スキンヘッド(泣)・ざ・ろっく!   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


ハゲノ存在意義

喜多さんが帰還し、バンドとして本格的(?)な活動に向かい始めて数日。今日も自分はSTARRYでバイトしています。掃除に機材運び……とにかく雑用を頑張っています。

同じ学校故に一緒に来た後藤さんと喜多さんは、スタジオの一室を借りてギターの練習しています。勿論、先生役が後藤さんで、生徒役が喜多さんです。ギターは専門外なので、自分は蚊帳の外です。教えられることもないですし、良くて練習中は録音した方が上手になりやすいとアドバイスしたくらいです。

もちろん、バンドとしての練習も自分が持っていたレコーダーで録音しています。スマホのアプリでも録音出来ますけど、レコーダーの方が使いやすいですので。伊地知さんも『レコーダーで録音なんて、ますますバンドらしくなってきたね!』と上機嫌でした。録音されたお世辞にも良いとは言えない演奏に、自分も含めた全員が落ち込みましたけど。

 

ちなみにこのレコーダーは自分で買ったものではなく、姉さんからの誕生日プレゼントです。PCMレコーダーというバンド向けのレコーダーなので、今でも現役で使えています。レコーダーがプレゼントだった理由は『上手に弾けた方が良い気分になるよ』だったかな。実際、上手に弾けた時は本当に気持ちが良くなったし。

 

それと喜多さんがギターと間違えて購入してしまった多弦ベースは、山田さんが買い取ってくれました。買い取りで得たお金でちゃんとしたギターの購入……の前に返済が最優先だったそうで、そちらは返済に回されました。なので、山田さんがコレクションしている手持ちのギターを貸し出すことで、喜多さんのギター問題は一応は解決しました。

ただ、『これで私は所持金が底をついたので、草を食べて生きていきます』と仰っていましたが。草を食べてお腹を壊しそうな気がするんですが……本当に大丈夫なのでしょうか?

 

「早いね」

 

……本当に草を食べてるんですね、山田さん。片手に持っている本も食べられる草と書かれていますし。隣にいる伊地知さんは無視していますけど、自分としては不安です。

 

「あの……お腹、壊しません……?」

「それも折り込み済」

 

お腹を壊す前提で食べているんですね。女の子がお腹を壊してトイレの住人に……

 

「……これでお薬を買って下さい」

「おお。まさかの恵み。本当にありがたや」

 

自分が差し出した千円札を、山田さんは感謝の言葉を述べて受け取りました。それも天からの恵みのように両手で掲げて。

 

「これからも私は草を食べて……」

「毛利くんの良心に付け込んで金を集ろうとしない。毛利くんもリョウにお金を与えちゃダメだよ。こんな風にすぐに付け込もうとするから」

「アッ、ハイ」

 

伊地知さんからのご忠告に、自分はすぐに頷きました。まさか罪悪感ゼロでお金を無心しようとするなんて……山田さんに良心はないのですか?

そんなこんなで。

バンドメンバーが全員揃いましたので、伊地知さんの音頭でバンドミーティングが開催されました。テーマは『より一層バンドらしい活動について』です。

 

「……コピーやカバーで練習?」

「ゴメンね毛利くん。今回は練習以外の活動で案を出して。ほら、練習ばかりだと息も詰まっちゃうしさ!」

 

自分が思い付いたことを口にしたら、伊地知さんが申し訳なさそうに案を蹴ってきました。練習以外でのバンドらしい活動……何があるんだろう?

ちなみにバンドでのコピーは完全再現で弾く演奏で、カバーは自分なりのアレンジして弾く演奏です。

 

「という訳で~~、先ずはあたしから!さっそくバンドグッズを作ってみたよ!」

「予想外に形から入ってきた!?」

 

伊地知さんは高らかに告げると、そのグッズらしいものを着けた左腕を掲げて見せびらかします。珍しく後藤さんがツッコミを入れた辺り、本当に予想外だったみたいです。

その肝心のグッズは結束バンドでしたけど。工具の方の結束バンドを巻いただけの、ちょっとしたオシャレ程度のものでしたが。きっと、そこから話を膨らませるための……

 

「ちなみに物販では一本五百円!」

「えっ!?結束バンドを巻いただけなのに!?」

「もちろん色んな色もあるよ!ちなみに百本セットで五百円で買えたよ!」

「ぼっ、ぼったくり……」

「暴利すぎる……」

 

ほ、本当に結束バンドを一本五百円で売ろうと考えていないですよね?ちょっとしたノリからの冗談なんですよね?一本一円で買ったも同然の結束バンドを、購入金額と同じ値段で売ろうだなんて。

 

「……なら、サイン付きで売ろう。一本650円で」

「安い!買います!」

 

山田さんが結束バンドにサインしながらそう口にした瞬間、喜多さんがしっかり650円を出して買おうとしていました。本当に喜多さんは山田さんが絡むと見境ないですね。

 

「他にバンドらしくなるアイディアはないかな~~?」

「はいはーいっ!もしイソスタとかやるなら、私がやります!」

 

イソスタ……イソスタ!?イソスタって、写真に撮って公開する、あのイソスタ!?

 

「いいねそれ!喜多ちゃんをSNS大臣に……って、毛利くん?」

 

ネットで拡散……炎上不可避……個人の特定……ハゲバレ……世界中への公開処刑……もしそうなったら……いや、女子高生四人に男子一人のバンドは、妬み僻みの対象になる!確実に、誹謗中傷の嵐が……!

 

「写真だけは止めて下さい!本当にどうか写真だけは!!」

「土下座するほど嫌なの!?」

 

自分の土下座に喜多さんが驚いた声を上げていますが、全世界が敵になるよりずっといいですから!!安息の地が無くなる恐怖と比べたら、一億倍マシですから!!

 

「……あ~、大丈夫だよ、毛利くん。ちゃーんと顔を隠せばバレないから」

「ホントウニ?服装デ身バレシナイ?」

「しないしない。だから、安心して。ね?」

 

……今度、フルフェイスのマスクを買おうかな?どんどん新しいショルダーキーボードから遠退いていますけど。

 

「それじゃあ、次にアイディアがある人ー」

「ファンクラブの設立。年会費は一万円」

「誰が入るの?」

「会員特典は握手会と年に一度のたこ焼きパーティー。材料はファン持ちで」

「安い!入ります!」

「喜多ちゃんはメンバーだからね?」

 

伊地知さんのツッコミが休まる気配がないですね。それと山田さん。そのファンクラブはファンに対しての特典が握手のみじゃないですか。年会費一万円とパーティー費用も自腹なんて、喜多さんくらいのイエスマンな人しか入らないじゃないですか。

 

「後藤さんと毛利くんは?」

「「ヴェ?」」

 

急に喜多さんに話を振られたことで自分は勿論、後藤さんもあたふたしています。練習以外でバンドらしい活動って……何がありましたっけ!?

 

「ぼっちちゃんは大丈夫。ぼっちちゃんには、オリジナルソングの作詞という重要な任務があるからね!」

「「……え?」」

 

後藤さんが作詞?あの、伊地知さん?自分、それ、初耳なんですけど。

 

「もう、ぼっちちゃん!毛利くんの加入前に決めたじゃん!リョウが作曲で、ぼっちちゃんが歌詞って!」

 

あっ、自分が結束バンドに入る前に決めていたんですね。

……あれ?そうなりますと……

 

伊地知さん=バンドリーダー。

山田さん=作曲担当。

後藤さん=作詞担当。

喜多さん=広報担当予定。

自分=役職なし。

 

……自分だけ、バンド活動に貢献してないです。キーボードを鳴らすだけの、ほとんどいらない子……練習中の演奏をレコーダーに記録するしかない、お荷物になりかけている子……このままあの世に逝くべきかな……?

 

「リョウ先輩の作曲!どんな曲になるのか楽しみです!もう作ってたりするんですか!?」

「ううん、イメージが湧いたらその内」

 

喜多さんの期待の声に山田さんはそう答えています。作曲山田さん、作詞後藤さん……自分が一番のお荷物……

 

「それで曲が出来たら、編曲は毛利にやらせてみるつもり」

「……ふぁい?」

 

え?急に何を言っているんですか、山田さん?何で自分が編曲を?

 

「編曲?作曲とどう違うんですか?」

「ぼっち、説明よろしく」

「え!?あっ、えっと……作曲は、メロディを作る……簡単に言えば、ゼロから一を作る作業で……編曲は、そのメロディに、楽器のコードや音色を付け足していく作業、です……」

 

山田さんに丸投げされた後藤さんの説明に、喜多さんは首を傾げ続けていますが、その説明は概ね合っています。

編曲は出来上がったメロディに、他の楽器の音色を追加していきます。ギター、ベース、ドラム……それらの楽器の音色を加えて曲のイメージを補強することで、初めて演奏が成立します。キーボードが色でギターにドラム、ベースが線と例えるなら、メロディは下書きをされた用紙といった感じだとイメージしやすいでしょうか。

 

もちろん、実際に演奏して改善点を見つけて、曲のクオリティを上げて行きますが……その編曲は、作曲をした人が行うことが多いです。作った人の方が曲のイメージがしやすいですし……なのに何故、山田さんはその編曲を自分にやらせようとするのでしょうか?

 

「まだよく分からないんだけど……その編曲もリョウ先輩がやった方が早いのでは?」

「ギターにドラム、ベースだけなら私がそのままやっても問題ない。でも、キーボードも加わるとなれば少し話は変わってくる。キーボードは()()()()()()()()()から、場合によっては演奏中に音源を切り替えたり、音自体を弄る必要もある。毛利のショルキーには基本音源だけじゃなく、好みに合わせてカスタムした音も入っている。それに、キーボーディストはその立ち位置から他の楽器の知識も必要になってくる。カスタムされた音からして、毛利もその例に洩れていない。だから適任と判断した」

「……本音は?」

「誰かと何度も相談しながら曲を完成させるのが面倒」

 

ご自身が怠けたいだけだったんですね、山田さん。質問した伊地知さんの山田さんへの視線が若干冷たくなっていますが、このまま何もしない訳にはいかないですし……

 

「あ、あの……一度だけ、やってみてよろしいでしょうか……?それで駄目でしたら、お払い箱で……」

「ん~……毛利くんが良いなら、試しにやってみてもらおうかな……?という訳で、毛利くんを編曲大臣(仮)に任命します!」

 

バンドリーダーの伊地知さんの決定で、お試しで編曲の許可が得られました。ちゃんとした楽曲になるか分かりませんけど……頑張ってやってみます。

 

「家に帰ったら各楽器のコードの再確認を……何となくじゃなくて、ちゃんと意識しないと……」

「……大丈夫なんでしょうか?」

「曲が出来てからだから、まだ時間はある。それに、基本は作詞から作曲、作曲から編曲という流れで編曲は最後だから」

「そうなんだ……頑張ってね、後藤さん!」

「え?あっ、まぁ……私にかかれば、作詞なんて……チョチョイのチョイですよ~……エヘヘ……」

 

喜多さんに期待されて嬉しそうですね。後藤さん。

 

 

~♪~♪~

 

 

ギター、ベース、ドラムのコードを改めて確認し直して早数日。本日の休日は伊地知さんからのロインで下北沢へと向かっています。後藤さんと一緒に。

 

「きょ、今日は何の集まりでしょうか……?ロインでは、現地集合としか、ありませんでしたし……」

「あっ、そっ、そうですね……」

「「…………」」

 

……凄く、気まずいです。後藤さんは何故か、処刑台に向かう受刑者みたいな顔になっていましたし。

 

「あっ、その……後藤さんの服装……学校と同じ、ですね……」

「えっ、あっ……虹夏ちゃんからの呼び出しに、慌ててしまい……咄嗟にというか反射的に……家でもジャージですし……」

 

普段からジャージを着ているんですね、後藤さん。私服の話題は……止めた方がいいですね。

下北沢に到着し、駅前で伊地知さんたちと合流すると……後藤さんは土下座しました。『約束通り歌詞を書き上げられなくてごめんなさい』という、プラカードを首もとにぶら下げて。ま、まさか……

 

「歌詞ができていない事にお怒りで……?」

「全然違うよ!?後、ぼっちちゃんもここで土下座しないで!」

 

違うんですねすみません。でしたら、今回の呼び出しは何なのでしょう?自分が疑問を感じて首を傾げていますと、後藤さんの土下座を止めさせた伊地知さんは気を取り直すように咳払いしてから告げました。

 

「今日はこの前思い付かなかったバンドらしい活動……アー写を撮るため、みんなに集まってもらいました!」

 

あーしゃ?あーしゃって何ですか?あーしゃを取る……願掛けでしょうか?

 

「アー……?」

「アーティスト写真の略称だよ、二人とも」

「そうそう。今ある結束バンドのアー写には二人が写ってないし……って、帰ろうとしない」

 

写真と知ってすぐに逃げようとしましたが、伊地知さんに呼び止められました。写真なんて、ハゲの自分には公開処刑以外の何物でもありません。

 

「本当に、写らないとダメ……?」

「今にも泣きそうな声で言わないの。毛利くんも結束バンドのメンバーだから、一緒じゃないと駄目なの。特別に帽子にマスク、サングラスはしていていいから」

「そ、それでしたら……」

 

完全に顔を隠せるのでしたら、ギリギリ耐えられると思います。完全な顔出しでしたら、後藤さんと同じく土下座してでも許しを乞いていました。

 

「それだったら、楽器も持ってきた方が良かったですね。ほら、楽器を持っているとバンドらしくありません?」

「あっ、確かに……そうですね……」

「君たちはね」

 

喜多さんの提案に後藤さんが同意した直後、伊地知さんが堅い声で声を洩らしました。

 

「絵になるのはギターやベースのような、手に持って演奏する楽器だけなんだよ?ドラムはドラムスティックだけだから、本当に可哀想なことになるんだよ?毛利くんはキーボードだけどショルキーなんだよ?同じハブられ仲間じゃないんだよ?この気持ちがみんなに分かる?」

 

伊地知さんの不満を押し殺したような言葉を聞き、その光景を想像してみます。ギター、ベース、ショルダーキーボードが写る中で、ドラムスティックだけを握るドラマー……

 

「い、一応目立ちます……?」

「それは悪目立ちだよ!」

 

伊地知さんからお叱りを受けました。

 

「可愛いじゃん」

「じゃあ次アー写を撮る時、楽器を交換しよ!」

「カッコ悪いからヤダ」

「ぬーーんっ!」

 

山田さんがフォローを入れるも、伊地知さんの提案によってあっさり崩壊。怒った伊地知さんに追いかけられることになりました。

その後はスタジオ内はお金が掛かるとか、金欠バンドマンの定番スポットは公園や階段とかの説明を受け、自分たちはアー写の撮影をしていきます。ちなみに自分と後藤さん加入前のアー写での喜多さんは、小学校の卒業写真で当日休んだ人と同じ方法で写っていました。

公園、階段、壁……下北沢におけるアー写スポットで何枚か写真を取りましたが、どれもイマイチな感じで終わっています。やはり、自分が不審者のように見えるのが原因でしょうか?

 

「ぼっちちゃんと毛利くんの写真の写りが悪いね……」

「ポツンと立っているから、まるで幽霊」

 

不審者ではなく幽霊でした。

今度は山田さんの提案で、全員が山田さんの真似をした状態で写真を撮りましたが……

 

「……普通に怖い、です」

「まるでお通夜みたいですね……」

「二人に変化がないのに、あたしと喜多ちゃんがリョウの真似をしているから余計に……」

 

伊地知さんのその言葉が全てを現していました。自分の顔はフル装備で隠れていますし、後藤さんは顔を俯けたままですし。明るいお二人が暗くなったせいで、見ている方も暗く……

 

「……一度、情報整理します?」

「それがいいかも。闇雲に撮り続けても解決しそうにないしね」

 

後藤さんが持っていた例のプラカードをお借りして、同じく持ってきていたペンもお借りして今回のアー写の押さえておくべき点を書いていきます。

バンドの方向性。金欠。公園、階段、壁、海、フェンスが定番……

先ずはバンドの方向性……バンド名が《結束バンド》ですから、分かりやすいイメージは……

 

「……結束と、団結?」

「確かにそれが一番なんだけど、それが難しいんだよねー。その中でらしさを出さないといけないし……本当にいいアイディアが思い浮かばないな~」

「でしたら私のSNSを見ます?」

 

喜多さんがそう言って、ご自身のSNS……イソスタの写真を見せてきました。友達と遊びに行った写真やこの前バイトで着たメイド服姿の写真……いつの間に撮っていたんでしょうか?仕事終わりに撮ったんですかね?あっ、山田さんから借りているギターの写真もありますね。多弦ベースの写真はなさそうですけど。

 

「おおー。さすが喜多ちゃん、写りがいいねぇ」

「ヴッ」

「後藤さん!?急に倒れてどうしたの!?」

「私は、下北沢のツチノコです……」

 

喜多さんの写真を見た後藤さんは仰向けに倒れると、ツチノコと呟いてうねうね動き始めました。

ツチノコ……存在が不確かな生物でしたよね。希少種、見つかったら大騒ぎ、周りに担ぎ上げられる……

 

「……後藤さんって目立ちたがり?」

「ゴハァッ!」

「後藤さんの口から白い何かが飛び出てきた!?本当に大丈夫なの!?」

「ぼっちちゃんは何時もこんな感じだよ。後、毛利くんって無自覚にブッスリと言葉のナイフで突き刺すよね」

「あっ、す、すみません……そんなつもりでは……」

 

率直な疑問を口にしたら、後藤さんが仰け反って撃沈しました。伊地知さんからも厳しいご指摘を受け、申し訳なく思いました。

 

「そ、そうだ!後藤さんもイソスタを始めてみたらどうかな!?トゥイッターよりイソスタを上げる人の方が多いし!」

「そうだね。メンバー個人のSNSがあった方が、バンド活動もしやすいだろうし……」

 

メンバー個人の、エス、エヌ、エス……?もし自分がそれを始めでもしたら……個人の特定で……ハゲであることがバレて……ネットのオモチャに!!

 

「あびびびゃびびゃびゃびゃあああああぁぁぁあああああびゃびゃびああぁぁぁぁぁっ」

「後藤さん!?身体が凄いことになっているんだけど!?」

「ぼっちちゃん!しっかりして……ん?ごとん?何で硬い音が―――毛利くんが石像化してる!?」

「完全に固まってるね。叩くとコンコンって鳴るし」

「なんで後藤さんだけじゃなく、毛利くんまで!?」

「どっちもSNSに反応してこうなったの!?」

 

ネットのオモチャ……デジタルタトゥーと呼ばれる、ネットの刺青……何処に行ってもハゲの人と呼ばれる恐怖……削除しても、閉鎖しても、一度拡散されれば二度と消えることはない……約束された地獄への道筋……

 

「二人とも!もうSNSはいいから戻ってきて!」

「個人アカウントは作らなくていいから!バンドのアカウントだけにするから!」

「「……ハッ!?」」

 

じ、自分は一体何をして……?何か、地獄の釜に墜ちていく光景を幻視したような……?

 

「後藤さんもだけど、毛利くんも人間を止めてますよね……」

「毛利くんはぼっちちゃんより重症だからね。話を聞く限り、イジメに近かったし……」

「それ、私も思いました。気にしすぎの域を越えていましたし……」

 

喜多さんと伊地知さんが顔を寄せて何かを呟いていますが、声が小さくて上手く聞き取れません。いえ、聞こえたらマズイ気がして、聞かないようにしているだけですけど。

その後、無難に階段に座って撮った写真がアー写として採用されました。

 

 

 




「それじゃあ、早速練習を始めましょう!」
「あっ、その前にこれのセッティングを……」
「それって……レコーダー、ですか?」
「それもPCMレコーダー。音を非圧縮で録音できるから、バンド活動においてはかなり便利」
「レコーダーで録音なんて、ますますバンドらしくなってきたね!」

~演奏終了後、録音を確認中~

「……客観的に聴くと、こうも酷く聴こえるんだね」
「私も……ギターもそうですけど声も……」
「演奏中は気付きにくいですけど……こうして聴きますと……」
「……課題が沢山」
(私、こんなに酷かったんだ……)

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