限界少女とハイスペックダメ人間   作:スティック/糊

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結構真昼が拗ねモード。


双子それぞれの情報整理

 

 夕月は府中駅から電車に乗って今住んでいる地域までゆっくりと向かっていた。

 

 流石に突然出ていくのは申し訳なかったが、夕月は動揺と困惑がひどかったのだ。

 

 

 そっくりさんが極めて近い所にいることはわかりましたが、だからどうこうという訳でもないと以前口にした覚えがあるが……それが本当に血が繋がっている可能性が高いとなるととても複雑な気分だ。

 

 正直な所、夕月にとって血縁と言う物は大きく固執するようなものではない。

 

 出生が捨てられっ子であることから、血がつながらなかろうと家族未満であろうと確かな絆と言うか、縁は出来るものだと思っている。

 

 それに、捨てられて清貧な生活を送っていたとはいえ、そんじょそこらの人間よりも周囲の人には恵まれて育ってきたと自負している。

 

 そもそも病弱であったこの身をここまで文句言うことなく面倒を見てきてもらったのだ。

 

 信念と生き様と言う物を夕月はシスターの背を見て学んだ。

 

 私は人の縁と言う物に恵まれているのだと、そう確信を持って言えた。

 

 ……悪縁で色々と面倒な目に合っていたのは否定できないが。

 

 

 故に捨てられなかった方が理想的な生活が出来ていたのか、と言われても何とも言えない。

 

 そもそも夕月は生まれた家のことを知らなすぎるのだ。

 

 短い人生経験の中でも稀有な程自分は恵まれていると、そう思っている。

 

 元の家族に未練も執着もない。

 

 今の生活を害するのであれば自身のコネクションでも何でも使って徹底的に争うつもりだ。

 

 

 されど、実妹と思しき少女に関しては何と評すればいいのだろうか。

 

 

 血肉を分けた血縁と言うことはおそらく事実。

 

 

 けれどそれと同時に何故あそこまで彼女に私は執着されていたのだろうと言う疑念が残る。

 

 

 怒涛の展開過ぎてあまり詳しく覚えていると言う訳ではない。

 

 『私にとって姉とは死産で亡くなった双子の姉』

 

 彼女はそう言っていたはずだ。

 

 それが最近彼女の知識内で、姉は生後間もなく捨てられたと言う事実を知ったと言う。

 

 

 生き別れの半身、とでも言えばいいのだろうか。

 

 夕月にとってはあまりピンと来るところではない。

 

 あくまで私は私で、彼女は彼女だ。

 

 決してそれが変わることはない。

 

 

 元の家族として再び元に戻るようなことはないだろう。

 

 夕月にとっては将来的な義妹、そんな認識に落ち着くのだと思う。

 

 彼女の執着がどのようなもので、自分はどのような距離感で居ればいいのか。

 

 

 夕月はそれがどうしてもわからなかった。

 

 夕月からの執着と言う物はほぼないに等しいのだから。

 

 

「……複雑だなぁ」

 

 

 まだ仮定ではあるが、姉妹揃って同じ家の兄弟に嫁ぐ、それ自体が稀有なことでありその姉妹が生き別れの姉妹とかどんな確率なのだろうか。

 

 少なくとも夫の本棚にそんな展開の本を見たことはなかった。

 

 

 

 〇 〇

 

 

 

 帰宅後、夫はまだ用事で帰ってきていないようで夕月は手洗いうがいを済ませて帰りに買って来たハンバーガーの紙袋を片手にリビングに腰を下ろした。

 

 出かける前に何かを食べていた訳ではないので少しお腹が減っていたのだ。

 

 家から一番近いバーガーショップを選んだが都心の暑さは中々の物。

 

 紙コップにプラスチックの蓋をされたドリンクの表面には日本の湿度を象徴するかのように結露が見え、持った感じ中の氷は殆ど溶けているようだった。

 

 ランチタイムで購入できるセットのポテトも少ししなっていた。

 

 

 包みを広げ、一口。

 

 熱々、とまではいかないがほんのりと温かみのある塩レモンのフライドチキンがいいアクセントになっていてそこまで時間をかけずに食べきれた。

 

 ドリンクもちょっと炭酸が抜けている。

 

 居酒屋の賄いの様にソフトドリンクは気軽に飲めたのでコーラやジンジャーエールは慣れ親しんだ味なのだが炭酸が抜けて只の甘い液体になっているのは少し頂けない。

 

 考え込んでいた脳に糖分が回ってくると考えればそう悪いものでは無いだろう。

 

 

 遺伝子検査、と彼女は言っていただろうか。

 

 夕月はスマホを取り出すと、ブラウザで血縁鑑定について調べてみた。

 

 

「高っ」

 

 

 サイトや実施機関に依るのかどうかは分からないが、まぁまぁな金額をしていたことに驚いた。

 

 私の食費何か月分だ。

 

 流石にここまで私的なことにお金は使えないな、スマホの液晶をスリープモードにしてテーブルに置き、ソファーに背を預けながら瞼を閉じて天井を見上げた。

 

 

「どうした」

 

「うひゃぁ!?」

 

 

 パッと目を開けると、目前に真護が居た。

 

 驚くように、ソファーの上で夕月は少し後ずさりした。

 

 

「え、いつの間に帰って来たんですか!?」

 

「さっきだ」

 

 

 心底驚いて、思わず尋ねてしまった。

 

 どうやら旦那が帰って来たのにも気が付かないほど考え込んでいたらしい。

 

 

「お、お帰りなさい」

 

「ただいま」

 

 

 別にやましい事は無いのだけれど、なんとなく夕月は真護と目を合わせずらかった。

 

 

「何を悩んでいた」

 

「あ、いえ、大したことではないんです」

 

「……そうか」

 

 

 あまり納得していないような真護はテーブルに置いてあったエアコンのリモコンを手に取ると、起動させ夕月の隣に腰を下ろした。

 

 視線を合わせないように彼の姿を見ると、比較的もっさりとしていた髪が少しすっきりして、服装も彼に良く似合っているカジュアル気味なシンプルな清潔さを出すような格好になっていた。

 

 

「なんというかきっちりされましたね……?」

 

「ああ、絹岸の奴に振り回されてきた」

 

 

 ようやくここで夕月は真護と目を合わせると、ほんの少し目が疲れたとでも言いたいような感じを出していた。

 

 絹岸、と言うと彼の友人で今日出かけた主因だったと記憶している。

 

 夕月が出かける数時間前には家を出ていたのでおよそ5時間程度だろうか。

 

 彼はどことなく疲れていた。

 

 

「奴は警察官をしているのだが、非番からの呼び出しで仕事に行ったから俺も帰って来た」

 

「警察官……」

 

「変人だがな」

 

 

 話を聞くに、彼の友人である絹岸颯と言う人物は彼よりいくつか年上で、高校時代に出会った変人なのだとか。

 

 衣類をこよなく愛しているのだが、家系が結構お堅い所なので泣く泣く警察官になり、彼が非番で真護が仕事に余裕がある時は遊びに呼ばれるのだとか。

 

 一体どんな出会いなのかと思えばその人物は大学時代には色々なところをふらついてはストリートスナップを行っていた写真家擬きをしており、地元で偶然出会ったのが縁だと言う。

 

 ……まぁ、真護さんカッコいいもんな。

 

 

「身だしなみに関してはうちの母の数倍はうるさい」

 

「……なんというか独特な方、何ですね……?」

 

「独特で済ませていいかはいくらか議論の余地がある」

 

 

 ドの付くエリートの癖に変人だ、と言うのが彼の弁だ。

 

 東大の法学部卒だとか。

 

 たしかにエリート。

 

 

「それで、どうだ」

 

「どう……とは?」

 

「これ」

 

 

 彼はセットされているらしい髪の毛先を摘まみながら夕月に問いかけてきた。

 

 今回絹岸に呼ばれたのは結婚することになったからそのお相手を紹介するつもりだったらしいのだが、そのお相手もバリバリの警察官で急ぎの仕事で紹介が出来なかったらしい。

 

 だが、とりあえずあったのだからと色々と連れまわされたとのこと。

 

 

「元から真護さんはカッコいいと思いますが」

 

「……」

 

「あ、ちょ、照れ隠しで撫でるの止めてください」

 

 

 そんな夕月の返答は彼にとっては正解だったのか、髪を乱すような撫で方ではなく掴んで首を動かすようなそんな雑な撫で方をしていた。

 

 

「……うなじ晒し過ぎではないか」

 

「あ、これですか?梅雨前で髪を下ろしていると湿気がすごいんですよ」

 

 

 肩よりもちょっと長くなってきたセミロングの髪を少し高い位置でポニーテールにまとめている夕月に真護のツッコミが入った。

 

 首筋を髪で隠していると日よけになるにはなるのだが、それ以上に熱気がこもるため夏場は大体まとめている。

 

 梅雨の湿気で髪が少しうねったりするのでセットをする手間を省くようにゆるくまとめておけばなんかそれっぽいので度々そうしている。

 

 

「妬けるな」

 

「物好きですね」

 

 

 撫でていた手は頬を伝い、夕月の首筋に手が伸びていく。

 

 

「……流石に襟がある制服の時は良いですけど、私服は割かし首筋涼しいので目立つ位置につけないでくださいよ」

 

「善処する」

 

 

 最近コンシーラー等で彼のマーキングを隠す術を学んだのだが、素の肌が白めなのでオレンジのコンシーラーで隠すにもぼかしたりするのがちょっと面倒なのだ。

 

 体育の授業で着替えたりするときもちょっと気を遣う。

 

 

「夏場は熱いので、ストップ」

 

「ん」

 

 

 いつものようにスッと持ち上げて彼の腕の中に納まりそうになるのだが、流石に夏場は熱いので勘弁してほしい。

 

 

「……寝室にいる間だけで我慢してください」

 

 

 寝るときは相変わらず彼の腕の中なので、その時だけで勘弁してもらいたいところだ。

 

 照れくさそうに夕月が言えば彼は満足したのか再びソファーに深く座りなおした。

 

 

「向こうで何かあったのか」

 

「真護さんが義弟くんに説明してなかったので警戒されました」

 

 

 改めて真護は夕月に問いかける。

 

 実直なところを素直に言うとハッとした表情の真護は立ち上がり、その場で正座をした。

 

 

「………すまない」

 

「土下座する勢いで謝らないでください」

 

 

 ハッとするまでの間に真護もしっかりと周に説明していなかった事実にたどり着き、うっすら冷や汗を垂らすようにうなだれた。

 

 その勢いがもはや土下座である。

 

 

「決してやましい感情があった訳ではなくッ」

 

「なんとなく察してますので、はい。ほら、立ち上がってください」

 

 

 真護は弁明しようとするのだが、いつものことだろうと冷静に対応し始めた妻に理解されていると思うと同時に呆れられていないかと慌てた。

 

 夕月も半分呆れてはいるが一つ文句を言えば収まる程度のものだ。

 

 致命的なやらかしではないとは言え、当事者外でやり取りに間があるのは少しめんどくさい。

 

 

「反省してくださいね」

 

「ああ」

 

 

 夕月は真護のデコをちょいと押し込むように指で突いて反省を促した。

 

 

「それで、私のそっくりさんが義弟くんの彼女ってお話だったじゃないですか」

 

「そうだな」

 

「その彼女さんとも初遭遇しまして、彼女曰く私が生き別れの双子の姉らしいんですよね」

 

「……………あり得ない話ではないと思うが、現実は小説より奇なりと言う事か」

 

「そのようで」

 

 

 真護もさらっとつけられた話に、一瞬だけフリーズし作家としてなんか負けた感じになりながらもそう口にした。

 

 少なくとも真護もこんな展開の話は書いた覚えはなかった。

 

 

「まぁ、彼女との距離感をどうしたものかと」

 

「思うようにしたらいい」

 

 

 少なくとも俺は側にいる、と再び真護は夕月の頭を撫でた。

 

 彼らしいとても簡潔な一言だが、今の夕月にはちょうどよかった。

 

 

 今度は丁寧な、優しい撫で方だった。

 

 

「そう言うとこですよ」

 

「……嫌だったか」

 

「そうは言ってないでしょう」

 

 

 まったくこの人は。

 

 しなしなのポテトを彼の口に押し込む。

 

 

 ……そもそも真護が説明をしておけばもうちょっと穏やかな遭遇になったのではないか。

 

 夕月はほんの少し訝しんだが、少し心持が軽くなった。

  

 

 

 〇 〇 ……▼

 

 

 

「えっと、つまりまひるんそっくりさんがまひるんのお姉さんで、周の義姉さん……ってこと!?」

 

 

 時は少し遡り、藤宮周宅。

 

 エントランスですれ違った女性に目を点にした二人は驚き、何も考えられない状態で周の部屋に上がった。

 

 

 部屋に上がると、どこか疲れた表情の周が出迎えてくれた。

 

 二人は先ほど見た光景に言及するよりも先に目には入った真昼の様子に言葉を失う。

 

 泣きはらしたのか少し目元を腫らし、頬を膨らませ拗ねた真昼が竹串を持ち、淡々とたこ焼きを生成していたのだ。

 

 

 え、これは一体どういう状況なのかと千歳は思わず真昼に問いかけるが、張り付けた笑みの天使様モードの真昼に『あ、何でもないですぅ……』と引き下がり、周を呼びつけ状況を確認した後に出てきたのが上記のセリフであった。

 

 

「周くん」

 

「あ、はい」

 

 

 静かに真昼が圧をかけ、周は生地の入ったボールを手に取りシリコンベラで生地を攪拌する。

 

 

「お二人も席にどうぞ?」

 

「「あ、はい」」

 

 

 大きなリアクションをしたにも関わらず真昼のふくれっ面はしぼむことはなく、たこ焼きの様にまんまるな頬の膨れ具合に『お、ここにも大きなたこ焼きが』と言うダルがらみを千歳はすることができなかった。

 

 

 淡々と繰り返されるたこ焼きの生産。

 

 ひたすら頬張る二人。

 

 タコ焼き一人前と言えば1船に乗っかっている8つが標準なのだろうが、16個焼けるタコ焼き機2台が3ループ目に突入したあたりでお昼感覚で企画したのにも関わらずだいぶお腹いっぱいになって来ていた。

 

 真昼が用意してきたタコ焼粉250gと樹の持ってきたタコ焼粉400g。

 

 一般的な要領で言えば100個近く生産できる。

 

 つまり3ループでおおよそ焼き終わる。

 

 とりあえずこれを乗り切れば食材が切れるはず!

 

 

「ベビーカステラとアヒージョ、どちらが良いですか?」

 

 

 だが、真昼の残弾はまだまだ残っていた。

 

 

「真昼」

 

「ぷぅ」

 

 

 この段階でようやく周が深く息を吐いて真昼の頬を突つき、膨らんだ頬を萎ませた。

 

 

「二人ともだいぶ腹いっぱいになってるから。いったん落ち着いてくれ。たこ焼もだいぶ山だから」

 

「ぷぅ」

 

「また頬を膨らませない」

 

 

 周は真昼の頬を両手ではさみ、空気を抜いた。

 

 

 そんなやり取りを見た樹と千歳は「もしかして変則的なイチャコラみせられてる?」と思ったが口には出さなかった。

 

 甘い光景にソースの塩味が心地よい。

 

 

 

「えっと、椎名さんは……何か拗ねてるのか?」

 

「拗ねてみゃふぇん」

 

「あーようやく会えた双子の姉に即帰宅されてからコレだ」

 

「拗ねてません!」

 

 

 真昼は周に挟まれた手を払い、癇癪を起した子供の様に地団太を……踏めればよかったのだが、行儀のいい真昼はジト目で周に抗議することしか出来ない。

 

 ドウドウと周はコンロの火を落とし、真昼から竹串を取り上げて代わりに箸とたこ焼の載った皿を持たせた。

 

 真昼に持たせたたこ焼は少し冷めるようにあらかじめ周が隔離していたものだ。

 

 再度真昼が膨れ始めようとしたのでアーンと言わんばかりに周は真昼に食べさせ始める。

 

 小さな口の真昼は一度にすべてを含むことはできずにチマチマと小さく食べ始めた。

 

 

「……小鳥の餌やり?」

 

「確かに真昼は可愛いが小鳥だったら丸のみしてるだろ」

 

「周ってキザっぽい言葉とノンデリを同時に発するよね」

 

 

 その光景にちょっぴり口元にソースを付けながら千歳はツッコミを入れた。

 

 真昼がここまで幼児化、と言うか感情を露わにしている光景は千歳は初めて見た気がした。

 

 

「その、お姉さんにまひるんが意地悪された……とかではないんだよね?」

 

「ああ。終始大人な対応だった」

 

「それじゃまるで私が子供みたいじゃないですか!」

 

「はい、真昼は一端冷静になろうか。後で自己嫌悪し始めるんだから」

 

「……はい」

 

 

 周も色々な情報の錯綜に混乱していない訳ではなかったのだが、それ以上に動揺しきった真昼を見て冷静さを取り戻していた。

 

 再び静かにたこ焼きを食べ始めた真昼の頭を優しく撫でながら、再度自身の中の情報も整理するために話を始める。

 

 

「えーと、だな。まず兄貴がたこ焼き器を持ってきてくれるって話はしたな」

 

「一昨日聞いたな」

 

「それで、兄貴から少し遅れるかもしれないが届けると連絡が来る」

 

「間に合ってたね」

 

「で、届けに来てくれたのが真昼のそっくりさんこと兄嫁」

 

「そこ!そこが謎!」

 

 

 周は順を追うように一つづつ情報を解していく。

 

 先ほど千歳と樹に説明した情報はとてもざっくりとしたものなのだ。

 

 

「周はそのお兄さんの奥さんのことを知らなかったの?」

 

「……兄貴的には春休みに俺が帰省したら説明する気だったらしいんだが……春休みって短いだろ?」

 

「それで周はすっぽかした、と」

 

「確かに俺が悪い所もあるが、兄貴の言葉足らずなところが主な主因だからな!?」

 

 

 他責にするのはアレだが、こればかりは普段のメール文とかで行間を読ませてくる兄が悪い。

 

 ストレートに結婚して奥さん紹介するとかだったらしっかり予定組んで実家に少しでも顔を出していたと言うのに。

 

 あの兄は『春休みに少し実家に顔を出さないか』と言ったっきり。

 

 と言うか春休みにこちらに来たんだからその時に結婚したの一言でも言って欲しかったのだが、あのド天然生物な兄ならやりかねないと言う信頼が十数年弟をやっていた周にはあった。

 

 致命的なことはやらかさないが、その3歩手前くらいのことは頻発させる。

 

 と言うか懐にいる人物への信頼の仕方がちょっと独特なのだあの兄は。

 

 父さんと母さんは『ちょっと独特な頼り方、もしくは甘え方』なんて称していただろうか。

 

 甘え方と言うかアレは、手を抜くところが下手くそなだけだと思う。

 

 

「で、その兄嫁さんを見たらまひるんが双子特有の直感みたいなのを発揮させて、困惑させちゃった、と」

 

「……むぅ」

 

「自覚はあるみたいだ」

 

「急に現れるから……」

 

 

 少し冷静になりつつあった真昼はすっかりとしおしおになりながら拗ねながらつぶやいた。

 

 

「真昼、アレはクリスマスの時の千歳よりすごかったぞ」

 

「え、アレよりは控えめだったはずなんですけど」

 

「初手タックルだっただろ」

 

「う、そうかもしれません……」

 

「二人ともシレっとひどいね?」

 

「ちぃ、お前がそのお姉さんに遭遇した時のこと思い出せ?」

 

「……てへぺろ!」

 

 

 と言うかまひるんがタックルとか想像がつかない。

 

 必死に誤魔化すように渾身のてへぺろを繰り出した千歳の脳内は割と冷静であった。

 

 




 たこ焼きはみんなで食べたが、その他のお楽しみ要素が出来なかったので後日リベンジすることとなった。

 二人が帰った後の真昼はあまりにも幼稚なところを見せたとしばらくソファーの隅で小さくなり、周にひたすらなでられた。


 
 
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