ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
いつもどおりこの話に後日挿絵入れますのでお楽しみに?
•6/17 1:18 挿絵を挿入しました。
題名で少しは察してくださった方もいるでしょうかね。
主役は真姫ちゃんですぞ!
記憶を失ってから初めての音ノ木坂学院への登校。
俺にとってはとても不思議な一日だったと思う。確かに、記憶がないから自分にとっては初めて見る景色、見る光景。でもどこか初めてじゃないような感じもするんだ。周りは当たり前だが俺を知っている、だが俺は彼らを....居場所を知らない。
そんな違和感を常時抱きながら授業を受けてきたが....こりゃぁ疲れるな。
周りから好奇の視線が尋常じゃなかった。できれば早く記憶を取り戻したいところだ。
「-----!」
なにより彼女達が可愛そうだ。表ではあぁは言っていても内面は相当堪えてるはずなんだ。
東條さんがいい例だな。今までの俺があんなにハイテンションな子を相手できていたとは思えない。きっとやせ我慢してるんだと感じる時があるが....考え過ぎだろうか。
「-い--ん!」
そういえば...この後西木野さんに呼ばれてるんだったな。何の話か....まぁ、スクールアイドル関係なのは明白か。
「斉藤君!」
「っ はい!」
神綺は自分が呼ばれたことに驚き、軽く肩をビクつかせながら考えこむのに閉じていた瞼を開いた。
「もぅ...疲れたとは思いますけどまだHRですよ?」
「す、すみません」
担任の先生があからさまに怒っているのがわかるが...あまり怖くない。女性教諭というのもあるだろうが...南さんに通づるモノがあると思う。
「何回呼んでも反応しないので困りましたよ。さ、気を取り直して次行きます。来週は--」
その後もHRの連絡事項は着々と進み、解散となった。
そして神綺も他の生徒と同じように教室を出ようとすると希達に呼び止められる。
「あ、神綺君待って~」
「ん?東條さん達か。どうした?」
「これからどうするの?私達は生徒会の方に行くけど...」
あぁ、納得した。
今朝、学校に着いて一番に教員室に向かい、先生方とこれからのことについて少し話したのだが、俺は役職上そう簡単に抜けられるほどどうでもいいものではなかった。
だからこそ先生方は代役を頼める人員がいないから悩んでいたのだが.....まぁ自分自身先生方がなにで悩んでいるかわかったからすぐに提案はした。
俺が絢瀬さん達に教わりながら順々にこなしていく、と。事情が事情であり、自分の学力などは然程変化してないから事務処理の仕方さえ教えてもらえれば後はどうとでもなる。
それでも先生方は渋ったが、他に代役がいない以上。制約は色々ついたが呑んでもらえた。
そしてその制約の中に、必ず作業をするときは絢瀬さんといることだ。まぁ当たり前だろう。東條さんは書記であり、やれる仕事は限られる。なら、一番仕事のある絢瀬さんに監督してもらうのが妥当だとのこと。
これらのことを踏まえ、今の状況を考えると。東條さんはこう言いたいのだろう。
『仕事をするなら早めに覚えておいたほうがいいんじゃない?』と。
だが、
「すまん。これから用事があるんだ」
これから西木野さんとの約束がある。それを破る訳にはいかない。
「用事?」
「西木野さんとちょっとな。まぁ終わったらメールで知らせるからよろしく」
「そう?絵里ちはそれでいい?」
と希は隣にいる絵里にふる。
「私は構わないわよ。まだオープンキャンパスまで時間はあるし、新歓も余裕あるから」
「なら、そういうことで頼む。それじゃぁな」
かれこれHRで時間をそこそこ使ってしまっている神綺はあまり西木野さんを待たせるのも悪いと思い、強引だが話を切り上げて絵里達と別れた。
---------------------
「えっと...2階か」
昼休みに学院の構造把握をしようとブラブラ歩きたい。という口実の元、音楽室を事前に探していたのだ。
まぁ俺が記憶を失ったという噂が流れたのだろう。好奇の視線がやばかった。
そして音楽室は2階の1年生の教室から少し離れた所にあることがわかった。そして今はそこに向かっている。
だが、フッと歌声が聞こえた気がした。
「...ん?」
気のせいかと思い、もう一度耳を凝らしてみると
~~♪
気のせいではなく、綺麗な歌声と共にピアノの音が微かに聞こえた。
「...ピアノか。となると」
考えられるのは音楽室。まだ小さくて確証がないが恐らく西木野さんのだろう。
.....歌ってしまうほど暇だとはな。後で謝らなくては....
しかし、いい歌声だ。
音楽室に近づくに連れて西木野さんの綺麗な歌声がよく聞こえるようになる。
そして廊下の所に音楽室、と書かれた札がぶら下がっているのを見つける。
「ここか....」
視線を下に移せば、他の教室となんら変わらない扉に軽く驚いた。
「防音処理もされてないのか....珍しいな」
ほとんどの学校はピアノとかの音が外に漏れないように防音加工されているのだが...ここは壁だけで扉にはされていないらしい。だから漏れているのだろう。
~~♪
そして今もやめることなく西木野さんは歌を歌っている。しかし...ピアノの音がしているということは他にも人がいるのだろうか....
そんな好奇心でソッと扉に付けられている窓から中を覗くと、
~~♪
「...へぇ」
西木野さんともう一人の誰かが....なんてことはなく。西木野さん一人でピアノを弾きながら歌っていた。
だがその顔があまりにも自然で、穏やかだったのに気がついた神綺は途中で扉を開けるのはやめて、彼女が歌い終わるまでずっと音楽室の外で待っていた。
しかし、最後までスッキリ終わることはなく
『いつまでそこにいるんですか?斉藤先輩?』
「っ」
神綺が外にいるのに気がついた真姫はそう中から言う。
それを聞いた神綺は観念して苦笑いをしながら音楽室の扉を開けた。
「気づいていたか....」
「チラッと覗きましたよね?入ってくるかな、と思っても入ってこないんですもの」
とジト目をしながら見てくる真姫はピアノの椅子に座り足を組んで、髪の毛を指で弄っていた。
「最初からわかってたのか。...まぁ、すまなかった。あまりにも穏やかな表情をしてたからな、途中で割り込むのは気が引けてね」
「そんな気使い入りませんよ。悪いと思うならもっと速くきてくださいよ、待ちくたびれました」
「す、すまん。HRが長引いてな」
弁明の余地もない。
「まぁいいです。...そうだ。先輩も座ってください、椅子はあそこにありますので」
そう彼女が指をさす方を見ると、生徒用であろう椅子が沢山重ねられていた。
「ん、ならこれでいいか。.....よっと」
適当に一番手前にあった椅子を取った神綺は真姫の近くまで持って行き、座る。
「んで?話ってなんだ?」
検討はついているが、一応確認をする。
「わかっていると思いますが、スクールアイドルについてです」
「それで?」
「それでって....」
真姫は俺の反応が気に入らなかったらしい。だが、
「他にどうしろと?」
「...まぁいいです。それで...今朝先輩は言いましたよね、目のこと」
「あぁ...言ったな」
「それで引っかかったんです」
「ん?間違ってたか?」
結構見る目はあるつもりだが....
「逆です。恐ろしいほど当たってます」
「そうか...んで?なにに引っかかったんだ?」
「聞きたいんです。前に私と同じ目をしていた人がどうなったか」
そう言う真姫の目は恐れているような、でも好奇心もあるような感じがした。
「ふむ....あれか?その結果によってこれからの自分の行動を変えるのか?」
「...そのつもりです。卑怯かもしれませんけど...後悔したくないので」
「わかった。....その人は...彼女は前世で会ったんだ。俺がアイドルをしている時、追っかけとして俺を応援してくれていた。そしてある日、相談してほしいことがある。と呼び止められたんだ。その子もアイドルに憧れていてね、アイドルになるって....俺の隣にいつか立つって言ってたっけ」
そう言う神綺は懐かしむように昔を思い出した。
「でもその子はあるときからパタッとライブとかにも来なくなってね。....最初は体調がすぐれないのかな?とか思ってたよ」
「でもそのライブに行く気がなかっただけじゃ?」
「そうでもなかったんだよ。自惚れかもしれないけど、彼女は俺のことを熱心に応援してくれた。まだ中学生ぐらいなのに、両親が裕福だったんじゃないかな。俺が出るライブには必ずと言っていいほど顔を出していたんだ」
「......」
真姫にも思い当たるところがあるのか、神綺の顔をじっと見つめて次に発せられる言葉を待っていた。
「そんな子が来なくなってね。....心配にもなったよ。なにか事故にでもあったのか、とかね」
「それで...どうだったんですか?」
「そんな心配は杞憂だったよ。しばらくしてからまた彼女はライブに来てくれた」
言葉だけを聞くならよかった。で終わるのだが、神綺の表情を見ていた真姫はそんな気持ちにはなれなかった。
「でも彼女の顔を見たらなんて声かけたらいいかわからなくなってね」
「......どうして?」
「今までの目をキラキラさせた眩しい顔じゃなくてね。なにもかも諦めたような達観した顔つきになっててね。全くの別人だったよ」
「っ」
それには真姫も息を呑む。なんとなくだが、先が読めてしまったから。
「そしてどうしていいかわからなかった俺に、彼女から話しかけてきたんだ。その開口一番、何だったと思う?」
「え?.....わからないです」
いいや、わからないわけではない。わかりたくなかったのだ。
「.....今までありがとうございました。これからも頑張ってくださいねだってさ」
「.....」
その言葉に真姫は顔をしかめる。どうしてそうなったかも理解できたから...
「その時打ち明けてくれたんだが、その子は自分の行きたかった道を諦め、親に決められた道を。親の跡継ぎをするために名門の進学校に受かったそうだよ。はたから見れば頭がいいな、と羨ましがられたりするのに...当の本人は今までにないくらいに無表情だったよ」
「....」
真姫にもなんとなくわかる。その気持ちが....
「西木野さん」
「っ はい」
急に呼ばれて自然と俯いていた顔をあげると神綺が真剣な顔で、
「君がこの事を聞いた様子からするに....君もあるんだろ?決められた将来が」
「.....はい」
その女の子とほぼ同じ。その子はアイドルだったが、真姫は...音楽関係が好きなのだ。だが、もう将来は決まっている。.....医系に進み、両親の後を継ぐ将来が。
でも、先ほどの話を聞くと....本当にそれで自分はいいのか。とも考えてしまう。
「ふむ。....君は本当はなにをしたいんだ?」
「....私は」
しかし、そう簡単に答えられるものではない。答えられるとしても、その道を進むとすればどれだけの困難が待ち受けているのか....容易に想像できる。
それを神綺も感じ取ったのだろう。真剣な表情から、少し物腰の柔らかい表情に変わり
「言うだけなら簡単だ。なにも全てにおいて有限実行しなければならないわけではないだろ?それこそ、夢を言うのは自由だ」
「っ」
自由。その言葉に真姫は衝撃を覚えた。
今までそんなものだ、と諦めかけていた夢。やりたいけど、両親の手前そんなこと許されないんだと塞ぎこんだ自分。それを突き動かしてくれた....
いつもならそれでも引き下がらないかもしれない。穂乃果にも熱心に説得された時のように、自分に何とか言い聞かせてその場をしのげたかもしれない。
でも....今回はそれができなかった。
穂乃果の時以上に、神綺の言葉が身に染みたから。
「....音楽が好きです」
そう小さい声だが、確かに真姫はそう言った。
「....そうか」
神綺は微笑みながら静かにそう呟き、
「なら西木野さん。.....君はまだ高校1年生だ。少しくらい...寄り道しても、バチは当らないんじゃないか?」
「っ」
「君も本当は薄々思ってるんだろ?作曲をしてみたいって。彼女達の行く末を見てみたいって」
「....はい」
「なら決まりだな。これからよろしくな?西木野さん」
「...え?」
神綺の言葉に真姫は目を点にする。
「ん?何呆けてるんだ。作曲してくれる気になったんだろ?なら、これからはもう仲間じゃないか?あの3人プラス、西木野さんで4人だ」
「仲間....」
仲間、その言葉に真姫は今までにない高揚を感じた。
今まであまり誰かと一緒になにかを目指す、なんてことなかった。ずっと一人で突き通してきた真姫には聞き慣れない言葉。
「そうだ。作曲者になるんだぞ?それがメンバーじゃないとかお笑いだぞ?」
「仲間....メンバー......ふふっ」
「お、笑ったな」
そう自然に笑みがでたことを指摘され真姫は顔を赤らめる。
「う゛ぇぇっ!?」
「今までもそうだが、さっきの歌ってる時の表情は良かったぞ?ずっとムスッとしてたからな」
「なっ 何言ってるんですか!」
「照れることないだろ?実際そうなんだから」
「~~~~~っ」
あまり褒められることに慣れていないのだろう。顔を真っ赤にして...からかいがいがある。
だが、締めるとこは締めないといけない。
「取り敢えずだ。さっきみたいに暗い顔してるより、笑ってたりしてたほうがいいだろ?笑う門には福来たるだ。その方が君は可愛いし、生き生きしているように見える」
「はっ 恥ずかしいことズバズバ言わないでください!」
「事実だろ。あ、後これは言わせてくれ」
「なっ なんですか...」
急に改まった神綺に戸惑う。
「...ありがとう」
「え?」
「できれば俺もあの子の様にはなってほしくなかった。....だから朝あんなことを言ったんだ」
「....そうだったんですか」
「あぁ。....でも安心した。君が明るい道に進もうとしてくれて」
「....あんな話されたら誰でもそうなりますよ。...でもこれから大変なんですよ?わかってます?」
さっきまでコロコロ表情を変えていた真姫が拗ねるような、ムスッとした顔をする。
「なんだ?」
「...パパになんて言い訳すればいいかわからないいですよ。今までずっと後を継ぐ前提でここまで来たので...」
「なるほどな...」
神綺もなんとなく察しはついていた。あれだけ大きい病院を親がやっているのだから。
「でも安心してくれ」
「....どう安心しろと?」
「俺にはまだ君の父親に....切り札があるぞ?」
「切り札?」
「病院で君の父親が言ったろ?力になると」
「えっ でも...」
あれは神綺に対してのもので、真姫に対してのものではない。それに限度もある。
「もしこのまま君の進みたい道を進む時に、また決められた道に連れ戻されそうになったら俺が説得する」
「何言って...」
「言ったろ?俺はもう知り合いであんな表情になる子を見たくない」
「.....」
真姫は耳を疑う。なぜ彼はここまで私にしてくれるのかが
「これは俺の自己満足だ。....な?君の父親は言ったよな?俺の為ならば、できるだけ力になろうって」
その言葉に呆れるを通して笑いがこみ上げてくる。
「ばっかみたい。そんな言葉遊び...」
「馬鹿で結構。これでも本気だ」
「...ふふっ わかりました。でもそんな簡単にいくとは思えませんよ?」
「んなことわかってるさ。でも、自分の為だから仕方ないだろ?」
「そうですね」
終わり良ければ全て良し。軽い笑い話のノリになった時、見計らったようにチャイムが鳴った。
「もうこんな時間か....悪かったな。こんな遅くまで」
「いえ、いいですよ。それに帰りはどうせ一緒ですし」
「え?」
「? 何呆けてるんですか。先輩の家に帰るんですよ?」
「...あ、そうか」
色々あって忘れていた。
「もう...そんなんで大丈夫なんですか?パパを説得するなんて」
「やるときはやるさ。....んじゃぁ行くか?」
「私はいつでも」
「そうか。なら行きますかね」
よいしょ、と呟きながら神綺は椅子を元の場所に戻し、扉に手をかけた時。
「あ、先輩」
「なんだ?」
「メンバーは5人ですよ?」
「どういうことだ?」
真姫の言っていることが何なのかがピンとこなかった。そんな神綺に笑いながら真姫は、
「コーチがメンバーじゃないとか...お笑いですよ?」
してやったり。そんな表情をする真姫に神綺は
「...これはやられたな」
真姫に見えないように廊下の方を見ながらくくくっ と笑った。
ぬわぁぁぁぁぁん疲れたもぉぉぉぉん。
閲覧有難うございます。
この作品最多の文字数じゃないでしょうか。自分でもなんでこんなになったかわからんとです。
…いやぁ デジタル絵って描くの大変ですね。これからは極力アナログからデジタルに移って挿絵を作成していくつもりです。
安定した画力が欲しいです。