ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
あぁ...明日から期末試験か。勉強?知らんな。
真姫と花陽を順に家へ送り届けた後、神綺は再度穂むらへと帰ってきた。
「あ、おかえり神綺君」
「お疲れ様です~」
「ただいま」
中に入るとすでに片づけ終わったのか、今すぐにでも営業できるように綺麗になっていた。
そして希と穂乃果がお茶を飲んで何やら話していた。
「さ、次は海未とことりだ。時間も時間だしすぐに行くぞ」
「す、すみません。態々...」
「何言ってんだ。それで何かあったらどうする」
腕時計で再度時間を確認しながら海未達を呼ぶと申し訳無さそうな顔でやってきた。
「そうだよ海未ちゃん?大丈夫だって、何かあったって神綺君強いから」
「そうなんですか?」
「少なくとも海未ちゃん一人よりも何倍も心強いと思うよ~」
と希がまるで自分のことの様に言う。しかし神綺の心境は複雑だ。
確かに海未達に何かアレば何としてでも危険から遠ざけるつもりだ。だが、それを語ってるのが希というのが引っかかるのだ。
どうしても前のナンパの件を思い出してしまう。彼女は本当に助かったといえるのか、確かに外傷はない。だが、泣かれたのを思うと果たしてどうなのか。
「ね?神綺君」
「え?あ、あぁ....これでも護身術は覚えがあるからな」
希に急に話を振られて戸惑ってしまった。
「へ~ 先輩すごいですね」
とことりが興味津々に聞いてくる。
「まぁ、歩きながらでもいいだろ。あまり遅くなりすぎるのもあれだし、行くぞ」
「「はい」」
そして真姫達の時と同じように大通りへ出ようと歩き出すと、後ろで穂乃果がじゃぁね~なんて言いながら手を振って見送ってくれている。
それを2人は笑いながら手を振って返す。
それを見た神綺は思わず笑ってしまった。
「な、どうしました?」
それを怪訝に思った海未が神綺の顔を覗き込む。身長差からどうしても上目遣いになるのがまた辛い。なんせ可愛いし、もう少し意識してほしいとは思う。
「いいや。本当に仲が良いだなってな」
神綺も穂乃果達と交流を持ち始めて数年経つが、ここまで親しく過ごしている子を見たことがない。
「勿論です。幼なじみですから」
「小さい頃から一緒だったのか?」
「わ、私は途中からですのであれですが...ことりはどうなんですか?」
「ことりは幼稚園ぐらいの時かなぁ。年長さんぐらいの時から穂乃果ちゃんと遊ぶことが多くなった...かな?」
「流石にそこまで小さけりゃ覚えてないか」
「気がついたら遊んでたって感じです」
「なるほどね。海未は?」
「え゛っ」
「あはは...海未ちゃんはちょっと特殊だよね」
「特殊?」
ことりの言葉に神綺は眉を潜める。どういうことか、それに海未が明らかに聞かれたくなさそうな顔をしているのも気になる。だが、
「言いにくいならいいぞ?」
「い、いえ....」
「別に変なことじゃないんですけど...海未ちゃんって人見知りじゃないですか?」
「ちょっとことり!?」
「まぁ、そうだな。俺も最初はめっちゃ警戒されたし」
「あっ あれは....」
今でも覚えている。穂むらでめっちゃ睨まれたのを。
それを海未自身も気にしているのか、申し訳無さそうな顔をする。
「別に今は大丈夫だろ?」
「は、はい。先輩はお優しいですし....」
「ありがとう。でもそれでいいじゃないか。過去は過去だ」
「...そう、ですよね」
「それでそれで?人見知りがどうしたんだ?」
なんとか海未の調子を戻すことに成功した神綺は再度ことりに海未がどんな様子だったかを聞く。
「それでですね。私は穂乃果ちゃんと公園で遊んでたんですけど---「ことり!」えぇ~ いいでしょ海未ちゃん?」
「ダメです!恥ずかしいです!?」
よほど恥ずかしいのだろう。ことりの肩を掴んでガクガクと揺さぶるほどに。
「まぁいいさ。悪かったな海未」
流石にここまで拒否されてしまうとからかっているとはいえ、後味が悪い。
でも仕方ないだろう。海未の反応が面白いのだから。
「うぅ....」
「えーっとじゃぁ先輩は?」
「ん?俺?俺の何が知りたい?」
人の過去を聞いといて自分は言わないってのは割に合わん。あまり踏み込んだものでなければ教えるつもりだ。
「それは勿論穂乃果ちゃんとの出会いですよー」
「穂乃果との?そう言ってもな....」
語れるような内容でもない。なんせ、
「ほぼ海未達が俺と会ったのと一緒だよ。まぁ俺は何度か穂むらにお邪魔してたから穂乃果の顔は知ってたが、名前は知らなかったし」
「そうだったんですか。ちょっと意外です」
「そうか?」
「いえ、それにしては穂乃果が先輩と親しかったように見えたので」
「まぁ、あの子自身人懐っこいからな。将来騙されないか少し心配ではある」
「あはは....それはことりも思います」
「穂乃果は脳天気すぎます」
「でもそこもまたあの子のいいところ、だろ?」
「そうなんですよね。だから困るんです....」
「ま、頑張れ」
「先が思いやられます...あ、ここ右です」
「あいよ」
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「戻ったぞ~」
「おかえり~」
「あ゛~ やっとだ....」
あの後特になにもなく家に送り届けた神綺は穂むらに帰ってきた。これから絵里を送るために3往復目だ。
流石に疲労を感じて近くの椅子に座る。
「お疲れ様です。これお茶です」
「お、ありがと雪穂ちゃん。穂乃果と違って気が利くな」
偉い偉いと頭を撫でながら貰ったお茶を啜る。まだ4月で夜は肌寒い。温かいお茶は体に染みる。
「あ、ありがとうございます」
「そういえば絵里は?」
しばらく頭を撫でた後、辺りを見渡すと絵里がいないことに気がついた神綺はグダグダしている希に聞く。
「絵里ちなら穂乃果ちゃんと上でなにか話してるよ~」
「重要な話か?」
「知らな~い。行ってみれば?」
「....それじゃ呼んでくるから希が支度しておけ、絵里が降りてきたらすぐに出るぞ」
「はーい」
「ということで雪穂ちゃん。上がってもいいか?」
「え?あ、はい。どうぞ」
記憶を頼りに2階へと上がった神綺は穂乃果の自室の前で深呼吸をしてからノックをする。....フスマにノックというのもあれだがな。
『は~い?』
「神綺だ入っていいか?」
『先輩?どうぞ~』
「入るぞ」
そしてフスマを開けると、
「どうしたんですか?」
不思議そうに見てくる二人がいた。
「海未達を送ったからな。絵里を迎えに来たんだよ。下に居なかったからな」
「あ、ごめんなさい。高坂さんに用があったから」
「話は済んだのか?」
「はい。もう済みましたよ~ 時間があったんで雑談してただけです」
「そうか。なら行くぞ絵里」
「えぇ。ごめんね高坂さん、急に」
「いえいえ、気にしないでください。それよりお気をつけて!」
「迷惑掛けたな穂乃果」
「いえ、楽しかったですし。先輩が本当に回復したのもわかったので」
「ならよかった。...それじゃお邪魔しました。ほむまん美味しかったぞ」
「ありがとうございます!また明日!」
そうして今度はちゃんと荷物を持って家へ帰るべく穂むらを出たのだが、辺りは当たり前だが真っ暗だ。そして、完全に失念していた。
「......」
「な、なぁ絵里」
「っ な、なに?」
「くっつき過ぎなんだが...大丈夫だ。何もないから」
中学の頃の修学旅行で肝試しをした時に初めて知ったのだが、絵里は暗い所がとても苦手らしく、夜のように暗いとこうなる...らしい。
それで怖いのか神綺の腕にしがみついている状態だ。
最初は希も便乗してくっついてくるかと思ったが、絵里の状態があまりにも予想外で巫山戯る余裕もないらしい。
「絵里ち....流石にそれはちょっと」
街灯もあり普通に明るいと思うのだが、何を彼女をここまで不安にさせるのか。
「だって怖いんだもん!」
もんって...希は偶に使うが絵里が使うのは珍しいと思う。というか幼くなった?なんとなくそんな印象を受ける。
「暗いところが苦手ならなんで神綺君の家は大丈夫だったの?」
「そ、それは...」
希の指摘は神綺もそう思った。あの時は部屋の電気も消して完全に暗かった。まぁ窓からの月明かりはあったが。
そして絵里はバツが悪そうに、
「なんとか暗くなる前に寝ようとして...それで寝たから大丈夫だったのよ」
「だから絵里ちあんなに寝つき良かったんだ!?」
「とっ とにかく....暗いのは苦手なのよ」
と言いながら絵里のしがみつく力は強くなる。
「街灯あるだろう...」
「それでも少し離れたら暗いでしょう!?」
「....はぁ」
「あはは...」
閲覧有難うございます。
そういえばなにかリクエストとかありますかね。こんな話が見たいとか。
思えば番外編みたいのをウチはやってないので。なにかアレばメッセージいただければと思います。
自惚れとか言わないで!(切実)