ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
初めは私の気のせいかと思いました。くすぐったいような痒いような、なんとも言葉では表しにくい感覚が偶に襲ってくるんです。
そして可笑しいと思い始めて数日。私こと、南ことりはわかってしまいました。
この感覚は、練習をしている時だけ襲ってくるんです。それも無差別ではなく朝練の時で且つ神田明神で練習をしている時限定でした。
そしてお家で小説を読んでいる時にある文を見つけたんです。
『舐め回すような視線を感じる』と、いうのを。
この文が妙に頭に残りました。そして翌日にまたこの感覚が襲ってきた時に繋がったんです。これがその感覚、見られている視線なんじゃないか?と。
それからです。得体の知れない不安感に悩まされながらビクビクと朝練に参加する日々が始まりました。
そして今日も...
「っ」
来ました、嫌な感覚。もうこのせいでマトモに睡眠も出来ていません。今まではなんとか海未ちゃん達には隠してこれましたが、いつまで通せるか。...いっそ相談したほうがいいのかな?とも思いましたが、迷惑は掛けたくないので黙ったままです。
今日も仕方がない、相手も何もしてこないことだし我慢しよう、とストレッチをしようとすると後ろから、
「お、ことりか。おはよう」
「っ おはようございます斎藤先輩」
少しビックリしました。急に声が聴こえるんですもん。
「...どうした?」
「え?どうもしませんよ?」
これはちょっと不味いかもしれません。あの斎藤先輩です。絶対気がついてしまう...
「とぼけるな、目が腫れぼったいぞ。寝不足か?」
ちょっと私の顔色を見るために顔を近づけられたのは恥ずかしかったけど、それ以上に簡単に見抜かれてしまいました。ここはそれらしい理由で逃れるしか無いですね。
「え、えぇ。....最近良く眠れなくて」
「....悩み事か?聞くぞ」
まだ誰も来てないしな。なんて本当は一番言って欲しい言葉をぽんっと言ってくれる先輩ですが、こればっかりは.....
「返事がないってことは図星か?....聞くぞ、ことりも結構溜め込むタイプだからな」
うぅ....いきなりヘマをしてしまいました。海未ちゃん達ならなんとか話を反らせますが、斎藤先輩には無理です。.....白状します。
「じ、実は...最近視線を感じるんです」
「視線?まぁ、スクールアイドル始めたからそりゃ感じるだろうが....」
「それともちょっと違うんです。なんていうか....見られてる感じがして」
「覗かれてるってことか?」
流石先輩です。ちょっと遠回しになってしまったのに核心を突いてきます。
「はい。....ストーカーに似たもののような...そんな感じです」
「ストーカーだと?」
「はい...さっきも視線を感じて...」
気がつく度に振り向くんですけど、後ろには誰も居ないんです。でも振り向くと見られている感覚は消えるので、やはりストーカーで間違いないと思います。
「うーん」
....やっぱり斎藤先輩は優しいです。相談すればちゃんと親身になって一緒に考えてくれる。頼りになる先輩です。
「っ」
その時でした、もう習慣になっているからでしょうか。いつものを感じたら無意識に後ろを向くようになってしまいました。
「?」
そんな私の様子に先輩は首を傾げましたが、次の瞬間。今までに見たことがないまでに真剣な顔つきになりました。...ちょっとかっこよかったです。
「ことり、そこにいろ」
「え?」
反射的にですが聞き返してしまいました。しょうがないですよね、少し先輩の顔を見て惚けちゃいましたし。
でも私の返事なんて最初から聞いてないかのように先輩は視線のした方へ走って行ってしまいました。
.....もしかして犯人を見つけてくれたんでしょうか。
でも心配です。先輩が強いのは前に聞いたことがあります。でも相手がどんな人なのかも、何を持っているかもわからないのにああやって突っ走って行ってしまうのは少し怖いです。それだけ自信があるのかもしれません。でも、....やっぱり心配です。だって私の初めてと行っても過言ではない男の人の知り合いなんですから。
そして先輩と入れ替わるように海未ちゃんが神田明神に到着しました。
「ことり、おはようございます。....ことり?」
「え?あ、おっおはよう海未ちゃん!」
ちょっとタイミングが悪いです。これじゃぁバレちゃいます。
「...どうしたんですか?」
やっぱり気がつかれちゃいました。海未ちゃんも中々鋭いので困りものです。
「...ちょっとね」
「そうですか....他の方はまだなんですか?」
でも海未ちゃんは空気を読んでくれるので私の苦し紛れの誤魔化しに諦めて話題を変えてくれました。とても助かります。
海未ちゃんが来てから1,2分でしょうか。頭を掻きながら斎藤先輩が歩いて帰ってきました。
それに私は海未ちゃんがいるにも関わらず先輩に駆け寄って怪我がないか先輩の体をくまなく確認を始め、どこも怪我がないことにホッとしました。
「...悪いことり。逃げられた」
そう先輩はバツ悪そうに軽く頭を下げてくれました。
やっぱりさっきのは犯人を見つけてくれたみたいですね。逃げられてしまったということは、またいつか来るということですよね。
多分明日あさって、ホトボリが冷めるまでは来ないとは思いますけど、まだこの生活が続くのは辛いです。
そんな私の表情を読み取ったのか、斎藤先輩は小声でもう一度すまない、と謝ってきます。
先輩はとても頼りになります。頭も良くて、運動もできて、....でもこうやって何度も謝られてしまうと少しこっちも暗くなります。
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時間がすぎるのは早いもので、もう放課後です。あの視線を感じるのは朝だけなので、私のココロが休まるのは放課後の練習しかありません。
そうそう、結局ストーカーの件は海未ちゃんに話しちゃいました。でもおかげで少しすっきりした気がします。相談っていいですね♪
ちなみに今は矢澤にこ先輩が部長を務めるアイドル研究部にお邪魔しています。
なんでも斎藤先輩が矢澤先輩を呼んだらしいのですが、屋上でなにかを話す予定だったらしいのですがあいにくの雨、どうしようかと悩んでいると矢澤先輩から部室で話さないかと言っていただいたのでご好意に甘えてます。
でも知らない間に矢澤先輩と斎藤先輩が名前で呼び合っているのに少しモヤモヤします。なんででしょうか?
そこからはすごい展開でした。
実は矢澤先輩があの覗きの犯人だったようです。これには驚きを隠せません。
でも、身近な人で良かったとも思いました。これで全く知らない人が犯人でしたなんて言われたらそれはそれで夜寝れなくなりそうなので.....
けどひとつ許せないことがあります。
矢澤先輩は誠意を持って謝ってもらいました。なので私はもう気にしません。
ですが、さっきの斎藤先輩の口ぶりからして最初から犯人は矢澤先輩だとわかっていた様に聞こえるんです。
そこがどうしても納得いきません。今朝は逃げられてしまった、と申し訳なくしていたのに実はそれは嘘で演技だったということになるんですよ?
....これが只の八つ当たりまがいなのはわかってます。でもこれだけは気がすまないんです。今まであまり嘘をつくことがなかった先輩に嘘をつかれてしまったんです。正直傷つきました。
そして無性に腹立たしいのは一件落着とでも言って安堵したかのような斎藤先輩の表情。
まだ終わってませんよ....私はまだつらいんですよ....あ、目があいましたね。
そんなことを思っている内に口が勝手に動いてしまいました。
「....ことり?」
「あのね、斎藤先輩?」
「な、なんだ?」
どうしよう、口が止まりません。
「ちょっと来てもらえますか?」
「..わかった」
自分は何を...それにあぁ、体まで勝手に....まるで自分の体じゃないみたいです。
ひとつ気がついたことがあります。私、今までにここまで感情的になったことはあるんでしょうか。今は無性に先輩に問いただしたいっていうので頭がいっぱいなんです。
そして私は廊下に出ると部室の扉を閉めて先輩を壁へ押し付けました。
....これが壁ドンという奴なんですね。
「...ことり?」
ごめんなさい、先輩。でも抑えられないんです。
「ねぇ先輩?」
「だからなんだ...」
「今朝のことなんですけどぉ」
「...あぁ」
「最初から知ってたんですか?矢澤先輩が犯人だってことぉ」
「あ、あぁ。一応捕まえて顔も見たからな....」
やっぱりです。アウトです。悔しいです、嘘をつかれたことが。
「へぇ~ じゃぁことりに嘘ついたってことですかぁ?矢澤先輩を庇うために?」
先輩が矢澤先輩とどれだけ親しいのかはわかりません。でも小学校の頃から知り合っていた私よりも先輩を優先するのは....嫌です。
もし、先輩が朝のウチに犯人は矢澤先輩であると言ってくれていれば....私は海未ちゃんに余計な心配を掛けることもなかったし、一秒でも早く気持ちを楽にできたんです。
....なのにっ
しばらくすると、先輩は私の腕をチラッと見るとため息をつきました。
「っ」
それが私には自分に呆れているようにしか、馬鹿にされているようにしか思えませんでした。だからか私は相手が先輩なのに、普段睨みつけるなんてしないのに、キッと先輩を睨んでしまいました。
でも、
「...え?」
ぽんぽん、とどこか懐かしい感覚を頭に感じ、軽く混乱してしまいました。そして先輩が私を優しい目で、申し訳無さそうな目で見ているのを見て今までのキリキリした感情がウソのように鳴りを潜めました。
そこでです。そこで初めて、私は先輩に頭を撫でられていることを理解しました。
.....お父さんに頭を撫でられたのは何年前でしょうか。もう感覚は覚えてません。
すると先輩は小さい声ですが、まるで懺悔するようにつぶやきはじめました。
「...すまない。俺が勝手に思っていた以上にお前を不安にさせてたんだな。こればっかりは言い訳する気もない」
そう言いながら先輩は私の頭を撫でる力を少し強くし始めました。
...ちょっと髪型が変わりそうでアレですけど、悪く無いですね。
「お前は穂乃果達と違って周りに敏感で感受性も豊かだもんな。そこまで知っているのに俺は...本当に馬鹿だな」
....少し、というか盛大に私は勘違いをしていたようです。今までもそうでした。先輩は私達が困ったら一生懸命に手伝ってくれて、親身になってくれて私たちのことを気遣ってくれました。
でも私は....たった一回、先輩に嘘をつかれて、そして肩の荷が下りてホッとしている顔がまるで私のことなんてどうでもいいみたいに見えて....でも実はちゃんと見てくれていた。ただ、今回は先輩がミスをしてしまっただけ。
私は馬鹿だなぁ。
ちょっと仕返しを。少し困らせたかっただけなのに...
「せ、先輩....」
「逃げられたってのは本当だが、それは関係ないか。黙ってたのには変わりないもんな」
なんでそんなに悲しい顔をするんですか...?
「っ ことり?」
もう駄目です。このままでは泣いちゃいそうです。
でも泣いているところは見られたくないので胸をお借りしますね。
「....本当に怖かったんですからね」
念を押すように、これだけは伝えさせてもらいます。もうこんな経験はしたくありません。
結構か細いんですよ?頼れる人がいるのに頼ろうとしなかった自分が悪いんですけどね。でもやっぱり迷惑はかけたくないじゃないですか....
「...すまない」
あぁ、また頭を撫でてまらっちゃいました。とても安心しますね.....心なしか震えが治まってきましたよ。
それに先輩の手、暖かいですね....
そしてあまりにいい心地だったので寝不足もたたって、思わず寝てしまいそうになった時でした。
「う、うわぁぁ?!」
「ちょっ?!うひゃぁ!」
「「っ!?」」
急に声が聞こえてビックリしながら声のする方を向くと、穂乃果ちゃん達が四つん這いになって固まっていました。
「....なんのつもりだ」
...少し先輩の声が怖いです。さっき優しい声を聞いたせいもあるのだと思いますけど、ドスの聞いたような低い声はやっぱり聞き慣れてなくて怖いです。
でも矢澤先輩は臆することもなく立ち上がり、こちらを指差しながら言ってきました。
「あんたこそなんのつもりよ?!アイドルに恋愛は禁物なのよ!」
...今のどこに恋愛要素があったのでしょうか。...私が先輩に抱きついていたからでしょうか。でも仕方がないじゃないですか、男の人に泣き顔はあまり見せたくありません。
「今のどこに恋愛があった!?付き合ってもねぇよ!それより覗きとはいい趣味だな!えぇ?」
「先輩とことりちゃんがそんな関係だったなんて....」
「破廉恥です!?」
「だから付き合ってねぇって言ってんだろうが!」
「大胆だにゃぁ~」
「す、すごいものをみちゃった...」
「...希先輩に報告ね」
「おいお前ら!ってか真姫!希に何報告する気だ!?」
「ま、まぁまぁ...」
「お前はいいのか!?」
おっと、急に話を振られたので少し戸惑っちゃいました。でも....私と先輩ですか。
「まぁ....悪い気は、しないかな?」
なんせ先輩はかっこいいし、優しいし。旦那さんになったら楽しいだろうなーっとは思います。
『...お?』
「お?じゃねぇよ。ことりもなに言ってんだ...」
「そうよ!恋愛はアイドルには必要ないのよ!」
「お前もいつまでそれ言ってるつもりだ!てか部室にもどれ!」
そう先輩が慌てながら一喝すると、みんなが部室に帰っていきます。そこで穂乃果ちゃんが言ってましたね、いや~先輩って偶にからかうと面白いよね、と。
よくわかってるね、穂乃果ちゃん。私もそう思うよ♪
「はぁ....」
私に聞こえたんです。恐らく先輩にも今の言葉は聞こえたのでしょう、呆れてます。
でもチャンスです。呆れて下を向いている今、いつもなら身長の差で無理ですけど今ならジャンプすれば耳に届きます。
このままこの件を終わりにするのは納得いかないので、1ついやらしい手に出させてもらいます。えいっとジャンプをして先輩の耳にささやきました。
「...今度埋め合わせお願いします♪ そうすれば許してあげますよ」
今度のライブの為の布地を買うのに荷物持ちをしてもらいます。
あと....ちょっとしたデートもしたいなぁ。
閲覧有り難うございます。
私は一体何を書いているんだ....もう自分でもわけわかめですわ。
それとお気に入りガタ落ちして涙がで、でますよ。
てか今回のでどうやったらお気に入りが減るか確信しちゃいましたよ、怖いね。