シド君、葛藤の末、決断します。
時は少し遡り…。
意識を失っているイタチへと、脳みそちゅうちゅうくん11号を装着したイータ。
吸い取った記憶をリアルタイムで見ることのできる、対になるヘルメットを被り、イータはふっと笑みを浮かべる。
「(緊急事態とはいえ…イタチさんの記憶を…忍の叡智を覗き見ることができる…)」
口の端から零れ落ちそうになる涎を、じゅるっと吸い込むと、イータは稼働させるためのスイッチをポチッと押し込む。
ギューンッという稼働音と共に、イタチの記憶が鮮明に流れ込んでくる。
「(おお…これがイタチさんの幼少期…可愛い…♡)」
幼少期のイタチの様相を見て、イータは先ほど吸い込んだ涎をだらしなくたらして見せる。
脳みそちゅうちゅうくん…これは、対象者の記憶を、一人称視点で見ることができるのに加え、ある程度ではあるが、当時の周りの視点からも観測することができる。
それを為せる技術が、いかようにして成り立っているのかは、イータのみぞ知るところではあるが……。
涎を垂らし、不敵な笑みを浮かべながらイタチの記憶を垣間見るなかで、ある異変が起きる。
イタチの幼少期…これに関してはまだよかった。
愛する弟との関り、忍となるための修行、親しい友人との出会い、恋人の存在、第三次忍界対戦の記憶、九尾という名の尾獣の襲来……。
目を背けたくなる場面もいくつかあったが、シャドウガーデンとして活動している彼女にとって、それは酷く心を痛めるような場面ではなかった。
だが………。
「(え……)」
イタチの記憶が少年期に入った途端、イータの表情から笑みが消える。
徐々に口角は下がり、次第に身体が震え始める。
「…?イータさん?」
傍で見守っていたシェリーが、イータの異変に気付く。
「あの、大丈夫ですか…?」
全身を震わし、両手を絡め、呼吸を荒くしているイータを見て、シェリーは思わず焦りを見せる。
「い、いや……やめて……こんな……ッ」
イータがプルプルと震えながら、呻き声にも似た声を上げる。
「イ、イータさん!!」
その尋常でない様相に、シェリーは思わずヘルメット型の脳みそちゅうちゅうくんに手をかける。
…その瞬間……。
「いやああああああああぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!!!!」
普段のイータからは想像もつかないような大声、悲鳴を響かせる。
「イータさん!イータさん!!ッ!な、何が起こって……ッ!」
機械の故障か?それとも不具合か?
イータの尋常ならざる悲鳴に、シェリーは即座に緊急停止ボタンを押し込む。
シューッという音と共に、イタチとイータに嵌められたヘルメットがガチャッと外れる。
外れた瞬間に、イータの身体から力が抜け落ち、バタッと床へと叩きつけられる。
「イ、イータさん!!」
床に伏したイータをゆすりながら、シェリーは大きく声を掛けるが、一切の反応を示さない。
「ど、どうして……。なにが……」
状況が全く理解できないシェリーは、酷く狼狽しながら目を泳がせる。
「と、とにかく、誰かに伝えないと…ッ!」
シェリーは、自分一人ではどうにもならないと判断し、応援を呼ぶため、研究室を後にした……。
「では、頼みましたぞ、ベアトリクス殿…」
オリアナ王国の国王であるラファエロは、目の前にいるベアトリクスに、旅支度を終えた彼女に、そう呟く。
「ああ、行ってくる」
ベアトリクスは、それに抑揚なく答える。
とんでもない衝撃音の後、庭園の地下から抜け出した彼女たちは、黒き薔薇もラグナロクもいない、満天の星空の元、地上へと降り立った。
だが、黒き薔薇とラグナロクと同様に、シャドウガーデンの姿も消え、更にはローズとイタチの姿も消え失せていた。
王都中を駆け巡り、先の2人を探し回ったが、発見には至らなかった。
それを受け、ベアトリクスはある一つの仮説を抱き、ラファエロとレイナの依頼もあり、イタチとローズを探す旅へと向かうところであった。
「ベアトリクス様…どうか、ローズを…そしてイタチさんを見つけてきてください…」
完全に毒気も平和ボケも抜けきった王妃レイナが、懇願するようにしてベアトリクスに声を掛ける。
「任せてくれ…必ず二人を見つけ、連れ帰る」
ベアトリクスは、ラファエロとレイナに軽く頭を下げたのち、そのまま背を向けて立ち去る。
オリアナ王国の王都は、黒き薔薇が発動したとは思えないほどの、軽微な損壊であった。
シャドウガーデンのシスイは、ラグナロクの攻撃を王都に向かぬように捌ききっていたらしい。
逃げ惑う王都の民の多くが、その一部始終を目撃していた。
加えて、黒き薔薇から出現した多くの魔物たちも、シャドウガーデンの構成員と見られる者達によって即座に討伐された…。
全くの被害がないと言えば嘘になるが、確認できている民の被害は、100を超えない。
且つて、ベガルタ軍10万を一夜にして消し去った伝説と比較すれば、無に等しい被害であった。
それを為したのは、先述の通り、シャドウガーデンの功績である。
…だが、それを加味しても、ベアトリクスはシャドウガーデンに対して良い感情を抱いていない…。
それどころか、現状考えている仮説を加味すると、憎しみすら抱いている。
「(やつらが…イタチとローズを…ッ!)」
ローズは完全におまけであるが、イタチに対しては、並々ならぬ感情を抱いている。
イタチを発見できず、焦りに焦りまくった自身の心を認識し、それに気づいた。
特別な存在だとは認知していた。
彼のことを考えると、自然と心が躍る様な感覚を覚えていた。
それが何であるか、ベアトリクスはわからなかった…。
そう、ほんの数日前までは……。
「(私は…イタチのことが…)」
そう心の中で呟きながら、ベアトリクスは王城を後にする。
…目指すはミドガル王国。
まずは顔見知りにアイリスに、事の経緯を伝え、協力を仰ぐ…。
目的を再確認し、ベアトリクスは歩みを進めるのであった……。
更に時を少し遡る…。
シドは、ミドガル王都にある魔剣士学校の寮の自室、そのベットの上にて、ボケッと寝っ転がっていた。
「(うーん、オリアナ王国を後にしたのは失敗だったなー)」
昨日の夜に起こった、遠方での衝撃的なまでの爆発音と閃光……。
その魔力の持ち主と、その力を、シドは認知していた。
「(八坂の勾玉…僕のアトミックと同等の威力を持つ、イタチさん最強の遠距離攻撃…)」
且つてイタチと模擬戦闘を行った際に見た、圧倒的なまでの威力をもつそれを、シドは思い出しながら心で呟く。
「(あのイタチさんがあれを使う程のことがあったってことだもんなー…感情に流されて戻ってきたのは失敗だった…)」
イタチさんの過去、それも真実となる部分を完全に排した、いわば『そうなって欲しい』と願ったイタチの過去……。
結果はイタチさんでも知らないそれを、本として世に出回っていることに、シドは珍しく狼狽して見せたのだ。
「…イタチさんは、僕に感情の起伏すら取り戻させる…か…」
捨て去ったもののひとつである、『過度な感情の起伏』。
それを一時とはいえ取り戻させたイタチの凄惨な過去に、シドは思わず目を伏せる。
はぁ…と大きくため息をついたその瞬間、窓からいきなりニューが降ってくる。
「シド様ッ!」
「のわっ!!」
普段は生真面目な彼女が、突然窓から入ってきたことで、シドは思わず素っ頓狂な声を上げる。
周辺にいたのは認知していたが、普段通り近くで待機し続けると思っていただけに、酷く驚いてしまった。
「も、申し訳ありません!」
「う、うん…。珍しいね…窓からなんて…」
ニューの謝罪に、シドは些少の驚きを有しつつ、声を掛ける。
「緊急事態です、シド様!」
「え…?何かあったの?」
一気に真剣な面持ちになったニューに、シドは、少しだけ目を見開く。
「はい…。イタチ様が、意識を失われました」
「ふぁ…?」
シドは思わず、脳内に宇宙猫を生成して、呆ける。
だが、それも2秒程度であった。
シドの心に、歓喜にも似た感情が湧き上がる。
「(イ、イタチさん!やっぱりあなたはよくわかっている!!)」
シドは、ぐっと顔を伏せ、俯く。
「シド様…」
ニューは、そんなシドの様子を見て、『盟友が意識を失ったことを悲しんでおられる…』と勘違いをしてみせる。
だが、勘違いをしているのはニューだけではなかった…。
「(突然意識を失う系の陰の実力者プレイ!!僕がやりたいと思っていたことをやってのけるとはッ!さすがイタチさんだ!!)」
シドは、俯いたまま両手をぐっと握りこむ。
それを見たニューが、またしても勘違いをしてしまう。
「(くっ…シド様が…お怒りに…ッ!)」
盟友が意識を失った…。
それに酷く憤慨を示していると思ってしまう…。
「(はっ!そうか…あれほどの力を使って見せたのも、まさかこのため…⁉なんだよもー!やるなら誘ってくれてもよかったのにー)」
シドは、少し悔しそうに瞼をギュッと閉じて見せる。
「シ、シド様…」
怒りを抱いていると勘違いしているニューは、恐る恐る声を掛ける。
「ニュー…イタチはどこに…?」
スッとシャドウモードになり、声を低くしてみせる。
「は、はい…。古都アレクサンドリアにて、療養しているとのことです」
「すぐに向かうぞッ」
「ッ!はっ!」
シドことシャドウは、ニューを伴い、急いでイタチが待つアレクサンドリアへと旅立つのであった……。
さて、時は戻り…。
そんなこんなでイータの研究室の一角に集まりを見せたシャドウガーデンの面々は、皆一様に表情を暗くしていた。
イタチの眠るベッドから少し離れた位置にあるソファーに、イータが毛布を掛けられた状態で眠っている。
シェリーに助けを求められたラムダが、一先ず床からソファーへと移動させたらしい。
イータが発狂し、意識を失う様子を目撃していたシェリーは、アルファ達から質問攻めにあっていた。
「…つまり、シスイ様が意識を失う原因を調べようと、彼の記憶を覗き見た結果がこれということね…?」
アルファの言葉に、些少の怒りが混じっているのが感じ取れる。
敬愛するイタチの記憶を勝手に覗き見たという行為に、嫌悪感を示しているのだ。
一番イタチのことを知りたがっていたのは、アルファである。
イタチの気持ちを踏みにじらぬよう、直接的な行動に至るのをぐっと抑えていた分、その怒りは沸々と熱を帯びる。
そしてその怒りは、ベータやガンマ、イプシロンも抱いている様子で、それを理解したシェリーは明らかに怯えている。
「は、はい…。その、シスイ様がお目覚めになる手がかりを掴めるのであればと思い……」
シェリーの弁解に、アルファ達は思わず大きく目を見開いて固まる。
そんな中、シャドウの心の中には、『どゆこと?』という疑問が湧き上がる。
「(え…。イタチさんに怒られて気を失ったわけじゃなかったの…。それに、イタチさん、本当に意識ないじゃん…。演技じゃなさそうだし…何がどうなっているの……?)」
陰の実力者プレイに感化されたイタチが、『急に意識を失う系の陰の実力者』を演じていたと信じ切っていたシャドウは、この現状が理解できないとばかりに、焦りを加速させる。
一方、アルファ達はそんなシャドウの様相に気付かず、シェリーへと再び言葉を掛ける。
しかし、先ほどの怒りを孕んだような様子はなかった。
「そう…そうよね…。やれることは何でもするべきよね…」
先ほどまでの怒りが消えたわけではないが、イータもイータなりに、イタチを心配してのことだったのだと考え、それに折合をつける。
…まあ、邪な感情はしっかりとイータの中にあったのは事実なのだが…。
アルファは、一つ大きく息をつくと、再度状況確認のために口を開く。
「それで、記憶を覗き見たという機械はこれかしら…?」
アルファがヘンテコなヘルメット、脳みそちゅうちゅうくん11号へと視線を移す。
「は、はい…」
シェリーの肯定と共に、アルファはぐっとそれに手を伸ばす。
それと同時に、シャドウがようやく反応を示す。
「まて、アルファ…」
シャドウの一言に、アルファは一瞬で動きを止める。
「どうかしたの…?」
突然、制止の声掛けをされたことで、アルファは少しだけ首を傾げる。
だが、シャドウは何かを考え込むような様子で、口を開かない。
「…シャドウ?」
ただ黙りこくっているシャドウを見て、アルファは更に首を傾げる。
シャドウはそんなアルファの問いかけに反応することなく、今までにない速度で頭を回転させる。
どうやら、ようやく今ここで何が起こっているのかを理解し始めたらしい。
「(イタチさんが気を失っている理由はわからないけど……。イータは…イタチさんの記憶を覗き見た…。ということは、あの記憶を、過去を見たということなのか……?イータの意識喪失も、それが原因だとするならば納得ができる……ッ)」
事態が、陰の実力者プレイではないのではないかと、察する。
そして、シャドウの顔から、余裕のある表情が一瞬で消え去る。
「(これはまずい…。イータが覗き見た記憶が、仮にそうだとしたら……)」
シャドウは、何か策はないのかと、思考を加速させるが、ふっとここ最近、アルファ達に問いかけたことを思い出す。
…珍しく感情に突き動かされ、発した、発してしまった言葉を……。
「(いや…これは一つの転換期なのかもしれない…。イタチさんの過去が、この世界で曲げられて広まっている以上、同じくいつかは真相も広めなければならない)」
そう考えたのち、シャドウは即座にその矛盾に、いや自身の想いによって抱いた感情であることに気付く。
「(違う、これは僕の感情だ…。きっとイタチさんは望んでいないはず……)」
このまま、真相は陰に伏す…、それこそがイタチの願い……。
しかし、それはあくまで前世の世界での願いだ…。
この世界で、それが広まったとしても、イタチが守りたかったものに支障が出るとは思えない…。
それに、何よりも許せないことが一つだけあった。
「…アルファ」
「な、なに…?」
酷く強張ったシャドウの声に、アルファは思わずビクッと身体を震わせる。
「ベータが書いた物語…あれはイタチの過去の話だというのは覚えているか?」
「え…ええ、もちろん…」
アルファは小さく呟くように声を発する。
だが、その声とは対照的に、酷く狼狽して見せる者が2人……。
「シャ、シャドウ様ッ!そ、それは、それは一体どういうことなのですか⁉」
「私が書いた物語が…シスイ様の、イタチ様の…過去…ッ!」
あの場に居合わせなかったイプシロンとベータが、目を大きく見開いて、激しく動揺する。
そんな中、アルファと共にそれを聞き及んでいたガンマが何かに気付いた様子で声を震わせる。
「あ、主様…ッ!もしや、イータが見た記憶というのは…ッ!!」
シャドウは、ガンマへと視線を移す。
「ああ…恐らく、それも含んだ記憶なのだろう…。イータが発狂して気を失ったというのも、それならば納得がいく…」
「…ッ!」
ベータの書いた物語、『復讐と英雄』…。
とある男が、自身の器を図るため、自身の力をより高めるために行った、凄惨な一族殺し…。
そして、その弟が男を討ち取り、英雄となった物語であった。
アルファは、きっと視線を鋭くさせ、苦悶にも似た表情を見せる。
「…イタチの兄が、幼いイタチの目の前で、家族や一族を滅ぼした…あの記憶を見たというの…ッ!」
アルファの瞳に、些少の涙が生じる。
その一言が齎す衝撃は凄まじく、イタチの話だと知りえていたガンマですら、悲痛な表情を浮かべる。
…知りえていなかったイプシロン、同じく知りえていなかったベータは、それに加えて自身が書いたことも相まって、その表情が先の2人以上であることは言うまでもないだろう。
…だが、この一言には、もう一つの発見、事実が隠されていた。
それを知りえているのは、この場ではシャドウのみであった。
シャドウは、陰の実力者としての冷静沈着な装いを崩しかけながら、些少の声の震わしをもって呟く。
「…そうか。お前たちは、イタチが弟であると、そう解釈したのだな…」
「え…?そう、だけど…」
何を言っているの?と言った様相で、アルファはシャドウの言葉に反応を示す。
あれだけ優しいイタチが、家族や一族を手にかけるとは考えられない…。
そして何より、兄の方は既に死んでいるのだ。
となれば、生きているイタチが必然的に弟側になるのは当然のことである。
だが、シャドウの様相を見て、アルファは一抹の不安を抱く。
「…許してくれ、イタチ……」
何よりも許せないこと……。
それが現実になりかけていることに、シャドウは酷い不快感を覚える。
「え…?」
聞き取れない声量で小さく呟いたシャドウに、アルファはぐっと顔を近づける。
だが、その言葉が繰り返されることはなかった。
「お前達に、話しておかなければならないことがある…。イタチの…過去、そして真実についてだ…」
「そ、それって…どういう…?」
アルファの中に生まれた不安は、徐々に大きなものとなっていく。
そして、以前シャドウが吐き捨てるようにして発した言葉が、ふっとアルファの頭をよぎる。
「ちょっと待って……、真実って…どういうこと…?」
そんなはずはない…。
ありえない…。
そう考えながら呟いた一言は、シャドウから今この場で答えを導き出すには至らなかった…。
「七陰の全員を…シャドウガーデンの幹部全員を、早急に広間に集めろ……」
穢土転生により、魂を前世である忍界へと呼び戻されたイタチ……。
同じく穢土転生された長門と共に、ナルトとビーと対峙、戦闘に入る。
魂のみであるがゆえに、イタチは転生後に得た魔力を有していない…。
本来、穢土転生はどれだけ贄の質を上げようと、術の精度を高めようと、生前と同等の力を発揮することはできない…。
しかし、忍界で生きていた時の病や、チャクラの有限性というデバフがなくなった状態の穢土転生のイタチは、前世とは比べ物にならないほどの、それこそサスケとの最終決戦時を遥かに超える戦闘力を有していた。
そして、長門もそれに似たような状況となっている。
生前、ナルトと戦った際は、死体を操っていた。
死体を操っている分、戦闘力は制限されていたが、今その力を扱うのは本体である長門……。
穢土転生体で、前世の頃を上回る力を発揮している、珍しい2人と言える。
仙術と九尾の力の一部をコントロールしたナルトと、八尾の力を完全にコントロールしているキラー・ビーの2人掛かりでも、勝ちの目は薄いほどである。
しかし、イタチがかつてナルトに託していた力……。
うちはシスイの万華鏡写輪眼を有した口寄せ鴉が、その状況を一変させる。
『別天神』。
シスイの万華鏡写輪眼に宿る瞳術で、対象者が幻術にかけられたと自覚することなく操ることのできる最強幻術。
サスケを里の英雄にするために、道を踏み外さないようにと仕込んでおいたその力を、イタチは自分自身にかける羽目になったのだ。
それによって穢土転生の命令は打ち消され、ナルト、ビーと共に輪廻眼を持つ長門を撃破。
イタチの須佐能乎が持つ、封印術を帯びた剣、十拳剣に封じ込めることに成功した。
…その後、長門を封印したイタチは、肩に乗るシスイの目を移植した鴉の口寄せを解除する。
「(シスイの目…再発動に10年以上かかるとなると、この忍界ではもはや使いものにならんが、あの世界では役に立つかもしれん…)」
一瞬、違う形で役目を終えたシスイの目を破棄しようと考えたイタチであったが、転生先に存在する不安要素のために、その考えを改める。
「(まあ、戻れる保証も、ましてやシスイの目を持って行ける保証もないのだが…)」
忍界とあの世界との繋がり、その明確な根拠はわからないままだ。
ナルトは、長門との一戦で高ぶっていた感情のおさまりと共に、ある可能性に気付き、それを漏らす。
「…イタチ!穢土転生されている今なら、サスケに会える!…今度こそ!」
火影とは何か…、それをイタチに諭されたナルトは、自身の考えと思いを改めながらそう声を張り上げる。
だが、イタチから帰ってきた言葉は、それを明確に否定するものであった。
「いや…俺は1人で何でもしようとし、失敗した…。今度は、それこそサスケのことは、仲間に任せるさ」
「イタチ……」
イタチの放った『仲間』という言葉。
それが自身に放たれた言葉だと理解したナルトは、感銘を受けたような表情を漏らす。
「だからナルト…。お前も仲間に、俺に頼れ…。穢土転生は、俺が止める」
「……ああ、わかった!」
イタチの言葉に、些少の沈黙ののち、力強く肯定して見せる。
「ただ強いってだけの忍じゃないな…あんたってやつは…」
そして、イタチはナルトとビーに背を向け、立ち去る。
だが、数歩歩いたところで、迷うようにしてイタチは口を開いた。
「最後に一つだけ、聞いてもいいか?」
「…?なんだってばよ?」
特徴ある語尾を用いながら、ナルトはイタチの背に問いかける。
「ナルト、キラー・ビー、お前たちは、こことは違う異世界の存在を知っているか…?」
「異世界…?なんだってばよ、それ…」
「聞いたことがないな…」
2人の言葉に、イタチは何とも言えない表情を浮かべる。
「…そうか。すまない、変なことを聞いたな…」
そう呟き、イタチは飛び去るようにしてナルトたちの元を後にする。
「ッ!イタチー!!」
意味深な言葉を残し、立ち去ったイタチを、ナルトは呼び止めるようにして声を張るが、イタチの背中は遠くへと離れていく。
「…異世界…どういうことだってばよ…」
「もしかして、死後の世界があるとか、なのか…ヨー??」
イタチの残した言葉の意味を考えるが、その意味を理解できなかった2人は、大きく首を傾げ、見つめ合った……。
NARUTOの世界における流れは、是非アニメをご覧になってください!!
とりあえず、イタチ編を含め、本編は後3編で終了予定(話数にすると、プロットでは20話行かない程度)です。そこで、最終的にこの物語をどう締めくくるのか、大まかな流れを皆さんに問わせて頂きたく思います。
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ハッピーエンド!
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ハッピーエンド(イタチの身体一部欠損)
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パッピーエンド(イタチ、シド共に欠損)
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バッドエンド(イタチは皆の精神の中に…)
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バッドエンド(イタチは精神の中にすら…)