夢限∞三剣士 ~more than a goal~ 作:夜光電卓
CUOD DC³の説明ってこれでわかりますでしょうか?
此処は後々修正が必要かもしれませんね>>
Collective(集合的) unconscious(無意識) operation(操作) device(装置)。通称CUOD(クード)の話をトラからされたのは、『ゴールデンキッド』の夢をみる一週間ほど前の出来事だ。
僕の家は一軒家で、現在母親とトラの3人暮らしだ。父親は母と離婚したためいないが、研究職でアメリカにいる。(トラがアメリカに留学した先も父のコネだった)
その一軒家の庭に小さな掘立小屋がある。そこがトラように用意された研究室だった。アメリカのラボに比べれば狭いかもしれないが、昔は仕事の所為で比較的帰りが遅い母親の帰りを待つ間、兄弟で遊んでいた秘密基地のような場所だった。
その研究室に呼ばれてまず、部屋中に埋め尽くされた機械、機械、機械に驚いた。あらゆるところにPCやらなんやらならび、二つしかないまどの一つは溶接され、そこから大きなアンテナが外へと飛び出している。
クーラー二台に扇風機がガンガンにかかっており、そしてなにより驚いたのは、部屋の半分を埋め尽くすのではないかと言う大きな箪笥のような機械で……。
「それ? スパコンだよ」
そうあっさり告げるトラに、『デスヨネー』と呆気にとられる。
っていうか、いつの間にこんなの運び入れたんだというツッコミも意に介せず、トラがつげたのがCUODという名だった。
「このスパコンが?」
「ううん、この小屋全部で」
弟が首を横にフリフリしながらそう言ったその言葉の意味が解らなかった。
「小屋全部?」
「そう、そのスパコンもそこらのPCもコードもアンテナもその他の機械、クーラーなんかも含めてCUOD。そのまま『夢の機械』だよ」
ますます言ってる意味が解らない。
「そもそもはアニキの見てたアニメが、切っ掛けだったんだけどさ」
トラはそう言って、昨年末まで僕がみていたとあるアニメのタイトルをあげた。
それはコンピュータ仮想空間のゲーム、所謂VRMMOを題材としたアニメで……、
「いや、まて。なんであのアニメで小屋がこんなに改造されてんの?」
「えっ、だって面白いじゃんあんなの。オイラもソード・スキルとか使ってみたい!」
おいおい、ちょっとぉ。何言っちゃってるの?
「それでさぁ、オイラも似たようなのを作ろうと思ってね。それにちょっと試したいアイディアがあってね」
トラはそう嬉々として語る。
「実は面白い論文があってね、五十年近く前のもので羽田時雨って人が書いた『表体~』」
「いや、難しいことは僕には無理だから……それで、この機械はいったい何に使うんだ?」
「う~ん、アニキにも解るように言うと、コレは“夢”を操れる機械なんだよ」
はぁ? 夢を操る?
「うん、正確にはCUOD自体は夢に干渉するためのモノなんだけどね。もう大変だったよ、基本概念はユングの集合無意識からインスピレーションを得て――」
いや、だから難しいこと言われても。
「あー、兎に角、この機械があれば他人の夢を覗き見したり、自由に弄ったりできるって事」
「そりゃぁ――、とんでもねぇな。ってか完全にヤバいもんじゃないか? 帰ってきてからずっとこの機械作ってたのか?」
「何言ってるの? 流石にオイラでもたった三か月でこれは作れないよ。これはオイラがアメリカで開発してたのを送ってもらっただけ。出来たのはこれさ」
そう言うとトラは、近場にあったキーボード軽く叩く。すると部屋にあったモニターがすべて同じ画面を映し出した。
「DC³(ディーシーキューブ)――、Dream Creation Custom Console システム。これで好きな夢が見れるようになるんだ」
その一昔前のゲームハード機のような名前のそのシステムは、まさしく夢の中でゲームができるようにするための機械らしい。
簡単に言えば、CUODがゲームハード機。DC³がソフトを読み取ったり、夢の世界を創りだすシステム。そして別にその夢の元になる(こういう夢が見たいなどを設定した)ソフトの三つで、任意の夢を見ることが出来るのだという。
トラはそう説明したが、これって簡単か? 僕の理解力が悪いだけか?
まぁ、トラと違って僕は頭がいい方じゃないからな。
トラはどうやらアメリカでCUODの開発を行ったのはいいが、具体的にそれで何をしようか思いつかなかったらしい。CUOD自体は、あくまで夢に干渉するだけであり、任意の相手の夢を覗き見したりちょっかい出したり、ある程度睡眠を操作することしかできないらしく。トラ曰く使い道が解らないということで研究に空き始めていたらしい。
普通に軍事的にとか医療用とかに使えそうな気がするのだが……。またヤバいもん創ったよなと言うのが兄である僕の感想だ。
そんな頃、日本に帰ってきて例のアニメを見たのだ。そして、
『そうだ、夢の中でRPGできればいいんだ』
と、なったらしい。なんじゃそりゃ――。まぁ、それで実際に創ってしまうのが恐ろしいところだけれども。
トラはこのCUODとDC³の互換調整が終わったら、兄である僕に是非テスターになってほしいと頼んできたのだ。
どうやらソフトの方は、アメリカ時代の知人が数人作っているらしい。どんな知人だろうか?
そして一週間の調整の末、昨晩遂に初のDC³システムを使った初タイトル『ゴールデンキッド物語』のβ版を僕は体験した。
ということで、トラはその感想を僕に求めてきたのだった。
「う~ん、ある程度意識の反映を抑える様に制御する……『夢を現実のように思う』みたいな……」
目の前で思い悩む弟をみながら、僕はパンを齧った。
また今夜も変な夢を見せられるらしい。まぁ、可愛い弟のためだ。仕方がない。
それに意外と昨日のゴールデンキッドは気分がよかった。やっぱりヒーローはいいよな。
「ところで、アニキ。折角感想を戴いたところ悪いんだけど、今日はゆっくりでいいの? それとも始業式だけだから登校時間が遅いの?」
「始業式? ゲッ、そっか春休み昨日までだっけ!」
せっかくアラームまでDC³に付けてもらったというのに、昨晩の体験の所為か夢見心地のままのようだ。
おまけに春休み明けなんてすっかり忘れてたし、春眠~なんとやら? まだあたまがボーっとしてるのか?
って、これDC³の副作用じゃないだろうな。
僕は慌てて自分の部屋に戻ると、登校の準備を始める。幸い、アラームが鳴る前に起きたから、ボーっとしていたとはいえ、ギリギリ遅刻にはならなそうだ。
ナイス、弟よ。ただもう少し早めに気付かせてほしかったな。
夢から現実に引き戻される。
はぁ、春休みも終わりか。またあの面倒で妙に形見の狭い学生生活が始まる。
夢の中ではいい気分だったのに。僕はヒーローだったのに。
どうやら気分がいいのは夢の中だけらしい。
なにせ今日から僕は、リアルに中二なのだから。
ニァ――
シャルルよ、ソコは返事しなくてもいいんだが……。
次回はヒロイン登場です>>
27日予定です>>