ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
「....どういうことだ?高坂さん」
「実は...6時間目が終わった後、斉藤先輩からメールが来たんです。生徒会の方で仕事をしなければならなくなったから練習は見送らせてくれって」
「ふむ...生徒会ね」
その時、神綺は少し引っかかったが穂乃果は気にせず続ける。
「多分その時はまだ先輩は記憶を無くしてなかったんだと思います」
「そうだね。その時は私達もいたから」
と希が絵里のことをチラッと見る。
「...えぇ。私も一緒にいたから間違いないわ」
「それで....放課後の用事がなくなった私は海未ちゃん達に内緒で西木野さんを探しに1年生の教室に向かったんです」
「作曲を頼む為か?」
「っ どうして斉藤先輩がそのことを...」
「西木野さんから聞いたのさ。ちょっと前から作曲をしてほしいと頼まれていたって」
「そうだったんですか...」
「それで?それからはどうしたんだ?」
「あ、はい。教室の前で西木野さんにもう一度お願いしたんですけど断られまして...」
そう言いながら穂乃果は目をそらす。
「...んで?西木野さんが断ったのと今回の事故。どう関係してるんだ?」
「えっと....その、時間もあまりないので私焦ってまして...どうにか作曲してほしいと逃げる西木野さんを追いかけていたんです...」
「えぇ...」
なにしてるんだこの子は....と神綺は頭を痛める。
「それで途中で見失っちゃって諦めたんですけど....時間的に考えても、私から逃げていた西木野さんが斉藤先輩とぶつかった。としか思えないんです....」
「ふむ....そこんとこはどうなんだ西木野さん?」
「...そうです。その通りです」
真姫が苦笑いしながら肯定すると、瞬時に穂乃果が頭を下げて
「...ごめんなさい!謝って済む問題じゃないですけど...私のせいで...」
「穂乃果...」
「高坂さん、頭をあげてくれ」
「...でも」
「いいから」
神綺の言葉に穂乃果は戸惑いながら、今先輩はどんな顔をしているのか、と思いながらも頭をあげる。
そして、次第に見えてきた神綺の表情を見て
「...え?」
呆気にとられてしまう。どう見ても怒っているようには見えないのだ。
「ん?どうした?」
「えっと...怒ってないんですか?」
「....は?なんで俺が怒るんだ?」
神綺は本当に気にしていないらしく、本気で戸惑っているように見える。
「だって...私が西木野さんを--「ストップだ」っ」
「それ以上はもう言わなくていい。....別に俺は君に怒る気はないぞ?」
「...なぜですか?」
「ん?例え話をするか?例えば...君が西木野さんを見失わずに、そのまま追いかけていたとしよう。そこでだ。俺と西木野さんが接触し、その後ろから来た君まで階段から落ちてみろ。大惨事だぞ」
「.....」
「そうならなかっただけいいじゃないか。そう思わないか?」
「まぁ、そうですけど...」
「だろ?もう起きてしまったことを考えたってしょうがないだろ。それ言ったら俺の前方不注意なんだ。逆に俺のせいでみんなを巻き込んでしまった。そう取れるぞ」
「そんなことはっ」
「そう否定してくれるのなら、俺も君らの悲観的な発想は否定させてもらうぞ」
「.....」
「ついでに絢瀬さんもだ」
「えっ 私?」
「今の高坂さんの話と、昨日今日で見てきた君の性格でいくと、自分が生徒会に誘わなければよかった。とか思ってないか?...それとも俺の考え過ぎか?」
そう口では言うものの、そう思っているだろうという確信はあった。
「....おてあげ。敵わないわ」
と絵里は両手をあげて降参のポーズをした。
「君もそこまで気にしなくていいからな?....さ、それじゃぁこの話はここで終わろうか。少し予想外だったがな」
そして神綺は一度深呼吸をすると
「それじゃぁ改めまして自己紹介だ。君達自身の口からまだ名前を聞いていないからな。....知っていると思うが俺は斉藤神綺だ。よろしく」
そう笑いながら神綺は穂乃果に握手をしようと手を差し出す。
その手を恐る恐るといった様子で握り、
「...高坂穂乃果です。よろしくおねがいします」
「よろしく、高坂さん」
すると次は隣にいた海未に握手を求めようとするが、
「.......」
「......えっと?」
中々手をさしだしてもらない。更に顔まで真っ赤にしてしまっている。
「あはは...海未ちゃん奥手だから...」
「ふむ、そうか」
にしてもこれは流石に....と神綺は苦笑いをするしかなかった。だが名前は知っておきたい。
仕方がないので手は仕舞い、
「取り敢えず、斉藤神綺だ」
「....園田海未...です」
小さい、しかし聞き取りやすい声だ。
「園田さんだな、よろしく」
最後にもう一人の前に行き、手を再度さしだす、
「斉藤神綺だ、よろしく」
「南ことりです。よろしくお願いします」
今度はしっかりと握り返してくれたことに安堵しながら
「南さん、よろしく」
そして一息あけてから、
「さぁ、色々寄り道したがまだ時間はあるな。練習をしようか」
「っ はい!」
「...といっても君達の体力がどれほどか知らないからな....取り敢えず腕立て40、腹筋背筋各30だ」
「え゛っ」
「ん?できないのか?」
少し回数を多めにとったとはいえ、これくらい出来てくれないと困る。
「...頑張ります」
できます、ではなく頑張ります。これからが心配だ。
「終わりました」
「おつかれ、園田さん」
3人が同時に初めてしばらく経って、最初にクリアしたのは海未だった。
「結構余裕そうだな」
「はい。日頃から鍛えてますから」
「ほぉ。...ん、高坂さんが腹筋20回終わったとこ、南さんは腹筋18回のとこだ」
「...それがどうかしました?」
海未からすれば二人の体力のなさは知っている為、なぜ神綺がそんなことを言うのかが不思議だった。
「なに、俺自身も自分で言った回数やろうとね。彼女達のカウント任せるよ」
「あ、はい」
そう海未が頷いたのを確認すると、神綺も彼女達から少し距離を取って腕立てを始めた。
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「....遅くないか」
「...体力がないんです、この二人」
「ひぃ...ひぃ...」
「うん...しょ、うん....しょ...」
神綺は軽々とノルマを終わらせたのだが、先に始めていた二人より先に終わってしまったのだ。
「だっはぁぁぁぁ....終わったぁぁぁぁ」
「...おつかれ。でいいのかな、高坂さん」
「キツすぎですよぉ!」
「何言ってんだ。園田さんはサクッと終わったぞ」
「海未ちゃんは特別です!?」
「....いや、マジで体力なさすぎるぞ...君」
ハッキリ言って予想外もいいところだ。自発的にアイドルを始めるといったからどのようなもんかと思えばこの体たらく。....幻滅もいいところだぞ。
「それで...今南さんの回数は?」
「後2回で終わりです」
「そうか....」
「終わったぁ......」
「おつかれ....」
はぁ、これからどうしようか。リミットまで一ヶ月切っていてこのレベル。
神綺はこの無謀もいいところな状態を目の当たりにして、ただ乾いた笑いをするしかなかった。
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