ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

115 / 148
 どうも、レイヴェルです。


第107話

 時間がすぎるのは早いものでもう放課後。そして日々練習に励んでいる穂乃果達は今日も例外なく午後練をしようと廊下をゾロゾロと歩いていた。

 まだ3人だった頃の穂乃果達に今の光景を見せたら仰天ものだろう。

 そんな中、先頭を歩いていた穂乃果がおもむろに振り返り、各々も足を止めて穂乃果の反応を伺う。

「それでは!メンバーを新たに加えた、新星スクールアイドルμ'sの練習を始めたいと思います!」 

 と決め顔で宣言する穂乃果。しかし、それを聞いていた海未がみんなを代表して呆れながらこう言った。

「いつまで言っているんですか?凛達が入ってからもう1週間以上は経っているんですよ?」

 そう。よっぽど凛達がμ'sに入ってくれたのが嬉しいのか、人数が6人になってから毎日、放課後になってメンバー全員が集まる度に言っていたのだ。

「だって嬉しいんだもん~」

 るんるんと語尾に音符が付くぐらいに上機嫌に言う穂乃果に海未達はもう呆れてしまう。

 ここまでが、日頃絶対に通る通過点。テンプレと言うやつだ。

 そしてファーストライブの頃の掛け声での一体感が気に入ったのか、点呼を取るように穂乃果は、

「1!」

 と言えば、各々気を引き締めて順々に自分の番号を言っていく。

「くぅぅ~~~っ タマラナイね!6人だよ!6人!」

 わーい!とはしゃいでそれに釣られて凛も穂乃果に混ざってノリ始める。

 それに頭が痛くなってきた海未が眉間に手を当てていると、後ろから

「お、今日も全員揃ってるな」

 と彼女達には聞き慣れた声が聞こえた。それに振り返るとことりが第一声。

「あ、斉藤先輩!」

「こんにちは.....どうしたんですか?その格好」

 神綺に次々と挨拶をしていく中、またも海未が真っ先に日頃と違う神綺の格好に疑問を持った。

 というのも、いつもは副会長らしく、キチッと身だしなみは整えているのだが、今はネクタイも軽くゆるめ、ブレザーのボタンも外したどこぞの不良の様なだらしなさがあった。

「流石にこの湿気だとやってらんなくてね。...放課後だろ?見逃してくれ」

「...副会長ですよね?」

「当たり前だろ?だから見逃してくれって言ってるんじゃないか」

 そっちは練習着で地が薄いからいいよな、なんて悪たれをつきながらも、それを良しとしない海未のキツ目の視線にやれやれと首を振りながら神綺は身だしなみを整える。

「...これでいいだろ?」

「...まぁ、いいです。さ、行きますよ?」

 穂乃果の浮かれ様に神綺のだらけ、海未は日に日に眉間にシワが寄ってきているのではと内心ビクビクしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、

「...雨ね」

 屋上へと続く階段を登っている途中、踊り場に設置されている大きい窓からは、薄暗い灰色の雲から本降りの雨が降っていたのが見える。

 さっき神綺が湿気が多い、と言っていたのもこの雨が原因だ。

「ま、天気予報通りだろ。午後は雨って言ってたしな」

「えぇ!?傘持ってきてませんよ!」

 どうしよう!?なんて頭を抱える穂乃果。そしてその隣の花陽も地味に顔を引き攣らせているのを神綺は見逃さない。

「事務室行って借りてこい。ビニール傘ぐらいあるだろ」

 学校は知らずして傘が溜まる場所だ。出勤中の教師が急に降ってきた雨を避けるためにコンビになどでかったビニール傘が学校に残されたり、生徒が置いて行ったりと結構処分する数は少なくない。

「よし、それで帰ろう!」

「なぜ折りたたみ傘を常備していないのですか....」

「だってかさばるじゃん!」

「貴方は余計なものを鞄に入れすぎてるのではありませんか?」

「うぐっ...そんなことないもん!」

「まぁまぁ...」

 といつもの3人の世界に入り始めるが、神綺が釘を刺す。

「そこら辺にしとけ、それよりも練習どうする気だ?屋上は使えないぞ?」

「...取り敢えず行ってみよう!」

 とどのくらいの強さなのかを見たいのか穂乃果はサッサと階段を登って屋上の扉の前で外を見た。

「土砂降り...」

「梅雨入りしたって言ってたもんね」

「それにしても降り過ぎだよぉ。降水確率60%って言ってたのにっ」

 ぐぬぬ、と恨めしそうに空を見上げる穂乃果だが、

「お前天気予報見てんじゃねぇか!なんで傘持ってきてないんだよ...」

「そうですよ!」

「...60%でしょ?確率2分の1なんだからアウトゾーンじゃない」

 と神綺、海未、真姫からの容赦無い言い方に穂乃果はムッとしながら一番近くにいた真姫をターゲットにして。

「でも!昨日も一昨日も60%なのに降らなかったもん!」

 と肩を掴んで揺らし始める。

「だから2分の1なんじゃない.....」

「40%以上は降るかもと頭に入れとけ、そして降る降らない関わらず折りたたみぐらい入れとけ」

「えー!」

 とまだ不満があるのか今度は神綺をターゲットに変えてまた肩をつかもうと真姫から手を離した時、ずっと扉から外を見ていたことりが、

「あ!ちょっと明るくなってきたよ」

 と言うと今度はすごい速さで扉に張り付いて確認する。

「ほんとだ!...よしっ」

 これで時間が経てば練習できると思ったのだろう。勢い良く扉を開けた。

「...は?」

 扉を開けた?なぜ?

「やっぱり確率だよ!よかったぁ」

「このくらいなら練習できるにゃ!」

 いや、それは可笑しい。

「ですが、下は濡れているんですよ?」

「そうだ。それに風邪引くぞ。やめておけ」

 別にやろうと思えばどこでも練習はできるのだ。なにも屋上に拘る理由はない。

 だが、そんな制止の言葉は聞く耳を持たないのか穂乃果と凛の二人はまだ雨が降る中駆け出す。

「あっ おい!」

「危ないですよ!」

「大丈夫大丈夫!練習できるよ」

 足踏みや軽くジャンプをしながら様子を見る穂乃果達。そしてイケルと思ったのだろう。手招きをする穂乃果。そして急に凛が、

「うぅう~~っ テンション上がるにゃぁぁぁ!!」

 と叫びながらハンドスプリングからの前方宙返りというなんとも高レベルな動きをする凛に思わず神綺達は

「おぉ...」

 と感嘆の声を漏らす。

 そんな神綺達を横目に凛は宙返りで生まれた力で上手く濡れた地面を滑りながらクルリと回転して顔の前にピースサインを作って決めポーズを取る。

 前々から体を動かすのが好きで運動神経がいいことは知っていたが、ここまで動けるとは思わずに神綺は唖然としてしまう。

 そしてそんな神綺達を正気に戻させるかのように、一度弱まりかけた雨がまた先程の土砂降りの様に降り始めた。

「おぉ!なんかPVみたいでかっこいい!」 

 なんて今もビショビショに濡れながらもそんなの気にせずにテンションが高いお馬鹿1号。そんなことしてないで帰って来い、なんて神綺が内心ボヤいていると真姫が呆れたように

「私帰るわよ...」

 アホらしい、そう呟きながらジト目で外にいる穂乃果達を見る。それに続くように海未達も

「そうですね。...こんな天気じゃ練習なんてできっこないですもんね」

 強くなってしまった雨を見ながら撤退しようと踵を返し始める。

 それに慌てながら駆け足で外にいる二人が帰ってくる。

「えー?帰っちゃうの?」

「それじゃぁ凛達が馬鹿みたいじゃん!」

 と自分達の後に続いてくれなかったのが不満なのか凛が膨れながら外から顔を出すが、

「「「馬鹿なんです(でしょ)(だろ)」」」

 また神綺、海未、真姫の常識陣が口をそろえてそう言い切る。

「...あら?」

 そして呟き通り、階段を降りて教室に戻ろうとした真姫がなにかに気がついた。

「ん?」

 神綺は真姫が何を見たのかが気になり、下の階を覗くと、

「雨なのにいたのね....帰ろうとしてたわ」

 こちらを見上げているにこと目が合った。




 閲覧有難うございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。