新生アスティカシア学園パイロット科特別臨時講師グエル・ジェターク   作:アヤユメ

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5 テロに走りそうな生徒にミオリネから語る話

 地球。曇り空のクイーンハーバー。

 広場での長時間に及ぶ演説を終えたミオリネをマスコミが取り囲む。

 

 指輪の相手は誰なのか?

 やっぱりジェタークCEOか?

 収監中のテロリストだというウワサは本当か?

 飛び来る質問はそればかり。

 

「指輪についてお聞きしたい」

 

 この件でミオリネが歯噛みするのは()()()以来いったい何回目だろう。

 

「その指輪は」

 

「指輪は」

 

「指輪は」

 

 空港でたった一度()()()()()()のを見られただけでこのザマだ。

 

 サビーナたちが記者を抑えている間に車に駆け込む。

 ドアを閉める直前の一瞬――

 

「先ほどの演説について」

 

 ずっと待っていた質問にハッとしたときには、ドアを閉じようとした自分の手の勢いは止められず、バタンと遮断の音だけ残して車は走り出していた。

 

 

 

 先に乗っていたエナオがアクセルを踏み、派手目なカーチェイスの末に追っ手をまいて、それでも念のため遠回りを指示して。

 後部座席の大きなシートで、ミオリネは足を思い切り投げ出した。

 

「私もさぁ」

 

 ため息一つ。

 

「宇宙での私の扱いが、地位も権力もなくしたくせにナゼかテレビに出まくっている社長キャラのワイドショータレントだって自覚はあるわけなのよ。

 地球からの見られかたはもう少しシリアスだけど」

 

 スーツのポケットから通信端末を取り出す。

 

「見てよ、この記事。私の演説については数行で終わらせて、あとはずっと指輪の相手が誰かの詮索。

 わざわざバラして何になんのよ?

 アーシアンでもスペーシアンでも、私のこと憎んでる連中からすれば、私の花婿なんて最高の“みせしめ要員”よ。それに……」

 

 スレッタの存在が世間に知られれば、その母親にもスポットが当たる。

 クワイエット・ゼロの真実が明るみに出れば、シャディクの献身はドブに沈む。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 同じく地球。イストラント。

 戦火を交えたウェスタニスの国境とは逆方向の、東の外れの静かな都市の、静かな墓地。

 シノーメの恋人の棺が、地元の友人たちの手によってゆっくりと墓穴に降ろされていく。

 泣き疲れた顔の親族が、涙をこらえるシノーメに、そっと感謝の意を伝える。

 

「遠くから来てくれてありがとう」

 

「あの子は幸せだった」

 

「疑惑が晴れてよかったよ」

 

 少し離れて見守りながら、付き添いのグエルとスレッタは歯噛みする。

 これほど愛された少年が、なぜテロリストだなどと疑われたのか。

 

「ねえ、先生」

 

 二人よりもさらに後ろで他人の墓石に隠れて所在なさげにしていたアシャケが、グエルとスレッタにおずおずと声をかけた。

 

「もしもあの人が本当にテロリストだったら……いえ、その、そうじゃなくて、例えば……

 例えばもしもオレがテロを起こしたら、周りの人はどうなるんですか?」

 

 空気が一瞬で凍りついた。

 グエルは慌てて辺りを見回した。

 幸いほかの誰にも聞かれていない。

 

「アシャケ、お前は……スペーシアンを憎んでいるのか?」

 

「ううん。復讐対象はウェスタニス人だよ」

 

「だ、ダメですアシャケさん! いい人も悪い人も、どっちの国にもいっぱいいます!」

 

「やだなぁスレッタ先生、大人なのに小学生みたいだ」

 

 アシャケがくすくすと笑った。

 

「あ、あははっ」

 

 苦笑いしつつ、とりあえずなごやかな雰囲気にはなったので、スレッタはホッと胸を撫でおろしたが……

 

「ごめんなさい、先生。子供が大人を嘲笑するなんて間違ってるよね」

 

「ちょうしょ……ん……?」

 

 急に硬い言葉を使われてスレッタが戸惑う。

 

「普通は大人が子供をバカにするものなのにね」

 

 アシャケの声は、ひどく冷たかった。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 スレッタたちがいる場所の、隣町の隣町。

 トラブルを避けるために偽名で泊まっているホテルの最上階の客室のソファで、ミオリネは何をするでもなく携帯端末をもてあそんでいた。

 

『さっさと電話しなよ』

 机の上のキーホルダーがしゃべりかけてくる。

『生徒のカレシのお葬式に間に合わなくってごめんなさいって』

 

 ボディガードたちには部屋の外に出てもらっていて、ここにいるのは二人だけ。

 ミオリネは天井を眺め、ぼそりとつぶやいた。

 

「スレッタと別れようと思うの」

 

『……今日って四月一日だっけ?』

 

「それはこれを書いた記者に言ってよッ!」

 

 ミオリネはキーホルダーに向けてネットニュースの画面を突きつけた。

 タイトルには『恐怖! 奴隷牧場の真実!』とあった。

 

「アーシアンから見ればスレッタの学校は、貧乏なアーシアンの子供を騙して集めてスペーシアンに都合よく育て上げる洗脳施設なの!

 スレッタはこんな風に思われてんのよ! スペーシアンだってだけの理由で!」

 

『たかがネットのウワサ話でしょ? そんなの真に受けるほうがバカだよ』

 

「そのバカが刃物や銃や、ときにはモビルスーツを持ってくるのよ!」

 

 ミオリネの指が画面をスクロールする。

 ネット上に羅列される暴論としか言いようのない陰謀論、彼らにとっての空虚な根拠。

 

「ここに“忌まわしきレンブラン一族の花婿”って要素が加わるの!

 私が空港で指輪をはずし忘れた、ほんの一瞬の不注意のせいで!

 進めば二つなんて大ウソよ!

 このままじゃ私につきまとっているマスコミがスレッタの学校に押し寄せて、スレッタは夢と花嫁のどちらか一方だけを選ばなければならなくなる。

 スレッタの学校を狙ったテロなんてものが起きてからじゃ遅いのよ!」

 

 叫んで息を切らして目を閉じる。

 まぶたの裏に、夕日に染まる麦畑で子供たちに囲まれるスレッタの姿が映る。

 まぶたに力を込める。

 開放的な麦畑が、遮蔽物のない狙撃しやすい空間に変わり、ミオリネを狙った銃弾で、スレッタの周りの子供たちが倒れていく。

 足の不自由なスレッタはよろけたおかげで弾道から逸れるも、その後ろにいたプロスペラ――今はヘルメットをはずしたエルノラ――の脳髄が、夕日の空へとぶちまけられる。

 

 目を開けてソファに沈み込み、ミオリネは先ほどの記者の言葉を反芻する。

 

――指輪の相手はやっぱりジェタークCEOか?――

 

 マスコミを騙すための結婚相手のダミーとして、グエルならば不自然じゃないし、スレッタを守るためだと言えばグエルは断らないだろう。

 

(とはいえこれだとテロリストの目をグエルに向けることにもなるし……必要ならグエルに土下座してでも……)

 

『ミオリネぇ……ミオリネ! 電話だよ! グエル君から!』

 

「え? このタイミングで?」

 

 運命のようなものを感じる。

 頭を下げる準備をしつつ、映像通信のスイッチを入れる。

 いきなりグエルとスレッタが、二人並んで土下座していた。

 

──生徒の相談に乗ってやってくれ──

 

「は?」

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 今夜はもともとスレッタの学校でお泊まり会の予定があり、グエルも決闘の賭けで手伝う約束をしている。

 別々の町のホテルの部屋で、ミオリネとアシャケは二人きりで画面越しに向かい合った。

 

──これからテロを起こすって、まだ決めたわけじゃないんだけどさ。

 テロに屈しなかった人ってのがどんな感じかはグエル先生を見てだいたいわかったから、今度はテロに屈した人の意見を聞きたいなって思って──

 

 アシャケの言葉にミオリネは頭を抱えた。

 一連の事件の真相を世間に隠している現状では、メディア越しに見たミオリネは“アーシアンが起こしたテロに屈服してベネリットグループを解散させたスペーシアン”であると、ミオリネもわかっているし部外者からの嫌味もさんざん言われてきたが、ここまで真正面から言ってくるオコサマは初めてだった。

 

 あのとき実際に起きていたことを、ミオリネとしては、言いたくても言えない。

 

(なんで私がこんな子の相手をしなくちゃなんないのよ?

 大抵の男子ならグエルがハグしてやればどうにかなるでしょ?)

 

 そもそもこのアシャケとはどのような人物なのか?

 元少年兵という話だから、黒髪は戦時中は丸刈りで、その後は数ヶ月ずっと伸ばしっぱなしといった長さか。

 新生アスティカシアのセーラー制服のおかげで小綺麗に見えるが、目の奥に宿る光は鋭く冷たくどこか虚ろで……

 

──オレと話すの、嫌ですか?──

 

「そ、そんなことないわよっ!」

 

──でもオレのことバカにしてるでしょ──

 

「違うわ! 心配してるのよ! だってテロなんて……」

 

 ミオリネはぐっと拳をにぎって気合いを入れ直した。

 

(この子にシャディクと同じ道は歩ませない!

 それが、私がシャディクのためにできること!)

 

──シャディク・ゼネリがテロを起こさなければ、誰もアーシアンの言葉になんか聞く耳を持たなかった──

 

「テロが起きてからみんな、聞く言葉をすべて悪い意味でとらえるようになってしまった」

 

──でも実際、テロで世の中は変わったわけだし──

 

「あのテロがなければマルタンたちはもっと順調に……」

 

 シャディクが起こした学園テロは、同じアーシアンである地球寮生の未来をも奪いかねないものだった。

 スペーシアンを嫌うチュチュが、よりによってデリングの学園に通う道を選ぶほどに、アーシアンが教育を受けられる場所は限られている。

 その場所を守ったのがグエルだ。

 だからこそミオリネは、新生アスティカシアの母体であるジェターク社を表立って支援できなかった。

 気高く生まれ変わるアスティカシアに、戦争シェアリングの悪者でありテロリズムへの敗北者であるレンブラン家の手が入ってはいけない。

 

(指輪相手のダミー役をシャディクに頼むのはどうかしら?

 テロに屈した女って言われるよりも、ハニトラにかかった女って言われるほうがずっとマシよね)

 

 アシャケと話しているのに雑念を止められない。

 もしもここにシャディクがいたら、彼はアシャケに何を言うだろう。

 

(もしも私がシャディクと生きられたなら)

 

──ねえ……今、別のこと考えてるよね?──

 

「あ! ごめっ……」

 

 ミオリネがごめんと言い終わる前に、ニュース速報が通信に割り込んだ。

 お泊まり会の最中のスレッタの学校でテロが起きた。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 ほったて小屋のような建物。

 一つの教室に全学年が収まる生徒数。

 たった一人のボランティア教師。

 それがスレッタがこの町に作った学校だった。

 

 土地が余っているので校庭だけは広かった。

 その校庭に仁王立ちするスレッタの背後で、お泊まり会を邪魔されたパジャマ姿の生徒たちが立ち尽くしている。

 

「テイチャ先生……! どうして……?」

 

 スレッタの視線の先には、何者かに奪われたジム・エアリアルがたたずんでいた。

 機体のスピーカーから声が響く。

 

──みなさん、今こそ決起のときです!

 今まで教えてきた通り、力を合わせてスペーシアンと戦いましょう!

 何もしないまますべてを吸い上げられてしまう前に、手もとに武器があるうちに、一人でも多くのスペーシアンを殺しましょう!──

 

「わたしの学校でそんなことを教えてたんですか!?」

 

 スレッタが叫ぶ。

 テイチャ先生は採用時の印象では、とても熱意のある人だった。

 書類には二十八歳と書いてあった。

 丸顔で、体つきも丸っこく、眼鏡だけが四角かった。

 

 お給料はいらない。

 それよりも子供たちに信念を伝えたい。

 浮いたお金で子供たちの給食の量を増やしてほしい。

 そんな風に言っていた。

 

 スレッタは子供たちを振り返った。

 テイチャ先生の演説に、耳を傾ける子供たちは……予想外に冷めていた。

 

「遠くのスペーシアンの話ばっかりしてるのって、目の前のぼくたちをどうでもいいって思ってるってことだよ。おとなりのおじさんを殺したのはウェスタニス人なのに」

 

──なんと愚かな! 同じアーシアン同士でいがみ合ってどうするのです!?──

 

 ここまでは正しいのだが。

 

──スペーシアンを共通の敵として、イストラント人とウェスタニス人は手を取り合うべきなのです!──

 

 テイチャ先生がスレッタ目がけて、ジム・エアリアルの平手を振り上げた。

 

 バァン!!

 

 その掌を緑のビームが吹き飛ばす。

 

──へ?──

 

 テイチャが呆気に取られた一瞬に、グエルのピンクのディランザが校庭を囲む林から飛び出し、テイチャの機体をタックルで倒して、たやすく押さえつけた。

 

 

 

 

 ジム・エアリアルのコックピットの中で。

 

「おのれスペーシアンめ!!」

 

 テイチャ先生がコントロールパネルをたたく。

 

「痛たたっ……」

 

 手をさする。

 悔しい。

 もっと強いモビルスーツがほしい。

 

──あらあら、かわいそうにね──

 

 スピーカーから、知らない誰かの声が流れた。

 

──話はすべて聞いていたわ──

 

 高齢の女性の声だ。

 

──チャンスをあげるわ──

 

 複数いる。

 

──こっちへいらっしゃい──

 

 四人、いる。

 

 テイチャ先生の周囲から、突然、重力が消えた。

 地面にモビルスーツを丸ごと飲み込む大穴が開いたのだ。

 とっさにディランザが飛び退き、ジム・エアリアルだけが地下へと落下する。

 穴は機械の駆動音を轟かせてすぐに閉じた。

 

 

 

 

 

 そしてテイチャ先生は謎の人物により新たな機体のコックピットへ導かれた。

 

 

 

 

 

 メインカメラ越しにテイチャ先生が見上げる視線の先で、校庭の穴が再び開く。

 機体の背中に装着された()()()()()()()()()()()()()()()が輝き、見知らぬ薄灰色のモビルスーツが地底の闇から夜空の闇へと舞い上がる。

 

 スラスターの光に照らされて、マヌケな宇宙女が口をポカンとさせているのが見えた。

 テイチャ先生は飛行しながら()()()()()()()()()()()()()の姿勢を変えて、バリアブルロッドからビームを乱射した。

 

 ガッガッガッガッガッ!!

 

 すべてのビームをディランザのシールドが受け止める。

 が、ディランザからの反撃はない。

 無闇に動いてシールド以外で攻撃を受ければ、跳ね返ったビームが、吹き飛んだパーツが、スレッタや子供たちに当たる可能性がある。

 

──あのデカいピンクは飛べそうにないわね──

 テイチャ先生はスゥッと息を吸って声を張り上げた。

──ワタシのカワイイ生徒たち! アナタたちがするべきことのお手本を見せてあげるわ!──

 

 テイチャ先生は未知の機体の力をひけらかすようにクルリと宙返りして飛び去った。

 

 

 

 

 通信を乗っ取られ、ミオリネが先ほどまでアシャケと話していた画面にテイチャ先生の顔が映る。

 

──そこを動くなミオリネ・レンブラン! 今すぐ殺してやる!──

 

『マズイね。こっちの居場所がバレてる』

 

 エリクトに言われ、ミオリネがホテルの窓から空を見る。

 こちらへまっすぐ飛んでくるキャリバーン二号機の前に、ザウォート・ヘビィが立ち塞がった。

 

『わあ! アシャケくんの機体だ!』

 

 ザウォート・ヘビィに邪魔をされてテイチャ先生のビームの狙いが逸れて、ミオリネの部屋への直撃は防げたが、屋根をかすめて瓦礫が飛び散る。

 

──チッ──

 

 パイロットの舌打ちと、何かのスイッチを入れたらしき音。

 薄灰のキャリバーンが赤く光り出した。

 

『ああ! マズい! キャリ()()ーンのパイロットがパーメットスコアを上げようとしてる!』

 

「キャリババーン?」

 

 しかしその光はスイッチが切れたように消え、テイチャ先生はパニックを起こした様子で飛行中のコックピットから転がり出てきた。

 

『……パーメットの反動にびっくりしちゃったんだね』

 

 

 

 

 パラシュートで降りてくるテイチャ先生に、アシャケはビームライフルの照準を合わせた。

 

「!」

 

 白い羽がザウォート・ヘビィの視界を塞いだ。

 グエルのディランザの羽根ペン型ドローンだ。

 アシャケが羽根を払っている間にテイチャ先生は着地し、地元の警察官に取り囲まれた。

 

──別に殺しちゃってもいいと思うんだけどな──

 

 つぶやきながらもアシャケはライフルを下げた。

 

 無人で空中に取り残されたキャリババーンは、自動操縦でゆっくりと降下していった。

 

 

 

 

 明けてゆく空の下、ミオリネがいるホテルの周囲を報道陣が取り囲む。

 先ほどのキャリババーンの銃口がまっすぐこちらに向けられていたのだから、ごまかしようがない。

 

 マスコミの野次や挑発に、ほかの泊まり客は息をひそめる。

 ミオリネ・レンブランは背筋を伸ばし、正面玄関から堂々と出てきた。

 

 無数のフラッシュが焚かれる。

 

「指輪のお相手は!?」

 

 こんなときであってもなお、真っ先に上がった質問はソレだった。

 

 ミオリネの周りをサビーナたち五人のボディガードが固める。

 五人はスッと手を見せた。

 めいめい人差し指や中指に、そろいの指輪を()めていた。

 

学校の記念品(カレッジリング)だ」

 

 サビーナの言葉に、報道陣から失望の声が漏れた。

 

「ミオリネ・レンブランさーん!」

 

 ある記者が指輪とは別の、それでもじゅうぶん意地悪な声音を吹っかけてきた。

 

「たびたび命を狙われて、もういい加減、地球のことが嫌いになったのではありませんかー?」

 

 ミオリネは自前のマイクを右手でにぎりしめた。

 

「今回の事件は不明な点が多く、はっきりしたことはまだ何も申し上げられません。

 ですが一つだけ断言できることがあります。

 それは私の! 私たちの! 地球との友好を求める心は決して揺らがないということです!」

 

 見られる角度を意識しながら、ミオリネは左の拳を高く振り上げた。

 

「進めば二つ!」

 

 朝日を浴びて指輪が光った。

 

「この指輪に賭けて誓う! 私は地球と宇宙の二つとも愛している!」

 

 カメラのフラッシュが朝の光を追いかける。

 

「宇宙は地球へ! 地球は宇宙へ! 進めば二つとも愛せるようになる!」

 

 またたくフラッシュは、それがどんな意識のもとに焚かれたものであったとしても(きら)めいて。

 ホテルの窓の隙間から覗き見ていた人々は、それを美しいと感じた。

 

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