ネタバラシ
私は何時もの技術者にメンテをされている。
何時も、コーラルの奔流に飲み込まれた私をウォルターが気遣ってくれて診てもらっている。
結果はいつも通りの異常無し、
【⋯⋯レイヴン】
⋯⋯エア。
最初の世界では私は彼女と殺し合った。2回目の世界では彼女と共にカーラやチャティを裏切り、ザイレムを落とした。
【少し世界情勢を調べました。大まかには変わりませんが細かな事は色々変わっていました】
それは自分も理解している。
クロウ⋯⋯その影響はRaDをBAWSやエルカノと同格の企業として活躍し、グリッド086には人々の活気溢れる街となっていた。
しかし、分からない事も沢山有る。
何故、ウォッチポイントでスッラと共に謎の機体ゴーストが居たのか?
何故、ブルートゥが3人も居たのか?
何故、彼処でイグアスとヴォルタが来たのか?
どうして⋯⋯私は隣に居るイグアスを見る。
「何だ?野良犬⋯⋯」
『どうしてウォッチポイントに居たの?』
「あぁ?鴉野郎に聞けよ。俺はアイツに呼ばれたからな」
『そう⋯⋯』
イグアスは舌打ちして背を向けた。
【イグアス。貴方にも私の声が聞こえるのですね⋯⋯】
「ああ。今はよ〜く聞こえるぜ。耳鳴り女」
【何ですか?その変な渾名は!?】
「テメェの声は今まで耳鳴りにしか聞こえなかったんだよ!」
煩い⋯⋯
【レイヴン!】『野良犬!』『【コイツ/彼が悪い!!】』
「元気にしてるなぁ。お前等」
『クロウ⋯⋯』
俺は二人が入院?している船の中で俺は人の姿を見る。
「貴方がラウロさんですか?」
天パの老人は軽く目を見開き
「ああ⋯⋯お前さんがクロウか⋯⋯⋯ヒロキより、ナガイ教授に似てるな⋯⋯」
「そうですか?俺としては父よりも目つきとかは母に似ていると言われますけど⋯⋯」
「まっ、技研時代を知らん連中はナガイ教授を知らんから言える事だな⋯⋯621と711(イグアス)に話したい事が有るのは聞いている。614連れて行ってやれ」
四十代位の男性⋯⋯首筋から見えるデバイスから強化人間か⋯⋯
俺は614の誘導で病室の前に連れられる。
「野良犬!コイツが悪い!!」
病室から怒声が聞こえる。
「なんか耳の調子が悪いなぁ」
「では後は一人で大丈夫なんで」
俺はドアを開けて、
「元気にしてるなぁ。お前等」
「よぉ。鴉野郎」
「イグアス。お前もそろそろ名前で呼べよ。鴉野郎よりクロウの方が言いやすいだろ」
「俺がテメェに勝ったら呼んでやるよ」
俺はため息を一つ吐き、
「レイ⋯⋯それとエア⋯⋯だな」
【何故、私の事を?】
耳鳴りと言うより小さな音のようなのが聞こえる様な?
やはり俺には聞こえないか⋯⋯
「済まない。やはり俺には君の声が聞こえない⋯⋯」
【では⋯とうして私の事を⋯⋯】
クロウは懐から端末を取り出す。
「とりあえず、コイツをハッキングして発声してくれ」
『⋯⋯分かりました』
早いな。
「さて、レイ⋯⋯いや、621。少し話し合いをしよう」
『話し合いですが?』
「コーラルよ、ルビコンと共にあれ。コーラルよ、ルビコンの内にあれ。その賽は投げるべからず⋯この言葉に聞き覚えは?」
『?有りませんが⋯⋯』
『私もです⋯⋯』
「確か最初の方はお前等、土着の発言だよな」
「そっ。叔父さん等曰く、灰にまみれた警句だ。皆が言っているのはその一部だけ⋯⋯そして、二人共⋯⋯何回目だ?このルビコンに降り立って何周目何だ?」
621の無表情が崩れた。
『⋯⋯⋯3回目です』『⋯⋯⋯同じく』
その言葉に俺はそうかと考え⋯⋯⋯
「つまり、オーバーシアーと共にルビコンを焼いて、オーバーシアーを裏切りルビコンを守ったばかりか⋯⋯」
『どうしてそれを!?』
俺は以前イグアスに説明したのと同じ説明をする。
『信じられない』
『私もです』
「因みに俺はコイツの言う3週目ルートからやって来たそうだ」
『どういう事?』
「俺の覚えてる限りじゃ、お前等飼い主裏切ってオールマインドに付いて行ったぜ。まぁ、俺が、お・れ・が!お前の飼い主倒しちまったけどなっ!」
『⋯⋯ウォルターが貴方如きに倒せるとは思えない。この前のスッラ戦みたいに複数で戦ったに違いない』
「正解っ!そういえばカーラもやってたなコイツ⋯⋯」
俺は軽く怒りを抑え、話を続ける。
「そして、お前とエアはコーラルリリース⋯コーラルに意識を乗せて何時でも何処にでも居ると言い、数多のACがコーラルの輝きを灯し立ち上がった。
それが、621とエアだけなのか⋯他の誰かなのかは分からない⋯⋯しかし、その影響で、不完全ながらにもコイツとオールマインドがこの平行世界にやって来た」
『クロウ⋯⋯貴方は何がしたいの?』
「俺は⋯⋯大切な人を、友を、家族を守りたいだけだ⋯⋯まぁ、その為にオールマインド並みのガバチャーやってるけど⋯⋯ってか運命の中心であるお前をどうにかしないといけないからな⋯⋯
そう思わないか⋯⋯ウォルター⋯⋯」
俺は監視カメラに向かって話しかける。
数日後、RaDタウンにてレッドガン総長G1ミシガンとその補佐にG3五花海がやって来た。
「イグアスの奴。こんな所まで呼び出しを掛けて何を考えている?」
「まぁ、ベイラム上層部のお守りがないので気が楽ですけどね」
二人は指定された場所に辿り着いた。
部屋をノックし開けると、
RaDのシンダー・カーラ。ハンドラー・ウォルター。独立傭兵C4-621レイヴン。独立傭兵クロウとそのパートナーのクリス。
そして、G5イグアスと
「やはり、生きていたかヴォルタ」
死んだと思われたはずのG4ヴォルタであった。
「気づいていたのかよ!」
「当たり前だ!本来ブチギレているイグアスが平然としているんだぞ!」
ミシガンの言葉にイグアスはあっと声を上げた。
「まぁ、積もる話もあるだろうが先ずは座ってくれ。ミシガン総長」
「こうして、顔を合わせるのは初めてだなクロウ!ウチの役立たずを救ってくれて感謝するぞ!」
「えっと、はじめまして、クロウの彼女でウォルターの娘のクリスです」
「ほぉ~。お前さんがウォルターの娘か⋯⋯父親の陰険な所が似なくて良かったな⋯⋯」
「ミシガン⋯⋯」
「あっ⋯うん。すまん⋯⋯」
「では、話し合いを始めよう」
俺は三度同じ話をする。
「この世界がゲームの世界だとな⋯⋯巫山戯るなと言いたい所だ」
「個人的にはこの世界の一部を切り取ってゲームにしたというイメージですね⋯⋯それに最早原作のゲームとは乖離しています」
「ほう?」
「先ずはクリスの存在です」
クリスは急に言われて、「えっ?私?」驚く。
「ゲームではクリスの存在は無かった。一つもな⋯⋯
恐らくは、あの日⋯⋯ドーザーに襲われたあの日にクリスが死んでいたと思われる」
「あ〜、あの日ね⋯確かに、クロウたちが来なかったら死んでいたかも⋯⋯」
「ああ、地球の古い言葉に風が吹けば桶屋が儲かると言う言葉もある」
「聞いた事が有りますね。所謂バタフライ・エフェクトの一種だったかと聞いています」
五花海が諺を説明する。
「そう、ゲームの世界の知識を持ち、この世界に生きている俺が投じた一石がゲームとは違うシナリオを進んでいっていた」
そして、
「其処に現れた新たなイレギュラー⋯⋯レイヴンとエア⋯⋯そしてイグアスだ」
「レイヴンとエアはゲームでの主人公でレイヴンの火と言う大火を行っている。それに巻き込まれて帰ってきた可能性が有るし、イグアスはコーラルリリース。具体的には分からないが人とコーラルを一つして、進化させると言うのが621とエアの行ったコーラルリリースの場合は人間はコーラル変異体となりACは肉体となっていた」
「フンッ!クソくだらん計画だな!」
「同じく思います」
ミシガンの言葉に俺は話を続ける。
「そして最後にオールマインド⋯⋯ゲームのラスボス何だが⋯⋯ぶっちゃけた話元の世界での通称がオールドンマイやオールポンコツと呼ばれる程に残念何だ」
俺の言葉にイグアス以外はハァ?となる。
「ぶっちゃけた話、最初の俺の計画は解放戦線とRaDの戦力を増強しつつ、レイを此方側に引き込んでスネイルを即殺しておけばアーキバス側は半ば崩壊して去ると思うんだよね。そこからは交渉で解放戦線のミドル・フラットウェルにコーラルの情報を出しつつ輸出をさせずにコーラルを段階的に焼却しようと考えていました」
「ああ、アンタがチャティにシミュさせていたアレかい?」
「ええ、チャティめぇ」
俺はカーラに黙ってシミュレーションしてもらっていたのだ。男同士?の約束だろうが⋯⋯
「しかし、ルビコンの外にコーラル出させないのが解放戦線の戦う理由ではないのですか?」
「それは師父。サム・ドルマヤンの考えですね。
師叔ミドル・フラットウェルの考えはコーラルはルビコンの物資だからルビコニアンの為に使うと言うのが師叔ミドル・フラットウェルの考えですね」
「具体的にはエネルギー物質として輸出して食料等を輸入しようとするのが師叔の考え、コーラルは脅威にしかならないからルビコンの外に出すなが師父の考えです」
「ふむ、そしてそれを阻むのは封鎖機構と我々企業勢力と言う事か⋯⋯」
俺の言葉にふむふむと頷くミシガン。
「そして、此処からがオールマインドの考えてすが、
先ずは協力者が僅か3人です」
俺の言葉に少なっ!と思った人も多いだろう。
「正確にはランカーでの協力者だな。独立傭兵のスッラ。V.Ⅲオキーフ。最後にそこのイグアス」
「俺ぁ、ウォッチポイントアルファで野良犬を殺る為にだったがな⋯⋯」
「ああ、その後もゲームのレイヴンを自分の側に引き込んでザイレムの隠していたんだが、普通にオーバーシアーに負けそうになって休眠状態のレイヴンを叩き起こして、『後五分でザイレムがパスキュラープラントに打つかるから排除をお願い!』ですよ」
俺の言葉に皆うわぁって表情になる。
「しかも最終的にレイヴン裏切って、どうやったかは知らないが死んだイグアスをマインドγと言うACに乗り込み⋯⋯」
「乗り込むってのはちょっと違うな⋯⋯あの時は⋯⋯なんつーか、オールマインドの一部になってACやアレ⋯⋯何だっけな⋯⋯「機体名ALLMINDか?」それだ!それ!を身体としてたって感じだ」
「先の言った通りにレイヴンとエアはコーラルリリースを行いイグアスとオールマインドはこの世界に不完全ながらもやって来た」
俺はブルートゥのアレを見せた。
「仮称4周目オールマインドは人間の脳みそに他人の人格をコピーした物を作ってる可能性が有る。何でスッラとかじゃなくブルートゥなのかは知らないが⋯⋯」
多分、自分が増えたとかのアイデンティティの崩壊を考えた結果且手に入りやすそうな人材だったからだとは思うが、
「オーネスト・ブルートゥはこれからも増える可能性が有ると言う訳か⋯⋯」
「ああ⋯⋯ドーザーが一度に数百人消えようと不可思議と思っても誰も調べないからな」
「しかし、いくら増えようと不可能な面が有るよ」
「確かにな、奴も秘密工場を持っていたとしても使える物資は無限ではない」
「そして、その工場を抑えれば奴は何も出来ない」
話はトントンと進んでいく⋯⋯様に見えた。
「で、我々レッドガンに何をしてほしいんだ?小僧⋯⋯」
聞いてきたな⋯⋯
「レッドガンのベイラム脱却ですね⋯⋯可能であれば此方の味方をしてほしいですが⋯⋯」
「ふむ⋯⋯無理な話だな⋯⋯⋯」
ですよね〜
「此方としてはレッドガンが中立か此方側に来てくれれば助かったのですが⋯⋯」
「安心しろ!⋯⋯不確定情報をペラペラと話す趣味は無い!此方は行方不明のG4を引き取りに来た!それだけだ!」
「つー訳だ。悪いな。鴉野郎」
「まっ、独立傭兵の真似事も悪かぁ無かったぜ」
イグアスとヴォルタも立ち上がりミシガン側に立つ。
「仕方有るまい。まっ、せめてオールマインドと惑星封鎖機構には気を付けてください」
「フンッ!話の種程度には覚えといてやる!帰るぞ役立たずども!」
そうしてミシガンは帰っていった。
俺は椅子の背もたれに体重を掛けて、
「レッドガンは無理だったか⋯⋯⋯」
その後の会議はこの後をどうするかを話続けた。