ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
4日連続投稿とか勲章ですよ...(自画自賛)
86話 海未の本音 にて挿絵を挿入しました。よろしければ御覧ください。
なんせ初めての神綺君カラー化なのでね(笑)
「まぁいいさ。それより高坂さん」
あまりにも自分の事を覚えられてないことに悔しさを感じながらも苦し紛れに話題を変える。
「はい?」
「さっき下にいた...えっと」
「雪穂ですか?」
「あーそうそう。君の妹さんだっけか?」
「はい。今中3です」
「そうか。それでなんだが、俺の記憶のこと言ってないのか?」
「あー言ってませんね。まさか先輩がご自分からこちらにいらっしゃると思ってなかったってのもあるんですが、そう言いふらしていいものでもないと思ったので」
「なるほどな」
つい先程まで忘れていた彼女が言ったことのどれほどか本当なのかはわからないが、無闇に広めないでくれたのは素直に嬉しい。
「だが、これから俺もここにお邪魔すると思うし、しっかり説明しておこうと思うんだが....」
「わかりました。でもどのタイミングで話しますか?」
「んー 帰るときでもいいんじゃないか?」
「そうですね。ではそういうことで.....っと、先輩!」
話が一段落すると、急に穂乃果が身を乗り出して神綺に近づく、それに軽く引きながら
「なんだ?」
と聞くと、
「これです!」
じゃーん!と言いながら穂乃果がポケットから取り出したものは
「....μ's?」
μ'sと書かれた一枚のメモ用紙だった。
「なんだと思います?これ」
「んー?」
そこで神綺は思い出す。先ほどことりがちょろっと言っていた言葉を。
『μ'sのこれからについてお話しましょうよ~』
このタイミングで、しかも彼女の性格からするに...
「....君達のグループ名。とか?」
確証はない。だがこの時期に3人で話し合うことなどこれしかない。
「えぇ!?なんでわかったんですか!?本当にエスパー!?」
まさか正解するとは思ってなかったのだろう。穂乃果だけでなく、海未やことりも驚いている。
「さっき南さんがμ'sについて話そうって言ってたろ?」
「へ?....あっ」
素で言ったのだろう。すごい呆気にとられた顔でことりは冷や汗をかいた。
「ことりちゃーん!?」
「ごめぇええええん!」
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取り敢えず2人が落ち着いた所で神綺はμ'sと書かれた紙をみながら、
「そういえば決まったんだな」
「はい!今朝ですね。前から学校のみんなにグループ名を決めてもらおうと目安箱を海未ちゃんのアイデアで置いてたんです」
そう言いながら穂乃果は空きの湯呑みにお茶を注ぐ。
「それで今日の朝見に行ったらこのμ'sと書かれた紙が箱に入ってたんです」
「なるほどな」
しかし....
「なんて意味なんだ?μ'sって」
amuseに似てるな、なんてことを思いながらそう呟く。
「それは恐らく、ギリシャ神話の九人の女神からもじったものではないかと」
「ギリシャ神話?へぇ....」
そう海未が補足をしてくれたが、神綺は神話とかに興味がない。
なのでそういわれたところでそうなのかー程度で終わる。
ただ気になったのは、
「ってことは。君達の他にあと6人はメンバーになるってことか?」
「どうなんでしょうか.....私はただそうなのでは?と思っただけですので。もっと他の語源があるのかもしれません」
「それもそうか」
「はい、先輩。お茶どうぞ」
「お、ありがとう」
手渡された湯呑みを口に近づけて一口貰う。
「美味しいな...」
さすがは和菓子屋だ。お茶もいいものを使っている。
「ありがとうございます!」
「確かに、穂乃果の淹れてくれるお茶は美味しいです」
「うん♪」
「小さい頃から海未ちゃん達に振る舞ってたから慣れたんだよ~」
なんてことないよ、と言いながらも胸を張る穂乃果に神綺は思わず口元が緩む。
なんていうか、こうして見てると不思議な気持ちだ。
普通の高校生なのに、普通の女の子なのに、これから廃校になるかどうかの命運を分ける大きな賭けをするとなると....くるものがある。
そう密かに思っているとことりが思い出したかのように鞄からスケッチブックを取り出した。
「あっ そうでした。斉藤先輩、ちょっとこれ見てください」
「ん?」
そう差し出されたスケッチブックを数枚めくると
「これは....」
女の子が可愛らしい服を着ている姿が描かれたページを見つけた。
「私やることがなかったので....ライブの衣装を考えてみたんです」
「へぇ」
「可愛いですよね!ことりちゃんの絵!」
と目をキラキラさせてはしゃぐ穂乃果。だが、対照的に海未は俯いて心なしか震えているようにも見えた。
「どうしたんだ園田さん?」
「えっ いえ、その....」
歯切れの悪い海未に首を傾げながらも目線をスケッチブックへ戻す。
そしてよく見てみれば描かれている子のモデルは穂乃果だとわかった。
茶髪にサイドテール、間違いない。
それにしてもよく出来ている。
「どう....ですかね?」
「いいと思うぞ。可愛くデザインされてるし、アイドルって感じもするな」
「本当ですか!」
「あぁ」
正直この子達には驚かされるばかりだ。
海未の脅威なまでの作詞能力、そしてことりのデザインセンス。穂乃果は...これといって特出する点はないな。
少し穂乃果達が実際にこのデザインの衣装を着ているのを想像しているとおもむろに海未が立ち上がった。
「ん?今度はどうしたんだ?」
「...が...せ..」
「え?」
声が小さくうまく聞き取れない。すると今度はしっかりと大声で
「もう我慢できません!」
目に涙を溜めながらそう言った。
....え?涙?
「ことり!」
「ひぃ!?」
バッと素早い動きでことりの肩を掴むと額と額がくっつくぐらいまで顔を近づけて、
「なんなんですかこのスカートの短さはっ」
「え?...か、かわいい...でしょ?」
海未の形相があまりにも怖く、ことりも涙目になっている。
「恥ずかしすぎです!? それに言いましたよね!スカートは膝下までないと履かないとっ」
「えー 似合うって、大丈夫だよ海未ちゃん」
「絶対に嫌です!」
「なんでそんなに嫌がるんだ?」
神綺には海未が恥ずかしがる理由が全くわからなかった。
「だ、だって....」
うぅ...と唸りながら自分の足を見る海未。その仕草に穂乃果は
「大丈夫だって!足太くないよ!」
「なっ!?何言ってるんですか!」
ここに男がいるんだけどな...なんて神綺は心のなかで呟きながらフッとここへ来た目的を思い出す。
(そういえば、俺まだ甘味食べてないな.....)
今から下に行っても売ってくれるのか、と考えながらお茶を飲んでいると穂乃果が
「斉藤先輩もそう思いますよね!」
「っ!?」
危ない。ビックリして噴出すところだった。
「な、なにがだ?」
急に話をふられたことに戸惑いながら、口周りをハンカチで拭いて心を落ち着かせる。
「海未ちゃんがさっきの衣装着たら可愛いと思いますよね!」
「ちょっと穂乃果!?」
「ふむ....」
神綺は穂乃果に聞かれたとおり、海未に似合うかを本気で考え始める。
「なに本気で考えてるんですか!?」
「え? だって聞かれたし」
「そんなことしなくていいですよ!」
「でも実際園田さんは似合うと思うぞ?」
「ほーら!」
神綺という援軍を受けたからか、穂乃果はドヤ顔で海未の方を見る。
「うっ....それでも嫌です!」
だが海未も一向に引かない。
「てかさ、なんで園田さんはそんなにスカートを嫌がるんだ?」
と唐突に思ったことを聞いてみる。
「え?」
「どうして、と聞かれましても...恥ずかしいから、としか....それも大勢の前でですよ!?」
「いやさ、さっきのイラスト見た感じ....音ノ木坂学院のスカートだってあんぐらいだろ?」
「....そういえばそうだね。何が違うの?海未ちゃん」
「え゛」
「ねぇねぇ教えてよ~」
と海未に詰め寄る穂乃果。その時
~~~♪
「ん、すまん。俺だ」
急に鳴り始めた携帯を見ると、望みからの電話だった。
「もしもし?」
『あ、神綺君?今どこ?』
「あーっと、高坂さんの家だ」
『穂乃果ちゃんの?』
「あぁ。それで東條さんこそどうしたんだ?」
『今神綺君のお家の前にいるんだけどさ。インターホン鳴らしても反応がなかったから電話したの』
「俺の?何か用事か?」
『用事はないよ?ただ、また今日も泊まろうと思って』
「...え?」
『ちょっとお話したいことがあるの』
「...わかった。今すぐ帰るよ」
と言い残して神綺は通話を切った。
そしてタイミングを探っていた穂乃果は電話を切ると同時に、
「東條先輩ですか?」
「あぁ、なんでも話があるらしくてな。俺の家の前にいるらしい」
「えぇ!?」
流石に驚く3人。
「ってことで俺は先帰る。お邪魔しました」
「あ、はい。お疲れ様です」
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足早に家へと向かった神綺はなんとか空が暗くなる前にたどり着くことが出来た。
「東條さん!」
「あっ 神綺君」
家が見えてくると、彼女が言っていた通り玄関先で待っていた。
「早かったね」
「急いだからな...」
準備運動もなしに走った為、珍しく息が軽く切れている。
「ごめんね。急に押しかけて」
「別にいいさ。...さ、入って」
「お邪魔します」
「はい、お茶」
「あ、ありがとう。...真姫ちゃんは?」
「西木野さん?」
「うん。てっきりここにいると思ったから」
「やることがあるんだと」
「やること...そっか」
「それで?話ってなんだ?」
「えっとね....これから言うことはさ、冗談抜きの本気なんだけど...」
「ん?」
彼女にしては珍しく歯切れが悪い。
「これからも...ここに住みたいな...って」
「は?」
神綺は耳を疑った。
「も、勿論!食費だってこっちの仕送りから出すし、お手伝いだってなんでもする!だからっ」
「待ってくれ、落ち着こう。まず、どうしてここに住むなんてことを?」
突拍子のないことを言われて混乱する。
「え、えっと....ここ数日...絵里ち達とここに止まったでしょ?」
「まぁそうだな」
「それでさ、私って今まで一人暮らしだったんだよね」
はて、そんなことを言っていた記憶は...ない。
「そうだったのか?」
「言ってなかった?親が転勤族でね、高校1年生の時から私だけこっちで暮らしてるの」
「なるほどな。....それで?」
「....あのね、ここでの生活がね。楽しかったの。笑い話から、どうでもいい雑談とかも」
「.....」
「それで....今日になって、一人で家にいたら...寂しくなっちゃって」
「だから俺の所に?」
すると希はうん、と首を縦に振った。
「.....参ったな」
「っ そうだよね。急にこんなこと....真姫ちゃんの時だって、強引だったし...」
神綺の言葉に希は拒絶された。と受け取り、自己完結をして帰ろうと席を立とうとした。
だが、
「待て」
「っ」
玄関の方へと向かおうとした希の手をなんとか掴んで引き止める。
「なんだ?泊まるんじゃなかったのか?」
「え?」
「泊まりたいってだけ言って帰るのは可笑しいんじゃないか?」
「だって....」
「俺は嫌だ、帰ってくれ。なんて一言も言ってないんだが?」
「.....」
「母さんとかにはなんとか言っておくさ。.....さ、時間もアレだ夕飯の支度をするぞ」
「じゃぁ....」
「ん?勿論。俺は構わないぞ。これからよろしく、東條さん」
「っ 神綺君!」
嬉しさのあまりか、希は神綺に抱きついた。
「うおっと....大丈夫だ。君は一人じゃない」
彼女はきっと頑張りすぎたんだ。多感な時期から一人暮らし。最初は不安でいっぱいだろうし、ただいまを言う相手もいない。
それほど冷たくて...寂しい時間を長い時間過ごしてきたんだ。
耐えられなくなってもしかたがない。
そして彼女には返しきれない借りがある。記憶がなくて右往左往していた自分をフォローしてくれたことは絶対に忘れない。
これが彼女の策略で、まんまとハマっているとしても。
あんな悲しい顔をさせて帰させるなんて俺には出来ない。
閲覧ありがとうございます。
絶対90話でライブは無理だぁ!?
ユウアラウンドさん、風湊さん、9回裏から逆転さん。投票有難うございます。