ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「随分とまた大胆に宣言したな。それしか方法がないのも事実だが」
「どうせ私が言わなくても先輩が言い出すってわかってましたから!」
「確かに先輩ならそれで発破をかけてきそうですね」
「...俺のことをよくわかってくれてて何よりだよ」
あの後すごい焦りながら理事長室に入ってきた穂乃果だったが、どうやら俺と理事長の話で言っていた『オープンキャンパスでの評判が芳しくなかったら廃校する』の『廃校する』だけを聞いてしまったらしく早とちりして乱入してきたとのことだった。
いやまぁそれよりも前に言っていた俺の本心を聞かれなくてよかったと思う反面、変に誤解されて説明するのが面倒だったな、なんせ相手はパニック状態だったし。
そしてその後、なんとか誤解を解いて改めて説明すると、穂乃果が『わかりました!ライブでなんとかします!』と言い切ってしまったのだ。
確かに、俺自身もライブをするしかないとも考えたが、それは最後の手段。他に何かないものかと考えようとしていた段階だった。しかしその考えは穂乃果の一言で瓦解し、最初からライブ目指して頑張りましょう。ということになる。
...ま、勢い良くライブします!と言ったはいいが、問題のオープンキャンパスまでの残り期間は2週間とちょっと。とてもじゃないが、普通ならライブをしようだなんて思いつかない短い期間だ。
それが心配なのだろう。ことりが不安そうに聞いてきた。
「でも...どうやってこの短い間でやりますか?」
「それはあいつらと合流してからだ。今ここでそれを話しても二度手間だろ?」
「そうですね。話す内容は一緒ですし、私達だけで決められるものでもありませんから」
「そう...だよね」
しかし本当に深刻だ。踊りはどうにかなるかもしれない。だが...衣装は?歌は?
なんせついさっき決まったばかりなんだ、まだ何一つできていない。...これはファーストライブ以上に過酷な2週間になりそうだな。
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「というわけで!ライブをすることになりました!」
「はぁ!?」
「ライブ!?」
理事長室を後にした俺達は先に屋上へ行っていたにこ達と合流したのだが、穂乃果が屋上に着いて開口一番にそんな主語なしのぶっ飛んだことを言い出すものだから、当然ながら話を知らない子達は怪訝な顔をする。
ただ支離滅裂なことをいきなり言い出すことになれている海未は、苦笑いだけで済ましながらキッチリ補足を入れる。
「実は、今しがた理事長室で今度行われるオープンキャンパスの評判が良くなかった場合、廃校するということを聞かされたんです」
「廃校!?」
「えぇ!?それじゃ、やっぱり凛達は後輩がいない高校生活になるってことぉ!?」
「まぁ...廃校じゃそうなるでしょうね」
「待て待て、まだ続きがある。...いいか?廃校の条件がオープンスクールの失敗になったんだ。逆に成功すれば存続...つまりは来年度の募集は約束されるってことだ」
「なんでそう言い切れるのよ。延命なんじゃないの?」
「それじゃにこ。オープンスクールってなんだ?」
「え?そんなの、受験しようと思っている子達にどんなものか見せることでしょ?」
「その通りだ。じゃぁどうやってそのオープンスクールで成功か失敗かを決める指標を出す?」
「それは...」
うーん、とにこは考え始めるが、今まで皆から一歩引いて様子を見ていた真姫が口を開けた。
「アンケート、ですね?確か去年来た時に受験する気になったかどうかの紙を渡されました」
「あぁ...あったわねそんなの」
「そう、それだ。そのアンケートで受験したいと思う子が例年よりも多ければいいんだ」
「でも...そう簡単に増やせるものじゃない気が...」
「そうだな。だからお前達の出番なんだ。今知名度を上げているお前達がオープンキャンパスでライブをするとHPに書いたら?そしてお前達のファンにこれからどこかを受験しようと考えている子がいるとしたら、どうなる?」
「...見に来てくれるかも」
「そういうことだ。この学院の校舎は綺麗だし、緑もあって過ごしやすい。世間の目に少しでも触れるようになれば、望みはある」
「なるほどね」
「要はどうアピールするかなんだ。幸い、ここは地味だが良いところは沢山ある。聞くより感じろって奴だな」
「それでさっき穂乃果はライブだって言ったのね...やっと理解したわ」
「うん。流石にあれじゃわからないよ...」
「えへへ...ごめーん」
「取り敢えず。今言った通りだ。廃校を止めるなら、入学希望者を増やすしか無い。...やってくれるか?」
「勿論!」
「こんな所で立ち止まれないにゃ!」
「よし、良い返事だ!なら今日は久しぶりの練習だ。ウォーミングアップやってからきつくいくぞ!」
『はい!』
「よし、各自ストレッチ開始!」
成功するかしないかは確実に彼女達に懸かっている。
だがこのままじゃ絶対にライブで披露できるレベルにはならないだろう...本腰を入れないといけないな。
そう思いながら神綺は少し席を外すと伝えて携帯をポケットから取り出して電話をかけ始めた。
「もしもし。あぁ...そうだ。今からいいか?....わかった。...そうだな、そうしてくれると助かる....よろしく頼む。じゃ」
前々から布石は撒いていたんだ。もういい頃合いだろう。
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「....ん」
オープンキャンパスへ向けての練習を始めてから数十分。練習をしている時には絶対に聞こえないはずの金属が擦れる鈍い音が響き、穂乃果達はその音に反応して動きを止める。
「おまたせ」
「こんにちは~」
その金属音の正体は屋上と階段を隔てている扉が開く音で、その扉を開けたのは絵里だった。しかも制服ではなく、Tシャツにズボンというこれまた動きやすい格好で。
そしてそんな絵里に続くように、同じく動きやすい格好になっている希も顔を出した。
「悪いな急に。今日からよろしく頼む」
「えぇ!?生徒会長に東條先輩!?」
「あら?神綺君言ってなかったの?」
「ん?前々から言ってたんだがな」
「ちょっ斎藤先輩どういうことですか?」
「前から言ってたろ?絵里がダンスコーチになるって」
「...神綺が言うんだから大丈夫だろうけど、ちゃんと動けるの?」
とにこが絵里の過去を知らない為、コーチに見合った実力があるのかを聞いてくる。
「あぁ。少なくともお前達よりはな」
「なっ!?」
「ちょっっと神綺君...ハードルあげないでよ」
「ん?事実を言っただけだろ」
実際絵里の体は出来上がっている。
小さい頃から長く続けていたバレエで鍛えられた体幹は、今でも衰えいる。ということはない。それは体育の授業を見ていればわかる。
そしてここ最近は、試験準備期間でもあったが、この二人は成績に元々問題がない上に、日頃から俺と一緒に勉強していることもあり、落ちこぼれる心配がなかった。だから試験が近かったがそんなことは関係なく、二人には密かに練習メニューをこなしてもらっていた。
これが試験関係なく、今までずっと練習を続けていたμ'sであれば、絵里はともかく希はついて行けなかったかもしれない。だが、試験で練習をしていなかった彼女達になら遅くから始める希でも十分ついていけると見込んでの決断だ。
「じゃぁ希はなんなのよ」
「希は普通にメンバーとして加入だ」
「よ、よろしくね」
若干ぎこちないが、まぁいきなり割って入る様なものだ。緊張や抵抗もあるだろう。だが、
「おー!東條先輩だって!」
「ちょっと意外ね。...でもいいかも」
「また仲間が増えたにゃ!」
と歓迎ムード。
まぁこれも当たり前だ。なんせ希もにこの家庭教師という名目上で試験勉強を部室でやりに来ていたのだ。
何回も来ればその内溶け込めるし、真姫や穂乃果は何度も会って話してもいるから元々砕けている。懸念材料は凛と花陽が上手くにこ以外の3年と打ち解けられるかだけだった。
でもそこは希持ち前の明るさとノリの良さでスグに壁は消えて、心配は要らなかった。
「希にはここ数日の間特別な練習メニューをしてもらっていたんだ。だから今のお前達と同じぐらいだから甘く見るなよ、直ぐに足元掬われるからな」
「なっ ...負けてられないわね!」
強いて言えば、にこがこの場でアイドルとしての信念がどうたらこうたらと持論を言いながら希の加入を否定するのでは?とも考えてはいたが、俺の挑発によってそんなことにはならなかった。...別にそこまで考えて言ったわけではなかったのだが、結果オーライというものか。
「取り敢えず絵里にはコーチとして入ってもらうが、今日はあくまで今までの調子を取り戻すリハビリだ。9人で仲良く全く同じメニューをやってもらうから、そこで希と絵里の実力がどんなものか見て自分達で判断してくれ」
...とは言ったが、今は確実に希達の方が上だけどな。
方やずっと机やテーブルに向かって長時間同じ姿勢で勉強していた穂乃果達と、同じ勉強をしていたとはいえ、適度に体を動かして柔らかい希達二人。違いは一目瞭然だろう。
ま、これで少しでも各々が気を引き締めて練習に臨んでくれれば、こちらとしても教え甲斐がある。
閲覧有り難うございます。
構成の関係上、少し短いですがここで切らせて頂きます。
感想、ご指摘お待ちしております。
....これから凛誕の話を書き始めますが、明日の11時01分にその話が投稿されなかった場合、 あぁ、書き終わらなかったんだな。と鼻で笑ってください。
ではでは...