ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】   作:レイヴェル

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 どうも、レイヴェルです。

 4日、初日の16時からの映画見に行ったのに色紙がないってどういうことですかね....数少なすぎんとちゃう?(驚愕)
 まぁ、再販あるっていうしいいですけど....^q^


 学生にはどうあがいても入手不可な辛さ。


第92話

「.....遅い」

「無茶言うなよ」

 真姫に背中を押されて最初に腰掛けようとしていた椅子に腰掛ける。そして希の開口一番は不満だった。

 だが、どうしろというのだ。自分だって最初はここに座ろうとしたさ。連れて行かれたけど....

「なんで私んとこが最後なのー?」

「こら、希」

「だってー....あむ」

 流石に希がわがままを言い過ぎているのを見かねたのか絵里が釘をさした。

 しかし、希はそれでも引き下がらず、不貞腐れながらほむまんを口に入れた。

「悪かったって、最初は俺だってここに座ろうとしたさ」

「でも穂乃果ちゃんとこ行ったじゃーん。それに楽しそうにさ....」

「それは連れて行かれたからであって...」

「そうよ希。それに、小泉さんとも話付けないといけなかったんだからしょうがないじゃない」

「むー」

「悪かったって、まぁこれからは歩きまわらないしそれでいいだろ?」

 ここまでわがままな希が久しぶりな気がする。偶に何回かわがままになることはあったが、大体絵里や俺が止めればすぐに引き下がるのだが....なにかあったんだろうか。

「....いいもん。私にも考えがあるもん」

「え?」

 急に姿勢を正した希は軽く頬を染めて徐ろにほむまんを持つ。

「どうした?」

「ん?  はい、あーん」

「....は?」

『!?』

 すると希は取ったほむまんを2つに手で割り、片方を神綺の口の前へ差し出した。

 神綺は一瞬希のやっていることが理解できなかったが、すぐに俗に言う『あーん』をしていると気がつく。

 それに最初に反応したのは絵里。その声に反応して周りの穂乃果達も驚いた顔でこちらに注目する。

 対する希が頬を染めたままだが、それでも笑顔で今も神綺の目の前にほむまんの半分を差し出している。

「手はダメよ」

「.....」

 流石に恥ずかしいため、普通に差し出してくれているとわざととぼけようとして、右手をほむまんに近づけたが、希に笑顔で静止される。

「と、東條先輩!?」

「なっ なにしてるのです!?破廉恥ですよ!」

「わぁ~~.....」

 上から穂乃果、海未、ことりの順だ。

 穂乃果は只々好奇心だけという感じの目でこっちを見て、海未は顔を希と比にならないほど赤くして目を背ける。そしてことりは口を手で覆ってトロンとした目でこちらを見ている。

「斉藤先輩...いつまでそのままでいるつもりです?」

「はわわ...はわわわわ」

 そして真姫は顔を少し赤くするも、呆れながらお茶を啜っている。その隣にいる花陽は信じられないものを見たという感じでこの中で一番パニックを起こしているのかもしれない。

「そうだよ。私だって恥ずかしいんだから早くしてよ!」

「恥ずかしいんならするなよ!?」

「これが神綺君への罰だよ!」

「はぁ!?」

「さぁ!」

「っ....」

 ぐいっと更に口へと近づけてくるがそれでも神綺は拒む。やはり恥ずかしいものがある。人生初の『あーん』であるし、それもこんな大人数の前でやられるハメになるとは。

「覚悟決めてくださいよ先輩....見てるこっちが恥ずかしくてたまらないです」

「....覚えてろよ希」

 ラストは真姫のひと押しで神綺が負け、仕方がなくほむまんへ齧りつく。

 すると流石女の子と言った所か、黄色い声を上げる者、顔を真っ赤にしておどける者、直視できずに目を背ける者、様々だ。

「そうだよ。最初からそうしてれば良かったんだよ!」

 やっと食べた神綺に満足したのか何度か頷いた。しかし、これからの行動でまた周りが騒然とする。

「んー美味し♪」

「は!?」

『なっ!?』

 なにを思ったのか神綺が齧ったほむまんを自分の手元に戻し、それに齧りついたのだ。いわゆる『間接キス』。

 今日の希は押し押しである。

「の、希?なにしてるんだ?」

「ん?ほむまん食べてる」

「そうじゃない!なんで俺の口つけたやつを食べてんだ!?」

 神綺も神綺でいつもと違い大慌てで声を荒げる。

「ん?嫌だった?」

「っ それは....」

 嫌だ、とキッパリ言うのは簡単だ。しかし、嫌だと言えば嘘になる。....こんな俺でも女の子、しかもそれなりに親しい希となら....いいと思える自分がいる。

 今までならこんなに慌てることはないし、キッパリと線を引いて断ったはず。....やはり、俺に吸収されたもう一人の俺の影響か....

「はっ破廉恥です!?」

「穂乃果もやるー!先輩!これ私が作ったやつですから!」

「さっきも聞いたわ!?てかしなくていい!」

 

 

 

 その後もノリの良くなった?神綺をからかいながらも時間は過ぎていき、お開きの時間が近づいてきた。

 そして時間も時間の為、神綺が順に家へ送ることになった。最初は真姫と花陽、次にことりと海未、最後に絵里と希だ。特に拘りはないが、学年順ということにしておく。

「行くぞ」

「あっ 少し待ってください!」

 神綺が穂むらの引き戸を開けて振り返るとなにやら真剣な顔つきをした花陽が穂乃果達、というかμ'sである3人の方を向いていた。

「あのっ!スクールアイドルの活動...頑張ってください!応援してます!」

「っ」

 これに驚いたのは穂乃果達だけではない。神綺自身も驚いた。

 スクールアイドルをやると表立って動き始めたのはここ数日。それもただグループ名を募集しただけだ。それだけで彼女達がスクールアイドルだとわかるのか...と神綺は思いながら花陽を見る目を変えた。

(これは....彼女達のいい刺激になるな)

「ありがとう!頑張るよ!」

「で、では!ご馳走様でした」

「うん!今日はありがとう~」

 

 

 

 

 

 

「っとそうだ」

「どうしました?」

 穂むらを出て、大通りへ向かおうとした時、急に神綺が立ち止まった。

「いや、西木野さん忘れ物」

「え?私ですか?....向こうでは何も出してないからそんなはず....」

 ずっとバックのチャックは締めていたし、ポケットから何か出したこともない。しかしそう言われてしまっては落ち着かず、ポケットなどに手を入れて確かめる。

「いや、....耳貸して」

「?」

 怪訝な顔をしながらも、恐る恐る耳を近づける。

「....CD、タイミングは今なんじゃないか?」

「っ!」

 そこで真姫もようやく理解した。神綺の一件で頭から抜けていたが、言われて思い出す。

 確かに神綺の言うとおりだ。今、穂乃果達は穂むらの中であり、夜ということもあり、知人に見つかるということもない。

「ちょっと行ってきます!」

「あ、え?西木野さん!?」

 善は急げ。少しでも見つかるリスクを下げる為に、真姫は駆け足で来た道を戻ろうとする。しかし、急に神綺と二人っきりにされた花陽は戸惑い、真姫のことを呼ぶが、

「ちょっと忘れ物!」

 と短く言い、穂むらへ戻っていった。

「えっ..うぅ...」

 それでも夜に男の神綺と二人っきりになるのは抵抗があるらしく、完璧に怯えてしまっている。....それでも怯えすぎではないだろうか。もしかして今までずっと女子校育ちだったのか?

 だがいつまでもこの調子でいいわけにもいかず、神綺は苦し紛れに話題を持ち出す。

 それは今一番気になっていること、それは花陽が穂乃果達がμ'sだとわかったこと。

「そういえばさ...小泉さん」

「はっ はい!」

「どうしてさっき....穂乃果達がスクールアイドルだってわかったんだ?確かに、学校にポスターを掲示してはあるが.....」

 そう言うと花陽はきょとんとしながら

「え?.....それは前に教室に高坂先輩方が来まして、その時にスクールアイドルです....と」

「そうなのか。だから穂乃果達がやってるとわかったのか」

 これで疑問が晴れた。すると花陽は不思議そうに

「そういえば...失礼ですけど」

「ん?」

「斉藤先輩は....高坂先輩方とはどのような関係で?」

「穂乃果達?うーん....」

 なんと表現したらいいものか。友達?先輩と後輩?コーチとメンバー?色々と浮かんでくる。

「まぁ、単なる先輩と後輩か?最近まで特に接点もなかったしな。中学の頃からちょくちょく会ってたとはいえ話す程度だったしな」

「え!?にしては親しげな感じでしたけど...」

「うーん。まぁ穂乃果はノリがいいからな。それに、俺はこれでもあいつらのコーチしてるからな」

「コーチ?」

「ダンスのだよ。君は知ってるか?君達向けにやる新入生歓迎会の後にライブをするの」

「はい!しっかりスケジュールにもメモしてあります!」

「そ、そうか....」

  ライブと言った瞬間。というかライブという言葉に反応して花陽の目が変わった。....未だにこの子のことがよくわからない。

「それでだな。そのライブに向けて彼女達は練習してんだが....なにぶん素人同然だからな、俺が見てるんだよ」

「ということは先輩はダンスがお上手なんですか?」

「あぁ。これでもそれなりの腕はあると自負している」

 なんせ本物やってたしな。

「なんと!じ、実は先輩もアイドルだったり?」

「え?なんでそうなる」

「いえっ 先輩もその....顔立ち整ってますし」

「はははっ そう言ってくれるのは嬉しいけどそんな余裕はないな。今年で受験だからな」

「あっ そうですよね。すみません...変なコト聞いて」

「気にしないよ。それより、アイドル好きなのかい?」

 なんとなく、あてずっぽうと言ってもいいぐらいの薄い可能性に賭けて神綺は聞いてみる。もしかしたら彼女に抱いている違和感がわかるかもしれないから。

 結果は、

「はい!私の憧れです!」

「なるほどな....道理で。性格が変わったように感じたからな。まるで...」

 これで今までの違和感がわかった気がする。それは前世で見てきたファンと同じ目をしている時がある。それがアイドルの話題だ。

 さっきまのおどおどした様子はなく、アイドルという言葉を聞くと別人のように熱意のこもった目になり、強気になる。これではまるで、

「....に、二重人格。ですか?」

「え?」

 花陽は暗い表情でそう小さく呟く。しかし神綺は全くそんなこと思っていなかった。

「いえ、前からよく言われるんです。アイドルのことになると私は人が変わるって.....それで不気味がられたり、避けられたりで」

 そして段々と花陽の声は冷たくなっていく。まるで自分の熱を冷ましているかのように。

「ごめんなさい先輩。少し熱くなりすぎちゃったみたいです。気をつけていたんですけどね....」

 そう花陽は自嘲気味に言うが、神綺はそれに納得いかなかった。

「....辛くないのか?」

「え?どうしてですか?」

「だって自分のやりたいことができないんだろ?....辛いだろ」

「......」

「率直に聞く。正直に、答えてくれ」

 そう一息置いて

「君は、小泉花陽はアイドルが好きなのか?」

「...好き、です」

「そうか.....」

「....小さい頃からの憧れです。みんなを笑顔にして、楽しい気持ちにしてくれて...」

「ならそれを表に出しなよ」

「出せたら苦労しません」

「悪循環だよ?」

「え?」

 神綺の言葉が予想外だったのだろう。思わず伏せていた顔を上げて神綺の顔を見た花陽。

 その目には少しだが涙が溜まっていた。

「日頃から我慢しちゃうから爆発してしまうのさ。なら息抜き、いやここならガス抜きか。それも必要だということさ」

「そんなこと言われても....」

 彼女が一番嫌がること。それはアイドルのことになると歯止めが効かなくなること。

 ならば、

「なに、俺に今度アイドルのこと教えてくれないか?」

 これは前々から思っていたこと。ただ自分でやろうとしていたことがもしかしたら省けるかもしれない。

「え?」

「実は自分はアイドルに関しては事情があって疎くてね...これからの為にも知りたかったんだよ」

 今までアイドルは避けていたが、これからは穂乃果達のこともあり、それなりにこの世界のアイドルについて調べなければならないこと、知って置かなければならないことなど色々ある。

 それを....そのアイドルが好きという、知識を沢山持っている花陽を頼ればなんとかなるのでは?と神綺は咄嗟にひらめいた。

「で、でも....」

「お願いだ」

「せ、先輩!?頭を上げてください!」

「これからの穂乃果達の為にも...俺はアイドルのことに関してもっと知らなければならない」

「......」

「お願いします」

 黙った花陽に対し、神綺は断られたらどうしようかと冷や汗をかきながらも、言葉を丁寧にしてもう一度お願いした。

 すると、

「...わかり......ました。私でよければ」

「本当か!?」

「は、はい....」

「ありがとう。助かるよ....」

 これでひとつの課題は問題ないな、と神綺は胸を撫で下ろす。

「....なにしてるんですか?頭なんか下げて」

「あぁ、西木野さんか」

「花陽になにかしたんですか?泣いてるみたいですし....サイテーですね」

「なっ 誤解だ」

 穂むらから戻ってきたのであろう真姫の声が後ろからして、振り向くと呆れ顔で真姫が立っていた。

「先輩も隅に置けませんね~ 東條先輩や絢瀬先輩の様な美人さんが近くにいるのに....知り合ったばかりの花陽を狙ったんですか?それも私をワザと遠ざけて....」

「誤解だって言ってるだろう!?」

「.....っふふ」

「なっ なんで笑う!?」

「ごめんなさい。先輩の反応が面白いのでつい」

「....度が過ぎてると思うぞ?」

 可愛く謝る真姫だが、あまりにもわざとらしい為、神綺の堪忍袋の緒が切れた。

「えっ あ、あの。ごめんなさい」

「あ?なんだって?」

 今の神綺の顔は無表情。それが目の前に迫ってるのだ。いくら神綺の顔が整ってるとはいえ、怖い。ものすごく...

 流石の真姫も不味いと感じたのか、おちゃらける余裕なんてなく、目を逸らしながら必死に謝る。

「せ、先輩。それくらいに...」

「....小泉さんに感謝するんだな。さ、行くぞ」

 花陽の仲裁により、なんとか引き下がった神綺だが明らかに不機嫌になりながら、大通りの方へと歩き始めた。

「あっ待ってくださいよ!」

 そんな神綺に置いていかれないように小走りで二人は神綺を追った。




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