ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「はぁ.....」
希達の布団を一先ず部屋の端に寄せた後、一眠りした神綺は一度起きて時間を確認した。
(まだ10時か...)
そしてまた布団に横になり、もうそろそろで二度寝ができる、というところで机の上に置いておいた携帯が急にバイブによる振動音をあげた。
「うぉっ!?」
それに神綺は何の音だ、と上体を起こして辺りを素早く確認した。
「っ...なんだ携帯か」
何事か、と先ほど希に教えてもらった使い方を真似しながら立ち上げる。すると
「高坂...穂乃果?電話か」
着信、と大きく画面に表示され穂乃果の名前がその下に表示されていた。
自分は相手を知らない為、スルーしようかと一瞬考えたが、なんか申し訳ない気持ちになった。
なので恐る恐る応答ボタンをタッチした。
「...もしもし?」
『あ、先輩ですかー?穂乃果です!夜にすみません』
取りあえず応答すると、元気いっぱいな声が返ってくる。
『あのですねー 今日は生徒会長に断られちゃいましたが、明日はお時間ありますかー?』
「あっ す、少し待ってくれ...」
電話にきづかず振りすればよかった、と軽く慌てながら一度保留ボタンをタッチしてから居間にいるであろう彼女達に相談しようと部屋のドアを開ける。
「うおっと、ビックリしたぁ....どうしたの?」
「ん?お腹すいたのかしら?」
廊下から居間の方を見ると3人のウチ希と絵里がテレビを見ながらくつろいでいた。
「い、いや....これなんだが」
そういいながら保留してある通話画面を希達に見せる。
「ん?....あ、そういえば言ってなかった」
「悪いんだが電話に出てしまってな...」
「これって...高坂さんじゃない」
「多分今日練習できなかったからじゃない?」
「...なんか明日時間あるかと問われたんだが、なにも把握してないからな」
「そっか...貸して」
「あぁ....」
「あ、もしもしー?穂乃果ちゃん?」
『えぇ!?その声...東條先輩ですか!?』
「そうだよー。ごめんね急に、ちょっと神綺君に代わらせてもらったよ」
『こ、こんばんは....えっと、斎藤先輩にちょっと待っててくれと言われたんですけど...』
「ごめんね。ちょっと事情が事情でね.....明日の練習についてかな?」
『そうです。流石に日にちがないので....私達だけではちょっと...』
「そうだよね....うーん」
と頭を悩ませる希。
「な、なぁ絢瀬さん。練習ってなんなんだ?」
「あぁ。さっきの高坂さんね、お友達と一緒にスクールアイドルを始めたのよ」
「スクール...アイドル?」
「えぇ、部活みたいなものね。学校で活動するからスクールアイドル」
と言いながら絵里はスクールアイドルの記事をスマホで調べて見せてくれた。
「へぇ.....こんなのがあるのか」
「そうなのよ。それで神綺君は彼女達のコーチでね、練習を見てあげてたのよ」
「俺が...コーチを?」
少し信じられない。
「でも可哀想だけどもう彼女達は無理ね....」
「というと?」
「神綺君が教えることができない今。彼女達には頼れる人がもういないのよ」
「....どうして高坂さんはスクールアイドルを?」
「実はね....私達の通ってる学校。廃校になるのよ」
「廃校!? っ かはっごほっ」
前世でもそんな話題が身近に出ることはなかったから余計だろう。思わずむせてしまった。
「入学希望者が減っちゃってね....それを阻止したいって高坂さん達が人気を集めるためにスクールアイドルを」
「なるほど....広告塔みたいなものか」
「そうなるわね」
「そうか....だが、教えることはできるぞ?」
そう。教えることはできるのだ。過去の経験は残っているのだから。
「えっ でもあなた...」
だが、絵里が戸惑うのも無理はない。今までの神綺でさえ、最近やっと前に進み始めたのだ。
悪く言えば、それよりも前に戻ってしまった今の神綺には無理だろうと決めつけていたから。
「なんでだろうな。.....前まではあんなに心が掻き混ぜられるような不快感があったのに....今はないんだ。だからかな、自分から逆にやりたいとさえ思うんだ」
やはり自分は踊りが好きらしい。
「ちょっとお願いしてみるか」
今の気持ちを絵里に話して少し、勢いで決心のついた神綺は先ほどから穂乃果にスクールアイドルのことを聞かれて返答に困っている希に
「なぁ、東條さん」
「んっ なにかな?」
「高坂さんにはスクールアイドルのことで話はついた?」
「いやそれが....」
この通り、と希も保留にしていた。
「そっか...記憶に関しては?」
「そっちもなんとも...いざ説明しようとするとうまく言えなくて...」
「わかった。貸して」
「え?うん」
「...もしもし、待たせてしまって申し訳ない」
『え?いえいえ!夜遅くにかけてる私が悪いので』
「そういってもらえると助かるよ。....えっと、明日は何時がいいんだ?」
『そうですね....朝練でもいいですか?』
「構わないぞ」
『本当ですか!?ではっ明日の朝6時半にいつもの場所で!』
「え?あぁ...」
とそこで電話が切れてしまった。あぁ言っていたが、時間的にギリギリだったのだろう。
「....あ」
「....どうしたの神綺君」
「....高坂さんが朝練をいつもの場所っていっていたんだが....場所わかるか?」
「あぁ、多分男坂のことだと思う」
「男坂...ってどこだ?」
「明日案内してあげるよ。明日何時?」
「朝の6時半にそこだそうだ」
「わかったよ」
「.....大丈夫なの?さっきの感じだと記憶のことも話してないみたいだったけど」
と絵里が心配そうな顔で言ってくる。それに神綺は笑って
「大丈夫だ。東條さんも来てくれるみたいだしな。...それに、スクールアイドルとやらになってる高坂さん以外の人も来るはずだから、その時一緒に説明できるだろ?」
「おぉ、なるほど」
と絵里も希もそれもそうか、と納得した。
そして、一つ問題が解決したことに安堵した神綺はふぅと溜息をつきながら今の椅子に腰かけた。
するとふっと、
「あれ、そういえば西木野さんは?」
そう、彼女の姿が見当たらないのだ。
「あ、お風呂だよ」
「あぁ、今入ってるのか」
と言っても
「でももう夕飯食べたんだろ?」
「えぇ、でもなんか後に入りたいって言うから」
「そうか」
と噂をしていれば
「あれ、先輩」
真姫がパジャマ姿で戻ってきた。
「お、あがったか」
「体調は大丈夫なんですか?...今日は色々ありましたけど」
「少し寝たら楽になったさ。....俺も風呂入るかな、折角起きたんだし」
「ん、ゆっくり~」
「行ってらっしゃい」
「ヴェェェ!?」
「...ど、どうした?」
なにやら奇声?ともいえない声を発しながら真姫がうろたえた。
「えっ いや....その」
「...どうしたんだ。急に顔赤くして」
「...ははーん?さては西木野さん。神綺君が自分の使った後に入られるのが恥ずかしい...とか?」
いい獲物を見つけた。という目で希は真姫を見る。
「そっ そんなわけっ!?」
「ん?恥ずかしがるとこなんてあるか?一緒に入るわけでもないんだぞ?」
「だから違うわよ!」
「そ、そうか?」
いまいち恥ずかしがる要素が見つからない神綺は首を傾げながら風呂場へと向かおうとする。
だが伝え忘れていたことを思い出し、
「そうだ。東條さん達の布団も用意したぞ、俺の部屋の端っこにあるから」
「なっ 神綺君が優しい?!」
「.....」
先ほどの話を盗み聞ぎしたせいでどうも希への対応に困ってしまう。そしてついには絵里にまで同じような目で見られる。
「ちょっ そんな目しないでよ....私が馬鹿みたいじゃん!?」
「現にそうだろうが....んで、西木野さんは俺のベットをよければ使ってくれ」
「ヴェェェ!?」
「....一応俺が強制したようなもんだからな。布団で寝るより体への負担も少ないだろう。...あぁ、安心してくれ。シーツとかカバーはすべて新しいのに変えといたから」
それじゃ、と言って神綺は今度こそ風呂場へと向かった。
「ちょっ....」
取り残された真姫は顔を真っ赤にしながら固まる。
「あ~あ、いいな~西木野さんは...神綺君のベットで寝れて」
「だっ 使いませんよ!」
「えぇ!?使わないの?」
「当たり前です!」
異性のベットを使うなど、真姫には抵抗がありすぎた。まぁ、当たり前だ。
対して希は羨ましそうに真姫を見る。しかし、そこで絵里が希の前に移動して肩をつかむ。
「でも希?よーーっく考えなさい?」
「..ん?」
「神綺君がベットを使わないということは....布団しかないわよね?」
「まぁ、普通ならね」
「なら...答えは一つのはずよ」
「...え?どういうこと?」
「さっき神綺君は言ったわ。私達の分も布団...と」
「うーん?,...はっ!ま、まさか...」
「そのまさかよ」
「さ、流石絵里ち!よし!私も布団で寝るよ!だから西木野さんはベットね!」
「えっ...」
「決まりね!ね!」
「は、はい....」
悲しいかな、希の勢いには勝てずに反射的に真姫は了承してしまった。
「こうと決まればすぐ行動だよ!善は急げ!いくよ、絵里ち!」
「えぇ!」
「....帰りたい」
閲覧ありがとうございます。
....絵里ちと希が積極的になった気がするの。