ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
今日からテストなのに、なにしてるんでしょうね私(白目)
ま、なんとかなるでしょう(慢心)
流石にもういいだろうと思い神綺は撫でていた手を凛の頭から離す。
「あっ...」
少し物足りないような顔をした凛だったが、神綺は気がつかなかったふりをした。かれこれ5分は撫でているし、頭を撫でられても何がいいのか全くわからないから。
「あのっ 斎藤先輩」
「ん?」
「今日はどうしてここに..?」
凛からしてみれば、神綺がここにいるのが不思議でしかなかった。
「あぁ、ランニングしてたのさ。それで水を飲もうと思ってそこに水飲み場に寄ったんだ」
と、神綺は水飲み場の方を指さしながら言う。凛は神綺の指さした方を向き なるほど、と納得する。
「いつもしているんですか?その、ランニング」
「今日が初めてだ。体力作りをしようと思ってね」
「おー」
少し恥ずかしげに言う神綺だが、人並みよりは体力あるのだ。今回走った距離だって7キロはあるだろう。初めてで走る距離ではない。
「ん?」
ふっと公園に設置してある時計を見ると針はもうそろそろで5時を指す時間だった。
「ふむ。なぁ凛ちゃん、もうそろそろで5時だ。帰ったほうがいいぞ」
「え?...あっ」
凛自身ここまで公園にいるとは思ってなかったらしく引きつった顔をする。
「ま、友達と遊んでたとか言って誤魔化すんだな。それじゃぁな凛ちゃん」
そう言いながら神綺は今度こそ家に帰ろうと踵を返す。
「あっ...はい!さようなら!」
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凛ちゃんと公園で出会ってから数週間が経った。神綺はあれからほぼ毎日、雨が降ってなければ同じルートを走っていた。
雨が降っていれば家で軽い筋トレとストレッチを中心にこなして、ダンス大会へ向けて最低限の調整を行っていた。
そして文化祭まであと2,3ヶ月となった日、ダンス大会にエントリーした生徒が会議室に集められ、これからの日程などの説明や踊る課題曲が発表された。
神綺の中では自分で選んだ曲で、パフォーマンスを競うものだと思っていたのだが、実際は違った。
課題曲が4曲用意され自分のやりたい曲をその中から1曲選び、尚且つその後にどのように踊るかの振り付けをプリントに記して提出せよとのことだった。
その中の課題曲も今まででヒットしたアイドルグループの曲....神綺にしてみれば予想が外れただけでなく、アイドルの曲で踊るという『苦痛』を味わわなければならなかった。
「(アイドルの曲....ねぇ。一番嫌なものがくるとは....)」
なぜただアイドルの曲というだけで苦痛なのか。それも神綺の前世が深く関係している。
最初は大好きで初めたアイドル。苦しいこともあったし嫌に思うこともあった。でも神綺は思いを曲げずにアイドル事務所のオーディションに受かった。
長い期間の下積みも経験し、腕も磨いて事務所のトップグループの一員にもなった。
ここまでなら神綺も楽しくアイドルとして活動できていたのだ。だが、ここからが神綺がアイドル曲を苦痛と思うキッカケになる。
ある日のことだった。神綺達のグループのリーダーが交通事故にあったのだ。それも重症の....
その結果リーダーだった人はアイドル業を引く。足が動かなくなってしまったのだ。
アイドルは踊る、踊るにはどうしても手や足...体全体を使う。どこかが動かなくなればもうそれは引退するしかないのだ。
だがその人は歌声を買われて独立し、普通の歌手として活動を再開したのだ。足が動かないから車椅子で歌うことになるのだが、彼は気にすることなく歌を歌い続けた。なによりも歌うことが好きだったから。
ここだけを聞けばまぁまぁいい話で神綺はあまり関係ないと思うだろう。だがこの話は表向きにはいい話なのだが....同じグループだったからこその苦労があったのだ。
リーダーが抜けたグループはすぐに事務所の会議で取り上げられ、次の新リーダーが幹部陣で決められた。
だが、この人選が間違えだった。....選ばれた新リーダーは自己中な人間だったのだ。小さい頃からエリートとしてちやほやされた結果、何を勘違いしたのかその内社長の指示も禄に聞かなくなったのだ。
普通なら事務所は雇っている側だから首を切ればいいのだが、このグループで成り立っていると言っていいほどに成長しすぎてしまったのだ。
目先の利益に目の暗んだ上位陣は彼を放置し、経営を続けた。しかし、それも長く続かなかった。なぜなら、神綺を含めたほかのメンバーがグループを抜けるという強行に出たからだ。
無理難題を吹っかける新リーダーを我慢するだけならよかったのだが、神綺のいるグループで経営が成り立っている為に仕事のスケジュールは過密、それに加え元リーダーの生活の手助けを新リーダーから任せられ疲弊し、苦痛に感じていた。
それに慌てた元リーダーは神綺達にもう十分だ。と言ってなんとか仕事の負担を軽減させようと尽力したのだが、新リーダーはそれを良しとせずに手伝いを続けさせた。
「あの人のお陰で今の俺らがいるのだから、恩を返せ!」
と、言っていることはまぁわからなくはない。だが、それを言った当の本人は世話を全くせずに遊び呆けるばかり.....
流石に堪忍袋の緒が切れると言ったところだ。
その後は泥沼だった。
金の為になんとかして神綺達に残ってもらおうと必死に足掻く醜い上位陣と自己中でどうしようもないリーダーからの暴言や嫌がらせ、これで精神がおかしくならなかっただけ良かったものだ。
まぁ、数人は精神的に参って病院行きとなったが......
そこでだ、よく考えてみて欲しい。急に大人気アイドルグループの数人が精神病院行き。これはどういうことか、と何も知らない者からすれば興味の的となる。それを利用して、様々な週刊誌などの記者が事務所に押し寄せるのだ.....神綺達はそこで考えた。今までのことを外にバラせば自分達は楽になれるのでは?っと。
今まで自分達に好き勝手やってきた連中だ。躊躇いなどなかった。
元リーダーにも協力してもらって証拠などを集めて記者に渡したのだ。
今考えれば浅はかだと思うことだが、あの時は必死だったのだ。どうにかして逃げたかったが、仕事ばかりで逃げる時間がなかったのだ。
その後は簡単に予想ができるだろう。今までのグループの酷使や、理不尽な悪業が明るみなり事務所は潰れ、流れでグループも解散。
今まででこれ以上の事務所はないと言われていた所は呆気なく消えた。
これだけのことを経験したのだ。所謂トラウマというやつだろうか。しかし、どうしてもダンスだけは諦められなかった。それぐらいしか自分には取り柄がなかったから。
最終的には苦痛になったのだが、それでも楽しんでいた自分がいたことを忘れられなかった。また楽しみたい....そう思い。今日の今日まで微々たるものだがトレーニングまでやっていたのだ。
だが....こうなってしまってはしょうがない。生まれ変わった今もアイドル関係になると動悸がするのだ。
「(ははっ....最初からわかってたことだったじゃないか。この大会だって元はスクールアイドルに触発されてのものだったんだから...)」
胸を少し強く手で抑えながらもなんとか落ち着こうと試みるが、
「(駄目だ.....諦めよう。あとで取り消しするしか...)」
そんな神綺の様子の変化に気がついた先生が。
「ん?おい、斎藤!どうした?!」
胸を押さえて苦しそうにしているのだ。慌てないわけがない。
「いえ.....すみません。保健室に....」
「あっ あぁ!都築先生!付き添いをお願いします!」
「わかりました!」
と、数学科の都築先生が神綺の肩を抑えながら促す。
「さぁ、行きましょう」
「す、すみません.....」
そうして保健室になんとか着き、ベットで横になった神綺はすぐに意識を失った。
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