ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
本当は希の誕生日である昨日に合わせて投稿できればと思ったんですけどね....絵描いてたら遅れました。
折角なので描いた絵を後書きに貼っておきます。よろしければ御覧ください。
「よし、取り敢えず休憩だ。おつかれ」
「おわったぁぁぁ.....」
神綺自身、明神周辺の地理を把握しておきたかった為、穂乃果達を連れて軽いランニングをしていた。
そして希達の所に戻ってくると、穂乃果はまたヘナヘナと地面に倒れた。
「...軽くなのにもうこれか」
「おかえり、神綺君」
「あぁ、ただいま」
あまりにも情けない穂乃果に呆れていると後ろから絵里がこちらへ飲み物を持ってきた。
「はい、これ。言われたから買ってきたわよ」
「助かる、ありがとう。 さ、君達も飲め」
と神綺は絵里からスポーツドリンクを貰うと穂乃果達に手渡す。
「ありがとうございます。....冷たくないんですね」
その中でも一番神綺の近くにいた海未は、いち早く違和感に気がついた。
「ん?あぁ。冷たいのは体に良くないからな」
「えー!?冷たいのが飲みたいです!」
と寝そべりながら不満そうな顔をする穂乃果に神綺は、穂乃果と目線を合わせるかのようにしゃがみ
「嫌ならいいんだぞ?買ってきてくれた絢瀬さんの分になるだけだ」
「え?先輩が.....?」
「絢瀬さんに買いに行っては貰ったが代金は俺持ちだ」
「もっ もらいます...」
確かに飲むのなら冷たいほうがいいが、折角買ってもらったのだ。それを突き返すのは気が引けたし、走って喉も乾いていた穂乃果はそう答えると蓋を開けてチビチビと飲み始める。
「....んでだ。南さん、大丈夫か?」
そう。ランニングを終えてから一度も、スポーツドリンクを受け取るときでさえ無言で受け取り、ずっと立ったまま固まっていることりに神綺は呼びかける。
「....だ、だいじょうぶ.....です.....」
と絞り出したような声でことりは言うが膝は震え、バランスはまるでとれていない。
仕舞いには
「っ 危ない!っと...」
力がフッと抜けたかのように倒れてしまう。だが神綺が咄嗟に支えた為、神綺に寄り添うような形になる。
「こっ ことり!?大丈夫ですか!?」
「ことりちゃん!?」
海未は勿論、座りながら飲んでいた穂乃果もことりの異変に驚いて駆け寄る。それは希達も同じで驚きながら駆け寄ってきた。
「あはは....すみません先輩」
「どうしたんだ....」
「疲れちゃって....」
と苦笑いをする。
「なら高坂さんの様に座ればよかっただろ?」
そう神綺が言うと、穂乃果達もうんうんと頷く。だがそれをことりは首を横に振って
「ううん。そうすると立てなくなりそうで...」
「おいおい....とりあえず歩けるか?」
「支えてもらえればなんとか....」
「よし、ゆっくりでいい。そこの花壇に座れ」
「はい....」
そうしてことりを花壇に座らせると、神綺はことりの前髪をたくし上げる。
「えっと...先輩?」
「いいから待ってろ」
そう言い神綺はことりの額に手の平を当てた。
「....ふむ。こっちは問題なしか。次だ、腕を出してくれ。どちらでもいい」
「あ、はい」
そう言われたことりは神綺に近い左腕を前に出した。
「よし......少し早いくらいか。もういいぞ」
「なにしたの?神綺君」
ことりにした行動に合点がいかなかった希は聞いた。
「額の熱と脈拍を確認した。それと瞳孔もな」
「どうして?」
「ないとは言い切れないがこの時期に熱中症は考えにくいからな。元々体調がすぐれなかったか、単純に体力切れかを判断しただけだ」
「なるほど。...それで?どうだったの?」
「後者だ。単なる体力切れだ。脈拍は早いが走った直後なのを考慮すれば普通だし、腕や額を触った時の体温も問題ないからな、そのスポーツドリンクを飲んでおけば時期に戻る」
「そっか」
と一安心したのか希はホッとした顔をする。
「お騒がせしました...」
「いや、いいさ。俺が君の体調をしっかり認知できなかったんだ。落ち度はこっちにある。すまなかった」
「いっ いえ!先輩は別に...」
「はいはい、このままじゃ埒明かないから終わり終わり。どっちも悪かったで手打ちにしよ?」
そんな二人の様子に呆れた希はパンパンと手を叩きながらそう言った。
「...わかった」
納得のいかない神綺だが、このまま平行線を辿るのは予想できた為折れることにした。
その後、ことりの調子も戻ったことで、仕上げがてら軽く体幹トレーニングをして朝練はお開きとなった。
そして今はシャワーを浴び終わり、再度準備を終えた神綺達は学校へ登校中だ。
しかし、
「眠い!」
「知るか馬鹿が、自業自得だ。...たくっ」
神綺が朝練から帰り、シャワーを浴びている途中、希が寝不足なのが不思議だった絵里と真姫はこっそり希に聞いたのだ。
最初は渋っていたのだが二人の押しには負け、しょうがなく打ち明けた...のだが。
長い間渋っていた為、神綺が風呂場から帰ってきた時と同時に打ち明ける形になってしまったのだ。
それに慌ててあたふたするも、本当の理由を聞いてしまった神綺は呆れてしまい、その後の希に対する対応が荒くなった。
「何がドキドキして眠れなかったーだ」
「うぅうぅぅうるさい!」
「希...動揺しすぎよ...」
神綺の言葉で思い出してしまった希は顔を真赤にして神綺を睨む。だが、全くと言っていいほど怖くない。
「そそそっそそんなことよりさ!」
「...なんだ?」
「絵里ちはどうしてあんなにグッスリ眠れたのさ!?」
「..え?私?」
「そうだよ!」
絵里からしてみればいつもの希とは全然違うテンションにおかしく思いながらもなぜ自分がすぐ寝れたかを思い出そうとするが、
「うーん.....私って日頃からよく寝るのよ。だから...かな?」
「そんなぁ....」
「はぁ....」
希のハイテンションについて行けなくなった神綺は彼女達から少し距離をとっていた真姫の方へ歩く早さを合わせながら近づいた。
「? どうしました?」
「いや...東條さんのテンションについて行けなくなっただけさ」
「あぁ....」
真姫も見ていたからわかるのだろう。彼女の相手をするのは骨が折れる、と。
「でもそれだけじゃないんですよね?」
「まぁな。....なぁ、西木野さん」
「なんですか?」
「....今朝の朝練を見て、なにか思うところはあったか?」
「っ」
「まぁ急かすつもりはないんだがな。君の目が気になってね」
「...目ですか?」
「あぁ。前に君と同じような目をした子を見たことがあってな?...西木野さん。君、なにか我慢してるだろ?」
「我慢....ですか?」
「なにか自分の本心を押し潰してるような....なにか理由をつけて自分に言い聞かせてるような...そんな目だ。憧れてて、眩しい物をみるような...ね」
「......」
真姫は息を呑んだ。別に隠していたわけではない。だが....たった数分、しかも目を見ただけで今の自分の本心を見透かされてしまった。恐ろしいほど正確に....
「....先輩」
「ん?」
「...放課後、お話したいことがあります」
「...わかった。場所は?」
「音楽室で」
「...了解した」