ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
今日から凛ちゃんのスコマですね~ 孤独のランダムが楽しくてしょうがないです。
「大丈夫かなぁ....」
そう心配そうに女子生徒、花陽が教室の窓から校庭で部活をしている陸上部の様子をボーッと眺めていた。
そんな花陽に呆れながらピアノに手を走らせていたのを止めてもう一人の女子生徒、真姫も窓の方へ近づく。
「もうこれで何度目よ?先輩なら大丈夫よ、ちゃんと連れてきてくれるわ」
そう言いながら思い出すのは昼休み。授業の時間が近くなり、解散しようとした時に神綺の2人は呼び止められたのだ。そして言われたのは、
『絶対に凛ちゃんもμ'sに入れる。だから放課後は音楽室で悪いが待っていてくれ。必ず連れてくる』
「...凛ちゃんもμ'sに入れる、かぁ」
「ほんと、思い切ったことするわよね」
真姫は花陽から凛がどんな人柄なのかを大体だが教えてもらった。しかし凛には花陽の様なアイドルへの憧れもなければ、真姫の様に元々音楽に精通していたわけでもない。
「でも無理な気がするなぁ。凛ちゃんは体を動かす方が好きだもん」
「そうは言っても花陽。あの先輩よ?」
「...そうなんだよねぇ」
花陽も薄々は感じている。神綺はできると思ったことしかやらないことを。
勿論、花陽自身、凛には入って欲しいと思っている。...だが躊躇う理由を知ってしまっているが故に心境は複雑だ。
「...はぁ」
「ほら、そんなため息ついても何も変わらないわよ。私達は待ってるだけでいいんだから」
「...そうだね」
なにはともあれ真姫の言うとおり、今自分にできることは何もない。できることは待つだけだ。
そう自分に言い聞かせて花陽は窓から離れて今まで座っていた椅子に再度座り、宿題を進め始める。
それを見た真姫は少し驚くも、クスッと笑って花陽の消化している宿題へ目をやった。
「...そこ、間違ってるわよ?」
「え?」
「ほら、ここ」
「...あっ」
「そんな心ここにあらずって感じでやってもいい結果は出ないわよ?」
「でも他にやることなんて.....」
確かに真姫ならピアノを弾いて時間をつぶすこともできるだろう。だが、花陽にはすることがない。
それに真姫は顎に手をやって少し考えると、何か思いついたようだ。
「歌いましょ。ボイストレーニングってやつ?」
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「それじゃ行こうか」
「え?どこにですか?」
あれからしばらく凛の頭を撫でた後、神綺は撫でるのをやめて元きた道の方へ振り返る。
「学院だ。μ'sに入ってくれるんだろ?だったらそのことを穂乃果達に報告しなければならないだろう?」
「なるほど....でも別に今日じゃなくてもいいんじゃないですか?」
「練習は今もしてるのさ。だから今日の内にμ'sに入ることを彼女達に伝えて、明日から練習に参加してもらわないといけないからな」
まぁここまで言っても今日は無理、と言われてしまえば仕方がないが、真姫達に凛を連れて行くと言ってしまったこともあり、できればこのまま着いてきて欲しいのが本音だ。
それに凛は、
「お、明日からですかー。わかりました!行きましょう!」
とありがたしことに乗り気になってくれた。
それに内心よかった。と呟きながら神綺は凛と一緒に学院へと向かった。
「そういえば、先輩方はどこで練習をされてるんですか?」
学院へ着くと、凛は思い出したように神綺の顔を覗きこんできた。
「ふむ。朝は神田明神で、放課後は屋上でやってるな」
「え?朝もやってるんですか?」
「そうだぞ。朝練ってやつだな」
「おぉ、部活っぽいですね」
「部活申請はワケあってしてないがな、そこらの運動部よりハードだぞ。スクールアイドル」
「え゛ そうなんですか?」
「なんせ歌って踊るんだからな。体力はすごい使うぞ」
「お~」
「凛ちゃんは体動かすの好きだろ?」
「はい!大好きです」
「なら、スクールアイドルも中々楽しめると思うな。っと、ここだここ」
と着いたのは音楽室。だが、音楽室に向かった理由を知らない凛は当然ながら、
「あれ?屋上じゃないんですか?」
「ちょっと寄り道だ。....それに結構待たせちまってるようだし」
その言葉に凛はハッと目を見開く。良く耳を澄ませてみると、音楽室の中から声が聴こえるのだ。
そんな凛の反応を横目に神綺は2,3回ノックをして扉を開ける。
「すまない。遅くなった」
そう言いながら入ると、中にはお願いした通り、花陽と真姫の二人が向い合って口を開いたまま固まっていた。
「あ、かよちんに西木野さん」
そして後ろから入ってきた凛の言葉で正気に戻ったのか、2人共顔を赤くして慌て始める。
「あ、ああああれ?りり凛ちゃん!?」
「う゛ぇぇえ!?せ、先輩!?」
「なんでそんなに慌てるんだ?別に恥ずかしがることでもないだろ」
真姫の姿勢を見ていればわかる。あれは声を出しやすい姿勢で、しかも扉を開ける直前まで声がしていたのだ。
十中八九、ボイトレか、その真似事だろう。
「なっ なんで急に!?」
「ノックしたろ。まぁ、気持よく歌ってたんならわからないか。...それより連れてきたぞ、凛ちゃん」
「え?どういうことですか?」
何も聞かされずに連れて来られ、しかも昼休みにも一緒にいた花陽と真姫の二人がいたことに凛は驚きを隠せない。
そして話が見えてこない。
「ちょっとな。どうせスクールアイドルになりたいって言いに行くなら一度でみんなで行ったほうがいいだろ?だから残っててもらったんだ」
「...ってことは最初から私が参加することをわかってて?」
「いいや?ハッキリいえば、参加するって言ってくれるまで説得してたな」
と何食わぬ顔で答える神綺に凛は思わず顔を引き攣らせる。
「えぇ....」
「無駄よ、星空さん。先輩には頭では勝てないわよ」
「....それって凛が馬鹿ってこと!?」
「違うわよ....この人にはどんな手を使っても敵わないってこと。無駄に頭の回転いいんだから....」
「あはは....」
「...なぁ西木野さん。俺君に何か悪いことしたか?」
「何も?しかもこれ、褒めてるんですよ?」
「どこがだ....それより行くぞ。まだこの時間ならいるはずだ」
キィィ....
錆びついた金属が擦れる音が屋上に響く。
その音に、練習の休憩中に談笑していた穂乃果達3人は振り向く。
すると穂乃果が一番に、
「あれ?斉藤先輩じゃないですか。用事はどうされたんですか?」
と慌てるように立ち上がり、こちらに駆け足で向かってくる。
「なに、用事が終わったから顔を出しただけさ。それに俺が来たのは彼女達の付き添いだ」
「え?」
そういいながら神綺は一歩横にずれる。するとゾロゾロと後ろから真姫、花陽、凛の順に屋上へ顔をだした。
「花陽ちゃんに...西木野さんに....貴方は花陽ちゃんと一緒にいた!」
「えっと、星空凛です」
「凛ちゃんだね!よろしく!」
「....どうして私だけ苗字なのよ」
自分だけさん付けで呼ばれていることが引っかかるのか、真姫は小さく愚痴をこぼす。
しかし、その言葉は穂乃果や、隣にいた花陽にも聞こえていない。
「でもどうしたんですか?屋上にはなにもありませんよ?」
と穂乃果の後ろから海未とことりが歩いてくる。
そんな海未の言葉にことりも同じなのか、うんうんと頷いている。
「まぁ、待て待て。彼女達はお前達に話があるんだ」
それに花陽は少しの間俯くも、意を決しったのか真姫達よりも一歩前へ足を踏み出し、
「先輩方はもうご存知でしょうけど。私、小泉花陽は!...っ 声も小さいし、人見知りで、特に取り柄もありません!でも、アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!だから.....だから!自分を変えるためにも、μ'sのメンバーにしてください!」
言った。最後まで言い切った。
それに穂乃果達は目を見開く。まさかμ'sへの加入希望だとは思っていなかったのだ。しかも、今まで何度か誘っていた花陽が自分から。
そして穂乃果達は3人で一回顔を見合ってから頷き、花陽に手を差し出した。
「うん、こちらこそ。これからよろしくね、花陽ちゃん」
「っ」
「私達は歓迎しますよ。これから頑張りましょう」
それに花陽は、思わず涙が出てしまう。
前から自分のことを誘ってくれていたこともあり、断られることはないと思ってはいた。しかし、いざ本人達を目の前にした途端、頭が真っ白になって断られたら?という不安まで湧いてきてしまった。でもそれは杞憂に終わり、自分を受け入れてくれた。その安心からだろう。
「...はい!」
少し恥ずかしいが、花陽は差し出された手を握り、握手をする。
これで花陽は完全にμ'sの一員となった。
するとニッコリと黙って笑っていたことりが、
「それで?後ろのお二人は?どうするの?」
「勿論。私も参加させてもらいたいです。....曲だけ作っておいてそのままっていうのも後味悪いですから」
「素直にやりたい。だけでいいじゃないか」
「っ うるさいですよ!」
....最近西木野さんの自分への扱いが冷たい気がする。
「ふふふっ」
「貴方はどうする?」
「まだまだメンバーは募集中ですよ?」
と全てをわかっていて、態とらしく海未は凛に手を差し出す。
それに凛は頷いて、
「星空凛!一年生です。運動には自信があります!よろしくお願いします!」
と凛も力強く、海未の手を取った。
閲覧有難うございます。