ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 どうも、レイヴェルです。


第112話 アイドルのリーダーとは

 絵里の説得に成功した翌日の放課後。神綺は穂乃果達μ'sの部室であるアイドル研究部に顔を出していた。

「邪魔するぞ」

「あ、斎藤先輩!こんにちは」

「こんにちは。...俺が最後か」

 部室に入ると、既に穂乃果達が各々の椅子に座り、宿題をやっていたり、にこの私物を眺めたりしていた。

 ...ちなみに絵里と希はこの場にいない。というのも説得はしたものの、まだ穂乃果達に絵里達を入れてくれとは話していないからだ。

 

 

 今この時期に絵里を入れてくれと言うとする。すると、後日に控えたPVの撮影時に絵里達もメンバーだから出さなければいけなくなる。となると、ことり達衣装作り班の仕事が増えるし、徐々に決まってきている振付をもう一度考え直さなければならないのだ。

 そんな水を差すようなことをしてしまえば、絵里達の仲が必ずうまくいくとは言えなくなってしまうし、当人達のモチベーションにも繋がってしまう。

 それをよしとしなかった神綺は、絵里と希に後日改めて話しをするということで、取り敢えず生徒会の業務の方にあたってくれと頼んでおいた。

 

 

 ならもう少し後に説得なり勧誘なりすればよかったのではないか?とか思うかもしれない。

 だが、あのまま毎日の様に絵里を理事長室に向かわせてしまっては、理事長の業務の邪魔になるし、ないとは思うが、それで変に空回って問題でも起こされたら事後処理が大変だ。

 だからその可能性を早く潰して迫り来るPV撮影に全力で臨みたかったのだ。

 

 

 

「これで全員揃ったわね?」

 神綺が椅子に座るのを確認すると、にこは座っているメンバーを見渡しながら、机に肘をついて顎の前で指を組んだ。

「どうしたんだ?今日は練習休みだろ?」

 数日前に、毎日練習となると疲れて勉強をする時間が取れない。と数人から声が上がり、暫定的ではあるものの、週6の練習を週4にしたのだ。その為今日は休みで家で勉強...のはずだったのだが、この場を仕切っているにこに急遽呼びだされたためここにいる。

「えぇ、そうよ。だからこそ今日呼んだのよ」

「全員を集めるとなると...スクールアイドルのこれからについてですか?」

 顎に手をやりながら、にこが呼び出しをした理由を真剣に考える海未。それを肯定するようににこは頷いた。

「その通りよ。前のPV撮影の時や日頃の練習もそう。私思ったのよ、このμ'sのリーダーには誰がふさわしいのかって」

「リーダー?なぜまた急に?」

「そうですよ。リーダーは穂乃果じゃないですか」

「そうね。でも今はその時とは状況が違うわ。私もそうだけど、一年生も入った。ここはもう一度誰がリーダーとして本当にふさわしいのか考えなおすべきだと私は思うのよ」

「なるほどな」

 神綺もにこの言い分には賛成だ。別に自分は関わりがないからどうでもいいのだが、彼女達が決めたいのであれば止めはしない。

「リーダーねぇ...」

「私は今までどおり穂乃果ちゃんでいいと思うけど...」

「駄目よ。さっきも言ったけど、PV撮影の時思ったわ。この子はリーダーに向いてないわ!」

 と穂乃果を見ながら言い放つにこに、さり気なく真姫が

「それはそうね」

 と同調した。...おいおい、それでいいのか穂乃果。

「ですが...」

「なら、はやく決めた方がいいでしょう?PVだってあるし」

 と海未の言葉を遮り、にこが話を進めようとする。だが、これは流石に強引すぎる。少しテンションダウンをさせてもらう。

「まぁ、待てにこ。そういうのは勝手だが、なぜ穂乃果が向いていないのか。そこをシッカリ教えてくれ」

「あら、神綺ならわかってるんじゃないの?なぜこの子がリーダーに向いていないか」

 と試すような目で聞いてくるが、神綺は表情1つ変えずに本心を言う。

「俺からすれば、穂乃果がリーダーに向いていないとは思えないんだがな」

「はぁ!?なんでよ!」

「だから俺が聞いてるんだろう?なぜ穂乃果をリーダーにしたくないかを」

「うぐ....いいわ。まずいつも練習を仕切っているのは誰?」

「海未かにこだな」

「えぇそうね。次、作詞作曲は?」

「そりゃ海未に真姫だな」

「...次、衣装作りや振付は?」

「にこにことりだな」

「....じゃぁ逆に穂乃果は何をしてる?」

「....なるほどな。お前は何もしていない穂乃果がリーダーなのがおかしいってわけな」

「そうよ!海未とかならともかく、穂乃果がリーダーなのが気に入らないわ」

「え!?わ、私ですか!?」

 急に候補として上がってしまった海未は目を丸くして声を上げる。

「そうだよ海未ちゃん!向いてるかもだよ!リーダー!」

「ちょっと待ちなさいよ!なんで海未になりそうな雰囲気になってるのよ!」

「そうですよ!...あのですね、穂乃果。それでいいのですか?」

「へ?」

「リーダーの座を奪われようとしているのですよ?」

「うん、それが?」

 それがなに?本当にそうとしか思っていないようで、周りで見て言えうこちらが呆れてしまう。

「...お前はリーダーとしてのこだわりや執着はないのか?」

「え?だってリーダーが変わったってメンバーが変わるわけじゃないし....今までと一緒でしょ?」

 おいおい...それでいいのか穂乃果。

 そう神綺が呆れて言葉を失っていると、穂乃果の向かい側に座っていた花陽が身を乗り出した。

「で、でも!踊るときにセンターじゃなくなるかもですよ!?」

 すると穂乃果は考えていなかったのか、納得したように

「おぉそうか!うーむ」

 しばらく考えこむような仕草をするが、

「まぁいいや~」

『えぇ!?』

 そんなあまりにも脳天気な声に皆は脱力を余儀なくされる。

「それで本当にいいのですか!?」

「じゃぁリーダーは海未ちゃんということで~」

 となぜかリーダーを海未で決定。といった感じで話を終わらせようとするも、海未は顔を俯かせて小さい声で訴える。

「ま、待ってください...無理ですよぅ...」

「面倒な人」

「まぁまぁ。取り敢えず、にこ」

「...なによ」

「お前が穂乃果を良しとしない理由はわかった。じゃぁ逆にお前が思い描くリーダー像なんだ?」

「そうね。....皆これを見て頂戴」

 そう言いながらにこは後ろに鎮座しているホワイトボードの面を裏返した。するとズラズラとなにかが書かれていた。

「リーダーとは!まず第一に、誰よりも熱い情熱を持ってみんなを引っ張っていけること!」

 ふむ。まぁ妥当な所だな。

「次に!精神的支柱になれるだけの懐の大きさを持った人間であること」

 なるほど。メンバー全体のモチベーション維持に必要ってことか。

「そしてなにより!メンバーから尊敬される存在であること!...この条件を全て備えたメンバーとなるとっ」

「....やっぱり海未先輩かにゃ?」

「なんでやねん!」

 .....色々と突っ込みたいところはあるが、まずは

「まぁこの中にはいないな。そんな超人じみたリーダー気質の奴は」

「なっ なんですってぇ!?」

「おいおい...にこ。お前がリーダーになりたいってのは重々伝わった。でもな?お前にその全てがあると思うか?...悪いが俺にはそうは思えない」

 残念ながら、にこには精神的支柱になってくれるほど突っ込んだことはできない。

 にこは真面目だ。真面目ということは、失敗などをした時にすぐに原因究明などの分析をするだろう。だが、その過程で落ち込んだりしてみろ。

 支柱になってしまえば全体の士気に関わる。

 こういうのは穂乃果みたいに、少しズレていてそれでいて行動力のあるやつが向いている。

 ....俺も穂乃果のままでいいと思うんだがな。

「ぐぬぬ....じゃぁ神綺は誰がリーダーなら良いっていうのよ!」

 おっと、丁度タイムリーなものがきたな。

「俺は素直を穂乃果を推薦する」

「なっ....」

「正直な所、穂乃果かにこの二択なんだが....にこ、お前はリーダーには向いていない。なぜならお前を止める人間がいないからだ」

「...どういうこと?」

「さっき凛が言ったよな。ことりは副リーダーって感じだと。実際俺もそう思うし、海未もどちらかと言えばサポート側だ。でもお前はそういう止めてくれる奴がいないだろう?この中じゃ最上級生はお前だけだ。学年が上だから従えと言ってしまえばそれで終わりだろう?」

「っ....なら神綺が止めればいいじゃない!」

 過去のことを思い出したのだろう。どこか必死だ。

「俺は生徒会がある。お前達に四六時中付き合えるとは言えないんだ」

「...ならあの時の言葉は嘘だっていうの?」

「...なに?」

 神綺もそうだが、穂乃果達もにこの意味ありげな言葉に眉を潜める。

「穂乃果達がライブをやった日のこと、忘れたの?あの時あんた言ったわよね。一緒に進んでくれるって。.....アレは嘘で私を見捨てるの...?」

「えっ...」

「いいや、それは違う。そもそもが間違っているんだ。俺はコーチだ。メンバーであるお前達にあまり口出しはしたくないんだが....これで変な結果になったりしたら士気に関わるだろう?だから俺は客観的に言っているだけだ。俺はお前に言ったことに嘘はついていない。それでもお前がリーダーになるんであれば俺は出来る限りのことをしようと思う」

「ちょ、ちょっと待って下さい。...その、何の話ですか?」

「お前達のライブの前ににこを呼びに行ってな。その時に少し話したんだ」

「...告白?」

「ばっ 違うわよ!」

「なーっんだ。てっきり斎藤先輩がにこ先輩と付き合ってるのかと思っちゃった」

「....どうしてそうなる?」

「そりゃ一緒に進むとか、今の雰囲気からして寄り添って歩くみたいにも聞こえるじゃない。そしたら普通にプロポーズよ」

「ふむ...」

 中々に難しいものだ。

「あんたも何真剣に考えてるのよ!?アイドルに恋愛はタブーなのよ!」

「はいはい。それじゃぁどうするのよ。多数決でもして決める?」

「....なら良い考えがあるわ」

 まだ腑に落ちない所があるようだが、にこは気持ちを入れ替えて徐ろに手帳を取り出しながらそう言った。




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