ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
トラブルと題名にはありますが、今話の最後の最後の状態を表しただけの題名ですので、前半は関係ありません。
「...絵里ちはさ、昨日言った神綺君のことはどう思う?」
「え?」
急に今までのスクールアイドルとは離れた話題を持ち掛けられた絵里は戸惑う。
「いいから答えて」
「....どうもなにも、信じるしかないんじゃないの?」
「絵里ち自身は信じられない?」
「信じられないと言えば信じられないけど、これでも中学の頃の神綺君も見ちゃってるからね。言われてもそうかもって思っちゃうのよ....それに、神綺君はそんなことで嘘はつかない人だもの」
「そっか....」
「それがどうしたのよ。急に」
「いやね。んじゃ次の質問。神綺君はなんで穂乃果ちゃん達の指導をしようと思う?」
「それは....」
それは絵里自身が今最も気にしていたことだった。前世の件が本当ならば、なぜ素人同然の穂乃果達のことを面倒に思うことなく、引き受けたのか。
「気になる?」
「...希は知ってるの?」
「ううん。知らない」
「...え?」
考えてもいなかった返答に絵里は呆気にとられる。それをクスッと笑いながら希は
「それをこれから見つけていこうよ。なんで神綺君は絵里ちと違って引き受けたのか。それを神綺君に聞いてみようよ。そしたら絵里ちも彼女達に対する気持ちも変わるかもよ?」
「....どうしてそこまで?」
絵里にしてみればなぜここまで希はスクールアイドルに対する感情をどうにかしようとしているのかがわからなかった。
「ん?そりゃひとつしかないでしょ。絵里ちがかわいそうだもん」
「かわいそう?どうして?」
別に悲しいとか寂しいなんて感情を抱いたことはない。
その言葉に希は自分の目に人差し指を当てて答える。
「神綺君じゃないけど目を見ればわかるもん」
「目?」
「うん。絵里ち、スクールアイドルのことになると、神綺君と同じ目をしてるもん」
「...どういうこと?」
「迷ってるような、自分が進めないことに歯がゆさを覚えてるような...そんな感じ?」
「迷ってる...私が?」
「そんな感じがするだけだけどね。ま、絵里ちがそんなこと微塵も思ってないんならそれはそれでいいんだけど」
「そんなこと思ってないわよ。....おかしなこと言うのね、希」
「そう?ま、神綺君じゃないからあてずっぽうもいいところだけどねー」
「なにそれ...」
希のいい加減な雰囲気に呆れながら、書類へ目を戻す。この話題はここまでとなり、それからはまた黙々と作業をしていた。
------------------------
希と絵里がスクールアイドルについて話ている頃、神綺は絵里に言われた通り理事長室を目指していた。
そして理事長室が面している廊下へたどり着くと、理事長室の方向から理事長が駆け足でこちらへ向かってきた。
....廊下を走ってはダメという突込みはなしで。
「おや、理事長。こんにちは」
丁度いいと思い神綺は理事長に挨拶をして書類を手渡そうとするが、
「あ、こんにちは斎藤君。ごめんなさいね、ちょっと急いでるの」
と手短に挨拶を済ませて理事長は教員室の方へと向かおうとしていた。
「急いでいる?....あっ お探しなのはこの書類でしょうか?」
ちょっとワザとらしく、書類をヒラヒラと自分の顔の横で靡かせる。すると理事長は珍しく動揺して目を見開く。
「そっ それをどうして....」
「生徒会室に紛れてましたのでお届けに」
と言いながら神綺は書類を手渡す。
「そうだったの...ありがとう。とても助かったわ」
「お急ぎの物だったようですね。....後回しにしなくてよかったです」
「えっと....中は見たかしら?」
「申し訳ないですが、誰宛かと見させていただきました」
そう言い頭を下げる。
「あぁ、いいのよ。じゃなきゃ私の所に届けられなかったものね...本当に助かったわ。...後で先生にお説教ね」
「ん?なにか?」
最後の方が聞こえなかった為、反射的に聞き返してしまった。
「え?ううん、なんでもないわ。 それでは私はこれで」
「あ、はい。失礼します」
「はぁぁぁあ....」
神綺は理事長と別れた後、生徒会室に戻ろうと階段を登りながら欠伸をしていた。
だがこの時気が緩んでいたのか、上の階の方から急いで階段を降りてくる音にきにしていなかった。
そして運が悪いことに、
「っ えっあっあぁぁっ!?」
「は? ぅぉお!?」
急に悲鳴に似た声が前方から聞こえ、欠伸により閉じていた目を開けると目の前には制服が迫っていた。
そして、それを理解するより前に制服に押されて神綺は背中から階段へと落ちてしまう形になってしまった。
それにより特有の浮遊感を混乱しながらも感じているとスグに硬いナニカに頭を打ってそこで気を失ってしまった。
「いったたた......!?」
神綺とぶつかったのは女子だった。その女子は膝を摩りながら今どんな状況なのかを確認しようと目を開けると、
「ね、ねぇ...ちょっと...」
目の前には目を瞑ったまま気を失っている神綺が倒れていた。それを見て女子は顔を青くしたが、咄嗟に息があるかを確認した。
「よかった...生きてるわね....ってそうじゃないわよ!」
パニックのあまり、一人しかいないのに独り言を言い始める女子。
「どうすれば...って、この人...」
女子には神綺のことに見覚えがあった。知らない人ならまだ対応も違ったのだろうが、最近顔を合わせたばかりの女子は慌てて神綺を保健室へと運ぼうとするも、体格が違うために肩に担いでも運ぶのは難しかった。そこで、
「....そういえばこの階は...よしっ」
なにかを思いついたのか女子は一度神綺をチラッと見た後、駆け足である所へと向かっていった。
------------------------
「........」
音ノ木坂学院の保健室。とある男子生徒がうっすらと目を開けた。まぁ、神綺なのだが。
神綺は意識がもうろうとしているが、状況を理解しようと本能的に辺りを見渡す。
すると、
「あっ....その...目、覚めましたか?」
ベットの横に備え付けられている椅子に、赤毛の女子生徒、西木野真姫が心配そうな顔で座っていた。
「...ここは?」
「保健室です。...あの、ごめんなさい。私のせいで...」
そう女子生徒は頭を下げる。だが神綺は
「...なんだと?保健室?どういうことだ....俺は助かったのか?いやしかし...な、なぁ君」
「えっ あ、はい」
神綺の違和感のある言動に真姫は戸惑う。
「ここは...病院なのか?だが...保健室ということは...学校かなにかなのか?」
「...え?」
閲覧ありがとうございます。
最後の神綺の言動。どういうことか理解できた方はいるでしょうか?
正解は記憶喪失です。生前の、といいますか。『斎藤神綺』としての記憶を亡くした、前世で車に跳ねられた神綺がそのまま目覚めた。といった感じです。