ラブライブ! -彼はどう変わる?-【リメイク】 作:レイヴェル
連日投稿は偶にやりますが、同日の投稿は久々ですね。
「1,2,3,4,1,2,3,4,1,2,3ほら穂乃果!鈍いぞ!もっとキリキリ動け!」
「はい!」
「海未、笑顔消えてる。ことりも動きが小さい、もっと動け!」
「「はい!」」
真姫のおかげで曲ができたのはいいのだが、振付などはこれから。それにより今日も基礎練でいいのではないか、と穂乃果から指摘された神綺だったが、それをよしとせずに、ワンステップ上の訓練を始めた。
それは、
「これがしっかりこなせるようにならないとライブなんて論外だ!しっかりやれ!やる気はあるのか!?」
今やらせているトレーニングは笑顔を保ったまま、素早く体制を変えるというもの。
足幅から背筋の伸ばし具合、腕を上げる高さや指の角度、体全てに神経を張り巡らせてやらないとまともに立ってすらいられなくなるハードなトレーニングだ。
「これに声を足すとなると体力消耗は増すぞ!これを軽々できるようになってもらわなければ困る!後3セット!」
「「「はい!」」」
「うひぃ、疲れたぁ....」
「これは...中々堪えますね」
「ひぃ....ひぃ....」
「お疲れ様」
無事、とは言いがたいがノルマはこなした彼女達にスポーツドリンクを渡しながらねぎらいの言葉をかける。
「キツすぎですよぉ...これから学校あるんですよぉ!?」
「つべこべ言うな。言っただろう?これができなければ歌いながら、笑顔を保ったまま、踊るのはまず不可能だ。そんなに甘いわけ無いだろう」
半分は嘘なのだが、これが問題なくできるとすれば、踊りはまず余裕になるだろう。
しかしノルマを初日にこなせてることに驚きだ。途中でことり辺りがバテると思ったが、なんとか着いてきていた。
....正直なところ、これを3セット問題なくできるぐらい体力がアレばライブ自体は彼女達のやる気と根性で持つだろう。だが、次の日に体を壊してしまっては意味が無い。
だから多めに見積もって7セットをノルマにやらせている。....ハードすぎるのは否定しない。だが、こうでもしなければ成功はまず見えてこないだろう。それほど無謀な挑戦を彼女達は自分から選んだのだ、やりきってもらわなければ困る。
「うぅ~明日筋肉痛だよぉ」
「しっかり湿布を寝る前に貼るんだな」
「そしたら全身に貼らなきゃいけなくなるじゃないですかー」
湿布の匂い苦手~なんていいながらじたばたとダダをこねる穂乃果に神綺はバッサリと、
「馬鹿言うな、本当に厳しいところだけにしておけ。あれも薬だ、貼りすぎるとまた違った病気が誘発するぞ?」
「「えぇ!?」」
「...それ、本当ですか?」
「なんだ、お前達知らないのか。なら湿布ってどういう原理で体に効いてると思う?」
「それは....皮膚から浸透した成分が患部に効くのでは?」
「その通りだ。問題はそこなんだよ。皮膚から浸透する過程で勿論血液にも成分は浸透してな?それが血管を通って体中にめぐるんだ」
「ほぇ~」
「1,2枚なら気にするもんでもないんだが...今の穂乃果からの言い方からするに痛くなった所、つまり、腕、足、腹筋、色々だろ?となると使う枚数は跳ね上がるわけだ」
「なるほど」
「そしてアレは鎮痛剤とほぼ同じ役割を持つ成分。....聞いたことないか?鎮痛剤の過剰摂取で救急搬送されるの」
「あっ 聞いたことあります」
「それとほぼ同じ症状が起きる可能性がある。つまり...」
「搬送されたら練習は愚か学校にも...」
「まぁ、それもあるわな。それ以外に、まだ若いのに湿布まみれで搬送なんて恥ずかしいだろ?」
「絶対に嫌だ!」
神綺の例え話にものすごく食いついて勢い良く否定する穂乃果。
そうだ、それでいい。穂乃果は原理なんかより極端な例を出したほうが効果的だ。
「だろ?だから本当に耐えられない所だけにしておけ」
「...わかりました。でも痛いのは嫌だなぁ」
「今まで体を動かしてなかった弊害だ。海未みたく日頃から体を動かしている人間はそう簡単にバテないさ。見てみろ、海未はもう立てるぞ」
「えぇ?!」
「え?ま、まぁ...立てますが」
「嘘!?」
「嘘じゃない。いくら毎日の朝練とかでお前達にも体力がついたとはいえ、まだ差がこれだけあるんだ」
「ぐぬぬ...いつか海未ちゃんを超えてやる!」
「それは楽しみです」
悔しそうに唸る穂乃果を笑顔で返す海未。...なんか怖い。
「頑張ってるね、みんな」
「あっ 東條先輩!」
「おはよう。バテバテみたいだね」
声の方へ視線を向ければそこには希が居た。
「バイトはいいのか?」
「今はちょっとした休憩中。様子を見に来たの」
「そうか」
「どう?しっかりできてるの?」
「ご覧のとおり、練習のステップアップを少ししただけでこれだ」
「アレで少しなんですか!?」
「結構扱かれてるみたいだね....」
「これくらい出来てもらわなきゃな。さ、今日はここまでだ」
「本当ですか!?よかったぁ....」
「ついでに今日の午後練もなしだ」
「あ、言い忘れてました。私達も今日は休もうと思ってたんです」
「なんで?」
「チラシ配りです!やっぱり知ってもらうには表に顔を出すしかないので」
「なるほどな....わかった。俺は記憶が飛んでる時に溜まりに溜まった書類を処理しないといけないんでな」
「了解です!」
「それじゃ今日はここまで、お疲れ様」
「「「お疲れ様でした!」」」
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「はい、お疲れ様。今日はここらへんでいいと思うわよ?」
「ん、ありがとう絵里」
放課後、生徒会室にいつもの3人で事務をこなしていた。やはり溜まっている課題は多く、全てを捌くにはあと2,3日は欲しいところだ。
そして一息ついて背伸びをしていると、お茶の入った湯呑みを絵里から貰った。
「それにしてもすごいスピードね、神綺君。私ならこんなに速くできないわ」
「その代わり、絵里の仕事が増えるんだがな」
「え?」
「俺が処理したものを完璧かどうか確認しなければならないだろう?」
「あぁ、あんなの見るだけだもの。たかが知れてるわ」
「さいですか。....にしてももう17時半か」
「えぇ!?もうそんな時間なの?」
チラッと腕時計を見れば長針が7を回っている。それに驚いた希は壁に掛けられている時計を凝視した。
「うわっ 本当だ」
「そろそろ帰るか」
「今日の夕飯は神綺君が当番だからね!」
「わかってるって....買い出しダルいな」
「あ、なら私も一緒にスーパーに行こうかしら」
「え?絵里もか?」
「今日は妹と私しかいないのよ、だから私が夕飯作ってあげないと...」
「亜里沙ちゃん...だったか?」
神綺自身何回かしか会ってない為、悪いがあまり覚えていない。
「そうよ。あの子まだこっちに慣れてないから...私がやってあげないとね」
「なるほどな。んじゃ、行きますか」
よいしょっ、と言いながら立ち上がり、鞄を持つとフッと窓の外に目が行った。
「そういえば...あいつらチラシ配ってるんだったな」
構造的に生徒会室からは校門がよく見える。そしてよく見ていると穂乃果達3人がバラバラに散らばって各々でチラシを配っていた。
「え?ほんとだ。頑張ってるのね」
「そういえば、絵里ちは決まったん?」
「なにが?」
「やりたいこと。ずっと指を咥えて待ってるの?」
「それは....」
絵里自身まだ結論を見出だせていないのだろう。言葉が詰まる。
「まだ時間はある。本当に後に引けなくなるのは....もう少し先だ」
「どういうこと?」
「穂乃果達が成功すれば期限は伸びる。つまり最低でも新歓までは猶予があるということ」
「なるほど」
「さ、早く行こう。最終下校になっちまうぞ」
「お疲れ」
「あ、斉藤先輩。お疲れ様です」
校門に着くと、一番近くに居た海未に声をかける。
「どうだ?上手くいったか?」
「ぼちぼち...でしょうか。ことりはすぐにノルマを終えたのですが...なにぶん慣れてないので」
これくらい、と手に残っている束を見せてくる。
「ふむ。今日はもう終わりでいいだろう。気になるなら明日また配ればいいさ」
「それもそうですね。...けどやっぱり疲れます」
「人前に出るのは抵抗があるか?」
「はい。やはり恥ずかしくなってしまいます」
「そうか。...そこは慣れるしかないな。場をこなしていこう」
「...善処します」
「善処か、...そういえばことりは?穂乃果はそこにいるからわかるんだが」
「ことりは先に帰りました」
まぁノルマはこなしたし妥当か。
「なんでも振り付けを考えたい、と」
「振り付けを?」
「はい。ドンドンアイデアが浮かんできたのでやってみたい、と」
「そうか。ま、誰かに決められるより自分達で決めたほうが頭に入るからな」
「そうですね。それでは私はこれで、穂乃果にも終わるように伝えてきます」
「あぁ、お疲れ様。気をつけて帰れよ」
「はい、先輩こそお気をつけて」
さようなら、と一礼した海未は駆け足で穂乃果の方へと向かっていく。
そして背後からタイミングよく、
「おまたせ神綺君」
教員室に書類や鍵を届けに行っていた希達が追いついた。
「お、それじゃぁ行くか」
「えぇ。今日のおかずは何にするつもりなの?」
「そう言う絵里こそ、何にするつもりだ?」
「私は安い食材で決めるわ」
「俺も同じ。行ってからのお楽しみだ」
「レッツゴー!」
閲覧有難うございます。