キラに頼れる兄(ナチュラル)がいる世界線   作:影後

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前回の出来事
オーブ軍曹長レン・ヤマトに
客人アルマ・テールナー二尉が試作戦闘機片手にやってくる。
その後、ヘリオポリスがザフトに襲撃される。
警衛をしていたコーネル・リンザー二士を救出。
不意打ちでザフトのジンを一機撃破。
その後、マニューバでもう一機撃破。
現在、試作機でG兵器の下に移動中。


PHASE2 その名はガンダム

ガラディーンを最後のG兵器ストライクの付近に着陸させる。

民間人らしき子供達がゾロゾロとストライクの周りにいるが、

レンは正直それどころではない。

 

「……きっつ」

 

「タラップは無し……飛び降りるしかないの?」

 

「えと、自分が先に降ります」

 

安全運転と何時ザフトに見つかるかという緊張状態で、

レンは既に気が滅入っていた。

座席無し、最低限の保護をするパイロットスーツもなし、

そんな2人を後に乗せている。

発案者だが、いざやるとなると厳しすぎた。

 

「え?オーブ軍の人?」

 

「なんで……民間人が?」

 

「あっ!レンさんの隣にいた人?!」

 

コックピットの中で呼吸を整えていると、

悲鳴のような声が上がった。

なんだと思い、外に出ると見たくなかった顔がある。

 

「ミリアリア?」

 

「レンさん!」

 

ミリアリア・ハウ、それに恋人のトール・ケーニヒ。

キラの仲の良い友人である。

そんな子供がよりにもよって連合の機密の塊と一緒にいる。

嫌な予感ばかりしてくるが、冷静になる。

 

「ミリアリア、トール、そのキラは」

 

「兄さん!」

 

「キラ?……よかった、無事だったのか」

 

両親の方は判らないが、取り敢えず安心できる事が出来た。

家族が一人でも無事であるという、心の支えが出来たからだ。

 

「キラ、なんでお前達とX-105が」

 

「兄さん…これを知っているの?」

 

「……話せない、話したら問題になる」

 

レンは話したくない。

下手に話をして、弟が面倒事に巻き込まれたら大変だ。

助かったのはキラだけかもしれないという苦痛。

本当にそうなら、兄として弟を護りたい。

 

「……なっ」

 

そして、もっと深い厄介事が目に入る。

軍服は着ておらず、作業着である女性。

しかし、それが誰かをレンは知っている。

 

「………ラミアス技術大尉」

 

マリュー・ラミアス、連合の技術士官だが、

アルマと違い正式な軍人だ。

嫌な予感や悪い事ばかり当たり続ける人生に、

段々と嫌気がさしてくる。

だが、今は話を聞くしかないのだ。

レンはマリューの意識が戻るのを待った。

 

「気が付きました?」

 

ミリアリアの優しい声で目覚めたマリュー。

 

「ん……」

 

身体を痛めているのか唸り声が上げる。

 

「まだ動かない方が良いですよ」

 

そして声をかけたのはキラだった。

一体マリューとキラが何処で関わったのか想像がつかない。

 

「その…すみません、色々と無茶苦茶やっちゃって」

 

「お水、要ります?」

 

「……ありがと」

 

ミリアリアから水を受け取ったマリューは即座に

レンの姿に気がつく。

 

「レン曹長……何故貴方が?

それにそちらの二人は」

 

「アルマ・テールナー二尉です。

あのMAガラディーンの開発責任者をしています」

 

「えと、コーネル・リンザー二士です!

よろしくお願いします!ラミアス大尉!」

 

「オーブ軍として、本懐をしていた所です。

あそこにあるでしょ、あのMAに乗ってジンと戦闘を。

他の駐留軍は壊滅、民間人にも被害が出た。

それで、なんでG兵器が此処に?あれはまだ工廠で」

 

「えぇ、私とそこの」

 

落ち着いたマリューと話し状況の摺合せを行おうとしたレン。

しかし、少年達の声が響く。

 

「動かないのか?」

 

「お前等、弄くるなって!」

 

「なんでまた灰色になってんだ?」

 

「メインバッテリーが切れたんだとさ」

 

少年達のしていることに驚き、

レンは即座に止めようとしたがマリューの方が

動きが速かった。

 

「おい!その機体からおり」

 

「その機体から離れなさい!」

 

コックピット周りをいじくっていた少年二人に向けて、

マリューはハンドガンを撃つ。

威嚇射撃としても、民間人に向けて撃っていいものではない。

 

「ラミアス大尉、何もコックピットに向けて撃たなくとも」

 

「何をするんです!彼等なんですよ!

気絶している貴方を降ろしてくれたのは!」

 

「それは感謝します…ですが、アレは軍の重要機密よ。

民間人が無闇矢鱈に触れて良いものではないわ」

 

助けを求める視線をキラから受けるが、

これに関してはマリューの方が正しい。

 

「なんだよ、さっき操縦してたのキラじゃ」

 

「おい……今なんと言った」

 

「操縦してたのはキラだって言ったんです」

 

トールの言葉に唖然とするレン。

キラに顔を向ければ、なんとも言えない顔を返される。

 

「ラミアス大尉……本当なのか」

 

「……えぇ」

 

「俺の弟だぞ!アンタ…なんでキラを!

キラを巻き込みやがった!しかも操縦って……」

 

「何を言われても、受け入れる所存です。

ですが、レン曹長。今は彼らの処遇もあります」

 

「……了解」

 

「皆、此方へ」

 

少年達を1列に並べ、銃口を向ける。

殺すつもりはないだろうが、

弟に銃口が向くのは良いものじゃない。

 

「一人ずつ、名前を」

 

「サイ・アーガイル」

 

「カズイ・バスカーク」

 

「トール・ケーニヒ」

 

「ミリアリア・ハウ」

 

「……キラ・ヤマト」

 

「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。

申し訳ないけど、貴方達をこのまま解散させる訳には

行かなくなりました」

 

「「えぇ?!」」

 

「事情はどうあれ、軍の重要機密をみてしまった貴方方は、

然るべきところと連絡が取れ、処置が決定するまで、

私と行動を共にして頂かなくてはなりません」

 

「待ってくれ!ラミアス大尉!

彼等は子供だ……それに軍事機密と言っても」

 

「曹長。

貴方が自国の国民を護ろうとするのは同じ軍人として、

理解できます。ですが、ここは既に戦場となり、

彼等は連合の機密を見た。

それもコックピット内部に入り込んでまで。

キラ・ヤマト君を巻き込んだのは私です。

しかし、行動を起こしたのは少年二人です」

 

「待ってくださいよ!俺達、中立国の民間人で」

 

「中立国だから戦争が起こらないと本気で思っていたの?

連合だって、貴方達みたいな子供だっている。

戦争の無い世界で生きていた子供が!

でもね、そんなものはいきなり壊れるのよ!

戦争しているの!この世界は!」

 

マリューは苦しそうにしながらも言葉を叫んだ。

その言葉を、子供はまだ理解できないだろう。

だが、レンは理解している。

戦争で何人も死んでいる事実。

外で仲間が死んだ事実。

 

「なら、せめて監督は俺達にさせて欲しい。

ラミアス大尉、せめてオーブの軍人たる責任を」

 

「えぇ、わかりました」

 

レンは子供達の前まで行くと深々と頭を下げた。

 

「…オーブ国軍として、

ザフトの襲撃を許してしまったこと。

そして、こんな事に巻き込んでしまったこと。

深く謝罪する。申し訳ない」

 

「そうだ!レンさんは俺たちを守る義務が」

 

「貴方方には悪いけど、

それはオーブ国軍の機密ではないので

私達はどうすることもできないわ」

 

「アルマ二尉!」

 

そして、それを潰したのはアルマだ。

レンはどんな罵倒も受けるつもりで居たのだが、

アルマはそれを許さない。

 

「レン曹長は常日頃から

開発施設の移転を進言していたのよね?」

 

「……」

 

「でも受け入れられなかった。

なら、オーブ国軍の兵士ではなく国主を恨みなさい。

それにね、ジンにミストラルが勝てる訳が無いの。

もっと言えば、連合のMSを見ただけならよかったのに

そこの馬鹿二人が勝手にコックピットに侵入したのよね?

自業自得じゃないの。

キラ・ヤマト君だっけ、彼は完全にどうしようもない。

でも、ミリアリア・ハウさんとサイ・アーガイル君は

貴方二人の馬鹿な行動に巻き込まれたのよ?」

 

「それはっ!」

 

「連合のMSを見た?

そんなのヘリオポリス内のカメラに嫌でも映るわよ。

でも、てか学生ならSNSに回る速度は理解しているわよね?

だから、正直見ただけなら大した問題ではないの」

 

「アルマ二尉、それ以上はいけない」

 

「はぁ?!

レン曹長、貴方軍人だからとか思ってるなら馬鹿よ!

とっくにオーブ国軍は全滅してるんだから!!

貴方が一人謝罪したところで意味ないのよ!

今貴方がすべきこと!

それはね、是が非でもこの子たちを守ること!

これから彼等は連合と行動するの!

ついでに使える戦力はそこのMS1機のみ!

いつまたザフトが来るかも判らない!

自己満足なんて止めなさい!

攻められるから救われるなんて馬鹿げてる!

そこのキラ…だっけ?レン曹長の弟よね?」

 

「え?はい」

 

「うちのレン曹長は強いわよ!

MSだって倒せるMAに乗ってる!

機動性だって、そんじょそこらのMAじゃない!

だから、信じなさい!貴方の兄を。私の開発した機体をね!」

 

そう正規軍人よりも堂々と言ってのける齢16歳の技術士官。

 

「取り敢えず、ラミアス大尉。我々に指示を。

生き残るには、やるしかないんだ。俺も、君達も」

 

その後、マリューの指示の下レンはスクランブル待機。

キラは連合の通信回線で呼びかけ、

ミリアリアとアルマはマリューの看病。

残るメンバーでヘリオポリス内に残るストライクの装備を

探しに行った。

 

「No.5のトレーラーあれで良いんですよね?」

 

「えぇ…ありがとう」

 

「それで?そのあと僕達は何をすれば良いんです?」

 

「ストライカーパックを。そうしたらキラ君。

もう一度通信を試してみて」

 

キラがストライクをトレーラーに近づけ、

リンザーがトレーラーを開く。

 

「何これ……砲台?」

 

新兵のリンザーにも武器の様子から何かは理解できる。

巨大な砲とガトリングと隣にあるポッド。

ロケット砲かミサイルだろう。

つまりは遠距離戦用武装だと。

 

「どれですか?パワーパックって」

 

「武器とパワーパックは一体になってるの!

そのまま装備して!」

 

 

 

「まだ解除されないのね…避難命令」

 

「親父やお袋たちも避難してるのかな……」

 

「あ~…早く家帰りてぇ」

 

ミリアリア、サイ、カズイがそんな雑談をしていると

コロニーに爆発音が響いた。

 

「くっそ、アルマ二尉!」

 

「ザフトのシグーよ!」

 

「キラに戦うなと!ガラディーン、TAKEOFF!」

 

ガラディーンが垂直離陸からスラスターを一気に更かし、

シグーへと向かっていく。

 

〘アレは連合のMAではない…とすれば〙

 

「くっそ……とんだ初実戦だぜ!」

 

『おい!そこのMA!』

 

「国際救難チャンネル?!あのMA」

 

『俺は地球連合軍所属ムウ・ラ・フラガだ!お前は』

 

「オーブ国軍曹長レン・ヤマトだ!

エンデュミオンの鷹とはな!今は余裕がない!」

 

『俺もだ!おい、戦闘機編隊(エレメント)を組むぞ!』

 

「即席だが、アンタに合わせる!」

 

〘コーディネイターいや…ナチュラルか?〙

 

ムウのメビウス・ゼロとレンのガラディーンによる

戦闘機編隊、MAパイロットであればできない訳が無い。

 

『通信は今送った!そっちに変えろ!!』

 

「了解!」

 

レンはシグーに40mm機関砲を牽制射しながら操作する。

 

『入ったな!』

 

「シグーがアンタの背後に!」

 

レンはそう言いながら対装甲リニアカノンを発射する。

一度に2門発射するリニアカノンだったが、

シグーのバーニアパーツに一発掠めただけで終わる。

 

「本当っ、コーディネイターって奴等は!」

 

『上だ!』

 

「くっそ」

 

シグーの76mmが後から迫ってくる。

 

〘予想よりも加速性能が高い…だが〙

 

「死にたくねぇんだよ!」

 

『お前マシかよ!』

 

シグーを狙おうと、

ガラディーンはハイGターンからシグーに向けて

再びリニアカノンを発射する。

 

『よっしゃぁ!』

 

シグーに命中し、爆発が起こった。

 

「いや…駄目だ!」

 

だが命中時に盾で防いだのだろう、

ガラディーンの前に76mm突撃銃がある。

今度は避けられない。

 

『相棒が見せたんだ!俺もやらねぇとなぁ!』

 

〘ええぃ…ムウ!〙

 

ガラディーンを狙っていた突撃銃を持つ腕部が

メビウス・ゼロのリニアカノンで破壊される。

 

「アンタ最高だよ!ムウ・ラ・フラガ!!」

 

そうレンが叫んだ瞬間、爆発が起こった。

 

 

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