ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 どうも、レイヴェルです。


第106話

「...それで?どういうつもり?」

「どう...とは?」

 先を歩いたにこは、アイドル研究部に着くやいなや思いっきり扉を閉めて振り返り、神綺に詰め寄った。

 しかし、神綺にはにこの聞いている意味がわからず、顔を引き攣らせる。

 それににこはため息をつき、ドカッと勢い良く置いてあるパイプ椅子に座り、足を組む。

「...どうして教室に来たのよ」

「そりゃお前に話があるからに決まってるだろ?」

「朝のこと?」

 にこからして見れば今朝の覗き事件のことだろうと横目で神綺を見るが、神綺は首を横に振る。

「確かに、今朝のこともある。だが、それ以前に俺は答えを聞きに来たんだ」

「答え?」

「忘れたか?ファーストライブの頃からずっと待ってたんだが?」

 そうは言ったものの、にこが忘れているとは鼻っから思っていない。忘れているなら覗きなど....彼女達に近づこうとしないだろう。

 するとにこは何度目かわからないため息をついて机にうつぶせになる。

「...にこ?」

 うつ伏せになるだけならまだ神綺も何も言わなかった。だが、にこはうつ伏せになってから一言も喋らない。

 それをおかしいと思った神綺はにこの顔が見える位置に歩いて行き、覗きこもうとするが、

「....なによ」

「いや...別に」

 それが気に入らないのか、不機嫌な顔でまた反対側の方へにこは顔を向ける。

「どうしたんだ。急に黙って」

「....」

 しかし反応はない。

 はたして何分待ったか、神綺自身もにこが何も発しなくなったことにどうしようかと頭を掻き始めた時、ボソッとにこが呟いた。

「...どうすればいいのかしらね」

「....なにがだ?」

 やっと喋ってくれた。その安堵からか神綺は肩の力が抜けるのがわかった。

「あの時、ファーストライブの時は勢いで進むって言ったけど....その後考えなおすとやっぱり怖いのよ」

「.....まぁ、一度体験してしまえばそうだよな。俺も気持ちはわかる」

 なんせ少し前まで自分も同じだったから。

「それでも神綺は進んでる。でも私は足踏み。....ねぇ、どうすれば進めるの?」

「どうすれば、か」

 しかし神綺にはその問の解をあいにく持ち合わせていない。なんせ自分で動こうとしたわけではないから。

「俺は偉そうに自分は変わった、前を向いたなんてカッコつけてはいるがな、元を辿れば変わってないんだよ」

「....もうちょっとわかりやすく言ってもらえないかしら?」

「言葉では表しにくいんだが....。まぁ、簡単にいえば、俺を動かしているのは穂乃果達だ。あいつらは俺を頼ってくれる。一生懸命に何かに向かって頑張っている。それを見ているだけで俺はなぜかやる気がでてくるのさ。要は俺は彼女達に動く為の力を貰ってるって感じ」

「ふーん....」

「それと....純粋で綺麗な世界で輝いている彼女達を見るのが好きでね」

「...なにか含みのある言い方ね」

「言ったろ?俺は前世の記憶があると」

「そういえばそんなことも言ってたわね」

「ま、信じなくてもいいんだがな。俺のいた業界はこんな生ぬるい場所じゃなかった」

「...いつまで根に持ってるのよ。安心しなさい、私はもう疑ってないわよ」

「...なに?」

 こりゃまた驚きだ。あんなにボロクソ言っていたにこが信じるだと...

「あの後頭冷やしてわかったわ。今までの行動、思考、対応、どれも並では身につかない。それも大人顔負けな程に....」

「...そりゃどうも」

「そしてあのパフォーマンス。嫌でも現実を突きつけられるってこういうことを言うんでしょうね」

 あー才能が欲しかったわ。なんてぼやきながらにこは上体をおこしてこちらを向く。

「...そんなあんただからかな。聞きたいことがあるの」

「...ん?」

「私はこれからどうしたらいいと思う?」

「...それはしたいと思うことをすればいいと思うが」

「そんな月並の言葉じゃなくて、真剣に考えて欲しいの」

「...そうは言うがな?お前が今何に悩んでいてその質問をしてきたかを知らないのに、できるわけないだろ」

「...それもそうね。実はね、最近自分がわからないの」

「....なに?」

「あんたは私に言ってくれた。一緒に進もうって。でもね、わからないのよ。自分が今、何をしたいかが」

「? アイドルを目指すんじゃないのか?」

「今まではそうだった。でもね、最近は違うの。なんでかな、不意に感じることがあるの。今の私じゃ、あの子達には敵わないってね」

「穂乃果達のことか?」

「そう。あんなにアイドルを馬鹿にしてーっなんて思ってたのに....今じゃ恐れてるのよ、自分があそこに入っても逆に潰されるって」

「潰される?」

 神綺はにこの言う言葉の意味が理解できない。それではまるで

「村八分にされるみたいな言い方だな」

「そういうつもりじゃないわよ。...私があの子達についていけないのよ。さっきあんたも言ってたでしょ?あの子達は輝いてるって」

「言ったな」

「それが私には眩しいのよ。いや、眩しすぎるわ。だから私はついていけない」

「自分も頑張って同じくらい輝こう、とは思わないのか?」

「最初はそう考えて踏みだそうとしたわ。でも現実ってものがあるじゃない?それ考えたら怖気ついたわ」

 挫折という現実を味わっているからこそ起きる不安。今の穂乃果達はいわば怖いもの知らずなのだ。

「気持ちはわからなくもない。俺も同じようなことを養成時代に経験したこともある」

「っ あるの?」

「あぁ」

「....それで、神綺はどうしたの?」

「....ガムシャラに突っ走ったな。只々技術を磨いて、点数を貰うために突っ走ってたな」

 思い出すのは養成時代、もう少しで上に行けると思った矢先、後からやってきた後期組にアッサリと抜かされた自分にとっては大事な思い出。

「それで、どうなったの?」

「必死だったからか情緒の不安定になりかけてな、コーチにストップかけられたよ。頭を冷やせってね」

「....」

「まぁ、その後は落ち着いて心を入れ替えて、着々と上に上がっていったけどな」

「...そっか」

「にことは少し違うが、挫折を味わった奴は伸びる、なんて言葉は理にかなってると我ながら思うよ」

 なんせ自分の限界を知っているんだから、後はそこを伸ばせばいい。逆に失敗を知らない奴は足元を掬われる。

「ちょっと話は脱線したが....なぁ、にこ。君は一体何がしたい。取り敢えずの本心を教えてくれ」

「本心....私の?」

「そうだ。現実とかどうでもいい、取り敢えずの本心、希望を聞かせてくれ」

 これは海未のも取った方法だが、意外と効果的だ。

「私の....本心、か。それは勿論....No.1アイドルを目指すこと」

「それは一人でないと駄目か?」

「...いいえ、上に立てればそれでいいの」

 にこも薄々気がついてきている。神綺が何をしたいのか。

「なら、俺はいいところを知っている。そうだな、μ'sっていうんだが、俺はお前に合ってると思う」

「でも言ったじゃない。私はあの子達とは肩を並べられない」

「それは違うな。いいか?それは今のにこだからだ。だがμ'sのコーチ兼マネージャーは俺だ。全員等しく開花させてやる」

「...随分大きく出たわね。滅茶苦茶よ」

「なんとでも言え、俺はお前のいうNo.1を取った男だぞ?舐めるな」

「ばっかじゃないの」

「馬鹿で結構。...いいか?強い奴が勝つんじゃない、勝った奴が強いんだ。お前は結果であるNo.1になれればそれでいい。なら、俺が鍛えてやる。No.1にしようじゃないか」

 こんなんでも神綺の言っていることは本気である。

 元々の目標は廃校を阻止する為の知名度をあげること、だが神綺はもう気がついている。穂乃果達の才能がそんなのでは収まらないことに。

 狙うなら上だ、貪欲に行く。

「人数なんて関係ない、意欲があれば俺は協力する。...どうだ?まだ怖いか?」

「....怖いなんて関係ないくらいに呆れてるわ。なによそれ」

「言っておくがお前には才能がある。人を笑わせる才能がな」

「....芸人とでも呼びたいのかしら?」

「そんなわけあるか。お前もわかってるんだろ?アイドルはなんたるか、を」

「....ファンを笑顔にすること」

「そうだ。そこに自分たちも楽しみながら、ってのが頭に付けば花まるだがな」

「...そう」

「もう一度聞くぞ?お前には才能がある。だから是非、その才能をμ'sで活かして欲しい。今のμ'sにはお前のアイドルの知識が必要なんだ」

 花陽にも同じことを、と思うかもしれない。だが、方向性が違う。花陽は一般的な、それこそ一般視点から。そしてにこは内面を見る。いや、本質を見極めるといったほうがいいかもしれない。それくらい2人は方向性が違うのだ。

「...まだ腑に落ちないけど、やってやろうじゃない。それに謝りたいこともあるしね」

 まだ不完全燃焼、と顔で丸わかりなにこだが、最初とは違い、迷いは消えているように神綺は見えた。

 にこ自身、なんとなくだが思ったのだろう。今を逃せば自分はまたあの孤独に戻るだけだ、と。だから色んな気持ちが渦巻く中、なんとか進むことを選んだ。

「助かる。それじゃぁ今日の放課後、屋上に来てくれ」

「いきなり練習?」

「顔合わせだ。遅れるなよ?」

「誰に言ってんのかしら?アイドルたるもの、遅刻なんて論外だわ」




 閲覧有難うございます。
 色々やってて更新遅れました。
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