ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
好きな海未ちゃんが絡むとなんか書くスピードが上がった気がします....
後ほどこの回に挿絵入れますのでお待ちください~
-追記-
6/28 16:02 挿絵を挿入しました。
「いらっしゃいませ。二名様でよろしいですか?」
「はい」
「では、こちらへどうぞ」
急いで店内に入ると、落ち着いた、それでいて外からの光を程よく取り込んでいて明るい印象を受けた。これなら女性も入りやすそうだ。
「先輩?なにしてるんですか?行きますよ?」
「え?あぁ」
少し周りをキョロキョロしすぎたらしい。軽く海未が苦笑いをしながらこちらを向いて店員さんが向かった方向を指さしていた。
「それでは、メニューがお決まりになったらお申し付けください」
「ありがとうございます」
案内された席へ座るとメニューを渡され、店員さんはカウンターの方へと去っていった。
「...意外ですね。先輩があんなに興味を示されるとは」
とメニューのページを捲りながら海未が笑う。
「こういう所に来ることが俺自身なかったからな。新鮮だ」
「そうなんですか?....東條先輩方とは行かれないんですか?」
「どうなんだかな。そこは記憶が無いからわからん」
おそらく海未も悪気があっていったわけではないのだろう。話のキャッチボールをしたかっただけなのだ。しかし、神綺の最もな切り返しに表情を曇らせる。
「あっ すみません。そうですよね....」
「でもこうやって園田さんと来れたし、良かったよ。俺は甘い物とか好きだし、園田さんじゃないけどこういうのに興味はあったんだ」
「そうですか....」
「それに、今までこういう女性とどこかに行くっていうのがなかった身でさ。.....園田さんみたいな美人さんとお茶できるっていうのも...嬉しいね」
少し自分で言ってて恥ずかしいが、これは紛れもない本音だ。
ハニートラップとか気にせず、純粋にお茶を楽しめるこの時間がとても幸せだ。
「び、美人だなんて...」
自分で言うのも恥ずかしいのだ。それを言われた海未は顔を真っ赤に染める。
「謙遜することじゃないだろ?」
「はっ 恥ずかしいです....」
「あまり言われ慣れてないのか?」
「そういうわけではありませんが....やはりこれは慣れません」
とモジモジと指遊びをする海未。
それに神綺は自然と笑みを浮かべながら
「そうか。さ、頼むものは決まった?」
「あっ そうですね。これにしようかと思います」
そう言いメニューリストに指をさす。それは
「ん?マキアートか」
「はい、先輩はどうされますか?」
「俺は無難にアイスコーヒーにするよ。すいませーん」
注文を済ませた神綺達は頼んだものが来るまで雑談をしていた。と言ってもほとんど海未が溜め込んでいることりや穂乃果の愚痴だったのだが....
「お待たせしました。アイスコーヒーにカフェ・マキアートです。それではごゆっくり」
「ありがとうございます」
取り敢えず運ばれてきたコーヒーを各々の前に持って行き一口、
「ん、美味しいな」
「ちょっと熱いですけど、美味しいです」
たかがアイスコーヒー、されどアイスコーヒー。シンプルだからこそ誤魔化しが効かない。
「ふぅ。それで?作詞の何に悩んでるんだ?」
一息ついた所で神綺は本題を持ち出す。
「そうですね。...そろそろお話しましょうか」
すると海未はバックからメモ帳を取り出して神綺の前へ差し出した。
「これは?」
「今度の新入生歓迎会の時に使う予定の曲の歌詞です。初めて作詞というものをしますから自信はないのですが....」
「できたのか!?」
作ってくれと言われて、はいわかりましたとすぐに書けるような簡単なものじゃない。
どのような曲にするか、そしてどのような言葉が曲調に見合うかなど課題は多い。
スクールアイドルをいつぐらいから計画し始めたのかは知らないが、あまりにも早過ぎる。
「いえ、まだ完成ではありません」
「そ、そうか」
流石に完成はないか、早とちりした思考を落ち着こうと深呼吸しながらメモ帳を覗くと
「......」
言葉を失った。まだ完成はしていない、なんてものじゃない。いやソレよりもだ。作詞未経験の者が編み出したとは思えないレベルの歌詞が箇条書きとはいえ記されていた。
「ど、どうでしょうか...」
神綺が黙ったのが不安なのだろう。控えめな声で反応を聞いてくる。
「......」
しかし神綺はそれにも答えない。いや、答えられないのだ。海未の書いた歌詞に自分が惹きこまれていくのを感じたから。
その沈黙に海未はマスマス意気消沈してしまい、
「....やはり私では駄目だったみたいですね。悔しいですが、穂乃果には断っておきます」
そんな弱音を吐いてしまう。
そこで神綺はようやく反応を示す。
「すごいな....」
「...え?」
しかし神綺の声は小さい。それに海未は反射的に聞き返す。すると神綺は静かに、
「これを...園田さんが?」
「は、はい....やはり私には作詞なんて...」
「いや!これはいいと思う!本当に作詞は初めてなのか?」
「そ、そうですが....」
神綺のテンションの変わりようについていけない海未は反応に困ってしまう。
「園田さんはすごいな....初めてでこれなんて。素人の自分が何言ってもあれだけど、園田さんには才能があると思うよ!」
音楽関係だからか、はたまた異性とお茶をしているという高揚感からか神綺のテンションは今までとは違っていた。なんというか、子供の様だなと海未が思った。
そして神綺の言葉だ。
「才能...ですか?」
「あぁ!」
「では先程の沈黙は...?お世辞なんて私は....」
「あぁ...園田さんの歌詞に見とれてね。これは俺の本音だ。決してお世辞なんて薄っぺらいもんじゃないと宣言するよ」
「本当...ですか?」
「あぁ」
神綺が冗談を言っているようには見えない。その安心感からか余分に力の入っていた海未の方が少し下がる。
「良かったです....」
「だが....こんなハイレベルなもので俺に相談なんて...役不足だぞ」
「そんなことありません!どうしても先輩の力が....」
そう海未が言うが、どうしても拭えない。
「...それで?どんな悩みだ?」
「えっと....とても言い辛いのですが、私は今までアイドルの曲なんて聞いたことがなくて....」
「それで?」
「えっと...掛け声って言うのでしょうか。そういうのを入れてみようと思うのですが、どうでしょうか?」
「掛け声か」
「はい。やはり...私達の初めての曲ですし、タイトルもタイトルなので、自己暗示じゃないですけどタイトルを掛け声として入れたいなと」
「ふむ」
思いの外真剣な相談に眉を潜める神綺。だが、
「でもそれって俺に聞く意味あるのか?それこそ歌うのは君達なんだから高坂さん達で話し合うのも手だろ?」
「それも考えたのですが....その、穂乃果達はどこかお気楽な所がありまして。真剣に考えてもらえないんです」
「あー...」
それには神綺も思うところがあった。あの元気で突っ走るところ。時にはいいキッカケにはなるが、その時意外は大体空回りする。
「まぁ、俺に聞いた理由はわかった。それでだが....」
と途中まで言った所でアイスコーヒーを一口飲んでから、
「俺としては園田さんのアイデアはとても良いものだと思う。歌詞から見るに今の君達の心情をよく映してると思うし、やっぱり歌う本人達が共感できるものじゃないと相手には伝わらないからな....」
ちなみにこれは体験談だ。決して今ポッと出で思いついたものじゃない。
「なるほど。.....やはり斉藤先輩に相談して正解でした」
そう海未は微笑む。
「俺なんかでよければ喜んで相談に乗るさ。まぁ...役不足なのは今でも思うがな」
「そんなことありません!現に今私の悩みを解消してくれました!」
「....そう言ってもらえるとありがたい」
「これでまた一歩進んだような気がします」
「そうか。これからもっと頑張らなくちゃな」
「はい。後はこの歌詞を仕上げて作曲して頂けるかを確認するだけです」
「あ、そうだ。作曲についてだが」
「...? はい」
「安心してくれ。西木野さん、作曲する意欲ありだぞ?」
「...へ?」
神綺の唐突な言葉に海未は気の抜けた声を漏らす。
「だからその歌詞が完成したら西木野さんに渡してやれ、そうすれば作ってくれるぞ、曲」
「そ、ソレは本当ですか!?」
「あぁ。昨日そう彼女自身言っていた」
「よかった...それが一番の問題だったんです。作曲していただけなかったらどうしようかと....」
「それでだ、彼女が作曲する気になった理由。聞きたくないか?」
「っ 実は...気になります」
「それはな?昨日の朝練だ」
「え?朝練...ですか?」
海未自身意外だったのだろう。目を丸くする。
「あぁ。昨日の君達の熱心な練習に心を動かされたんだと」
まぁ軽く盛ってる感はあるが、間違ってはいない。
「私達が...?」
「あぁ。だから胸を張ってもいいんだぞ?君達の思いが、少なくとも彼女に響いたんだからな」
そう言うと神綺は残ったコーヒーを飲み干す。
ちなみに海未はもう飲み終わっている。神綺が歌詞を読んでいる時、余程落ち着かなかったのだろう。熱いと言っていたのにゴクゴクとは言わないまでも結構なスピードで飲んでいたのだ。
「ご馳走様でしたっと。さ、先に外に出ていてくれ。会計をしてくる」
そう言うと神綺はメモ帳を海未へと返して、伝票を持ってレジへと向かう。
「えっ あ....行ってしまいましたか....」
自分の分は払うと言おうとしたのだが、真姫が作曲をしてくれるという嬉しさから固まってしまい、反応が遅れた。
そして海未は後で自分の分を神綺に渡そうと決めて忘れ物が無いかを確認してから店を出た。
「お、いたいた。忘れ物は?」
「ありません」
会計を終えた神綺は店内に海未がいないのを確認し、店を出た。
「あ、それで先輩」
「ん?」
「私のマキアート、いくらでしたか?」
海未自身あまり値段を覚えていなかった。
「別にいいさ。俺の奢りで」
「しかし、そういう訳には...」
「いいんだよ。俺のほうが一応先輩だぞ?顔立たせてくれよ」
「う....」
だが海未は引き下がらない。性格のせいかとても律儀だ。
しかし、神綺も引かない。
「ならこうしよう。園田さんの笑顔が見れた感謝の気持ちってことで」
「なっ!?」
神綺自身今日は柄にもなく恥ずかしいことをズバズバ言うなと軽く自己嫌悪しながら海未から顔をそらす。
だが案外冗談ではない。実際今まで海未はどこか張り詰めた様な感じの硬い表情をしていた。
だが今回の喫茶店での表情はどこか歳相応な感じがしてそれが神綺には嬉しかったのだ。
「ど、どうして先輩はこうも恥ずかしいことを!」
と顔を真っ赤にして抗議してくるが、
「俺自身、柄にないことを言っていることはわかってるさ。それじゃぁ俺は帰るから」
「えぇ!?穂乃果の家には行かれないのですか?」
「悪いが用事を思い出したんでな。それじゃまた来週」
本当は用事なんてない。希達も今日と明日は実家?というか家に戻ることになっている。
だから今日と明日は神綺一人の為、なにもないのだ。
だが、アレだけ恥ずかしいことを言って平静を保てるわけもなく、照れ隠しをするようにそう言い残して神綺は自宅へと足を進めた。
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「えっ 先輩!.....もぅ」
未だ熱い頬をどうにか覚まそうと気持ちを落ち着かせようとする海未だが、中々うまくいかない。
それどころか思い出してしまう。
「.....ふふっ」
だがなぜか今の気持ちが不快ではなかった。
肩の荷が落ちたからかはわからないが、今の海未の気分は最高だった。
そしてフッと海未は心のなかでこう呟く。
気づいていますか?斉藤先輩。
実は店先でのこと、聞こえてたんですよ? 怒ったと勘違いされてましたけど、
私、嬉しかったです。最初こそは他の方と同じように、想像で私の印象を決められていたようですけど、私を女の子と扱ってくれて、一人の後輩として扱ってくれて。
実は私、今までに同性の方から何回も告白なんかを受けているんですよ?
それでみんな私をどこか男性として扱ってるんじゃないかっていう節も見受けられたんです。
だから弓道では邪魔な長い髪もそのままでいますし、できるだけ女の子に見えるように努力もしているんです。
でも穂乃果やことりのような親しい方意外は皆、私を大和撫子と称し、各々の思う理想を私に押し付けます。
最初こそ先輩もそうでしたが、他の方とは違い、すぐに改めて見つめなおしてくれました。
それがとても...嬉しいです。私をちゃんと見てくれている。
だから先輩、ありがとうございます。
今この瞬間、私のやっていたことが報われたように感じます。
そうして海未は神綺が去っていた方向に一礼をした後、穂乃果達が待つ穂むらへと向かった。
その足取りは今までと違い、どこか軽かった。
閲覧ありがとうございます。
塩釜HEY!八郎さん、投票有難うございます。