ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「...う、うぅん」
自然と目が覚めた神綺は無意識に希の寝ている方に寝返りをうつ。
そして軽く後悔する。
「...っ!?」
なぜなら寝ていると思っていた希と目が合ったから。...しかしまだそれだけならいいのだ、目の下に隈ができていなければ。
「あ、おはよう神綺君...」
「お、おはよう。...どうした?眠れなかったのか?」
「う、うん...」
なぜ眠れなかったかわからないが、取りあえず時計を見る。
「4時か....」
「まだ時間は間に合うから...もう一回寝たら?」
と希は無理して作った笑顔でそういうが、
「...そんな状態の東條さんを気にせずもう一度寝れると思うか?取りあえず、どのくらい寝れた?」
「...一睡もしてないよ。徹夜」
「...そうか。今眠気は?」
「まったく。けどちょっと怠いかな」
「だろうな...立てるか?」
と神綺は立ち上がって手を差し出す。
「..え?」
「ずっとここに居ても辛いだろ?向こうに行くぞ」
「...うん」
とフラフラしながらも希は神綺の手を借りて立ち上がる。
「おっとっと...」
「ほら、肩貸してやるから取りあえず行くぞ」
「....ありがと」
「ほら、これでも飲め」
希をひとまず椅子に座らせた神綺は白湯を渡した。
「うん...ありがと」
「一気に飲むなよ、ゆっくりだ」
「ん....」
本当なら栄養ドリンクでも飲んで無理やり頭を切り替えるのだが、流石に女性にそれをさせるのは気が引けたため、時間もあることだしゆっくり調子を戻すことにした。
「眠気は?」
「あるけど....寝れない」
「そうか。....頭痛や気持ち悪さはあるか?」
「...ないね」
「食欲は?」
「うーん....あまり」
「そっか。...よし、まぁ待ってろ。朝ごはん作ってやっから」
「えっ でも食欲...」
「だからって食べない気か?今日一日持たないぞ」
「そうだけど...」
「とりあえず、食べられるものだけ食べろ。それだけでいいから」
と優しく微笑む神綺。だが、
(ど、どうしよう...すっごい優しくしてくれてるけど、本当のこと知ったらどんな顔されるんだろう...)
ただ希が自滅しただけなので自業自得なのだが、そんなの神綺が知ってるわけもない。
しかしここで真実を暴露する勇気はないのだ。だから希はただちびちびと白湯を飲むしかなかった。
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「よっと...よし、そこそこだな」
朝食と弁当用のおかずを作り始めて20分ほどだろうか、居間には香ばしいいいにおいが広がっていた。それに希も
「神綺く~ん...お腹へったよ~」
「もう少しだから待てって....でもよかった。食欲は出てきたみたいだな」
このままなにも食べずに学校に行くなど言われたらどうしようかと冷や冷やしながら作っていたのだが、その心配がなくなりホッとする。
「ん....少し味が濃いか。このまま飲むにはキツイな」
味噌汁を作っていたのだが、思ったほか味が濃く仕上がってしまった。
「あら....いい匂い」
「ん?おぉ絢瀬さんか、おはよう」
「おはよう、神綺君。それに希も」
「おはよ絵里ち~」
「珍しいわね、希がこんな早くに起きるなんて」
「それが寝てないんだと」
「え?」
「あはは...」
「最初は驚いたぞ、今もだが目の下に隈ができてるんだからな」
「本当だ...どうしちゃったのよ」
「え、えっと...てへ?」
と絵里が親身に聞いてみるも、相当聞かれたくないのかあからさまに恍けられた。
「...はぁ」
「それはそうと絢瀬さんも早いな、まだ5時になってないぞ」
「いい匂いがするんだもの、そりゃぁ目も覚めるわよ」
「す、すまん。まさかこれで起きるとは思ってなかった」
「別にいいわよ。それに、今日は高坂さん達との朝練があるんでしょ?余裕を持って起きておいて損はないわ。それにちょっとした課題をやる時間もあるし」
「なら急いでこっちを完成させないとな」
「別に急がなくてもいいわよ?今日中ってものでもないから」
「だが出来立てが食べたいだろ?」
「...まぁね。お腹減ってきちゃった」
と可愛く舌をペロッとだして観念する。
「だろ?もうできるからご飯よそってくれ」
「あっ 私やるよ!なんか眠くなってきちゃって...」
と苦笑いをしながら希がお茶碗を持って炊飯機の蓋を開ける。
「今から寝たら流石に遅刻だぞ?」
「わかってるよ。だからこそ目を覚まそうと思って動いてるの」
「...朝練やるか?」
「それもいいんだけどさ、それで疲れちゃったら授業中寝ちゃいそうで...」
と目を逸らすが
「朝練しなくても寝るだろ」
「うぐっ」
神綺の容赦ない追撃に顔を顰める。
「ま、朝練は冗談さ。それで変に体力使って道端で倒れられても困るしな」
「えっ 神綺君が運んでくれるなら喜んで倒れるよ?」
「なにいってんだたわけ。そんなこといってないで手を動かせ、止まってるぞ?」
「うぅ...さっきまでは優しかったのに」
「もう元気だろお前。あまりふざけてると弁当抜くぞ」
「え?!ひどいよ!」
「なら、ちゃんとしなさい」
「.....はい」
「...お母さんみたいね、神綺君」
「うっさいわ。俺だってこんなこと言いたくはないが東條さんの為だ、いいこと悪いことはキッチリさせなければならん」
「...そうね」
「えっ 私ってそんなにひどい?」
「ひどいわ!それよりまた手止まってるぞ?」
「げっ」
あれからも色々と希は神綺に言われていたが、一応朝食の準備はできた。しかし、
「...あぁ、西木野さんがいないのか」
誰か足りない。そう思っていたら真姫がまだ起きていないのだ。
「結構ぐっすり寝ちゃってるみたいね。起こしてくるわ」
「いや、俺が行く。どうせお前ら布団畳んでないだろ」
「「あっ....」」
「...はぁ。畳んでくるからお前らは西木野さんがこっちきたら先食べてろ」
「西木野さーん...と、まだ寝てるか」
部屋に入ると、まだ真姫の規則正しい寝息が聞こえた。
本当ならまだ起こす必要のない時間なのだが、あとでひとりで食べてもらうのは抵抗がある為、可哀想だが起こすことにする。
「おーい、西木野さん」
軽く肩を揺さぶる。すると
「う、うぅん.....」
真姫の目がうっすらと開き、神綺と目が合う。
「朝だぞ。といってもまだ早いがな...」
と腕時計の時間を見せるが、対して真姫は
「...... っ ~~~~~~~~!?」
「ん? んむ!?」
急に言葉にならない声を上げたと思ったら顔を真っ赤にしながら枕を神綺の顔に叩き付けた。
「神綺君! ってありゃ...遅かったか」
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「ご、ごめんなさい」
「いや、俺も配慮が足りなかった。こちらこそすまない」
「私達も見落としてたわ。そういえば西木野さんと神綺君は昨日が初対面なもんだものね....希を起こしに行ってもらうような感覚だったわ」
と最初はなにごとかとパニックになっていた真姫だったが、絵里や希が宥めて取りあえずは落ち着いた。
「...さ、一応落ち着いたことだし朝ごはんにしよう。冷めてしまうからな」
「えっ...」
とそこで真姫が意外そうな表情をする。
「ん?どうした?」
「朝ごはん...できてるんですか?」
「あぁ、俺と東條さんは結構前に起きててな。今まで朝飯を作ってたのさ」
「そうだったんですか」
「あ、勿論弁当も作ったから安心してくれ」
「お弁当もですか!?」
「そうだぞ。ちゃんとミニトマト入れておいたからな?」
そう言うとパッと目をキラキラさせた真姫だったが、あることに気がついて怪訝な顔をする。
「えっと...どうして斎藤先輩がトマトのことを?」
「昨日私が神綺君に言っておいたのよ。西木野さんはトマトが好きだって」
「そ、そうだったんですか...」
自分の知らないところで好物がばれていたことに恥ずかしを隠せない真姫が顔を赤くして俯いた。
閲覧ありがとうございます。
挿絵を挿入しました。2015/5/16/11:47