ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
取り敢えず前回、前々回でことりちゃんが言っていた埋め合わせは誕生日当日に誕生日記念プラス番外編として投稿する予定です。
あとがきでもう1つお知らせというか告知がありますので、お時間ある方は見ていってください。
ではでは。
μ'sの人数が晴れて7人となって数日。
今だ梅雨の時期ではあるものの、幸運にも数日ぶりに快晴となった明るい日に、μ'sのメンバーと神綺は放課後に中庭に集められていた。
そして神綺達を待っていたのは、
「やっほ~」
「こんにちは」
穂乃果達を呼び出した張本人である希と、その付き添いである絵里だった。
「あれ、絵里までいるのか」
「希がどうしてもってね」
「....そうか」
絵里も苦労するな、と神綺が苦笑いになると、後ろにいた穂乃果が希に今誰もが思っている疑問をぶつけた。
「あの、どうして私達を?なにかあるんですか?」
すると希はいたずらな笑みで先程から背中に手を回して隠していたあるものを掲げた。
「じゃん!」
「....ビデオカメラ?」
それはファーストライブの時に穂乃果達を撮っていたのと同じビデオカメラだった。
「そうだよ~ 実は生徒会と先生方の方で話し合ってね、スクールアイドルの穂乃果ちゃんたちを取材して、記事を作って学校中に広めようってことになったんだよ」
ふふん、と胸を張る希。普通なら唯でさえ自己主張のすごい胸に無意識にだがチラッと目が行く神綺なのだが、今はそんなもの気にしていられないほどに気になることがあった。
「ま、待ってくれ。話ってなんだ。俺何も聞いてないんだが?」
仮にも副会長だ。書記の希が知っててなぜ自分には話が来ていないのか、そこがわからない。
「ん?だって神綺君、最近練習で忙しいじゃん?だから私の方から絵里ちにお願いしといたんだよ。今は大事な時期だからね!少しでも練習頑張ってもらわないと!」
「私もそれに関しては抵抗なく了承したわ。たしかに、副会長である以上、会議には出席すべき、とも思ったけど。私もあなた達の練習を妨げることはしたくなかったから」
「そ、そうか....」
その気持ちは素直に嬉しい。だが、
「だが今度からはできるだけ俺にも伝えてくれ。俺にとっての優先順位は生徒会の方が上なんだ」
「えぇ!?」
そんな神綺のカミングアウトに穂乃果達は驚きの声を上げるが、神綺にはなぜ驚くのかが全くわからなかった。
「なぜ驚くんだ?」
「え?だって先輩はいつも私達の練習を優先してくださってましたし....」
「時と場合だ。考えてみろ。生徒の長の補助的立ち位置だぞ俺は。そんな俺が生徒会の本分を放棄して部活に明け暮れてみろ。生徒からの信頼もそうだが、生徒会への不信感が強くなるだろ?それにただでさえ、お前達μ'sは俺や希といった生徒会と親しいんだ。贔屓されてると思われたらお前達にまで被害が行くぞ?それでいいのか?」
「確かに....」
「別に俺も考え無しでやってるわけじゃないし、俺がいなくても海未やにこが先陣きってトレーニング監督できるだろ」
「まぁ...できなくはないですが」
「だろ?」
「...はいはい、時間も押してるからそろそろ始めたいのだけれど」
長くなりそう、と思った絵里は無理やりにだが、神綺達の会話を止める。
「神綺君に関しては了解よ、今度からはちゃんと話を通すわ。そこまで先を考えてるとは思わなかったから...」
「別に構わない。今度から極力頼むってだけだ。それより取材ってなにをするんだ?」
「ん?そりゃ勿論このカメラでメンバー一人一人を取りながら意気込みとか聞いていけたらいいなって感じ?」
「随分と曖昧だな」
「そりゃ急な話だったからねー っと、時間が押してるのは本当だからちゃっちゃとやっちゃおう!」
まずはリーダーの穂乃果ちゃんからよろしく~と希は穂乃果の腕を引っ張って少し離れた所に立たせる。
「え、えっと?...どうすれば?」
されるがままに引っ張られて立たされた穂乃果だが、何をすればいいのかわからずに困惑の表情を浮かべる。
それに希は
「はい、笑ってー」
「うぇ!?えっと...えへへ」
と伊達に看板娘をやっていないからか、即座に笑顔...まぁ営業スマイルを浮かべる。
しかし、それに凛が茶々を入れ始める。
「それじゃ決めポーズ!」
「え?えっと...こう?」
と色々悩んだ結果、ガッツポーズの様なものをとる穂乃果すると希はそれで満足したのか、うんうんと頷きながらナレーションの様な語り口調で、
「これが音ノ木坂学院に誕生した、μ'sのリーダー、高坂穂乃果だ」
「....なにこれ」
「アホらしい」
「馬鹿じゃねぇの」
「ちょっと!?馬鹿はないんじゃないの!?」
はたから見ればアホらしい以外何ものでもないこのインタビューに、一歩離れて見ていたにこ、まき、神綺は呆れた目で希を射抜く。
「こんなしょーもないことしてなにすんだよ。ビデオで撮った所でプリントの記事にするんだろ?ボイスレコーダーで十分じゃないか」
「そうは言っても備品これしかなかったんだもん」
「だったら普通に手帳かなんかで質問形式でやれば手っ取り早いだろうが」
「でもでも、これでありのままの彼女達を撮ったものをPVとしてネットにアップすればメンバー紹介も兼ねて一石二鳥じゃない?」
と希の苦し紛れな提案に穂乃果達は目を輝かせる。
「P...V?」
「それっていいかも!これで人気がでればっ」
と大ヒットした時の想像をしているのか数人顔がにやけ始めるが、
「そんなの論外だ」
「ひどっ」
神綺の冷たい一撃により、希は軽く涙目になり始める。
「今日の神綺君なんか冷たくない!?」
「当たり前だ、馬鹿馬鹿しい」
「そうよ、希。私は神綺君達の取材をしたい、とは言ってこの案を進めたけど、PVまでOKとは言ってないわ」
「絵里ちまで!?なんで?」
「いいか?文面なら編集したりなんなりでごまかせるが、映像となったら馬鹿丸出しなのがバレるだろ?」
「それで音ノ木坂全体の品位を疑われたらたまったものじゃなないわよ...」
少なからず、絵里も日頃の穂乃果の様子を知っている為、あまり乗り気にはなれなかった。
「うぐっ...」
と言ったものの、希が本当に泣きそうになってきたのを見かねた神綺は妥協案を提示する。
「...どうして希がそこまでビデオに拘るのかは知らんが、どうしてもと言うなら普通に練習風景でも撮ればいいんじゃないのか?」
練習もありのままと言えばありのままだ。
「おぉ!その手がっ」
「確かに....それならいいかもしれないわね。丁度今日晴れてるし」
「そういえば...最近外で目一杯練習するっていうのもなかったもんね~」
なんて各々練習したがっていたのか、ノリノリなり始める。
「でもいいの?こっちはこっちで時間ないのよ?」
と後に控えている他の仕事を気に始める絵里。
「なんの用事なんだ?」
「用事と言っても書類整理とかよ」
「ならそっちを優先してくれ、俺が撮る」
「え?」
「俺も生徒会だ。今日は俺がコーチではなく副会長として当らせてもらう」
「でも悪いわよ...折角の練習なのよ?」
「構わん。それに俺も今年で受験だ。いつまでも彼女達につきっきりというわけにもいかないだろう?もうあいつらには俺の代わりになる奴がいる。抜けた所で支障はないさ」
「...神綺君が言うならそれでいいけど。でもあなたも仕事はあるんだから、程々にしてよね」
「わかってる。それと帰るときに希に俺の仕事を持ち帰るように言ってくれ。家でやる」
「それこそ不味いわよ。大事な書類だもの」
「安心しろ、理事長には話してある」
「...職権乱用ね」
「聞こえないな。...さて、そういうことだ。そっちはそっちで頑張ってくれ」
と絵里の肩をポンポンと叩きながら神綺は希の方へと歩いて行った。
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「よし、今言った通りだ。俺は録画の方に回るから練習はそうだな....海未やにこに従うようにしろ」
『はい!』
穂乃果達は急いで支度をし、屋上に集まってから数十分。先程より雲は増えたものの、雨が降るような雲は存在しない。
撮るなら今だ。
「それでは今日の練習を始めます。いつも通り各自広がってください」
テキパキとメンバーを統制してストレッチを始めるμ's。
そんな彼女達を横目に神綺は生徒会室から拝借した三脚を立ててビデオカメラを固定し始める。
するとストレッチ中ににこが少し大きな声で、
「いい神綺?絶対に可愛く撮るのよ!」
と言ってくるが、
「そんなこと気にせずいつも通りでやれ、練習風景に誰もかわいいだなんて求めてない。それよりも真剣にやれよ。可愛いよりやる気を示したほうが効果はでかいんだからな」
可愛いを求めるのはステージの上だ。練習中もブリッ子でふざけられたらたまったもんじゃない。
「わ、わかってるわよ!」
「矢澤先輩!おしゃべりは後です!」
「にこよ!」
「1,2,3,4,5,6,7,8.....」
練習を始めて何十分が経ったか、あまり気にしていないが、実は神綺。まだ録画ボタンは押していない。
「穂乃果遅れてますよ!」
「はいっ」
なぜか?それは彼女達が真剣にやっていないからだ。いや、真剣ではあるのでが、チラチラとカメラの方を見たり、変に力が入ったりしているからだ。だから神綺は録画を押さない。
撮るのはありのままの彼女達だ。なら彼女達がカメラをないものとして扱い始めるまでは神綺は絶対に録画ボタンを押さないだろう。
無論、彼女達は今もずっと神綺が録画をしていると思い込んでいるのだが、それを知る余裕はない。なんせずっと踊りっぱなしなのだ。そろそろ体力的に限界が来てもおかしくないだろう。
だが、逆に言えばそこが録画のチャンスだ。周りを気にする余裕がなくなるぐらいになればカメラを気にする余裕はなくなるからな。
それから数分後、完全に彼女達の顔つきが変わった。
というのもカメラを意識しなくなったことにより、顔に真剣さが増してでるようになったのだ。
にこや穂乃果なんかはカメラをなんとなく意識して笑顔のままやっていたりしたのだが、今はそんな余裕はなく、せっせとリズムに遅れないように集中している。
そこで神綺は初めて録画ボタンをプッシュ、画面に赤丸とRECの文字が表示された。
(やっとか。...練習を始めてから50分か。随分と長かったな)
ともあれ、これで録画をすることはできる。後は休憩の一言が出るまでずっと待つだけだ。
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神綺は今、録画を終えてカメラを返そうと生徒会室に向かっている。
録画に関してだが自分でも少し予想外だが、中々いい仕上がりになったといえるだろう。最初に比べれば体力もつき、踊りにもキレがある。
これならファーストライブを見た人からみれば一段と成長してる、と感じてもらえるのではないか。....だがなぜ希があそこまでカメラで撮るのに固執したのかが少し気になるが....本人に聞いてみるか。
コンコン
『どうぞ』
「オッス」
「あっ 神綺君!どうしたの?カメラ壊れた?」
神綺が顔を出すと、希が作業の手を止めてこちらへ歩いてきた。
「いや、録画が終わったから返しにな。...絵里は?」
「絵里ちなら教員室だよ。書類出しに行ってる」
絵里はいないのか、なら。と神綺は早速希に聞いてみることにした。
「そういえば希」
「なに?」
「今回はどうしてPVにこだわったんだ?」
「え?なんで?」
「いや、さっき言った通り別に手帳を持っての聞き取り取材でも良かったはずだ。なのにお前は頑なにこのカメラを推したろ?何か思惑があるのか?」
神綺にとって希は恩人でもあり、親友でもある。それと同時にいつも近くにいることから希が何を考えているのか大体は表情などから汲み取れるのだが、偶に今回みたく全く読めない動きをする時があるのだ。
だから神綺は聞く。こういう行動を取るときは絶対に希なりの考えがあるからだ。
「あぁ...やっぱり神綺君にはわかっちゃうか。またいつもの?」
「まぁな。...本当に希は不思議だよ。先が読めん」
元々希はタロット占いや、スピリチュアルパワーだの、どこか普通の人とは違う感性を持っている。だから最初から不思議な子だとは思っていたのだが、それでも長年磨き上げてきた観察眼で見抜けないのが少し悔しい。
「あはは....嬉しいやら悲しいやらだね。でもそんな深い意味はないよ?」
と言って神綺からカメラを受け取ると先ほど撮ったばかりの動画を見始める。
「...やっぱり」
「ん?」
「いいや?やっぱり神綺君は真面目だなーって」
「ほう?」
「こんだけ時間が経ってるのにたったの7分ってことは、それだけシャッターチャンスをジックリ見極めたってことでしょ?」
「見極めたというか。彼女達が真剣にやっているところを撮っただけだ」
そう神綺が言うと希はふふっと笑い始める。
「...なんだよ」
「ううん。嬉しいなって」
「嬉しい?」
「うん。これなら私の目指している結果に近づけると思う」
「...絵里か?」
「え?」
「ん?違うのか?」
希の考えるもの。それは恐らくμ'sの完成。今希が言った『目指している結果』でなんとか繋がった気がする。
「いや...当たってるよ」
「希が今回のPVを何かの目的で撮ろうとしてたのはわかっていたんだがな、その目的がわからなかった。だが、今お前が目指しているというのなら、それはμ'sしかない」
「...どうして?」
「だってμ'sの名前はお前がつけたんだろ?前に部屋で本を見つけたぞ」
なんせ希の使っている部屋には神話や語源といったものが載っている本が数冊置いてあったからだ。
元々家にそんな本はない。
「か、勝手に入ったの?」
「お前に断り入れてから入ったろ。パイナップル切った時に」
「あぁ、あの時か~」
休日、特にやることがない時は外に出たりするのだが、その帰りに偶々八百屋でパイナップルを買って、おやつとして希の部屋に持って行ったことがあるのだ。
「そしてそのμ'sの語源はギリシャの文芸分野の女神だったか?んで人数は9人ときた。....偶然か知らんが今は7人で、お前を入れて8人。そして残るは...」
「ま、まって!」
「ん?」
「どうして私も?」
「は?何言ってるんだ。名付け親だろ?しかも意味まできっちり調べてるときた。元々入りたくて書いたんじゃないのか?」
「でも...私は...」
いつか言った自分には合わないと言いたいのだろうが、
「いいじゃないか。やっても」
「...え?」
「やりたいんじゃないのか?知ってるぞ、影で絵里に色々説得して穂乃果達への風当たりが強くならないように仲取り持ってるの」
「えっ....」
「知らないと思ったか?あんだけ穂乃果達と会うことに抵抗を感じてた絵里がさっきはあんなに自然体でいたんだぞ?」
「だとしても...」
「あいつが一人で考えを改められるわけ無いだろ?だとすれば絵里と親しい希しかいないんだよ」
「うぅ....」
図星なのか、言い当てられて恥ずかしいらしく希は顔を赤くする。
「で、でも!それで私が入りたい理由にはっ」
「一人で入るのは抵抗があるから絵里が入るときに一緒に入ろうって魂胆だろ?」
「うぐぐ....」
「うぐぐ、ってな。それもう認めてるようなもんだぞ」
「あ゛っ!?」
「...はぁ。まぁいいさ。どうせその録画したやつを絵里に見せて刺激するんだろ?ま、頑張ってくれ」
俺は帰るぞ。と神綺は鞄に書類をサッサと詰め込んでゆく。
「ううう....神綺君には敵わないよ。本当は全てわかってたんじゃないの!?」
「いいや?希が目指してる結果があるってので色々と繋がっただけだ。偶々だ、偶々」
「嘘だ!?」
「嘘をつく必要がどこにある。....まぁいい。先に帰るぞ?夕飯支度しとくから遅くならない内に帰れよ」
「えぇー....」
「言うこと聞かない子は夕飯抜き」
「嘘です!絶対に明るい内に帰ります、はい!」
あいよ、そう言いながら神綺は軽く手てひらひらと振って生徒会室を出て昇降口へ向かった。
廊下を歩くその後ろに金髪の女子生徒が神妙な顔でポツンと立っているのに気が付かずに......
閲覧有り難うございます。
まえがきで書いた通り、9月12日。南ことりちゃんの誕生日の日についての告知をさせていただきます。
実は、夜咲麗(@K2S11)様主催の、南ことりバースデーイラスト企画というものがありまして。
南ことりちゃんの誕生日である9/12に、秋葉原にありますセガ秋葉原にて、有志で集めたイラストを展示してお祝いしよう。という企画です。
前回の高坂穂乃果生誕祭は参加できなかったのですが、今回は下手ながら私もイラストを作成し、展示して頂けることになっています。
なので、もし秋葉原にいかれる際は立ち寄ってはいかがでしょうか?
私とは比べ物にならない程の良作品が展示されると思うので、ことりちゃん好きの方は見に行ってみるのもいいと思いますよ! ちなみに私も12日当日にどんな感じか見に行く予定です。