ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「あ゛ー....もう無理」
「お、お疲れ様です」
なんとか家に着いた神綺は財布に仕舞ってあったカギを取り出して解錠する。
「いや~悪いね神綺君♪」
「記憶戻ったら覚えとけよ....」
病院から出たのはよかったのだ。ただそこからだ。辺りは真っ暗な為に一人で帰らせるのは危ない為一人一人家まで付き添っていたらもう19時を過ぎていた。
そして彼女達の支度が終わるまで夕飯の買い物までしていたのだ。もう精神的な体力は0に等しかった。
「「「お邪魔します」」」
「お前ら料理ぐらいできるんだろうな?」
「できるよ?」
「ならそれくらいやれ、俺はもう寝る」
そういって神綺は持っていたスーパーのビニール袋を希に手渡す。
「えっ 夕飯は?それにお風呂は?」
「朝シャワーを浴びればいいだろう....それより俺は疲れたんだ。寝かせてくれ....」
「ちょっ それじゃぁ私達はどこで寝ればいいの?」
「知るか....元々は西木野さんだけの予定でスケジュールを計算してたんだぞ?それを崩したんだ。自業自得だろう」
「えぇ!?」
「安心しろ。西木野さんの寝る布団は用意してやる」
「私達のも用意してよ!」
「自分で探せ。押入れのどっか探せばあるだろ」
「そんな....」
「それじゃ後は頼んだぞ」
と言って神綺は家に着く前に聞いておいた自分の部屋だった場所へと向かった。
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「...もぅ」
「しょうがないわよ。神綺君に迷惑かけたの事実だもの」
と絵里は希をなだめる。
「取りあえず寝る手段は後で考えましょう。それよりも西木野さん、あなた料理は?」
「え?できますけど....」
「神綺君が買ったの見たらカレーの具材なのよ。ルーまであるし」
「カレーなら偶に作ります」
「ならよかった。希は?」
「作れるよ」
「なら交代交代でカレーを作りながらお風呂を借りましょ。流石にこのままでいるのもあれだから」
「そうですね。それがいいと思います」
「はーい....ちぇっ 神綺君冷たすぎだよ」
と袋から玉ねぎを取り出しながら拗ねる。
「希、引っ張りすぎよ。悪いのは私達なのよ?」
「うー.....」
「えっと...なんかすみません。私がここにお邪魔するなんて言っちゃったから...」
「え?いやいや、西木野さんを責めてるわけじゃないんだ。....ただどうしても不安だったんだよ。西木野さんと神綺君の二人にするのは」
「.......」
「今までの神綺君ならそういうことは絶対しないから違う意味で安心できたんだけど....絵里ちも感じてると思うけど神綺君、性格変わってるから」
「そうなんですか?」
真姫はあまり神綺と付き合いがなかった為わからなかった。
「...まぁね。なんていうか....年相応になった感じかしら?」
「そうそう。.....それと考え方が変わってるみたい。今までの神綺君なら西木野さんを泊めるなんて言わないもの。多分....泊めるまでは言わなくても、明日学校帰りに寄って見てくれ。とかだと思う」
「そうね。こんな強行的な手段は好まないはずだもの」
「...別人ですね」
「そうだね。....でも神綺君は神綺君だから、記憶が戻るまで私は近くにいるよ」
「....辛くないんですか?好きなんですよね、斎藤先輩のこと」
まだ入学して間もないが、はたから見ても好意を持っているのはわかる。
「えっ いや、まぁ....そうだけど」
「希?!」
「....嘘ついたってしょうがないもん。でも、根は優しいのは変わってなかったからかな。そのお蔭で近くに居たいってまだ思えてるのかも」
「.....」
「西木野さんだってわかってるでしょ?神綺君が自分よりあなたを心配したこと」
「え、えぇ...」
「その時言ってたでしょ?西木野さんを心配するのは自己満足だって」
「言ってましたね...」
忘れるはずがない。
「それ、記憶が無くなっちゃう前にも同じことを言ってたんだよね」
「そうなんですか?」
「うん。あの時は自分の我儘だって言ってたけどね」
「希...それって」
「うん。あのことだよ。....ちょっと前にね?私ナンパされたんだ」
「ナンパ...ですか」
「うん、その時神綺君が一緒に居たんだ。それでもナンパの人達は私を強引に連れて行こうとした」
「え....」
衝撃の告白に真姫は言葉を失い、顔を青ざめる。
「ふふっ 大丈夫、私は無事だよ。神綺君のおかげでね」
「ほっ....」
「それでね、神綺君が私を無理やり連れて行こうとしたナンパの人と喧嘩になったんだ」
「そんな...」
「しかもその喧嘩で相手が刃物を出してきてね」
刃物と聞いてまた真姫の顔は青ざめる。
「ふふふっ 意外と感情豊かなんだね、西木野さんって。でも大丈夫、間一髪のところで神綺君は無傷で勝ったんだよ。ナンパの人3人にね」
「3人!?...意外と斎藤先輩ってすごい人だったんですね」
「彼曰く護身術を前世で習ったんだって。だから今の彼も使えると思うよ」
「そうなんですか....」
「でもその時は私自身パニックになっちゃってね。泣いちゃった。そして神綺君にも正直に言っちゃった。心配したって、もうあんな危ないことやめてくれって」
「........」
「そしてその時神綺君はこう言ったんだ。また希が危険な目にあったらまた同じことをやるって。これは自分の我儘なんだって....」
だからね、と希は続ける。
「神綺君は根から優しいんだ。それに私は惹かれたんだと思う。....だからね?私が過ごしてきた神綺君ではなくなっちゃったけど。離れたくないんだ」
「希.....」
「あはは、何言ってんだろ...私。....さ!こんな辛気くさい話なんか置いといてさ!早くお風呂沸かして入っちゃおう?じゃないと夕飯遅れちゃうよ!」
「...そうね。それじゃ私がお風呂沸かしてくるわね」
「うん!それじゃ西木野さん。絵里ちがお風呂沸かしてくれてる間に下ごしらえしちゃおう」
「はい」
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そんな会話が居間でされている時、神綺は自分の部屋にいたのだが
「....そんなこと思っていたのか」
あまりいい行為とは言えないが、ドアに耳を張り付けて外の様子を伺っていたのだ。
「俺は彼女のことを少し勘違いしていたな.....」
まだ知り合ってから数時間しか経っていないのだが、彼女のことを勘違いしていた。
今まではお調子者としか思ってなかったが、その裏様々なことを思っていたようだ。それに俺のことを.....なんてことだ。
「これじゃなんて顔で接すればいいんだ。....聞き耳立てるんじゃなかった」
生半可な気持ちで聞き耳を立てたことに後悔しながら神綺は部屋にある押入れから真姫の分とは別に、希達の分の布団もすぐに使えるように準備するのであった。
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