ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
今日はにこっちの誕生日ですね!おめでとう。
それでは、にっこにっこに~♪
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あ、今回は0.5話とついている通り、補足話?みたいなものです。なので今回は殆ど神綺は出ません。
今回のメインは花陽サイドですね。時間は少し巻き戻って、神綺と真姫が顔を合わせる少し前からとなります。
「...あっ」
授業も終わり、帰ろうとした花陽が教室から廊下へ出ると、真姫が何やらプリントの様なものを設置されている机から取っているのを見かけた。
「.....」
何をしているのかが気になり反射的に教室へ体を隠して半身だけを廊下に出す花陽。
そしてしばらく様子を見ていると、真姫が周りをキョロキョロ見ながら誰も居ないことを確認するような仕草をする。すると真姫は誰も居ないことに満足したのかプリントを折りたたんで昇降口へと向かっていった。
その去ってゆく後ろ姿を確認すると、花陽は真姫が持っていったプリントが積まれている机へ近づく。
「これって...」
もしやとは思っていたが、積まれているプリントは、スクールアイドルμ'sのチラシだった。
「ん?」
そしてフッとチラシの方に視線を移すと、廊下の床になにか手帳のようなものが落ちているのがわかった。
それを拾い、少し悪いと思いながらも持ち主が誰かを知るために開くと、
「っ!これって西木野さんの....」
恐らくさっき落としたのだろう。と思いながら届けようと思ったのだが、
(....西木野さんのお家知らない)
どうしたものか。
明日届ければいいのだが、拾ってしまった以上、それはなんか申し訳ない。
(あっ まだそんなに時間も経ってないし。追いかければいいんだ)
なんと簡単なことだろう。まだそう遠くへは行っていないはずだ、と結論つけた花陽はさり気なくチラシを一枚貰ってから、真姫が向かった方向へと走った。
「ふっ ふっ っ!......」
少し息は上がったものの、なんとか真姫の背中が見えてきたことから花陽は少しペースを落として真姫を追っていた。
すると真姫よりも向こうの方からこれまた見知った人影を見つける。
(あれって....斉藤先輩)
なにやら話し始めた二人。少し距離が離れているとはいえ、見つかりたくはない為花陽はまた近くのロッカーへと身を隠して様子を探る。
距離のせいか、それとも小声で話しているのかわからないが、内容はあまり聞き取れない。だが、笑顔ではないことから真剣な話なのだろう。
自分でもなにしてるんだろう、と軽く自己嫌悪しながらチラチラ見ていると話が終わったのか神綺がこちらに向かって歩きはじめた。
「っ」
このまま来られてしまっては見つかる!そう焦りながらもロッカーに思いっきり張り付いて見つからないようにしていると、幸運な事に神綺は手前の階段を降りていった。
「ほっ....あ」
見つからなかったことに安堵しながらも、真姫はどうしているかと思って身を乗り出すと真姫の姿はなかった。
それに慌てた花陽は隠れることなんて忘れて急いで真姫が通ったであろう曲がり角に出る。
すると、
「こんにちは、花陽」
なんということか。呆れ顔の真姫が廊下の壁に寄りかかっていた。
「あっ に、西木野さん....」
嵌められた。いやしかし、どうして見つかった?
「なんであなたが私の後ろをついてきてたのよ....」
「え、えっと...その...」
もう花陽の頭はパニックである。
「はぁ。....まぁいいわ。ちょど花陽とは話したいことがあったのよ。これから時間ある?」
「え?あ、うん....」
「ならよかった。ついてきて、家に案内するわ」
「....え?」
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「ここよ」
「ほぇ~....すごいなぁ」
成り行きで真姫に案内されるがままについて行くと、真姫の家へと到着する。
しかし少し想像と違っていて、あまりのも立派すぎる豪邸に花陽は思わず後ずさりをしてしまう。
「なにしてるの?入るわよ?」
そんな花陽の反応が珍しいのか、可愛らしく軽く首をかしげながらも、真姫は電子ロックの門扉を開けて花陽に入るように促す。
「お、お邪魔...します」
「ただいま~」
「お、お邪魔します」
玄関をくぐると、これまた綺麗に掃除された廊下が出迎えてくれた。
すると真姫の声に気がついたのか奥の方から女性が顔をだす。
「あら、おかえり真姫ちゃん。....あら?」
その女性は花陽に気がつくと一瞬目を見開いたが、すぐに人受けのよさそうな笑顔を浮かべる。
「あら、いらっしゃい。真姫ちゃんのお友達?」
「そんなところよ」
「は、はじめまして!同じクラスの...小泉です」
「あら、ありがとう。私は真姫ちゃんの母親よ、よろしくね」
「はい!よろしく...お願いします」
「ふふっ それじゃ真姫ちゃん。私はお茶を用意するわね」
「お願い」
そう言いながら女性はまた奥の方へ姿を消した。
「さ、こっちよ」
「う、うん」
花陽は綺麗なお母さんだなぁ、と思いながら真姫について行った。
そしてリビングに通された花陽は、部屋のそこかしこに飾ってあるトロフィーやメダルの様なものに目を奪われるも、ソファに腰掛ける。
すると真姫が先に口を開いた。
「それで、どうして私を追ってたの?」
と癖なのか前髪をクルクルと弄りながら足を組む真姫。それがどこかサマになってるなぁと思いながらも、当初の目的を果たすべく、ポケットを探る。
「そうだった。....はい、これ」
「手帳?....あ、私の...」
花陽から渡された手帳を開くと自分の名前が載っていたことに驚く真姫。
「落ちてたから....拾ったの。それで届けようと思って」
「そうだったの。....ありがとう」
そうお礼を言う真姫はどこか恥ずかしいのか目を逸らす。それに思わずクスッとしながらも花陽は次の話題を切り出す。
「そういえば...μ'sのチラシ、見てたよね?」
と探るように聞くと、真姫はあからさまに隠すように、
「わ、私が?知らないわ、人違いじゃないの?」
と顔を背けて花陽の目を見ようとしない。これではそうです、と言っているようなものである。
「でも、手帳もそこに落ちてたよ?」
これで言い逃れは出来ないだろう。
花陽にしては珍しく押し押しで話を進めてゆく。なぜだろうか、真姫の反応が面白くてつい口を開いてしまう。
「なっ!?」
それに案の定真姫は取り乱し、反射的に弁明しようと身を乗り出すも、
「うぅっ う゛ぇえええっ!?」
思いっきりテーブルの幕板にあたる所に膝をぶつけてしまい、その足を押さえるものの、バランスを崩してしまい、ソファーと一緒に倒れてしまう。
それに花陽は慌てながらも手を差し出しながら、
「だ、大丈夫?」
と真姫の元へと近づく。
それに真姫は痛がりながらも
「へ、平気よ。もぅ....変なこと言わないでよね」
と恥ずかしそうに花陽の手をとって真姫は立ち上がる。
「はぁ....よっと」
そんな花陽の思いがけない言葉に呆れながら真姫は倒れたソファを起こして元あった場所に微調整していると、フッと思い出したように花陽の方を見た。
「そういえば花陽」
「ん、なに?」
「さっき学校でなんで私に見つかったんだろうって思わなかった?」
「えっ.....う、うん。思ったよ、ちゃんと隠れてたのに」
「そうね。私は気がつかなかったわ」
「え?」
それでは矛盾している。ならなぜ真姫は花陽の存在に気がつけたのか。そして私は、というのも引っかかる。....考えられるのは、
「もしかして...斉藤先輩?」
あの場に見かけたのは真姫と神綺の2人だけ。可能性があるとすれば神綺しかない。
「正解。中々鋭いのね。私は気が付かなかったけど、先輩はわかってたらしいわよ?去り際に『小泉さんが後ろにいるから振り向かずに真っ直ぐ進んで、曲がり角で待ち伏せするんだ。そうすれば引っかかるぞ』ってね」
「ふふっ それ、先輩の真似?」
神綺が気がついていたことも驚いたが、それ以上に神綺の声真似をしている真姫の面白さに思わず笑ってしまう。
「わっ笑わないで!」
真姫自身ふざけてやったわけではなかった為尚更恥ずかしくなってしまう。そんな気を紛らわせる為に真姫は続ける。
「...本当は信じてなかったわ。でも実際待ってたらすぐにあなたが出てきた。....もぅ呆れるしか無かった」
あの人には敵わないわ、と言いながら首を横に振る真姫。それに花陽は思わず、
「そいうえば...西木野さんって斉藤先輩とはどのくらいの仲なの?」
前から気になってはいたのだ。先輩と自分が衝突した時もそう。あの時アタフタして何も出来なかった自分を冷静にしてくれたのは後から現れた西木野さんだった。
それからもどうしようかとパニックになっていた私を病室から離して外の空気を吸ったほうがいいとまで気を使ってくれた。
「仲?斉藤先輩と?.....そうね、単なる後輩と先輩よ。知り合ってまだ1ヶ月とちょっとだし」
「えぇ?!」
「な、なによ...」
「意外だなぁ、と」
「そう?」
「だって西木野さん....斉藤先輩と話してる時っていつもと違って表情豊かだし...」
「う゛ぇぇ!?」
「笑顔の時が多いし....」
「あ、あなたねぇ!」
と真姫が恥ずかしいあまりまた身を乗り出そうとした時、
「遅くなったわ。お茶持ってきたわよ~」
と母親が入ってきた為、真姫は顔を赤くしたまま、恥ずかしそうに髪を弄ってただただ、お茶を出してもらうのを待っていた。
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お茶を出してもらい、真姫の母も混じって雑談を少しした後、流れで先ほどのμ'sの話題へと戻った。ちなみに真姫の母親は用事があるらしく席を外している。
「...私がスクールアイドルに?」
お茶を飲んで一先ず落ち着いて自分のペースを取り戻したのか、いつもの見慣れた澄ました顔で花陽を見る。
「うん。私ね、いつも放課後には音楽室の近くに行ってたの。西木野さんの歌を聞きたくて」
「私の?」
「うん。ずっと聞いていたいくらい、好きなんだ」
と花陽は本心を話す。
すると真姫は背もたれに寄っかかり、目をとじる。
「....私ね、大学は医学部って決まってるの。だから音楽の道には行けない」
「そ、そうなんだ....」
花陽は少し残念に思ってしまう。あのきれいな歌声ならば、私は熱心に追いかけられただろうに、と。
でもそれは次の言葉で意味を成さなくなる。
「....ま、これが今までの私の解答ね」
「え?」
「斉藤先輩にさっきも言われたのよ。自分に素直になれって、やりたいことをやれって」
「....どういうこと?」
「私ね。今まで音楽からはできるだけ離れようとしてたの。将来は医学の道に進んで親の後を継ぐ。これはもう小さい頃から決まっていた道」
「.....」
真姫の言葉に花陽は無言で聞き入る。
「でもね、この1ヶ月で変わったわ。μ'sに出会って、斉藤先輩に出会って」
「斉藤先輩?」
「前にも言ったことあるわよね。貴方よりも前に斉藤先輩と衝突したって」
「あっ....」
「それから色々あったわ。....高坂先輩にアイドルにならないかと迫られたり、園田先輩に歌詞を渡されたり....」
「それで?」
「最後に斉藤先輩よ。あの人が居なければ私はこんなにも音楽に戻りたいなんて思わなかった。....不思議なのよ。あの人の前だとなんか調子狂うし、なんでもかんでも見透かされて先手を打たれて、考えるほうが馬鹿らしくなるわ」
と言うと真姫は軽く冷めたお茶を口に含んで喉を潤す。
「音楽室で聞かされたわ。今までの私と同じように将来の道を決められて、自分の夢を諦めるしか無かった子の末路を」
「末路...?」
真姫の言い方からしていい予感がしない。それは花陽にもわかった。
「悲惨なものよ。笑顔が消えて無表情になって、ただ淡々と決められた道を進むだけのロボットですって」
「っ」
そんな言葉に息を飲む。でもなんとなくわかってしまう。
自分は将来を決められていないからアレだが、自分の好きなもの、例えばアイドルを追うことを禁じられて別のことをやれと言われたら.....自分もそうなるような気がする。
「それを聞いてゾッとしたわ。私もそうなるのか、とね」
「それで....西木野さんは?」
「それだけはゴメンだわ。確かに、親の後を継げるのは嬉しいわ。でもそれって....本当の幸せではないわよね?度が過ぎるのは駄目だけど、完全に音楽を禁じられた人生だなんて....今まで考えないようにワザとしてたけど、一度考えたらもう無理ね。耐えられないわ」
「そう....だよね」
「だから私は音楽の道、....アイドルの方にチャレンジしてみようと思ってる」
「...そっか」
「花陽はどうなのよ。アイドル好きなんでしょ?あなたこそやったらどう?」
「それは....」
「いいんじゃない?どうせなら一緒にやる?」
「えぇ!?」
「....なんでそこで驚くのよ」
「西木野さんやるの!?」
「....あなた今まで何聞いてたのよ。アイドルにチャレンジするって言ったじゃない」
「あ、そっか....えへへ」
本当は自分がアイドルから隔離されたらどうなるかに夢中で生返事だったのだ。
「はぁ...それで?あなたはどうするの?」
「私は....」
でもあと一言が言い出せない。
「いいじゃない。やりたいならやれば。一人が嫌なら私が一緒に居てあげるわよ?」
「....どうして?」
「え?」
「どうしてそこまで私のことを?」
少し引っかかっていたのだ。自分のことを名前で呼び、斉藤先輩関連で知り合ってから学校生活においても度々助けてもらったりもした。でもなぜ?
そう聞くと真姫は照れくさそうに、
「それは.....なんかあなたとは親しくなれる気がしたからよ。....同じ斉藤先輩とぶつかった同士ね。これもナニカの縁だろうって思って勝手に名前で呼ばせてもらってもいるし、困ってそうだったら相談にも乗ったわ。.....その、順序が逆になったけど、友達になってくれない?」
と恥ずかしそうに頬をかく真姫。
「私って友達少ないのよ.....駄目かしら?」
「えっ ううん。....私で良ければ喜んで」
すると真姫はホッとしたのか。
「よかった。....それじゃ改めてよろしくね。花陽」
「う、うん。...えっと、真姫ちゃん?」
なんて呼べばいいか一瞬迷ったものの、凛ちゃんと同じくちゃん付けで呼ぶことにした。
すると真姫は嬉しいのか笑う。
「ふふっ でも話題を逸らすのは感心できないわね。どうするの?アイドルやるの?」
「.....ごめんね、もう少し考えさせて」
「...そう。ま、まだ時間はあるわ。でもあまり遅くならないようにね?あまりに遅いと私一人で行っちゃうから」