ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 どうも、レイヴェルです。

 今回は久々に挿絵を挿入しました。


第128話 メイド喫茶 【挿絵あり】

 

 

 メイド姿のアルバイトの人からチラシを貰ってから数分。

 

 チラシに記されている簡略化された地図を頼りにしながら秋葉原の裏道を進んでいると、お目当ての喫茶店の前に無事つくことが出来た。

 

 しかし、ついた場所は一見ただの雑居ビルであり、とてもメイド喫茶がここにあるとは思えないほど外装に目立ったところはない。あるのは上の階へと続く階段の前にチラシに書いてあるのと同じ店舗名が書いてある看板が立てかけてあるだけ。

 

「想像とは違ったな...それとも今はこれが普通なのか?」

 

 俺自身想像していたのはもっとピンク色や明るくカラフルな店だと思っていた。

 

 なんでも前世でテレビをつけた時のことだったが、あの時は偶々テレビをつけると秋葉原の特集をしていてメイド喫茶もその一つに入っていた。その時出てきた店がカラフルで近寄るのも躊躇いそうな外装で『うわっ』と引いたのを覚えているから尚更だ。

 

「...ま、折角ここまで来たんだ」

 

 元より喉はカラカラだし、日射しは表よりマシとはいえ生ぬるい風で気分は最悪だ。恐らく建物の仲はクーラーが効いているであろう。

 

 

 

 

 だがこれから入ろうとしているのはメイド喫茶。外装は控えめだが、中がどうなっているかは全く持って想像がつかない。

 

 ゴクリ...

 

 人生初のメイド喫茶。しかも一人...今になってようやく冷静になった頭はやめておけと警鐘を鳴らす。今までは冷たい飲み物やなにか軽い物でも頼もうか、と誘惑に釣られて軽く考えてここまで来たが目が覚めた。

 

「...やばいな」

 

 急に恥ずかしくなり周りを見渡すが、幸いここは路地だから人影はない。...よかった。

 

「はぁ」

 

 もう...腹をくくるしかない。行こう。

 

「もうどうにでもなれ...」

 

 今日ほど安易な選択をした自分を恨んだことはなかった。

 

 

 

 

 

 

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 足取りは重いが、メイド喫茶にある2階に上がると目の前には『CURE MAID CAFE』とメイド喫茶の文字が見える。そして恐る恐る店内の様子を伺うと、茶色系を基調とした内装で、いつも自分が行く喫茶店とどこか似ている気がした。

 

 すると横からスッとメイド姿の女性がお辞儀をして現れた。

 

 

【挿絵表示】

 

「いらっしゃいませ、お客様。1名様でよろし...えっ!?」

 

 と何やら驚いたご様子。そんなに俺が来るのがおか...は?

 

「斎藤先輩...?」

 

 こんな所に居るはずがないと頭から切り離していたから気がつくのに少し遅れたが、見間違えるはずがない。もう何年と顔を見てきているのだから...

 

 この特徴的なグレーに近い髪色に聞き覚えのある声、間違いない。

 

「こ、ことり?」

 

 南ことり、彼女だ。

 

「ど、どうして先輩がここに!?」

 

「そりゃ...これ貰ったし、喉も乾いてたからな」

 

 さっきの落ち着いていて板のついた挨拶はどこにいったのやら。しどろもどろになりながらことりが詰め寄ってくるから俺は顔を引き攣らせながらチラシを見せた。

 

 ことりも驚いているであろうが俺も大概である。

 

 なんせ知り合いにメイド喫茶に入るのを知られたのだ。俺でも焦る。

 

「それは...はぁ、またあかり先輩ですか」

 

 あかり先輩。それは多分俺にチラシを渡してきたバイトの人だろう。

 

 だがどうもいい印象はないらしくため息をついている。...もしかしてこのチラシは何か不味いものだったのだろうか。

 

「なぁ、このチラシに何かあるのか?」

 

「いえ...ただあの人はしつこく勧誘してそのチラシを道行く人に渡していくんです。あおの人シフト抜けてまで外周りをするので人出が足りないんですよ」

 

「...それっていいのか?」

 

「本当は駄目なんですけど、先輩の様にチラシを見てきてくださる方が居ますから難しいんです」

 

 なるほど...

 

 結果的に客を呼んで結果を出しているから言うに言えないってことか。

 

「苦労してんだな」

 

「あはは....あっ 席にご案内致します!」

 

「あぁ...」

 

 だがやはり居心地は微妙だ。さっきから他の客からの目がやたら痛いし。...俺何かしたか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらがメニューになります」

 

「ありがとう」

 

 席に通され、やっと落ち着くことができて思わず安堵の溜息が漏れる。

 

「お疲れのようですね...」

 

「生徒会の消耗品の買い出しでな...中々に重くてね」

 

「なるほど。...ごゆっくりしていってください。ご注文が決まりましたらお呼びください」

 

「わかった」

 

 失礼します。とこれまた完成されたお辞儀をしたことりを見送ると俺はメニューを開いてジックリと吟味する。

 

 どんなものかと身構えたが中身も思っていたよりも普通で、ケーキや紅茶といったティータイム用のメニューもあれば、オムライスやスパゲティといった少し重いものも用意されている。

 

 ただ違う所は少し値が張っているぐらいか。

 

 一通りメニューを見終わり、俺はもう一度店内を見渡す。

 

 雰囲気といい接客といい、ここが特別なのかもしれないが、俺の中のメイド喫茶という概念がガラリと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

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「ふぅ...」

 

 適当に注文した俺は頼んだものが来るとアイスコーヒーを飲む。

 

 ...うん。冷たいのが身にしみるし、中々拘っているようで普通に美味しい。

 

 そしてもう一つ頼んだショートケーキ。これも食べてみる。

 

「これもいいな」

 

 ここに最初は行った時、入り口の所にショーケースがあり、そこにカットされたケーキが並べられていて、値札がついていたからもしかしたら持ち帰りもできるのでは?と考えた俺は一応ことりに聞いてみた。

 

 すると予想通り出来るらしく、他の客にも人気だとのこと。

 

 たしかにこれなら希も喜ぶだろう、と俺はお土産用に用意してくれとお願いをした。...勿論希にはメイド喫茶で買ったことは伏せるつもりだ。

 

 

 

 

 それから暫くの間コーヒーを楽しんでいると、厨房からことりがこちらに歩いてきた。

 

 だが俺はもう何も頼んでいないし、ケーキは帰り際に箱詰めされるだけでさっき頼んだのは予め伝票にプラスしておいてくれと言っただけだ。...なのになぜ?

 

 そんなことを考えているとことりが話しかけてきた。

 

「あの、先輩」

 

「どうした?」

 

「この後...お時間ありますか?」

 

「時間?...まぁあるぞ。後は帰るだけだし」

 

「でしたら少し付き合っていただけませんか?」

 

「バイトは?」

 

「今はそれどころじゃないんです...今店長にも話をつけてきました」

 

 それどころじゃない。ということは重大なナニカが起こったということだろうか。

 

「...どうした?」

 

「実は...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話を順にまとめると、まずことりは秋葉原で『伝説のメイド』と言われるほどこの喫茶店で名を上げているようで、『ミナリンスキー』というらしい。

 

 まぁ俺はそういうのに疎いから初耳なのだが、納得するには十分な材料が揃っていた。

 

 先程もコーヒーを飲みながら他のメイドさんの接客を見ていたが、どこかことりよりも緊張だったりナニカが足りなかったりとパッとしなかったが、ことりは違い、ハキハキと挨拶をし、曇りない笑顔で接客し、客の相手をする。素人目の自分でもことりは他の人とはレベルが違うというのがわかる。

 

 それに客側の対応だ。ことりの時だけ妙に緊張していたのだ。それも何回も来ているような常連が、だ。でも伝説と謳われるほど人気のあるのなら誰でもそうなってしまうのも仕方ない。

 

 最後に極めつけはさっきの客の俺への目だ。敵視するような恨むような目、今までに何度も見てきた目だ。

 

 成績がいい俺は他の成績優秀者や落ちこぼれの人間から羨ましがられることもあるが、圧倒的に妬みや恨みの感情を持つ者の方が多い。

 

 でもそれは仕方がない。俺は他の成績優秀者程勉強をしている姿は見せない。なぜなら前世でこれでもか、とミッチリ叩きこまれているから。少し歴史は違えど、そのくらいで誤差の範囲なのだ。一晩もあれば修正できる。

 

 だからこの目を見間違えるはずがないし、かといってなんとも思わない。

 

 ただことりと俺が親しそうに話しているのが面白くなかったのだろう。

 

 

 

 

 

 ...そんなことよりもだ。

 

 この喫茶店は撮影が禁止されているらしく、されたとしても発覚した時点でデータを消させるなどの対策をしているのだが、どうしてもイベントとかで記念として店側が撮らざるを得ないことがあるらしく、それをコルクボードに展示という形で飾っていたのだ。

 

 だがそれをチラッと見たら自分の写真が一枚なくなっていたとのこと。

 

 けど捨てられるはずはない為、考えられるのはいつの間にか持ち去られたということだろう。だから一緒に探して欲しいと言ってきた。

 

「でもどう探すつもりだ?そんなの盗んだ奴が肌身離さず持ってるか家に持って帰ってるだろ」

 

「それがさっきあかり先輩から連絡があったんです。私の写真がアイドルショップに置かれているって」

 

「...なに?」

 

「私もそんなはずはないと思って確認したら本当に1枚なくなっていたので...」

 

「そうなのか...けど場所がわかってるならその先輩に取り返してもらうってのはできないのか?」

 

「一応掛けあって貰えたんですけど向こうが本人じゃないとそれはできない、と」

 

 確かに無闇矢鱈に渡す訳にはいかない...これはアッチの判断が正しいか。

 

「...俺必要かそれ」

 

「頼れるのが先輩しかいなくて!それにこの格好だと目立つので外に一人で出歩くのはちょっと」

 

「なるほどな...わかった。待っててくれ、すぐに会計を済ませる」

 

「っ! ありがとうございます!」

 

「ただ持ち帰るケーキの保冷剤を増やしてくれ。この暑さだ、少しでも傷まないように気をつけたい」

 

「わかりました。すぐに準備します」

 

 厄介な客も居るもんだな...

 

 




 閲覧有り難うございます。


 いやぁ、モンハンクロスにハマって更新速度が落ちそうで怖いです。



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