ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 新年、明けましておめでとうございます。


 どうも、レイヴェルです。

 新年一発目ですが、特別回とかはなく、平常運行です。

 では、どうぞ。


第132話  打ち明けてみて

 

 説得をされてようやく決心をしたことりは翌日の放課後にメンバー全員を部室へと呼び出した。

 

「皆ごめんね!練習の時間削ってもらっちゃって...」

 

 部室に入るやすぐに頭を下げることり。それに大げさだなと思いながらも海未が微笑んだ。

 

「気にしないでください。まだ切羽詰まる時期ではありませんから」

 

「そうだよ!...でもどうしたの急に?」

 

「えっと...」

 

 決心はしたし、話すこともちゃんと考えてきた。けれど元々気にしていた穂乃果と海未に真っ直ぐな目で見られると無意識に顔が強張ってしまう。

 

 それで言葉が詰まるのも仕方がないと言えば仕方がない。

 

「その...」

 

「?」

 

 けれど折角全員が集まれたのだ。この期を逃して逃げてしまえばこれからもずっという機会は訪れないだろう。

 

 だからずっと静観していた俺は、助け舟を出すべく徐ろに立ち上がり、ことりの横へと並んだ。

 

「先輩...」

 

 ことりは安心したような、それでいて情けない自分を責めているような表情をしたが、それよりも急に無言で立ち上がった俺に好奇の視線を向けている。

 

 確かに複数人が一気に自分の方を向くのは緊張するし、気持ちもわかる。

 

 だがいつかは言わなければならないんだ。ここで逃げたら一生嘘を続けることになる...今はまだ俺にしかバレていないが、これがもし穂乃果達に見つかったとしたら?穂乃果達はあまり気にしないにしても、ことり自身が居心地悪く感じてしまうかもしれない。

 

 それだけは...避けなければならない。

 

 

 

 だから俺は、優しくことりの肩をポンポンと叩いた。

 

「...ことり。大丈夫だから」

 

 効果はあるかわからない。けれど、俺が打ち明けるよりも本人が打ち明けるべき話題において俺が手伝えるのはこれしかない。

 

 だが誤算が生じた。当たり前だが、話が見えてこない穂乃果達にとって今の俺の行動は明らかに不審なのだ。徐々に眉間にしわができてきているのがよくわかる。

 

(不味いな...これでは逆効果か)

 

 流石にこの状況じゃ俺でも切りだすのを渋ってしまうぐらい抵抗がある。...これじゃことりが自分から言い出すのは無理だ。仕方がないが、俺から切り出すしかない。

 

 

 そして俺が切り出そうと肺に空気を送った時だった。

 

「あのね!....その、実は私...皆に隠してたことがあるの」

 

「えっ...」

 

「最近ね、私...付き合い悪かったでしょ?」

 

「う、うん。用事があるって言ってたよね」

 

「うん。本当はね、アルバイトしてたの」

 

『アルバイト!?』

 

「えっじゃあ...お小遣いとかも沢山あるんだっ!」

 

「反応するとこそこ!?」

 

「穂乃果...馬鹿なこと言うのはやめてください。...それにしてもどうして急に?」

 

「そうだよ。アルバイトなら私もやってるし、そこまで言い難いことでもない気がするんだけど...?」

 

「そういえば希先輩、神田明神で巫女さんしてますもんね」

 

「そうよ~ 結構楽しいんだから」

 

「はぁ...身構えて損したわ。てっきり彼氏でもできて付き合ってるのかと思ったわ」

 

「凛は斎藤先輩と付き合ってるのかと思ってたにゃ~」

 

「「「なっ」」」

 

 なにげなく凛が言ったことに反応する希、絵里、真姫の三人。それににこが横目で釘を刺す。

 

「...アイドルに恋愛はタブーよ」

 

「そ、それは私達に言ってるのかな?」

 

「さぁね、自分で考えなさい」

 

「何馬鹿なこと言ってんだか。アイドルが彼氏彼女を作っちゃいけない理由なんて俺が痛い程知ってるっての。んな訳無いだろ」

 

「希先輩と一緒に住んでる先輩に言われても説得力ないにゃぁ」

 

「...いい度胸だな凛ちゃん。練習メニューがヌルいからレベル上げてくれってか?...仕方なな」

 

「えぇ?!どうしてそうなるの!」

 

「こらこら、話が脱線してるわよ?...それでことりさん。どうして急に言う気になったの?」

 

「えっと...実は昨日、斎藤先輩にバイト先で見つかりまして。色々相談した結果皆に言おうと...」

 

「因みになんのバイトしてたの?」

 

「あっ それ私も気になる!洋服屋さんとか?」

 

「.....メイド喫茶です」

 

「え?」

 

 隣にいた俺には辛うじて聞こえるぐらいのか細い声に穂乃果は無意識に聞き返す。それにことりは益々恥ずかしくなるも、ヤケ気味に言い直した。

 

「メイド喫茶ですっ」

 

「....メイド?」

 

「メイド喫茶って...あの?」

 

「想像通り、メイド服着て接客する喫茶店だな」

 

 だがこれに待ったを掛ける者がいた。希である。

 

「ちょっと待って皆!今ことりちゃんはバイト先で神綺君に会ったって言ったよね?」

 

「?そうですけど...なにか?」

 

「気がつかないの海未ちゃん?ことりちゃんのバイト先がメイド喫茶で、そこで神綺君に会ったんだから...」

 

「斎藤先輩...メイド喫茶に興味あったんですね」

 

「なっ ち、違うっ」

 

「意外だにゃ」

 

「やっぱり男の子なんですね」

 

「やっぱりってなんだよ!?俺が女に見える時があるとでも!?」

 

「だって先輩全然浮いた話題ないじゃないですか~。男の人の方が好きなのかなーって」

 

「俺は普通に女性が好きだっての!もう何度目だ!」

 

「だってこうやって男女比が極端なのにいつも平静を保ってるじゃないですかー。もっとこう...オドオドしたりとかないんですか?」

 

「そう思うんだったらワザとのように近くを歩いたりするのを辞めたらどうなんだ...」

 

 

 

 数カ月前よりも格段と増えたμ's達との接触の機会。

 

 元々俺がよく話していたり、近くにいた異性というのは希と絵里ぐらいしかいない。後は教室で少し話すだけの距離感だったのだ。

 

 それがμ'sのメンバーが増えてからは違う。

 

 まず人数が9人と多いし、全員が練習中は動きやすい用に薄着だったり、肌の露出がそれなりにあるものだったりするものを着るから個人的に目のやり場に困るのだ。

 

 彼女達が自覚しているかは別として、胸は揺れるわ体は火照ってるわで中々に刺激的だし、かと言って俺はコーチとして参加しているわけだからしっかりと練習を見て、指摘する所はしなければならない。目を背けたくても出来ないのだ。

 

 それを数ヶ月続けてみろ。

 

 前世の職業柄で避けていたことや、オッサンになったことも相まってワザとの様に遠ざけてきた俺なのに、体は現役の17歳というのもあってか自然と気になってしまう様になっていた。

 

 ...もうあの頃の何にでも動じない俺はもういないんだ。

 

 今はまだそういう感情は忘れるように心がけてはいるが、いつそれが無意味になるのかと思うと鳥肌が立つ。

 

「大体お前らはもっと気をつけようとか思わないのか?これでも男だぞ俺」

 

「だって....」

 

「先輩ですし?」

 

「...理由になってねぇぞ」

 

「まぁまぁ...不可抗力ってのもあるし、ね?」

 

「希の場合はワザとがほとんどだろうが」

 

 この話題を肥大化させた張本人が宥めようとしてくるが、悪ふざけで体を密着させたり普通にしてくる奴に言われてもカチンと来るだけだ。

 

「まぁいい。...取り敢えず、もうそろそろ練習を始めよう。部室も広くなったんだ。結果は残さないとな」

 

 実は先日のおオープンスクールでの結果が良かったのと、μ'sの人数が多くなったことにより、理事長から部室拡張の許可を頂いたのだ。

 

 その計らいで今俺達がいるアイドル研究部の隣にある空き教室が使えるようになり、着替えや雨の日の練習場所にもなった。

 

「待ってました!ことりちゃん、今度バイト先教えてね!遊びに行くよ」

 

「そうね。今度皆でお邪魔しに行きましょうか」

 

「賛成!」

 

「それじゃ早く着替えて屋上よ!」

 

『おー!』

 

 なんだかんだで練習したさにウズウズしていた彼女達は、狭いドアに犇めくように我先にと飛び込んでいく。

 

 それを唖然としながら眺めていることりの顔を覗いてみた。

 

「ことり」

 

「先輩...」

 

「あいつらの反応が意外か?」

 

「...そうですね。もっと聞かれるかと思ってました」

 

「まぁ俺に矛先が向いたってのもあるが、あいつらにとってバイトはそこまで気にすることでもないってことだろ。よかったな、受け入れられて」

 

「...はい」

 

「まだ何かあるのか?」

 

「いえ...今まで気にしてた自分が馬鹿らしくなっただけです。...きっと先輩に肩を叩いてもらってなかったら、言えてなかったと思います」

 

「それは無いだろ。俺からしてみれば、余計空気を悪くしちまってヒヤヒヤしたからな...良くあれで切り出せたな」

 

「そりゃ...先輩が隣にいてくださったんですもの」

 

「...そうか?」

 

 理由になっているのかイマイチわからないが、結果オーライなのは確かみたいだ。

 

「いつもありがとうございます、斎藤先輩」

 

「こちらこそ、だな」

 

「ふふっ また困ったときは助けてもらっちゃうかもしれません」

 

「どんと来い。頼りないかもしれないがな」

 

「それじゃ、遠慮無く頼らせて貰います♪」

 

 先ほどとは打って変わって上機嫌になったことりを見て自然と笑みが溢れる。

 

「あぁ。...さ、ことりも着替えな。今日もいつも通りハードだぞ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが本当に最善の結果だったのかはわからない。

 

 あのままバイトをしているのを隠して両立が危なくなったらバイトを辞めて、何もなかったかのように振る舞う。これでも良かったかもしれない。

 

 けれど誰かに隠れて何かをする、というのは決して楽しいものではない。

 

 周りの目を気にしなければならないし、何より今まで楽しかったモノが楽しく感じなくなる。それが怖かったんだ。

 

 ...人生は長い。大人になれば、我を通すのは難しいし、嫌なことも引き受けなければならないこともある。

 

 でも今は違う。高校、大学くらいであれば、自分の好きなことを見つけ、それを楽しむ。それが一番いい青春の過ごし方だと俺は信じている。

 

 あの頃の自分の失敗を。アイドルという不確かなものをガムシャラに追いかけて必死だった頃の愚かさを無駄にしないために、俺は彼女達を見守る。

 

 




 閲覧有り難うございます。

 三が日中に投稿しようとしたんですけどね...他のことやってたら遅れました。




 投票ありがとうございます。デイリーランキングに載っていたので驚いてしまいました。
 評価数に見合うよう、精進致します。


 遅くなりましたが、今年もよろしくお願い致します。


 感想、ご指摘お待ちしております。
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