ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 どうも、お久しぶりです。レイヴェルです。

 今回は海未ちゃんの誕生日ということで記念回です。

 今のところは2話構成を考えていますので、今回は前置きになります。

 ※ 本編とは関係ないので別物として扱って下さい。


【園田海未生誕記念】 貴方のことを 1

 

 

「...なんだ?」

 

 太陽はとうに沈み、街頭と月明かりが映える真夜中のこと。

 

 静まり返った室内にインターホンが響き渡り、睡眠を妨げられた神綺は眉間にしわを寄せながらモニターを睨みつける。が、生憎辺りが暗すぎてぼんやりと輪郭が分かる程度で誰かはわからなかった。

 

「...どちら様?」

 

 酔っぱらいのジジィがトイレ貸してくれとかだったらどうしてくれようか、なんて考えるも、どう見ても肩幅が女性のものだった。

 

 すると、モニターに映る人影が動く。

 

『あ、夜分遅くに申し訳ありません...園田海未です』

 

「...は?海未?どうした?」

 

 久しく聞いていなかった後輩の落ち着いた声色。

 

 相手が知り合いだとわかった瞬間にイライラは消え去り、密かにまた会えたことを嬉しく思えた。

 

『それにつきましてもお話しますので...上がらせて貰えないでしょうか?』

 

「......」

 

 だが神綺は即答できなかった。というのも彼女がこんな真夜中に一人で家を抜けだしていることが信じられないのだ。あの規則に厳しい園田家だ。門限だってあるはず....

 

 いや、それだけではない。

 

 神綺が音ノ木坂学院を卒業してからそろそろ1年が経とうとしているこの時期。受験に集中するとかでこれまでメール1通もやり取りがなかった。否...拒否をしてい彼女が何の連絡もなく顔を出したイレギュラーさが彼を混乱させた。

 

『あの...神綺?』

 

「っ あ、あぁ。鍵は開ける、入ってくれ....」

 

 ...一人で考えても始まらない。聞けることは、全て聞こう。

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

「コーヒーしかないんだが...苦手なら暖まるだけでもしてくれ」

 

 まだ3月の頭という時期。昼間は幾分か暖かくはなってはきているが、それでも夜は容赦なく冷え込む。

 

 一応コートを着て厚着している海未ではあるが、それでも顔や手は風に晒されてしまう。だからか無意識に手を温めようとギュッと手を握りしめているのを神綺は見抜いていた。

 

「ありがとうございます。....頂きます」

 

 と口では言っているものの、流石は海未。飛びつくようなことはせず、上品にカップを口にと運んでいく。

 

「...暖まります」

 

「ならよかった」

 

 三口ほど飲むと落ち着いたのか、海未はカップを置いて深く息を吐いた。

 

 そろそろか。そう思った神綺は自分もコーヒーを口に含んで湿らせてから本題を切り出す。

 

「...それでだ、海未。こんな夜中にどうしたんだ?」

 

「...その節は申し訳ありません。私自身もどうかとは思っていたのですが、一人で居るのが怖くなったんです」

 

「怖い?」

 

 オウム返しのようになってしまったが、別に悪気があったわけではない。

 

 受験へのプレッシャーや不安で怖いと思うのはわかるが、既に進路は決まっているとことり経由で聞いているのだ。それなのに怖いという表現を使うのが神綺には引っかかった。

 

「はい。...そろそろ音ノ木坂が卒業式なのはご存知ですよね?」

 

「まぁな。早いもんでもう一年だ...それで?」

 

「...私が後輩に慕われているのもご存知ですか?」

 

「あぁ。多少はな」

 

 一年という短いようで長い歳月が経ち、元々可憐さと清楚さを兼ね揃えていた彼女に慎ましさも合わさり見違えるように美しくなっていた。勿論、ここでいう慕われているというのはモテているという意味だから納得がいく。

 

「でも慕われることはいいことなんじゃないのか?」

 

「そうですね。好かれている、というのは大変嬉しく思います。ですが、そう呑気に考えていられなくなってきたんです」

 

「?」

 

「今まではチラホラ恋文を頂く程度だったのですが、私が卒業ということもあって今までお断りしてきた方達もまた自分の気持ちを伝えようとしてくるのです...」

 

 はぁ。とうつろな目でコーヒーに反射する蛍光灯の光をぼんやりと眺める海未。そう簡単に笑って済ませられる話でないからこその静寂が生まれる。

 

 

 

 しかしどうしたものか。

 

 神綺自身も告白されたことは多々あった。時期も海未と同じように卒業間近となったこの季節...

 

 しかし絵里や希が日頃から近くにいたこともあり、2人のどちらかが彼女なのだろうと勘違いし、勝手に諦めてくれた人も少なくはなかった。

 

 対して海未には絵里や希の様な守ってくれる相手がいない。

 

 フィルターを介せずに告白しようと後輩が雪崩れ込んでいるのだろう。

 

「...海未は好きな相手がいるのか?」

 

 深い意味はないが、フッと思った。

 

 好意を寄せている相手がいるのであれば、好きな人がいるからごめんなさい。で簡単に済むのだ。

 

 いなければそれはそれで振り向いてもらおうと逆に相手が頑張って纏わりつく可能性がある。

 

 が、それは杞憂だった。

 

「...います」

 

「いるのか。ならそれでいいじゃないか。...好きな人がいるからごめんなさい、で」

 

 一年前と同じようにすぐ顔を赤くさせる海未に神綺は口角を上げながら明るく笑ってみせた。

 

 一人で背負い込んでしまったるのだろうが、相手はそう言われてしまえば何も言い返せない。

 

 しかしそんなに現実は甘くなかった。

 

「そうもいかないんです。最初はそうしてきたのですが...次第に相手も対応を変えてきたんです」

 

「というと?」

 

「相手を教えてくれと...」

 

「...なるほど」

 

 わからなくもない。

 

 自分はなぜ駄目だったのか。自分は誰に負けたのか。それを知りたくなる気持ちもあるが、それはNGだ。時には潔く引くのも大事だというのに...

 

「でも海未は音ノ木坂に居る奴が好きなのか?」

 

「違いますよ」

 

「なら名前言った所で相手にはわからんだろうに」

 

「そうも行きませんよ...だって....」

 

「ん?」

 

「私が好きなのは....貴方なんですよ?」

 

「....は?」

 

 今彼女はなんと言った?

 

 神綺は自分の周りが体感で5度は下がったのではないかと錯覚する程の衝撃を受けた。

 

 その証拠に手に持っていたカップを危うく落としてしまう程だ。

 

「神綺はずっと気がついてくれませんでしたけど...私が好きなお相手は昔も今も貴方です」

 

「む、昔だと?」

 

「えぇ。恋愛的感情ではなかったですけどね...」

 

 なんてことない様に海未はサラッと言うが、これには普段落ち着き払っている神綺も動揺を隠せない。

 

 あろうことか悪い冗談とさえ思ってしまった。

 

「なんで...俺なんだ?」

 

「神綺は私にとって模範の様な人です。穂乃果の様に前に出るのが最善ではなく、一歩引いて見守ることも悪いことではないことを教えていただきました」

 

「...そんな大層なことをしたつもりはない」

 

「それでもいいんです。それでも普通は神綺のようには立ち回れないものなんですよ」

 

「買い被り過ぎだと思うが...」

 

「そうかもしれません。でもそれでいいんです」

 

「...そうか」

 

 落ち着こうとコーヒーを最後の一滴まで飲み干してみるも、未だに心臓はバクバクと高鳴っているし、海未を直視できないでいる。

 

 先ほどとは立場が逆になってしまった。

 

「でもそのことを他の人には言えません」

 

「...なぜだ?仮に俺の名前を出しても問題はないだろう?」

 

 するとフルフルと横に首を振り、まっすぐとこちらを見据える海未の目はどこか悲しんでいるようにも見えた。

 

「そしたら神綺にも迷惑が掛かります。神綺には既に絵里や希が側にいますから」

 

「...どういうことだ?」

 

「絵里と希が貴方のことを好いているのは知っています。その上で私がそこに加わろうとするのはどこか気が引けるのです」

 

「......」

 

 自分の恋は実らないから、それでいいんだ。そんな言い方に神綺はタダ歯を食いしばることしか出来なかった。

 

 そんな神綺に海未はこうなることがわかっていたのだろう。ふふっと柔らかい表情をしながら明るい口調で語り始めた。

 

「でも私は諦めきることが出来ませんでした。成績こそ低いわけではありませんが、ことりに負ける私はこの一年間必死に勉強しました。何度も神綺達と遊びたいとも思いましたね....でも誘惑を断ち切って私は受験し、合格しました」

 

「だから連絡しないでくれと?」

 

「そうです。おかげで私は神綺と同じ大学に4月から通えます」

 

「...え?本当か?」

 

 神綺が通っているのは都内でも上から数えたほうが早いレベルの難関大学だ。そこに海未が合格したということになる。

 

「ですからその報告も兼ねてお邪魔させて頂きました」

 

「そうか...って待て待て!親御さんはどうしたんだよ...なんで一人でこんな時間に出歩けているんだよ」

 

「2人には悪いですが、父上の枕元に書き置きをして来ました」

 

「無断かよ....まぁいい。何がいいたくてここに来たんだ?」

 

 ここに来た理由。これからのこと。おおまかに聞いたが、それでも真夜中に来るほどの事柄ではない。恐らく本題に似たことには変わりないのだろうが、本質はまだ言っていないはずだ。

 

「単刀直入に言いますと、卒業式の前日。つまり明後日なんですが...私に付き合って頂けませんか?」

 

「明後日だぁ?なんでまた急に...」

 

「できればこのようなことはしたくはなかったのですが...神綺に恋人の振りをして頂きたいのです」

 

「...恋人になって欲しいとは言わないんだな」

 

「そんな急に言っても返事を貰えないことはわかってます。だったら演技でもいいので一緒にいてもらいたいのです」

 

「お前を好きな奴らを諦めさせる為に?」

 

「そうですね...」

 

 恐らく海未自身色々考えた上での結論なのだろう。真面目で硬派な海未がここまで強行な策を提案することがそれを証明している。

 

 ならば俺が出す答えは一つだ。俺は海未を助けたい。

 

「...わかった。明後日のリハーサルが終わったら俺は校門でお前を待っていればいいんだな?」

 

「はい...」

 

「でもどうして当日じゃないんだ?当日ならより効果的な見せしめになるんじゃないか?」

 

「そうなのですが...当日は他にやることが多くて時間が取れないんですよ」

 

「そうか...まぁわかった。とにかく今日はもう帰れ、送るから」

 

 なんともぶっ飛んだ話ではあるが、今はとにかく一人になりたかった。海未を見ていると変に意識してしまってやっていられない。

 

「...わかりました。でも私はまだ諦めていませんからね」

 

「そのことについても時間が欲しい。...すぐに答えを出せるようなものじゃないから」

 

「大丈夫ですよ。私はいつまでも待ってます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ...いつまでも待っている、か。

 

 




 閲覧ありがとうございます。

 続きは後日投下しますので首をなが~くしてお待ち下さい。


 海未ちゃんお誕生日おめでとう!大好き!
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