ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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どうも、最近投稿ペースは1週間おきになっていることに軽く焦ってるレイヴェルです。


第63話

「足踏み.....」

「穂乃果達は俺を頼ってくれた。だが、俺がその場で留まっているせいで前にも後ろにも進まない。...結構言い例えだと思ったんだが?」

 神綺は軽い調子でそう言いはするが、表情は曇ったままだ。

「でも神綺君は穂乃果ちゃん達の手伝いをしたいんでしょ?」

「あぁ....歯がゆいのさ、彼女達がやっていることが....矢澤のときもそうだ。俺は知識があるのに...それをレクチャーすることができない」

「....本当にできないの?」

「....前も言ったろ?頭痛や動悸がするって」

「でもさっきはならなかった」

「そうなんだよ....だからわからないんだ。何がダメであって何ならいいのかが」

 そう言いながら神綺は乱暴に頭をかく。

「斎藤先輩...」

「っ!?」

 呼ばれた方を向くとそこには穂乃果達がすぐれない顔でこちらを見ていた。

「....どうしたんだ?」

 驚愕で目を見開いた神綺だったが、すぐに切り替えてとぼけた。

「....先輩!」

「な、なんだ?」

「...私に...先輩に何があったのか教えてください!」

「...なに?」

「相談なら私でもできます!...それぐらしか、私にはできませんから」

「おいおい...」

「私も先輩の助けになりたいです」

「私も!」

 と次々と名乗りを上げる穂乃果達に神綺はたじろいでしまう。

「....すまないが、これは相談できないことだ」

「でも!そのままで先輩はいいんですか!?」

「っ...」

 確かにこれは相談しにくいことだ。今まで約17年間、親にまで言わなかったこと。このままでいいかと聞かれれば答えられない。それが今の本音だ。

 だが、相談できるものでもない。したからといって改善する保証もないのだ。なのに相談したとすれば....笑われるのが目に見えている。

 のだが、楽になりたいのも事実。

「言った方がいいんじゃないの?神綺君自身辛いんでしょ?話せば楽になることだってあるよ?」

「....話せるのならとっくにしている」

「でも神綺君、歯がゆいんでしょ?これからもずっとそれでいくの?」

 そうやさしく諭す希。今の神綺にはこの言葉が麻薬の様に魅力的に思ってしまう。だが、ギリギリの所で思いとどまる。

 これで話して自分は楽になるのか、と。

「斎藤先輩。私達じゃ....ダメですか?」

 と悲しそうに言うことりのことを見てしまった神綺は更にキツイ表情で唸る。そして神綺は本音を呟く。

「っ.....違う。お前達だからダメなんだ....」

吐露するのは簡単だ。しかし、その後の彼女達の反応を想像するだけで息が詰まるのだ。

 笑われるか、冷たい目で見られるか。それもここまで協力的になってくれている彼女達にアレを言うのだ。どんな反応をされるのかは想像できないほど怖い。

「え?」

「親しいお前達だからこそ....そのあとが怖いんだ。絶対に笑われて馬鹿な奴という目で見られるのが....」

 とさっきまでの落ちつきは神綺にはなく、震え声になってしまう。

 今の神綺にはいつもの落ちついた、大人びた雰囲気などない。実年齢よりも幼い子供が泣いているかのようなか弱さがあるのだ。

 それに穂乃果達は驚いたが、希はただ無言でその神綺の様子を見ていた。

 すると、

「そんなことないよ?」

「っ?!」

 希は怯える神綺をやさしく抱きしめながら頭をそっと撫でた。

 するとフッと嘘のように震えは止まり、ホッとするような、安心する様な暖かい温もりが神綺を包んだ。

「ほら、神綺君。顔を上げて穂乃果ちゃん達を見てみなよ」

「......」

「どう?そんなこと言う様に見える?」

「....内面になにを秘めてるかなんてわからないだろ」

「そう?でもさ、穂乃果ちゃん達がそんなこと隠せると思う?」

「えぇ!?ちょっと東條先輩!それってどういうことですか!?」

「....だが」

「言うだけでも楽になることもあるよ?」

「......」

「先輩!」

「....なんだ、穂乃果」

「教えてください、先輩になにがあったのかを。私達だって先輩と同じで歯がゆいんです。色々教えてくれて、手伝ってくれて。でもそのお返しを私達はできないままでいます」

「....お返しなんていらないさ」

「でも私達はお返しをしたんです。先輩は言いましたよね?笑われるかも、と。....私達は笑いませんよ?こんなに先輩は苦しんでいるのにそんな笑う余裕があると思いますか?」

「.....」

 そう穂乃果は言うが神綺はまだ言えない。それに海未も加勢する。

「私達は確かに、東條先輩より斎藤先輩とは付き合いが短いです。ですが、それなりに先輩の人情といいますか、性格は知ったつもりです」

「....」

 だからなんだ。そう神綺は内心で思ったが、とどめた。

「ですから、先輩はこんな所で嘘や冗談を言わないこともわかっています。ですから私も力になれるかも、と思ったんです。....私も絶対笑ったり失礼なことはしません」

「ほら、彼女達はそう言ってるよ?」

「....っ」

「....はぁ、いい?神綺君」

「...なんだ」

「昔っからそう。神綺君は色々と自分だけでため込みすぎ、少しは私達を頼ってよ。こんなに親身になって相談に乗ろうとしてくれる子なんてそういないよ?」

「....」

「....もう。もう駄目、絶対に聞くまで帰らないから」

「っ 私もです!聞くまで帰りません!」

「おいおい....」

「神綺君が悪いんだよ?すぐに決断しないから」

「どの道俺が話そうとするまでするんだろ!?」

「うん」

「っ」

 ためらいもなく、間髪も入れずにそう答えた希に神綺は唖然としてしまう。

「それじゃぁ着替えてくるから。穂乃果ちゃん達?神綺君が逃げないようにガッチリ捕まえといて」

「わっかりました!」

「は!?」

 そう言いながら希は立ち去り、言われた通り穂乃果は座っている神綺の腕に抱きついた。

「ちょっと穂乃果!?」

「穂乃果ちゃん!?」

 それに海未とことりは驚く、当然だ。

「ん?」

「なにしてるんですか!?」

「ん?先輩が逃げないようにしてる」

「そうではなくて!なぜ抱きついているんです!?」

「だってそうしないと先輩逃げちゃうじゃん!」

「破廉恥です!」

「大丈夫だよ!先輩だもん」

「どこがですか!?」

「先輩なら別にいいもん!」

 そんな穂乃果達のしょうもないやり取りを見ている内に神綺は毒気が抜けたかのように脱力し、ただただ希がくるまで穂乃果に抱きつかれていた。




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