表情は、皆一様に緊張の色を含んでいた。

 

 勿論、彼もまたその内の一人であった。

 

「よぉ……おはよう、二人とも」

 

 誰であろう、今日という日の為に頑張ってきた拓叶だ。

 

「お、おはよう拓叶」

「ちょっとその顔。はぁ……、折角尋くんが注意したのに」

 

 教室に入り八尋と葉月に声をかけた拓叶の目の下には、見事なまでのクマが出来上がっていた。

 どうやら、八尋の助言も空しくギリギリまで勉強していた様だ。

 

「拓叶くん、そんな状態で大丈夫なの?」

「ふ、ふふふ、ノープロブレム……否! 今の俺なら、例え世界史だろうが数学だろうが、どんな問題でも解ける気しかない!! さぁ、どーんと来い、中間テスト!」

「そ、そう。なら、ベストを尽くして頑張ってね」

「あはは……」

 

 最早限界を超えたのか、眠気の向こう側、ゾーンとも無我の境地とも呼ばれる領域に達した様子の拓叶。

 そんな彼に対して、八尋と葉月の二人は若干引き気味であった。

 

 

 

 それから三時間程が経過し迎えた放課後、教室内には様々な生徒達の姿で溢れていた。

 無事に初日を乗り切ったので早速リフレッシュするべく街へと繰り出す者、明日の二日目に備える者、中のいい友達同士答え合わせをする者等など様々。

 

 そんなクラスメイト達を他所に、八尋と葉月の二人は、まだ初日にも拘らず無我の境地に達した反動か、既に精根尽き果てた様子で机に突っ伏している拓叶に声をかけていた。

 

「拓叶、大丈夫?」

「ママぁ……俺、やったよ、やり切ったよ」

「どう見ても大丈夫じゃなさそうね」

 

 このままでは約束の時間に遅れてしまう、どうするべきか。

 頭を悩ませている八尋と葉月の二人。するとその時、近くで答え合わせをしていたクラスメイトの話し声が聞こえてくる。

 

「えぇ! 漢字の読み問題の九問目って"とげ"じゃなくて"こがい"なの!?」

「そうそう。って、戸外と書いてとげって……」

「でも例文には、皆で戸外遊びをするって書いてあったから、もしかしたらって」

「いやいや、だからってそうはならないでしょ」

「なっとるんだよ!」

 

 どうやら漢字の読み方問題での間違いが発覚した様だ。

 それに対して、八尋と葉月の二人は特に反応する事はなかったが、拓叶が反応を見せた。

 彼は突如起き上がると、まるで信じられないと言わんばかりの表情を浮かべた後。

 

「ば、ばんなそかな!?」

 

 と言うと、再び自身の机に突っ伏してしまうのであった。

 

「あ、これもう駄目だわ」

「みたいだね」

「仕方ない。八尋くん、拓叶くんの事は放っておいて私達だけで行きましょう」

「そうだね。それじゃ、行こうか」

 

 こうして、最早再起不能となった拓叶を残し二人は教室を後にする。

 すると丁度良く倉矢と幸来の二人と下駄箱で合流したので、四人はその足でニッパーへと向かうのであった。




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