ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 よっしゃぁ!

 脅威の18時間睡眠をやり遂げてから頭がろくに回らない状態で執筆したんですけどなんとか書き終わりました!

 いや~一時期はどうなるかと思いましたよ
 今日が休みでよかった(震え声)

 そうそう、今回でお見舞いは終わりです。


第117話 

「んん...」

 

 瞼を閉じてからどれくらい経ったのか。ゆっくりと意識が覚醒した俺はうっすらと目を開けながら何時かと置き時計の方へ視線を向けると、

 

「....おいおい」

 

 なぜか知らないが、ことりがくうくうと規則正しい寝息をたてながら俺のベットの横に持ってきた椅子に座りながら寝ていた。

 

 一瞬ことりを起こそうかと手を伸ばしたが、ことりが寝るほど自分は寝てしまったのか?と俺は軽く戦慄しながら改めて時計の方を見る。だがそんな心配も杞憂で、自分が寝始めてから1時間も経っていなかった。

 

「よかった...おい、ことり...ことり」

 

 ぽんぽんと優しくことりの肩を揺さぶり、目を覚まさせる。

 

「...んにゃっ...んー?」

 

 んにゃっておい...いくら起こされてびっくりしたからってその反応はどうなんだ。

 

「おはよう、だな」

 

「あ、先輩...?....あれ?」

 

 ボーッとした顔で俺の顔をしばらく見つめていると、急にキョロキョロと見回し始めた。...寝ぼけてるのか?

 

 あ、固まった。

 

 

「あ、そっか...私寝ちゃったんだ」

 

「ずっと俺を看ててくれたのか?」

 

「あ、はい。洗濯物を取り込んだ後...何気なく先輩の様子を見に来たら魘されていたようだったので心配で」

 

「魘される...か。実感ないな」

 

 今まで俺は魘されたことがあるのかもわからないが、とりあえずドラマとか小説とかの演出である脂汗とかはかいていない。

 

「軽いうめき声みたいのをあげながら先輩震えてました」

 

「震える?」

 

 おいそれ病的にやべぇんじゃねえか?...大丈夫か俺?

 

「はい。何かに怯えるような、そんな感じです」

 

 そうは言うが全く身に覚えがない。夢ってのは何を見たかまでは覚えていないにしても見たかどうかはわかるもんだろ?...意外と気がつかない夢ってのも多いのかもな。

 

「そうか...」

 

「それよりも先輩、顔色はだいぶ良さそうですけど体調はどうですか?」

 

「...そういえばなんともないな。薬のおかげか、頭痛もだるさもない」

 

 少し辺りを見渡したり、手を握ったりするがなんともない。

 

「まぁ、元が寝不足だからな。寝てスッキリしたんだろ」

 

「よかった...あ、とりあえず体温計をどうぞ」

 

「あ、ありがとう」

 

 なぜ体温計のある場所を知っているかは謎だが、探してくれたのだろう。...至れり尽くせりだな。

 

 っと、そういえば...

 

「ん、にこや真姫はどうした?」

 

 ことりの安堵する顔を見て俺は二人のことを思い出す。

 

「あ、にこ先輩は妹さん達の世話があるからと先に帰られました」

 

「そうか...なら真姫は?」

 

「真姫ちゃんは....あ、メールが来てました。用事があるから帰ります、と。あはは...私寝てたのでその間に帰ったのかと」

 

「なら残ってるのはことりだけか」

 

「そうなりますね...あ、そうだ。実は真姫ちゃん達とりんごを買ってきたんです。剥きましょうか?」

 

「なに...?じゃぁ、お願いできるか?」

 

「わかりました♪」

 

 お見舞いに果物まで持ってくるとは...予想以上にシッカリしているんだな。本当は断ることも考えたが、折角買ってきてくれたんだ。好意に甘えさせてもらおう。

 

 しかし本当にダルさがないな。これなら明日は普通に登校できそうだ。

 

「戻りましたー」

 

「早くないか?」

 

 いくらなんでもりんごを剥くには...あぁ、なるほど。

 

「ちょっと果物ナイフを探してただけですから。これから剥きますね」

 

「あぁ....」

 

 だがなんというか...別にことりの腕を疑うわけではないが、指を切るんじゃないかとヒヤヒヤしてしまう。

 

 とは言ったものの、皮を全て剥くのではなく、持ってきたまな板の上で8等分にすると、可愛いうさぎ型にしていく。人生で初めてうさぎ型のりんごを食べるかもしれない。

 

「はい、どうぞ♪」

 

「あぁ、ありがとう....いただきます」

 

 折角可愛くしたうさぎりんごを食べるのは抵抗があるが、意を決して口に入れる。シャクッとりんご特有の歯ごたえを楽しみながら、じんわり広がる甘みをジックリ味わった。

 

「甘いな」

 

 けどなぜだろうか、たかがりんごを食べただけなのに心臓の辺りが熱くなっていく気がする。...胃が急に食べたりんごに驚いているだけか? いやわからない。...なんなんだ、この気持ちは!?

 

「...先輩?」

 

「...なんだ?」

 

 怪訝な顔をして顔色を見てくることりを不思議に思っていると、予想外な言葉が出てきた。

 

「なんで泣いてるんですか?」

 

「え?....泣いてる?」

 

 言われてみればなにかが頬を伝う感じがし、そこに手をあててみると手が濡れた。...涙?

 

「お気に召しませんでしたか?」

 

「いや...そんなことは...なんで俺は泣いているんだ?」

 

 それに胸は熱いままだし....おかしい、俺はただ懐かしいと思っていただけだ。

 

「...ん?懐かしい?」

 

「?」

 

 そうだ。俺は懐かしいと思った。じゃぁ何を?りんごをだ。なぜ?それはうさぎ型に...いや、俺の母さんはそんな面倒なことはしなかった。じゃぁなんだ。

 

「...先輩?」

 

「っ!」

 

 混乱しはじめた俺は不意に首を傾げながら不思議そうな顔をしていることりを見てフッと思い出す。前世で今のように風邪を引いた俺が布団で寝ていて、母さんが看病をしてくれていたのを。

 

 ...あの頃は何かを...多分養成時代だろうか。受からなければ、と無理をして風邪をひいた気がする。

 

「...そうか」

 

 この涙の理由が少しわかった気がする。

 

 俺は寂しかったのかもしれない。この世界に生まれ変わり、親にそこまで甘える事もなく、心配をかけまいといつも気を張っていい子を演じてきて数十年。

 

 確かに俺は仕送りまで貰って家もそのまま。十分甘えているが意味が違う。

 ...俺は今まで愛情を欲した甘えをしたことがない。

 

 だから俺は懐かしいと思ったんだ。ことりの優しさといつかか忘れた母さんの優しさを重ねて...

 

『いつかわかる時がくるよ』

 

「!?」

 

 そうだ。俺はあいつに...希に言われていた。

 

 あれは確か俺が一人暮らしを始めた時に寂しくないのかと聞かれた時だ...

 

 随分日にちが経ったがやっとわかったよ、希。

 

 希の言う通り、寂しいな...

 

 だが涙の理由がわかったからだろうか、寂しいが...なぜか笑いがこみ上げてくる。とても清々しい気分だ。

 

「あの...大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ...ありがとうな、ことり」

 

 状況が飲み込めず、怪訝を通り越してオロオロしはじめたことりの頭を優しく撫でる。

 

「あっ...」

 

「ありがとう...ことり。大事な何かに気がつけた気がする」

 

 そういえば、記憶が戻ってから数回連絡したきり、母さん達とは話してなかったな。

 

 ...後で久しぶりに電話してみるか。

 

「そうですか?...急に先輩がコロコロ表情を変えるもんだから困っちゃいましたよ」

 

「すまん。けどもう大丈夫だ、ありがとう」

 

「えへへ...あっ りんごもっと食べますか?」

 

「あぁ...頂くよ」

 

 

 

 

-----------------------

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末さまでした♪」

 

 今度真姫とにこにもお礼を言わなきゃな。

 

「あ、そうだった。さっき真姫ちゃんが浴槽を洗ってくれてましたよ」

 

「なに?そりゃ助かる...」

 

 今の俺なら普通に洗えるが、今から洗ってたら沸かすときに浴槽が濡れたまんまだからな...それはちょっと気分的に遠慮したい。

 

「ことりも悪かったな」

 

「え?なんで先輩が謝るんですか?」

 

「ことりも眠ってたろ?それだけ疲れてるって証拠だ」

 

「へ?あっ いやっ あれは...その...」

 

「ん?」

 

 あたふたと顔を赤くすることりに俺は首を傾げる。するとボソッと、

 

「その...先輩が魘されていたというのは言いましたよね?」

 

「あぁ」

 

「それで...最初は先輩の手を握っていたんです。そしたら先輩が落ち着いていって...」

 

「へぇ」

 

 手をねぇ....不思議なもんだ。

 

「先輩の穏やかな寝顔を見てたら...段々眠くなっちゃって」

 

 えへへ、と恥ずかしそうに笑うことりに俺は思わず笑ってしまう。

 

「おいおい...あくびじゃないんだからよ」

 

「し、しょうがないじゃないですか! ってかそれよりもですよ。私達こそ、ごめんなさい」

 

「...なんでことりが謝るんだ?」

 

 それに達って、まさか穂乃果達もってことか?

 

「私達がなんでもかんでも先輩に押し付けてしまったせいでこんなことに...」

 

「あーそれは違うぞ?これは俺の自業自得だ」

 

 自分の力量を見誤って突っ走った結果だ。別にことりは悪く無い。むしろ。

 

「俺が勝手に背負って自爆した後始末をこうしてやってもらっちゃってるからな」

 

「それは違いますよ、私達が率先してやってるんです」

 

「...そうか。ありがとう」

 

「今度からは私達も頑張ります。先輩ばっかりに荷物を背負ってほしくありません」

 

「しかしだな...」

 

 彼女達は光だ。スポットライトを浴びて、輝いていればいい。練習メニューやスケジュール、企画整理は影である俺の仕事だ。ことり達がやるべきことではない。それがアイドルのマネージャーだ。

 

「先輩?」

 

「なんだ?」

 

「先輩は勘違いしてますよ?」

 

「...なんだって?」

 

「確認の為に質問します。先輩はμ'sにとってなんですか?」

 

「μ'sにとって?...ん?よくわからないが俺はマネージャーだ」

 

「...はぁ」

 

 おい、どうしてため息をつく。そういう意味で聞いたんじゃなかったのか?

 

「やっぱり勘違いしてましたね。先輩、私達...穂乃果ちゃんやにこ先輩もそうですけど皆先輩のことをマネージャーとしてではなく、一人のメンバーとして見てます」

 

「...はぁ。それで?」

 

 ことりの言っていることがイマイチ理解できない。

 

「ですから、先輩は私達と立場は一緒ってことですよ」

 

「...?」

 

 何を言ってるんだことりは...?

 

「ですから、先輩も私達も立っている場所は一緒です。ってことはやること、やらなければならないことも一緒ってことです」

 

「あー...つまりは連帯責任って感じか?」

 

「...まぁ、釈然としませんが、そういう感じです。先輩の仕事は私達の仕事です」

 

「だがなぁことり。お前達はアイドルで、俺はマネージャーだ。それは変わらん」

 

「そうですね」

 

「だから俺とお前達のやるべきことは違うんだよ。お前達は表で歌って踊って、俺は影で支える。それが常識だ」

 

「それはアイドルの常識ですよね?」

 

「...あぁ。そうだが」

 

「でも私達はスクールアイドルです。アイドルとは違います」

 

「...お前なぁ」

 

「いいんです、それで。...それで先輩が倒れてしまうんであれば、私達が少しでも頑張ったほうがマシです」

 

「ことり...」

 

「先輩は言いましたよね?楽しんでやれと」

 

「あぁ」

 

「...先輩が無理をして私達へ尽くしてくださる状況で、心から楽しめると思いますか?」

 

「.......」

 

 その問いに俺は答えることが出来なかった。どうしても、自分が思い描く楽しいという状況とはかけ離れているから。

 

「それが答えですよ先輩。これは皆同じ考えのはずです」

 

「...そうか」

 

「先輩一人で抱え込む問題ではないんですよ。最初の頃とは違ってメンバーも増えて負担は確実に減ってます。...もう少し私達を信用してください」

 

「信用はしている」

 

「なら...」

 

「信用してるからこそだ。お前達には純粋に....アイドルを楽しんでもらいたかった。だから面倒な管理は俺がやるべきなんだ」

 

「頑固ですね」

 

「...それが俺だ」

 

「...ふぅ。じゃぁ今日のところは帰ります。...でも諦める気はありませんから考えておいてくださいね?」

 

「...いいだろう」

 

「それじゃ、お大事にしてくださいね。さようなら」

 

「...あぁ、また明日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信用....か」

 

 ことりが帰った後も、俺は今の椅子に座って自問自答を続けていた。信用とはなにか、そしてこれから取るべき道の正解は何かを。

 

 

 

 だがことりとの話を気にしすぎたせいで気が付かなかった。自室の机に置かれた神綺へ向けた置き手紙に。




 閲覧有り難うございます。

 いや~ 色々詰め込み過ぎちゃいましたかね。


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