ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「希.....悪いが少し待っててくれ」
先ほど少し引っかかったが、彼女とは希のことだったらしい。
取り敢えず、事情聴取の為に交番の中に入ろうとした時。暗闇であまりわからなかったが、交番の明かりで神綺の着ているジャージが照らされて....
「っ 神綺君!それ...」
と希が目を見開きながら震えた手で指を差す。
「ん?」
なんだ、と思い指差す方を見ると、
「うわっ....買い替えか...」
おそらくナイフを避けた時にできたのだろう。ジャージの右脇腹の辺りが切られていた。
「そうじゃなくて!痛く...ないの?」
そう希は言うが、血は出ていないため冷静な普段通りの判断ができているのならそんな反応するはずないのだが...結構パニックになっているらしい。
「よく見てみろ....血なんて出てないだろ?」
「でも....そうなってるってことは...」
「取り敢えず後だ。今は先に事情聴取を終わらせたい」
「そうですね....申し訳ないですが、先に事情聴取をやらせてください」
と警察官が申し訳なさそうに言う。
「は、はい....」
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その後、特に問題もなく事情聴取は終わった。一応電話番号を教えてくれと言われた為に家の電話番号を教えておいた。
なんでも、今回は刃物が絡んでいるため、単なる揉め事では済まないらしい。
「神綺君.....」
事情聴取が終わり、交番を出ると....希が最初と同じくお守りを握ったまま待っていた。
「遅くなったな....さ、帰ろう」
今の時刻は19時を余裕に過ぎている。
「う、うん.....」
希はなにか言いたそうだったが、ここでずっと留まるのもなんだったので移動することにした。
「えっと...その...神綺君」
どれくらいだろうか、駅前の交番から歩き始めて3分ぐらいだろうか。歯切れ悪く希が、
「ごめ「ごめんなさいはなしだ」....」
謝ろうとしたために神綺は遮る。
「お礼は受け取るが、謝ってほしくてやったわけではない」
「でも...」
「元はと言えば俺がお前を家まで送ると言ったからだ。希が謝る事ではない。....ま、俺が帰れと言ったのにまっすぐ帰らなかったことを謝っているのなら....受け取るが」
と呆れながら神綺は言う。それに希は神綺を睨んで声を荒げる。
「帰れる訳無いじゃん!」
「っ....」
急に希が声を荒らげた為神綺は驚く。
「私のせいで....私のせいで神綺君が危ない目に遭ったんだよ!?なのに.....なんで神綺君は私を責めないの!」
「お、おい.....」
「ねぇ!なんでよ!?大怪我するかもしれなかったのに!」
そう希は詰め寄るが、ここは大通り。この時間だと仕事帰りのサラリーマンなどが多い為に何事だと多くの人に好奇の目で見られる。
「...落ち着け希」
「無理だよ!神綺君は私の大切な友達だよ!?なのに....なのに.....」
声を急に荒げたと思ったら次は泣き始めてしまった。
「お、おい...希....」
「うっ...うぅ.....」
「はぁ.....取り敢えず行くぞ」
泣き始めてしまった為に更に目線が増えた神綺は耐えかねて希の片手を握ってこの場を離れることにした。
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「うぅ....」
まだ希は泣きっぱなしだが、神綺はなんとか希の家を聞き出して向かった。
時間が時間な為に、公園で一休みなど言ってられないのだ。
「さぁ、着いたぞ希」
「......」
まだしゃくり泣きをしているが、先ほどよりは落ち着いている。手馴れた手つきで鍵を出して希は開錠した。
それを見計らい、ドアノブを捻ってドアを開ける。
「さ、入るんだ」
「...うん」
しかし、完全に気分が沈んでしまっている希の足取りは重い。
少し危なっかしいが、なんとか靴は脱ぎ終えた希はドアを開けたままの神綺に振り返る。
「...ねぇ、神綺君」
「なんだ?」
「入って」
「...ん?」
「中に入って」
「....わかった」
神綺が希の家にあがった後、リビングにある椅子に互が向き合うように座る。
「ねぇ、神綺君....」
「なんだ?」
希は神綺に話しかけはしたが、目線は下を向いているままだ。
「なんで神綺君は...私を庇ったの?」
「なんでって...そりゃぁ守るためしかないだろ....」
「でも...神綺君が怪我をしたら....」
「何の為に俺が希を家に送ろうとしたと思う?あういう輩が出てもお前を逃がせるようにと思って付き添ったんだぞ?」
「.....」
「だから俺はお前を逃がしたんだ。現に怪我はしてないだろ?」
「...どうしてそこまでしてくれるの?」
そこで希は初めて神綺の目を見る。
「どうしてって....友達だからだが」
神綺はなにをそんなことを、と思いながら言うが、
「だからって...危険な目に遭う必要なんて....」
希の言い分もわかる。自分の身を危険に晒してまで他者を、しかも血の繋がっていない他人を守る必要はあるのか...と。
「ふむ....」
と神綺は腕を組み、目を瞑る。そして、
「なぁ、希。前に言ったよな?俺にとっては希....お前は大事な友達だって」
「....うん」
「それだけで俺はお前を庇うには十分な理由なんだよ。幸い俺は護身術には覚えがあるんでね。あういう素人にならそう負けることはないさ」
そうは言うが、薄目で自分のジャージを見る。目線の先はナイフによってつけられたジャージの穴だ。
切られたということは、あともう少し反応が遅れていたら肉を切られていたことになる。いくら数年というブランクがあったとは言え、これからはランニングのほかに護身の自己鍛錬もしなければならないな...と神綺は思った。
「それに過ぎたことは仕方がない。まぁ...俺からすればありがとうの一言が聞ければ十分なんだが」
と苦笑いをする神綺。
「.....ありがとう」
「どういたしまして」
「でも!もう....こんな危ないことはしないで....」
「それは無理だな」
「なんで!私だって!...神綺君は大切な人なんだよ...?」
「そう思ってくれてるだけでも嬉しいさ。だが、また希が危険な目に遭うのなら俺は黙っていないぞ?」
「.....」
「こればっかりは俺のわがままだな。なにがなんでも譲れない」
「....やっぱり変わってないね。神綺君は」
「ん?」
「前もそう。変なところが頑固」
「...悪かったな頑固で」
「ふふっ....そこが神綺君のいいところだと...私は思うな」
「そうかい...」
「今日はありがと....神綺君がいなかったらどうなっていたか」
「そうだな。まぁ、これから毎日俺がランニング帰りに送るから大丈夫さ」
「...うん。私一人じゃ逃げることできないから....でも、いつやめてもいいからねっ」
「はいはい.....それじゃぁ俺は帰るぞ」
これ以上言っても同じ返答が返ってくるとだけと考えた神綺は適当に切り上げて帰ろうとする。
「あっ その...ジャージのお金...」
「あぁ、いいさそのくらい。それじゃぁまた明日」
丁度サイズがキツくなってきていた為にいい機会なのだ。それに特に愛着もなかった為に気にしていなかった。
「う、うん....また明日」
閲覧ありがとうございます。
スコマについてですが、前も言いましたがわたしのユーザー名はそのまま『レイヴェル』ですので見かけたときはよろしくです。