おじさんが魔女裁判に連れてこられてしまったときの話 作:長雪 ぺちか
〜♩
(壮大なBGM。作曲者さんたちありがとう)
ついに始まった魔女裁判。
罪状は“城ケ崎ノアの手書きイラストを見たこと”。
他人を弁護したことはあっても自分自身を弁護したことは一度もないため緊張が走る。
《おじさん》
「それじゃあ、命乞いを始めさせてもらうね」
《城ケ崎ノア》
「うん。のあの気が変わらないうちにね」
【審問開始】
《おじさん》
「城ケ崎さんは自分の絵が見られたのが嫌だったのかな? それとも、このことを他の人にバラされるのが嫌だったのかな?」
《城ケ崎ノア》
「どっちも……かも。おじさんにも知られたくないことはあるよね?」
《おじさん》
「もちろんさ。じゃあどちらかといえば、どっちの方が嫌だったのかな?」
《城ケ崎ノア》
「…………おじさん、のあのこと誘導しようとしてる。のあその手には乗らないもん」
《おじさん》
「別にそういうつもりじゃなかったけど……まあいいか。おじさんは、絶対他の人に城ケ崎さんの秘密はバラさないよ」
《城ケ崎ノア》
「…………じゃあ、おじさんに見られたことの方が嫌だったかも」
《おじさん》
「ず、ズルい! 後出しジャンケンだ!」
《城ケ崎ノア》
「えへへ……のあ頭いいでしょ?これでおじさんの命乞いは失敗だね」
【審問終了】
《おじさん》
「城ケ崎さんはなんとしてでもおじさんを処刑したいみたいだ。理由も後出しで変えてくるし」
《おじさん》
「ただ、彼女には動揺があった。指摘して、少しでも情報を引き出すんだ」
【審問開始】
《おじさん》
「城ケ崎さんは自分の絵が見られたのが嫌だったのかな? それとも、このことを他の人にバラされるのが嫌だったのかな?」
《城ケ崎ノア》
「どっちも……かも。おじさんにも知られたくないことはあるよね?」
《おじさん》
「もちろんさ。じゃあどちらかといえば、どっちの方が嫌だったのかな?」
《城ケ崎ノア》
「…………おじさん、のあのこと誘導しようとしてる。のあその手には乗らないもん」
《おじさん》
「別にそういうつもりじゃなかったけど……まあいいか。おじさんは、絶対他の人に城ケ崎さんの秘密はバラさないよ」
《城ケ崎ノア》
「…………じゃあ、おじさんに見られたことの方が嫌だったかも」
<ガラスの割れる効果音・おじさんの論破スチル>
《おじさん》
【反論】「城ケ崎さんは嘘をついているね」
《城ケ崎ノア》
「の、のあは嘘なんてついてないよ。のあ良い子だもん」
《おじさん》
「良い子ならおじさんを殺さないでおくれ……というのはさておき、高々おじさんひとりに手書きがあまり上手じゃないということがバレたからといってあそこまで絶望するのはおかしいと思うんだ」
《おじさん》
「もしかして、少女の中に城ケ崎さんの過去を知っている者がいたりするんじゃないかな?だから、城ケ崎さんはその誰かに知られたくなくて、おじさんを殺そうとしている。違うかな?」
《城ケ崎ノア》
「…………えっ?」
《おじさん》
「え、どうかした?」
《城ケ崎ノア》
「おじさんはのあのこと知らないの?」
《おじさん》
「え? そりゃあ知らないよ。寧ろ、おじさんくらいの歳の男性が中学生くらいの少女のことを知っていたらかなり問題じゃないかな」
《城ケ崎ノア》
「……のあは高校生だよ」
《おじさん》
「なっ!?」
そんな馬鹿な! ちょっとお姉さんに見られた方が気分がいいだろうと思ってサバ読み中学生くらいとしたけど……小学生と言ってたら即殺されてもおかしくなかったかもしれない。
《城ケ崎ノア》
「なんなのその反応。のあ、すっごく馬鹿にされてる気がする」
《おじさん》
「ば、馬鹿になんてしていないよ。とにかく、おじさんは城ケ崎さんのことを本当によく知らないんだ」
《おじさん》
「おじさんが知っているのは“おじさんに話しかけてくれる優しい子”だってことと“絵を描く魔法を使える”ってことくらいだよ。あっ、あと”夏目アンアンさんと仲良し“ってこともあったかな」
《城ケ崎ノア》
「………………」
城ケ崎さんの覇気が弱まった。少しは冷静さを取り戻してくれているのかもしれない。
それよりも、さっきの城ケ崎さんの反応が気になる。城ケ崎さんの交友関係から、夏目さんに秘密を知られることが彼女の恐れることかと予想していたが……これは少し違う気もする。
まだ完全には情報がまとまらないが、城ケ崎さんを理解するきっかけは掴めた。
この調子で弁明を続けよう。