ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「戻ったぞ」
「あ、お帰り神綺君」
真姫と別れた神綺は生徒会室へと戻る。中へ入ると、希がバッグに筆記用具を仕舞っている所だった。
「ん、絵里は?」
「絵里ちならお花を摘みに行ってるよ~」
「そかそか。...さて、俺も帰る支度するか」
トイレならしゃーない。
神綺もボールペンなどを筆箱に入れて残っている書類を片付けていると不意に希がこちらに向かってきた。
「どうした?」
「今日ってさ、当番どっちだったっけ?」
てへへ、と申し訳無さそうな顔をしながら頭をかく希。本当に忘れているらしい。
「今日と明日は俺だな。明後日が希だな」
当番は交代制とはいえ、その日その日で当人の内暇な方がこなすことになっている為、結構不規則に順番が決まっているのだ。
「おー 今日は神綺君か」
「なにかリクエストはあるか?」
「うーん。....お肉!」
と目を輝かせて言う希。
「...そういや肉好きだったな、お前」
「大好きだよ!」
「んな堂々と言わんでも....」
ふふんと胸を張る希に呆れていると、生徒会室の扉が開いた。開けた主は勿論。
「ごめんなさい。遅くなったわ」
「おかえり絵里ち」
「おかえり。さ、帰るぞ」
「えぇ。....そうだ神綺君」
「ん?」
「希から聞いたわ。高坂さん達のライブ映像、あなたがやってくれたんでしょ?ありがとう」
「あぁ。お安いご用さ。....それより、絵里。答えは見つかったのか?」
あの動画の結果は上々。学院内での評判は芳しくなかったが、世間のその手の人間には認知され始めている。
それに絵里は、
「....難しいところよ。私はどうしたらいいのか、そこがわからないわ」
「絵里ち....」
「それは生徒会長だからか?」
「それもあるわ。一個人ではなく、生徒会長の私が彼女達の後押しをしたら?他の部の人がいい顔をしない。それに今回のライブもそうだけど....彼女達が成功しなければ後がないじゃない....」
「応援したい気持ちはなくもないが、かと言って応援してしまえば贔屓していると思われる。そしてそれだけに賭けるぐらいならもっと他の手もあるんじゃないか、そう言いたいのか?」
「そんなところね」
絵里は相当悩んでいるらしい。絵里が本当に困ったときにだけ見せる手の仕草を神綺は見逃さなかった。
「まぁ後者はなんともいえないが、前者に関しては今更だろ」
「え?」
「だって俺、副会長なのにあいつらに踊り教えてるんだぞ?」
絵里の言い分なら神綺自身も問題になる。なんせ副生徒会長が特定の部活に力を入れて参加しているのだから。まぁこの主張自体がめちゃくちゃなので例え話をし始めるとなにがなにやらわけわかめなのだが。
「それは....そうだけど」
「それに俺らは生徒会以前にここの生徒だ。一生徒である俺らがどこの部にも入っちゃいけないってわけではないだろ?」
「でも先代の先輩方は部活に入ってなかったわよ?」
「そりゃ普通なら生徒会と部活の両立は無理に近いからな。妥当な判断だろ」
「....そんなものかしら」
と中々引き下がらない絵里に神綺は苦笑いしていると、今までずっと絵里の方を無言で見つめていた希が口を開いた。
「絵里ちが思ってるほど、生徒会ってそんなに堅苦しいものじゃないんだよ。神綺君も言ってたけど、生徒会の人間でもあるけど音ノ木坂学院の生徒でもあるんだよ。それに校則にも生徒会の人間は部活は駄目って書いてないし」
それに、と神綺は希に続く。
「理事長も言ってただろ?楽しんで最後の高校生活を送ってくれって。お前は.....生徒会の義務感や正義感に潰されたとして...楽しいか?」
生徒会の存在意義を否定するわけではない。だが、絵里の場合は人一倍責任感が強いが為に中々決断できないんだろう。
それがわかってしまう分対応に困る。
「私は.....私は.....」
そうなにか葛藤している絵里。だが神綺にしてみれば、
(絵里は一体何がしたいんだ....?全くもって行動が読めない)
絵里が何をしたくてどこに向かいたいのか。それが全くわからないのだ。
穂乃果達の活動を根から否定している様子でもないし、かといって一緒にやりたいという様子にも見られない。
「私は.....自分がわからない」
「...というと?」
「率直に言えば高坂さん達の踊りは見るに耐えないものだったわ....」
「ま、たかが一ヶ月だ。アレだけ言っただけでも上等だ」
「でしょうね。それは私でも思うわ。.....でもそれであれだけの再生数や応援のコメントがでていることに納得がいかないの」
「ふむ。.....ま、そこがわかれば絵里もスッキリするだろ。悩め悩め」
「え?神綺君はわかるの?」
神綺のあやふやな答えに希は食い入るように神綺を見る。
「わからなくはない。なんせ自分はあのライブ会場のど真ん中で空気を生で感じてたんだ」
「それもそっかー。私はこっそり撮ってたし」
「.....」
「取り敢えず、絵里は彼女達のことをバレエから切り離して考えてみてくれよ」
「...バレエから切り離す?」
「踊りのパフォーマンスが全てじゃないってことさ。....さ、時間も時間だ。帰るぞ」
「え?あ、うん」
「...そうね」
閲覧ありがとうございます。
短い?ゆるして。集中力が持たないの。